黄化えそ病の症状
葉が黄化、枯死したり、茎に褐色のすじ条の病斑が現れるなどの症状が現れた場合は、黄化えそ病を疑いましょう。黄化えそ病の症状
具体的にどのような症状になるのか説明します。葉での主な症状
葉では色が抜けたような輪紋、または斑点を生じ、やがて葉が矮化します。新芽での主な症状
新芽はねじれるなど株の生長が抑制されるなどの症状が現れます。茎での主な症状
茎では褐色の筋が入る「えそ条斑」を生じます。果実での主な症状
果実ではまだらに黄化することがあります。▼植物の病気の症状についてはこちらの記事もご覧ください
黄化えそ病の発症原因
黄化えそウイルスを媒介するのは主にアザミウマ(スリップス)類です。名前 | 黄化えそ病 |
病原菌 | ・トマト黄化えそウイルス:TSWV(Tomato spotted wilt virus) ・メロン黄化えそウイルス:MYSV(Melon yellow spot virus) |
分類 | ウイルス病 |
媒介昆虫 | アザミウマ(スリップス)類 |
発生時期 | 5~10月 |
黄化えそ病ウィルスの伝搬
植物が黄化えそ病のウイルスに感染すると植物内で増殖し、その植物をアザミウマ(スリップス)類が吸汁することで、ウイルスも一緒に体内へ移動します。体内にウィルスをもつ保菌虫となったアザミウマ(スリップス)類の成虫はほかの植物に飛来し、病気を伝染させます(保毒したアザミウマ類は死ぬまで伝染能力がありますが、経卵伝染はしない)。そのため、黄化えそ病は種子伝染や土壌伝染はせず、人間の管理作業による汁液伝染もほとんどしないと考えられています。
▼アザミウマ(スリップス)類の生態、防除についてはこちらをご覧ください。
黄化えそ病発生時期
病原菌の「TSWV(Tomato spotted wilt virus)」は、アザミウマ(スリップス)類の「ミカンキイロアザミウマ」、「ヒラズハナアザミウマ」、「ネギアザミウマ」などによって、「MYSV(Melon yellow spot virus)」は、「ミナミキイロアザミウマ」によって伝わり広がっていくので、アザミウマ(スリップス)類の動きが活発になる5〜10月ごろに黄化えそ病の発病株も多くなります。黄化えそ病の治療方法は無い
黄化えそ病は病気自体を治療する方法は無いため、アザミウマ(スリップス)類の対策を行い、予防することが重要です。黄化えそ病に感染する主な植物
黄化えそ病は野菜類、花かき類、どんな植物にも感染する可能性がある病気です。黄化えそ病が問題となっている主要な作物と、その症状を紹介します。トマト黄化えそウイルス(TSWV)が原因となる植物
TSWV(Tomato spotted wilt virus)は非常に多くの野菜に感染します。野菜類ではトマト、ナス、ピーマン、レタス、タバコ、トウガラシなどに、花き類ではキク、ガーベラ、マリーゴールド、シクラメン、アルストロメリア、トルコギキョウなどに感染します。▼ナスやピーマン、レタス、シクラメンの育て方ならこちらをご覧ください。
トマト
・葉での主な症状
葉では不整形の褐色斑点または輪紋を生じます。
・新芽での主な症状
芽は黄化して、細く奇形となります。
・茎での主な症状
茎は褐色の条斑を生じて、内部が空洞となります。
・果実での主な症状
果実はまだらに色抜けして、こぶ状に隆起します。
▼黄化葉巻病のことならこちらをご覧ください。
▼トマトやミニトマトの育て方ならこちらをご覧ください。
キク(キクえそ病)
・葉での主な症状
葉では不整形の褐色斑点または輪紋を生じ、葉の縁から黄化して枯れ込みます。
・茎での主な症状
茎は褐色~黒褐色の条斑を生じて、切断すると内部も黒く変色しています。気温が高くなってくると病状がはっきりとみられます。
予防のためには、無病の苗を用いるか、親株でのアザミウマ(スリップス)類の防除を徹底することが重要です。
▼スプレーマム(スプレー菊)の育て方ならこちらをご覧ください。
メロン黄化えそウイルス(MYSV)が原因となる植物
病原菌のMYSV(Melon yellow spot virus)は、野菜類ではキュウリ、メロンに感染します。キュウリ
・葉での主な症状
葉の葉脈にが透けるような症状が出ます。その後、葉が激しく黄化しえそ斑を生じます。
・株の主な症状
感染株は生育が抑制され、症状が激しい場合は枯死することがあります。
また、メロンではネット形成が異常になる場合があります。
▼キュウリの育て方ならこちらをご覧ください。
黄化えそ病発症後の対応
黄化えそ病は一度発病してからの治療方法はありません。株の抜き取り
黄化えそ病の発生が確認された場合はただちに取り去ります。抜き取った被害植物が圃場に放置されていると、さらなる伝染源となる恐れがあるため、被害植物は圃場外に持ち出す、または埋めるなどして処分しましょう。黄化えそ病予防に有効な対策
黄化えそ病の予防は、主にアザミウマ(スリップス)類対策です。病気のまん延を防ぐために、アザミウマ(スリップス)類を寄せ付けない圃場で行う方法と「農薬」の使用を行います。2つの方法を組み合わせて適切な黄化えそ病の予防を行いましょう。※圃場(ほじょう)とは田や畑のような農作物を育てる場所のことです。
圃場での黄化えそ病対策
農薬を使わない、圃場で行う黄化えそ病対策です。1.圃場や菜園周りの除草
アザミウマ(スリップス)類は圃場や菜園の外の雑草から飛来します。圃場や菜園周辺の除草を徹底して伝染源を根絶しましょう。2. シルバーマルチ
アザミウマ(スリップス)類は下から光が当たると、上下の感覚がわからなくなるという性質があります。日光を反射させることでアザミウマ(スリップス)類の集団飛来を抑制するシルバーマルチを利用することがおすすめです。▼マルチの選び方についてはこちらをご覧ください。
3. 赤色防虫ネット
作物の種をまいて苗を作る(苗床)段階から防虫網を使用し、アザミウマ(スリップス)類の侵入を防ぎましょう。施設栽培においては、出入口や側窓等に防虫ネット(0.8mm以下)を張ることが効果的です。このとき使用する防虫ネットは赤色がおすすめです。アザミウマ(スリップス)類は赤色が認識できず、アザミウマ(スリップス)類の目には黒い壁に見えるので、より飛来を抑制でき効果的です。
▼防虫ネットの選び方についてはこちらをご覧ください。
アザミウマ(スリップス)類から作物を防除する「農薬」
農薬を使用してアザミウマ(スリップス)類を防除しましょう。作物ごとに使用する農薬(殺虫剤)にアザミウマ(スリップス)類の登録があるか必ず確認してください。また、散布は1回だけではなく、定期的に農薬の種類を組み合わせてローテーション散布することがおすすめです。
※農薬は地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。
▼ローテーション散布のことならこちらをご覧ください。
▼殺虫剤のことならこちらをご覧ください。
ボタニガードES
ダントツ水溶剤
ディアナSC
▼農薬を安全に使用するためにまずはこちらをご覧ください。
▼希釈方法や散布後の処理方法などそのほかの農薬のことなら農薬まとめをご覧ください。