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【毎月更新!】農業なくして持続可能な社会なし今回のテーマ:SDGs目標13|気候変動に具体的な対策を
目標の内容は「気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る」です。
SDGs目標別アーカイブ
目標1・2・3|目標4|目標5|目標6|目標7|目標8|目標10|目標11|目標12|目標13|目標14・15阿蘇中岳の噴火
活火山なので、数年に1度はこうした噴火があります。被害がないとは言いませんが、地元民はいたって落ち着いていましたし、火山の麓で暮らしている身としては、火山を悪く言ったり思ったりすることはありません。世界各地で噴火や地震が起きていて、気候変動と関係があるのかは知りませんが、地球そのものも熱くなっている!?と感じています。
「言ったからにはやる」有言実行がモットー
地球温暖化防止対策とダイエットは似ている!?
アスリートや直近の目標がある人は、ファスティング(断食)して運動もして1週間で5kg減らすような、普通の人はなかなかできない思い切ったダイエットをやってのけますが、ハードルはかなり高め。5kgって、スーパーでその量の肉を買うって想像するだけでもすごいですよね…。一方、日々の食べる量を少し減らす、甘いものをやめる、軽いウォーキングやジョギングを日常的にするなど、半年で2~3kgやせることを目指したダイエットをする人もいます。
思い切った対策ができる理由
温暖化防止のための具体的な対策も、まさにそんな感じ。思い切った対策をするのは、それがビジネスに直接影響するような企業が主で、投資家からの評価を得るためや利益率を高めるなど、下心があるから、と言っては失礼ですが、そういった事情もあると思います。体重で階級が分かれるようなスポーツをしている選手も同じですが、体重制限をすることが己の利益やパフォーマンスに直結するから実行できているはず。毎日できる小さなこと
私自身は新米がおいし過ぎて、まず秋のダイエットは無理ですし、毎年のように「あと2kg減らす」と年始の目標で言ってる程度の緩過ぎるダイエットをしている一般人です。一般人は、数円だとしても有料のレジ袋を買うよりはエコバッグを持ち歩く、外食に行って食べきれないときは持ち帰る、新しい服を買う割合を減らしてリサイクルショップに行くなど、そういう小さなことこそが「具体的な対策」だと思うのです。チリツモ、ってヤツですね。前回のコラムでご紹介した「1人の100歩より100人の1歩」が世界を変えますから。我が家の具体的な対策
これまでのコラムと内容が多少重なる部分がありますが、我が家がしている具体的な対策の一部をいくつかご紹介します。1. 農薬や化学肥料(いずれも化石資源由来)をほとんど使わない
2. 農機具の燃料を軽油(化石燃料)から、軽油代替燃料(再生可能な燃料)へ
3. 車の燃料をガソリンから電気、しかも太陽光発電で充電へ
4. 家の暖房を灯油ストーブから薪ストーブへ
5. 生ごみや家畜の糞尿(ふんにょう)を堆肥化
6. 家の窓をペアガラスに
7. 県産材、なんなら村産材の利用
農家だって、使いたくて農薬や化学肥料を使っている訳じゃない
「私は農薬を使ったことがありません」というと、すごいエコロジスト!?という感じですが、不器用で注意力散漫な私に農薬を扱わせるとロクなことにならない、と判断した夫や義父が私にはやらせてくれないのです(笑)。農業機械も同じ理由で、よっぽどのことがないと乗らせてもらえません。体力と腕力だけが取り柄の私は、せっせと運ぶとか穴や溝を掘るとか、そういう力仕事を好んでやるし、本人がイヤじゃないなら万事OK!なんてったって、30キロ入りのコメ袋だって、軽々持ち上げてしまうんですから♪
知らぬが仏
簡単に「無農薬」とかいえないよね…
スタート=本当に求めているかどうか
そもそも農薬も化学肥料も安くない、というかむしろ高いですよね。農家だって減らせるもんなら減らしたいので、これは農家の問題や課題というよりは、完全に消費者側の問題だと思っています。その値段で買うならやるよ?もっといえば、そっちがその気ならこっちもやるよ、的なことかなと。ニワトリが先かタマゴが先かの議論というよりも、消費者が農薬や化学肥料を減らすことを本当に求めるかどうか、が明確な「スタート」な気がするんですよね。あまり深追いせずにこの辺にしておきますが。技術がもたらした大きな変化
菜の花プロジェクトネットワーク
このことで活動に火が付き、活発化したこともあり、ガッツリ取り組んできたというよりは、毎年日本のどこかで開催される「菜の花サミット」に何度か参加するなど、つかず離れず緩やかにお付き合いさせていただいています。ただ、このプロジェクトとの出会いが、私が再生可能なエネルギーに本格的に興味をもったキッカケだったので、大変感謝しています。
この活動は、元々は琵琶湖の水質汚染を防ごうという市民活動が発端となった「使用済み天ぷら油の回収と利用」から始まりました。集めた廃食油から石けんや洗剤をつくっていたのですが、無リンの合成洗剤が登場したことで一気に需要が減ってしまい、せっかく集めた天ぷら油が大量に余るように。
ドイツのバイオディーゼル燃料
当時、炭素税を免除したことにより、バイオディーゼル燃料は「最安」の燃料となり、農業機械での利用はもちろん、あのメルセデス・ベンツやBMWの車が普通にバイオディーゼル燃料で走っていたのです。
ドイツへの視察と課題
ところが大きな課題があって、ドイツと違って「使用済みの植物油」が原料だということ。もちろん、油をろ過したり精製したりするのですが、どうしても品質が一定にならない。品質が不安定だとメーカーが保証できないだけでなく、案の定エンジントラブルも多数発生して、ドイツのような普及には至りませんでした。いえ、至っていません、という現在進行形です。
リサイクル燃料の進化
植物由来の燃料は、植物が生長する際に吸収したCO2しか排出しないということで、国際的にカーボンニュートラルといわれています。農業を仕事にするなら、トラクターは必須。コンバインも必須。それらは全て軽油で動きますから、これを植物由来、つまり排ガスを出さないバイオディーゼル燃料に変えたら、CO2削減効果はハンパないと思います。
蓄電池の進化
仕事用の農機具ではなく、暮らし用としては、電気自動車は高い買い物ではありました。でも、阿蘇という国立公園の中に住んでいながら、排気ガスを出して移動するのが心苦しかったので、思い切って切り替えました。
こだわりとしては、充電する電気は電力会社から買うのではなく、我が家の屋根にのっている太陽光パネルがつくり出す電気を使っていること!「太陽の力で移動している」という満足感だけでなく、日中に発電したものを電気自動車にため、夜はその電気を家で使う、という状況もつくれました。
高い買い物だったとはいえ、地球温暖化対策にも、光熱費や燃料費の節約にもなっています♪ここ最近ではガソリンの価格も電気料金も上がってきていますので、我が家に似つかわしくない新車を買う時に渋い顔をしていた夫に、ドヤ顔をして見せています。
捨てない暮らし
薪ストーブは3回温まる
薪を使うと、薪をつくるときにまず体が温まり、薪を使うときにまた温まり、木を植えなおすときにまた温まる。つまり3回温まる、といわれています。今年も寒くなってきました。去年つくった薪を使いつつ、来年のために寒くても晴れた日は薪づくりに励みます。
生ごみも排泄物も堆肥に
リユース・リデュース・リサイクル
しいていえば、両親は「捨てること」が嫌いで、穴があいた服も繕って着ていたし、本は古本屋さんに売ったり買ったり。私のベッドは家をリフォームしたときに使わなくなった扉を再利用して父が作ったもので、ドアノブだったところは穴があいたままでした(笑)。裕福ではなくても特別貧乏な家だった訳ではないのですが、ドイツに住んでいたことのある両親はフリーマーケットが大好きだったそうで、それ以来、やたらとリユースにはまっていました。当時は「それ、ゴミじゃ!?」と恥ずかしい思いもしていましたが、今考えるとかなり先をいっていましたね。
そして、今も
その母は、孫を膝にのせて、着られなくなったTシャツや肌着をチョキチョキ切っては、油汚れをとったり泥を拭き取ったりするための布をつくってくれます。半世紀以上リサイクル、リデュースに徹している母に学ぶことは多いです。最近では教科書にも「リユース、リデュース、リサイクル」の言葉が載っていて、親がやっていることがそれなりに意味があることなんだと、我が家の子どもたちも理解しているようです。いい時代になりました。
リフォームで暮らしの中の地球温暖化対策
我が家のリフォームは、基本的に友人と夫の協働作業。親方をしてくれる友人がいて、夫は見習いからはじめて今や助手より上の相方ぐらいにはなっているでしょうか。我が家のリフォームの様子が少しでも参考になれば嬉しいです。
まずはペアガラス!
ペアガラスにするだけで暖房や冷房の効率がグンとあがるので、光熱費の節約にもなるし、温暖化防止の具体的な対策にもなるので、なかなかおすすめです。田舎の家あるあるですが、家がやたらと広いので、一気に全部ペアガラスにするのは費用的に難しく、毎年少しずつ変えて、4年間かけて全てペアガラスにしました。
省エネや断熱も大事
そこで今年は、冬はほとんど使わない客間ですが、リフォームを伴わない断熱対策をしました。畳をあげて、その下に紙を1枚敷き、その上に極薄(6mm)の断熱材を敷き詰めるだけのことで、下から来る冷気をだいぶカットできるのだそう。やらないよりはだいぶマシという対策です。
良いことずくめのお風呂のリフォーム
それまでは冬は極寒、しかも追い炊き不可。体を洗って急いで湯船に入るものの、家族が多いのでお湯の温度が一気に下がります。その都度熱いお湯を蛇口から足しますが、それも薪ボイラーで沸かしたお湯がなくなればアウトなので、とにかく次々と急いで入っていたのです。
最近のユニットバスは、お湯が冷めにくい構造になっていたり、気密性が高かったり、ガスや電気の節約になったりと地球にも家計にも優しい。家自体は相変わらず古くて、薪ストーブのある部屋以外は寒いですが、お風呂が変わったことで、ヨメ(私)はご機嫌だし、子どもたちは友達を家に泊まらせるのがイヤじゃなくなったし、良いことずくめです。
地元の材を生かした古民家での暮らし
5年前に後継者として家を継いでから、4年間かけて、4部屋のリフォームをしました。1年目はダイニングキッチン(元は土間だった寒い台所&食堂)と子ども部屋、2年目は仕事部屋、3年目はお風呂、4年目はリビング。まだ手付かずの部屋はありますが、普段あまり使わない仏壇のある部屋とかなので、このままリフォームはせずに住み続けると思います。
地元産の木のぬくもりと共に
地元で育った木をシンプルに材にして、天然素材のワックスだけ塗って地元で使う。これを具体的な対策といわずして何という!? もちろん、結果として地球温暖化防止の具体的な対策になっています。
身近に木材がない場合、遠い国の山から切ってきた材を化石燃料を使ってタンカーで輸送して、材が腐らないために防腐剤や塗料を塗るなど、どうしても環境へ負担がかかります。田舎暮らしをされている方は、できれば家を直したり小屋を建てるときに、ホームセンターから材料を買ってくるのではなく、少し時間やコストがかかっても、山を持ってる人に木材を頼むとか、地元産の材を扱っている製材屋さんから買うなどして、ぜひ国産材を使ってくださいね!
ささやかな行動や選択だとしても、結果、地球温暖化防止につながる対策になっていることがたくさんあるはずです。
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【毎月更新!】農業なくして持続可能な社会なし家族経営農家の生活を写真と共に紹介♪「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」