-
ライター - 松本果歩
松本果歩
幅広いジャンルで執筆するフリーランスライター。
祖父母は岡山で農家を営む。Twitter:@KA_HO_MA…続きを読む

出典:写真AC
寒さで植物を枯らしてしまったことありませんか?冬枯れを防ぐために温室を使い始めてみたという人は多いはず。でも、単に温室の中に植物を入れるだけでは保温しきれていないんです。天候や設置場所によっては逆に温室の中のほうが寒いなんてことも!そこで必要なのが温室ヒーター(園芸ヒーター)。ヒーターで温めた熱を温室が閉じ込める、二つの力が合わさって十分に植物を保温できるのです。今回は家庭用の温室にぴったりのヒーターをご紹介します。
温室ヒーターの選び方〜温室の大きさとワット数の目安〜
温室の大きさとワット数(消費電力)の目安

出典:写真AC
電気式のヒーターで上昇可能な温度はワット数(消費電力)に左右されます。以下にワット数によってどのくらい温められるかを紹介します。あくまで目安なので、正確なデータはそのヒーターの機種のメーカーに確認ください。
温室サイズ | ヒーター消費電力 |
~0.3立方メートル | 150W |
~0.6立方メートル | 200W |
~0.8立方メートル | 250W |
~1.0立方メートル | 300W |
~1.4立方メートル | 400W |
~1.8立方メートル | 500W |
※室内において、外気温0℃で温室内最大上昇温度が10℃程度になる組み合わせ
ワット数は大きめを選ぶのがコツ
ヒーターを選ぶ際、必要なものの一つ上のワット数のモデルを買っておくのがおすすめです。サーモスタット(自動温度調節機器)で適正な温度をきちんと設定すれば電気代が無駄になることはありません。逆に容量が足りないと十分に温まらず後で困ってしまいます。
おすすめの家庭用温室はこちら
サーモスタットってなに?温度を自動で一定に

出典:Pixabay
常にヒーターをつけっぱなしにしておくと、温室の中は上がり続けてしまい、逆に植物が弱ることも。かといって温度計をチェックしてつけたり消したりは大変です。そんなときに役立つのが「サーモスタット」。温度を調節する装置です。温度センサーを内蔵しており、設定した温度を超えるとヒーターを自動で切り、低過ぎるときにはつけることで温度を一定に保ってくれます。ヒーターにはもともとサーモスタットがついているものと、ついていないものがあります。ついていないものでも、サーモスタットを別に買って取り付けることで温度調整が可能になります。
昭和精機工業 グリーンサーモZY-6A
・材質:ABS、PP、ステンレス
・商品の重量:不明
・サイズ:7×4.3×10cm
・消費電力:600W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:無
複数のヒーターを1台のサーモスタットに接続する場合、それぞれのヒーターを複数口の電源タップにつなぎ、電源タップとコンセントの間にサーモスタットを噛ませて電源に接続します。この際、電気容量が超えないように気を付けましょう。
エレコム 電源タップ T-ST02-22320WH
・サイズ:幅39×奥行92×高さ22.5mm
・コンセント口数:3個口
・長さ:2m
温室ヒーターの電気代はどれくらい

出典:写真AC
温室は広い空間なので暖房の電気代が気になりますね。
一般的な電気代の目安は1kWh単価26円です。1日のうち、8時間使用する条件で算定すると、消費電力150Wのタイプで、電気代が1時間あたり3.9円、1日あたり31.2円となります。消費電力2000Wのタイプで1時間あたり52.0円、1日あたり416.0円となります。つまり一般的な温室ヒーターの場合、1日あたり31.2円〜416円になります。※電気代の計算は以下のサイトを参考に算出しました。
出典:
電気代計算シュミレーター小型から大規模まで!消費電力数別おすすめ温室ヒーター10選
温室の大きさに合わせてヒーターを選べるように、ワット数別に温室用ヒーターをまとめました。
~150W
【150W】昭和精機パネルヒーター
昭和精機工業 パネルヒーター
・容積0.2~0.3立方メートルのごく小型の温室の保温に
・霜よけや補助ヒーターとして
・商品の重量:0.9kg
・サイズ:16.8×13.6×13.4cm
・消費電力:150W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:無
・加湿機能の有無:無
【150W】海野製作所 ウイングヒーター W-1500
海野製作所 ウイングヒーター W-1500(サーモスタット付き)
・間口50cm、奥行40cm、高さ180cmくらいまでの温室に
・サーモ付きで0度~40度の調整が可能
・商品の重量:不明
・サイズ:14.5×10.0×9.5cm
・消費電力:200W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:無
~200W
【200W】昭和精機パネルヒーター SP-200
昭和精機 園芸温室用パネルヒーター 200W SP-200 (増設用)
・ミニ温室用パネルヒーター穏やか加温
・商品の重量:1.09kg
・サイズ:12.7×12.7×16.0cm
・消費電力:200W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:無
・加湿機能の有無:無
【200W】海野製作所 ウイングヒーター W-2000
ウイングヒーター W-2000(サーモスタット付き)
・容積0.4立方メートル前後までの小型温室に
・植物にやさしいゆっくり加熱・加湿器標準装備
・商品の重量:不明
・サイズ:14.5×10.0×12.0cm
・消費電力:200W
・電圧:不明
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:有
~300W
【210W】海野製作所 温室用ベースヒーター BH-210
ベースヒーター BH-210(サーモスタットなし)
・容積0.6立方メートル前後の小型温室に
・水抜き加工とステンレス素材で長寿命
・商品の重量:2.0kg
・サイズ:19.5×45.5×6.0cm
・消費電力:210W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:無
・加湿機能の有無:無
【210W】ベースヒーター サーモスタット付き BHS-210
ベースヒーター サーモスタット付き BHS-210
・自然の加熱に近い設計で植物に適した加熱が実現
・腐食に強いステンレス製&耐熱・耐衝撃に強いポリカーボネイド樹脂製
・上部や内部に水がたまらない設計
・商品の重量:2.0kg
・サイズ:19.5×45.5×6.0cm
・消費電力:210W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:無
【210W】トップクリエイト(TOPCREATE) 園芸用ヒーター TOP-210SW
トップクリエイト(TOPCREATE) 園芸用ヒーター TOP-210SW
・植物にやさしいゆっくり加温
・長寿命
・商品の重量:2.0kg
・サイズ:19.3×45.6×6.0cm
・消費電力:210W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:無
・加湿機能の有無:無
【250W】昭和精機 園芸温室用パネルヒーター 250W SPZ-250
昭和精機 園芸温室用パネルヒーター 250W SPZ-250
・パイロットランプによる通電確認が可能
・土中に挿し込み温度管理が可能なプロ仕様サーモ
・ヒューズ内蔵だから異常高温を防止できる
・商品の重量:1.33kg
・サイズ:12.7×12.7×19.4cm
・消費電力:250W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:無
1000W以上
【1000W】ソーワ 園芸温室用 温風器 サンヒート SF-1016A
園芸用電気温風機SF-1016A
・500W/1000W切り替え
・温室内の温度差を解消するサーキュレーター機能
・商品の重量:3.9kg
・サイズ:27.0×27.0×33.0cm
・消費電力:500W/1000W
・電圧:100V
・サーモスタット付属の有無:有
・加湿機能の有無:無
【2000W】電気温風器サンヒートSF-2005A-T
園芸用電気温風機 SF-2005A-T 三相200V
・電気温風器×循環扇で室温コントロールが可能
・上下温度差を解消してくれるから暖房費が10~20%節約
・場所を取らない吊り下げ式
・商品の重量:2.7kg
・サイズ:27.0×27.0×33.0cm
・消費電力:2000W
・電圧:200V
・サーモスタット付属の有無:無
・加湿機能の有無:無
電気代ゼロに!灯油を使うタイプの園芸ヒーター3選
灯油タイプのヒーターは電源を確保する必要がなく、場所を問わず設置することができるのがメリットです。電気を使用したタイプよりも圧倒的にコストダウンにつながりますし、停電時も安心です。
暖太郎 DTR-2 灯油使用循環型ハウスヒーター グリーンライフ
・商品の重量:1.8kg
・サイズ:縦横高さ(cm):25cm×25cm×66cm
・消費電力:無
・電圧:不要
・サーモスタット付属:無
・加湿機能:無
ニッセン 農芸用保温器 YK-2
・商品の重量:3.5kg
・サイズ:37cm×37cm×48cm
・消費電力:無
・電圧:不要
・サーモスタット付属:無
・加湿機能:無
温風機 SF-2005A-T
・商品の重量:2.7 Kg
・サイズ:38 cm×30 cm×30 cm
・消費電力:2000W
・電圧:200V
・サーモスタット付属:無
・加湿機能:無
胡蝶蘭は18°C~25℃!植物ごとに適した温度をチェック

出典:写真AC
植物ごとの適正温度をチェック
植物の品目・品種により適した生育温度は異なります。生育適温でない環境では植物の育成不良や品質低下、収穫量減を招く恐れがあります。特に気にしておきたいのが、最高限界温度と最低限界温度。育てたい品種の温度を栽培開始前に必ず確認しましょう。同じナス科の植物でも、トマトの場合、最低限界温度が5℃なのに対し、ピーマンは12℃など異なります。また、いちごのように高設栽培の場合、温室内の設定温度を高めに設定する必要があります。こうした栽培方法による適正温度の違いも把握しておく必要があります。
生育温度例)
・トマトの場合:最低限界温度5℃、最高限界温度35℃
・ピーマンの場合:最低限界温度12℃、最高限界温度35℃
・きゅうりの場合:最低限界温度8℃、最高限界温度35℃
・メロンの場合:最低限界温度10℃、最高限界温度35℃
出典:
農林水産省 生産局「施設園芸省エネルギー生産管理マニュアル【改定版】」園芸エリアの最低気温を調べる
また植物の品目・品種ごとの生育温度だけでなく、そのエリアの最低気温を確認するのも重要です。特に冬の最低気温が何度で、生育している植物のために、何度、温度を上昇させる必要があるのかを把握しましょう。
温室内の環境管理に役立つ温湿度計
温室の効果の測定や温度・湿度の管理に役立つ温湿度計はこちらの記事で紹介しています。
温室の保温性アップで暖房代節約

出典:写真AC
温室の温度管理のコツ
温室の温度を上昇させるためには、太陽光が透過しその熱が温室内の空気を暖めることが必要です。屋外では空気の動きによって拡散してしまう熱も温室内ではビニールに遮られ、熱の放射が妨げられることで上昇していきます。そのため、温室を目的の気温に上昇させるためには放射冷却を防ぐことがコツとなります。外張りと内張りのビニールの間に空気層を挟むことで内側の熱が逃げにくく、保温が可能となります。
温室はちょっとした工夫で暖房効率が大幅アップ
温室は熱が逃げることで暖房効率が悪くなってしまいます。ビニールのちょっとした隙間も暖房効率を下げることにつながるので注意が必要です。以下は一般的な温室の場合のチェックポイントです。熱を逃がす箇所がないか日頃から注意深く確認をするようにしましょう。
- 被覆資材に汚れはないか?(温室内の採光を確保するには被覆資材の透明性が重要です)
- ビニールの隙間や破れはないか?
- 被覆資材留具のゆるみはないか?
- 換気扇シャッターや使用しない出入口はないか? (冬の間は目張りして塞ぐ方法があります)
温室に取り付ける内張りカーテンも便利
内張りカーテンは温室内に設置することで夏場は遮熱・冬場は保温効果をもたらします。開閉式のものもあり、日照量の調節やボタ落ち対策にも有効です。
宇部エクシモ株式会社 農業用フィルム サニーコート 135cmx100m
用途 : 天井、サイド張り、ハウス内トンネル内張りに使用
幅 : 135cm / 長さ : 100m
特長 : 軽い、熱融着を起こさない(耐熱性)、保温性、光線透過率80%以上(施工直後)、ほこりがつきにくい、すべりやすい
空気層 : 約1.2mm
タイプ : 透明
ソーラーパネル付き温室を自作できるか

出典:写真AC
ソーラーパネル付きの大規模な温室は、自然エネルギーを有効活用できる持続可能な手段として、メディアなどで話題ですね。何より電気代が節約できるというメリットが魅力です。市販されているソーラーパネルを使った温室を自作することは可能なのでしょうか。実際のところ、晴天の場合であれば、100W以上の出力があるソーラーパネルもありますが、その出力は天気に左右されてしまうのが難点です。自作するのであれば、蓄電システムとセットで設置する必要があるでしょう。また電圧の調整なども必要になるため、ある程度の知識とコストは必要だと言えそうです。
温室用ヒーターで冬枯れさよなら

出典:写真AC
大切な観葉植物を守るのや、春に向けた育苗に活躍する温室とヒーター。上手に使えば冬でも元気で青々とした植物の状態を保てます。寒さが本格的になってくる今、あなたの大切な植物のためにヒーターを導入してみてはいかがでしょうか?
編集部おすすめ記事