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【連載第13回】女性農業者の立場で考える!SDGs17個の目標|農業なくして持続可能な社会なし


熊本県南阿蘇の女性農家、大津愛梨さんの日々の農業や環境、家族のことなどを通して、“SDGs”の17個の目標や持続可能な社会のためにできる取り組みを考える連載。身近なことで私たちにできること、個人でできること、子どもにできることなどを考えてみましょう。

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Avatar photo ライター
大津 愛梨

慶応大学環境情報学部卒業後、夫と共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里の南阿蘇で農業後継者として就農、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培している。女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長、里山エナジー(株)の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。農業、農村の価値や魅力について発信を続ける4児の母。…続きを読む

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提供:O2Farm
九州のほぼど真ん中、熊本県南阿蘇村という場所でお米とあか牛を育てているO2Farm(オーツーファーム)のEriこと大津えりと申します。「農業者こそ“SDGs(持続可能な開発目標)”を達成するための立役者!」という視点で連載をしています。

月間連載アーカイブはこちら

【毎月更新!】農業なくして持続可能な社会なし

農業や田舎暮らしがSDGsとどう結びつくのか

田んぼで手をあげる女性
提供:O2Farm
2020年の2月から始まった連載も、2年目を迎えました。
タイトルにある「農業なくして持続可能な社会なし」というメッセージは、就農した2003年以来ずっと発信し続けていますが、ここ数年で「そうだよね」とすんなり共感や同意をしていただけるケースが増えてきてうれしい限り。

そして、「SDGs」という単語自体は、比較的よく耳にするようになりましたし、カラフルなロゴもあちこちで見かけるようになりました。解説は下にありますが、つまりは「国境を越えて世界が目指そうとしている国際的な目標」という訳です。

「SDGs(エス ディー ジーズ)」とは?
持続可能な開発目標(SDGs)とは、2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)の後継として、2015年9月の国連サミットで採択された、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すための17のゴールと169のターゲットからなる国際目標です。
国際連合広報センター「持続可能な開発目標(SDGs)とは」


じわじわと身近に忍び寄る環境問題

地球温暖化は、地球上に住むすべての人に関わる問題。異常気象や極端な災害が身近に起こるようになり、このままだと自分たち自身や子どもたちの首をしめそうだということは、そろそろ皆さんも感じているはず。でも、じゃあ具体的に何をすればいいの?という素朴な疑問が…。自分ひとり、もしくは身近な家族や友人だけで地球のために何かができるなんて、ピンときませんよね。

2年目に入ったこの連載では、より具体的に「農業や田舎暮らしが、SDGsとどう結びつくのか」「この国際的な目標を“農業”という分野でどう実現していくか」を書いていきたいと思います!

今回のテーマは、SDGs目標1:貧困をなくそう/2:飢餓をゼロに/3:すべての人に健康と福祉を

SDGsアイコン
出典:国際連合広報センター
  1. 【SDGs目標1】貧困をなくそう
    あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ
  2. 【SDGs目標2】飢餓をゼロに
    飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する
  3. 【SDGs目標3】すべての人に健康と福祉を
    あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

SDGs目標別アーカイブ

目標1・2・3目標4目標5目標6目標7目標8目標10目標11目標12目標13目標14・15

貧困と飢餓をなくして、すべての人に健康と福祉を!

おにぎりを持つ少年
提供:O2Farm
SDGsの目標1・2・3については、食べ物をつくる農業という仕事に就いている以上、自然と目指しているといっても過言ではないはずです。私たち農家が環境に配慮しながら農産物を作り続けていくことが、飢餓を減らしたり、みなさんの健康を維持することに直接結びつくことは疑いようがないので、特別に意識したり変えたりする必要はないかな、と思います。
農家はお医者さんと同じくらい「命」に直結する仕事です。なのに、お医者さんは増えていて農家が減っている現状はおかしいと思うことも。

砂漠化、黄砂、温暖化…

上空写真
提供:O2Farm
日本の農村の人口は減っていますが、海外の開発途上国の農村では、人口が増えてきているのに食料の生産性が低下していて、飢餓や栄養不足、貧困といった課題がますます深刻になっているそうです。そのため生産効率を上げようと、肥料や農薬、水などを使い過ぎた結果、土地や水などが荒れたり枯れたりして、砂漠化や黄砂、地球温暖化などの環境問題を引き起こしているというわけです。

オーガニックが全てだとはまったく思っていませんが、生産効率を上げようと思って使ってきた農薬のために、それがかえって飢餓や貧困や健康被害を引き起こしている、という過去の失敗から学ぶべきなのは、生産効率よりも「作り続けることができる」ことを優先させるべきだということでしょう。

日本で普通に生活していると、世界の飢餓や貧困問題はあまり身近に感じることができないかもしれない。でも、日本は世界有数の食料輸入国のひとつなので、間接的には世界の飢餓や貧困に大きく加担していることぐらいは知っておく必要があるんじゃないかなぁ、と思っています。

Think globally Act locally 〜地球規模で考え、地元で行動せよ〜

わくわく油田プロジェクト
提供:O2Farm
では実際に、私たちに何ができるのでしょうか?

O2Farmとしては、就農した時からずっと無農薬・減農薬の栽培をしてきています。「SDGs7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに」のテーマにもつながりますが、新たなチャレンジとして、トラクターに使う燃料を化石燃料(軽油)から、バイオディーゼルと呼ばれる使用済み天ぷら油からリサイクルされた燃料を使うようになりました。資材をリユースするようにも心がけています。

農薬の使用を減らし、健康な土を維持すること、国産の農産物を選ぶことが、「急がば回れ」的に、農村部の貧困や飢餓、健康被害を減らすことにつながるのではないでしょうか。

SDGs17個の目標へ、女性農家ができる具体的な行動

sustainable development goals
作成:O2Farm
女性農業者という立場は、17個全ての目標に対して具体的な行動が起こせる数少ない属性なのではないかと私は思っています。
就農以来、これまでに取り組んできたさまざまな「具体的行動」の写真を、SDGsの目標に当てはめてみたのが上の画像です。写真だけでは説明できないそれぞれの行動を、女性農業者という視点も含めて、今後、以下の順番で紹介していくつもりです。

SDGsに関する今後の連載予定

▼SDGs目標1・SDGs目標2・SDGs目標3:貧困をなくそう・飢餓をゼロに・すべての人に健康と福祉を
▼SDGs目標4:質の高い教育をみんなに
▼SDGs目標5:ジェンダー平等を実現しよう
▼SDGs目標6:安全な水とトイレを世界中に
▼SDGs目標7:エネルギーをみんなにそしてクリーンに
▼SDGs目標8・SDGs目標9:働きがいも経済成長も・産業と技術革新の基盤をつくろう
▼SDGs目標10:人や国の不平等をなくそう
▼SDGs目標11:住み続けられるまちづくりを
▼SDGs目標12:つくる責任つかう責任
▼SDGs目標13:気候変動に具体的な対策を
▼SDGs目標14・SDGs目標15:海の豊かさを守ろう・陸の豊かさも守ろう
▼SDGs目標16・SDGs目標17:平和と公正をすべての人に・パートナーシップで目標を達成しよう

できることから!2021年も発信していきます

阿蘇の山と晴れ着姿の女性
提供:O2Farm
堅くならないよう心掛けているつもりですが、環境や持続可能というテーマは難しく聞こえがちですね。今後もSDGsに関して、より具体的にブラッシュアップしながら発信していきたいと思います。
2021年の元旦は、女子は晴れ着を着て、冬の田んぼと阿蘇山をバックにパシャリ。というわけで、2021年もどうぞよろしくお願いいたします!

大津愛梨さんのコラムアーカイブはこちら

【毎月更新!】農業なくして持続可能な社会なし
家族経営農家の生活を写真と共に紹介♪「ハッピーファミリーファーマーズ日記」

大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」

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