テントウムシダマシ類(ニジュウヤホシテントウなど)を駆除・防除する方法

ナスやジャガイモなどのナス科作物を食害するテントウムシダマシ類(ニジュウヤホシテントウなど)の生態や卵・幼虫・成虫の特徴、早期発見するためのポイントを紹介します。農作物に多大な被害を及ぼさないために未然に防ぐ予防方法や有効な農薬など駆除対策をしっかりおさえましょう!


ニジュウヤホシテントウ

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育てている野菜の葉や果実が網目状に食害されていたなら、テントウムシダマシ類が潜んでいるかもしれません。
テントウムシダマシ類のなかでも、ジャガイモやナス、トマトを食害する「ニジュウヤホシテントウ」と「オオニジュウヤホシテントウ」の発見のポイントや予防対策、使用する薬剤について初心者の方にもわかりやすく説明します。

テントウムシダマシ類はマダラテントウムシ亜科

テントウムシダマシ
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「テントウムシによく似た虫が葉を食べている」「葉裏にトゲのある虫が多数いる」ときは、テントウムシダマシ類かもしれません。
テントウムシダマシ類は、テントウムシ科のマダラテントウムシ亜科という種類に属する甲虫です。

テントウムシダマシ類とテントウムシの違い

見た目は私たちがよく知っているナナホシテントウなどのテントウムシの種類によく似ていますが、一般的なテントウムシのように光沢が無く、うっすらと毛が生えているのがテントウムシダマシ類の特徴です。
また、テントウムシダマシ類の幼虫の背中には、トゲが密生しています。

テントウムシダマシ類は害虫!

テントウムシダマシ類の成虫および幼虫は草食性で、農作物の葉や果実を食べる「害虫」です。
特に幼虫は、葉裏に産卵された卵からふ化すると、集団で食害するため被害が大きくなります。
ちなみに、テントウムシは肉食性でアブラムシやカイガラムシなどを食べる「益虫」です。

被害と発見のポイントは網目状の食痕

テントウムシダマシ 葉の被害
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ジャガイモやトマト、ナスなどの葉では表皮を残して浅く食害して、網目状の食痕を作ります。葉を食いつくすと、茎や果実も同様の網目状に食害します。
食害が続くと葉は褐色に変色して枯れ、生育が悪くなります。

オオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウ

ニジュウヤホシテントウ
出典:Flickr(photo by harum.koh)
テントウムシダマシ類には、背中に28個の黒い斑点があるオオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウという種類がいます。
ニジュウヤホシテントウの大きさは6〜7mmで、オオニジュウヤホシテントウはそれより少し大きいのが特徴ですが、外見ではほとんど違いはわかりません。

平均気温14℃が生息の境目

14℃以下の地域ではおもにオオニジュウヤホシテントウ、14℃以上ではおもにニジュウヤホシテントウが生息しています。
両種ともナス、ジャガイモ、トマトなどナス科植物を好んで加害してます(ゴボウやマメ科の葉などにも発生することがあります)。
名前 分布地域 発生回数
 オオニジュウヤホシテントウ
(学名:Henosepilachna vigintioctomaculata
・北海道
・東北
・関東北部など
 1~2回/年
 ニジュウヤホシテントウ
(学名:Henosepilachna vigintioctopunctata
・関東南部
・東海
・近畿以西の平野部など
 2~3回/年

生態

落ち葉や雑草、石垣などで越冬したオオニジュウヤホシテントウとニジュウヤホシテントウは4〜5月ごろに発生し、5〜6月に産卵、ふ化した幼虫は6月ごろから作物への食害活動をはじめ、7月ごろに被害のピークとなります。被害は11月ごろまで続きます。

卵の特徴

名前 オオニジュウヤホシテントウ ニジュウヤホシテントウ
 砲弾型
 淡黄色
大きさ  直径0.8mm 長さ2mm
産卵個数  30個前後(1卵塊あたり)
産卵場所  葉裏に固まって産卵

幼虫の特徴

ニジュウヤホシテントウ 幼虫
出典:wikimedia
名前 オオニジュウヤホシテントウ ニジュウヤホシテントウ
特徴  枝のようなトゲが密生
 楕円形
 黄色  黄白色
大きさ  8~9mm  7〜8mm
食害部  葉裏

蛹の特徴

ニジュウヤホシテントウ 幼虫
出典:wikimedia
名前 オオニジュウヤホシテントウ ニジュウヤホシテントウ
 楕円形
 黄色   黄白色
大きさ  約6mm   約5mm
期間  1週間

成虫の特徴

ニジュウヤホシテントウ
出典:wikimedia
 
名前 オオニジュウヤホシテントウ ニジュウヤホシテントウ
特徴  背中(翅:ハネ)に28個の黒い点、薄い毛
 褐色
大きさ  6.5〜8mm   6〜7mm

テントウムシダマシ類(ニジュウヤホシテントウなど)に有効な対策

テントウムシダマシ類の被害が大きくなる前に行う対策について説明します。

1. ナス科植物を隣接して植えない

圃場周辺にトマトやジャガイモ、イヌホオズキなどのナス科植物や雑草があると、そこで繁殖し6~8月に飛来します。
新たにナス科作物を植え付けるときは、隣接して植えないように注意しましょう。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと

2. テントウムシダマシ類の飛来を防ぐ

作物にテントウダマシ類の成虫が飛来することを防ぐことで、食害の予防をします。
苗の時期から寒冷紗や防虫ネットを展張し、施設栽培では入り口などの開口部にネットを張ります。
目合い3mm以下で飛来防止効果が高くなります。
ITEM
防虫ネット
透光性・雨通し・強風暖和に優れ、育成促進効果で早期収穫が可能です。
縦縞のシルバーが太陽光線の反射で大切な農作物を害虫から守る効果があります。
農薬の使用量を減らし、安全安心な野菜を栽培するための代替技術として非常に有効です。

・サイズ:幅1.35×長さ5m(1mm目合い)


▼寒冷紗や防虫ネットについてはこちらもご覧ください。

3. テントウムシダマシ類を捕獲して駆除

圃場を見回って葉裏にテントウムシダマシ類を発見したら駆除します。特に4〜5月は葉裏に卵がないか入念に確認しましょう。
葉裏にいる成虫や幼虫は叩けば簡単に落ちるので、下に容器を用意し葉を叩いて捕獲する方法も効果的です。

4. 農薬(殺虫剤)で駆除

テントウムシダマシ類は農薬の効果が出やすいため、多発で困っている場合は農薬を散布しましょう。
生息している葉裏まで農薬をたっぷり散布することが大事です。
成虫の飛来が多く、卵からふ化し幼虫になった時期(6月ごろ)に散布するとより効果的です。
※生産者の方は、地域の防除指導機関やJAなどが推奨する効果の高い薬剤を選定し使用基準を守って作物にあった薬剤を使用しましょう。
※家庭菜園の方は、駆除したい虫をしっかり把握したあと、必ず作物にあった薬剤を選びましょう。

予防的散布で効果的

浸透移行性があり、農薬がかかりにくい場所のテントウムシダマシ類にもよく効きます。
ITEM
ダントツ水溶剤
半翅目・双翅目・甲虫目・鱗翅目・アザミウマ目の各種害虫に優れた防除効果を発揮します。
浸透移行性があり、2000〜4000倍の茎葉散布で、残効性に優れ、2〜3週間高い防除効果を示します。
顆粒タイプの水溶剤で粉立ちが少なく溶けやすいので、調製が簡単です。また、作物が汚れる心配もほとんどありません。

・容量:125g
・有効成分:クロチアニジン(16.0%)

発生初期に散布

ITEM
スミチオン乳剤
幅広い植物や害虫に対応できる殺虫剤で、薬剤が害虫に接触することで殺虫(接触毒)します。
害虫が薬剤が付着した植物を食べても効果を発揮し、卵から成虫までどの段階でも高い殺虫効果があります。
長年使い続けられており、安全性が高い農薬です。

・容量:500ml
・有効成分:MEP(50.0%)


▼農薬についてはこちらをご覧ください。

テントウムシダマシ類(ニジュウヤホシテントウなど)発生後の対策

圃場でテントウムシダマシ類が発生してしまった場合は、上記のような農薬を使用して防除するほか、栽培を終えた植物を圃場の一箇所に集めビニールをかけます。そこに太陽光をあてて、1週間ほど放置して蒸し込みます。
しっかりとテントウダマシ類の卵、幼虫、成虫を駆除しておくことで被害の拡大を防ぎましょう(夏期のみ)。
▼ハウス栽培での蒸し込みはこちらをご覧ください。

テントウムシダマシ類から作物を守るために

テントウムシダマシ類は葉や果実を食害することで生育を悪化させ、作物の商品価値を失わせます。
日頃からテントウムシダマシ類の卵や幼虫がいないか、注意して圃場を見回るようにします。また、寒冷紗や防虫ネットで成虫の飛来を防ぐとともに、農薬で効果的な予防を行いましょう。

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rinko
rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。