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黒点根腐病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)


キュウリやメロン、スイカなどのウリ科作物に多く発生する黒点根腐(こくてんねぐされ)病の感染しやすい時期や環境、防除方法やおすすめの薬剤(農薬)を詳しく説明します。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。…続きを読む

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土壌

出典:Pixabay
黒点根腐(こくてんねぐされ)病とは、根を腐らせ黒点を作り株を弱らせる病気です。土壌からの病気でメロン、キュウリなどのウリ科植物に発生する病気です。そんな黒点根腐病の発見のポイントを押さえて予防と早期発見、防除を心がけましょう。

黒点根腐病の症状

「日中萎(しお)れるようになり、生育が悪い」「株を引き抜くと、根に小さい黒点が付いている」などの症状が現れたときは黒点根腐病を疑いましょう。

病斑部の特徴

黒点根腐病は土壌から感染する病気です。根から発病して根を腐らせ、黒い粒状の「子のう殻」とよばれる胞子の入れ物を作ります。
地上部は、はじめ晴れの日中に萎れるようになり、症状が進むと天候を問わず一日中萎れ、その後枯死します。

▼植物の病気の症状についてはこちらをご覧ください。

黒点根腐病の発症原因

黒点根腐病とはカビ(糸状菌)が原因となる病気です。
 名前 黒点根腐病
 菌名 Monosporascus cannonballus
 分類 糸状菌
 発生時期 7〜9月
 発生適温 25〜30℃

土壌伝染性

感染した植物残渣(ざんさ)の主に根の部分に存在する病原菌は、土壌中で「子のう胞子」の形で生き残ります。植物が定植されると、胞子は発芽して根に感染します。根では直径0.5mmほどの黒粒点(子のう殻)を形成します。「子のう殻」の中には数百個の「子のう胞子」が入っており、根系全体で約40万個以上の「子のう胞子」が形成されます。
また、「子のう胞子」は乾燥や高温に強く、土壌中で長期間(5年以上)生き延びることができます
※残渣とは、圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。

黒点根腐病が発生しやすい条件

黒点根腐病が発生しやすい環境や土壌について説明します。

発生時期

発生時期は7〜9月

気温

発病適温は25〜30℃と高温を好みます。

ストレス

高温が続いている、実が沢山成っているなど、植物に負荷がかかると発病しやすくなります。

黒点根腐病に感染する主な植物

黒点根腐病は、キュウリ、メロン、スイカなどのウリ科の作物に感染します。

キュウリ、メロン、スイカの主な症状

はじめ晴れの日中に萎れ症状が出ますが、症状が進むと天候を問わず一日中萎れます。

葉の症状

葉は黄化します。

果実の症状

果実は肥大不良となります。

根の症状

はじめ細根が腐敗して抜け落ち、残った根はあめ色に腐敗します。症状が進むと、根の表面には黒色粒状の「子のう殻」が多数形成されます。

▼キュウリやスイカの病気のことならこちらをご覧ください。

キュウリ、メロン、スイカにおける発生ステージ

キュウリは収穫期を迎えたころから、メロンでは果実のネット形成終了時期から収穫直前に、スイカは収穫直前に発生することが多いです。
いずれの作物も収穫前に萎れが発生し始めることが多いことから、発見が遅れやすい病気です。


黒点根腐病に有効な防除方法

黒点根腐病に有効な防除は圃場の管理で行う方法(耕種的防除方法)と農薬の使用で行います。
※圃場(ほじょう)とは、田や畑のような農作物を育てる場所のこと。

黒点根腐病を発症させない管理方法

黒点根腐病は、発病してからの対策が無いため予防対策をしっかり行いましょう。

1. 植物残渣の処理

前作の枯れた植物の根に黒点根腐病が寄生している可能性があります。根はなるべく取り除き、圃場外に持ち出して処理します。

2. 土壌の消毒、入れ替え

前作に黒点根腐病が発生した圃場、また発生が心配される圃場は、土壌を消毒するか新しい土を入れます。
黒点根腐病は高温に強いため、太陽熱消毒はほとんど効果がありません。バスアミドやクロルピクリンで土壌消毒することをおすすめします。
※バスアミド、クロルピクリンの使用方法・購入は、お近くの農協や農業資材店にご相談ください。

▼土壌消毒についてはこちらをご覧ください。
プランター栽培では、新しい土と入れ替えましょう。

▼プランターの培土処理のことならこちらをご覧ください。

3. 連作の防止

連作すると土壌中の菌密度が年々高まり黒点根腐病の発生が増加します。病気が発生した圃場では、3年〜5年以上はウリ科植物の作付けを避けましょう。

▼連作障害のことならこちらをご覧ください。

4. 接木苗の使用

黒点根腐病に強いとされるカボチャ台木に接木した苗を使うことも有効です。

▼接木苗のことならこちらをご覧ください。

5. 高温になり過ぎない管理

黒点根腐病は高温で発生が助長されるため、高温にならないような管理が必要です。
施設栽培では天窓や側窓を開け、遮光カーテンや遮光剤を使用しハウス内の温度を下げます。
露地栽培ではマルチを活用し、地温を下げましょう。白黒マルチは地温の上昇を防ぐ効果があるのでおすすめです。

▼ハウス栽培の温度管理のことならこちらをご覧ください。

▼マルチのことならこちらをご覧ください。

6. 早期の摘果

果実の成り過ぎなどの負担で発病しやすくなるため、余分な果実は大きくなる前に早めに摘果しておきます。

黒点根腐病の防除に効果的な農薬

農薬(殺菌剤)を使用してより効果的に黒点根腐病を防除しましょう。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

▼殺菌剤のことならこちらをご覧ください。

▼病気対策に欠かせない農薬散布のタイミングや、選び方・使い方のことならこちらをご覧ください。

予防的な散布で効果あり

リゾレックス水和剤

株元、土壌灌注で効果があります。
苗立枯病も予防できます。

・内容量:500g
・有効成分:トルクロホスメチル(5.0%)


▼農薬を安全に使用するためにまずはこちらをご覧ください。

▼希釈方法や散布後の処理方法などそのほかの農薬のことなら農薬まとめをご覧ください。

黒点根腐病発症後の対策

病原菌を持ち込まないために長靴をきれいに洗う
出典:写真AC
黒点根腐病の発病がみられたら、根が土に残らないように周辺の土ごと株を取り去ります。土壌にすき込むと病原菌を放出してしまうので、圃場の外に持ち出して処分してください。
被害が拡大しないように、予防的に農薬を散布する場合は、発病した株の周囲にたっぷりとかけるようにします。
また、圃場で使用した道具や土のついた靴は病原菌が付着しているため丁寧に洗い、ほかの圃場へ持ち込まないようにしましょう。

黒点根腐病対策に何より大事なのは高温対策

黒点根腐病は発症に気付きにくく、発病してからの対策が無いため、発症させない環境づくりが大切です。高温で発生しやすいため、圃場やハウス内の温度管理には気をつけます。
また、発生した圃場では株を根ごと取り除き、土壌の消毒もしくは土を入れ替えて、病原菌を残さないようにしましょう。

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