注意!秋は野菜の病気が発生しやすい時期
日中の温度がだんだんと下がって朝と夜はぐんと冷え込むようになり、長雨など天候不順が続く秋の気候は、野菜の病気が発生しやすい時期でもあります。湿度の高い状態は、菌にとって好条件な環境下なので、植物が軟弱に生育した際に発症が増加します。高い湿度で発生しやすい病気
カビ(糸状菌)や細菌が原因となる病気の多くは、湿度が高いと発生しやすくなります。湿度が高いと、カビは胞子をつくって飛ばしたり、胞子から菌糸が発芽して植物の細胞に侵入したりするようになります。
また、灌水などの水滴で菌が運ばれて植物に付着する場合もあります。
※灌水とは水を注ぐこと、植物に水を与えること。
病気多発時の夜間条件
以下のような病気は、夜に湿度が高く、植物の表面がある一定時間以上ぬれている(結露している)日が続くと多発しやすくなります。病名 | 相対湿度(%) | 葉、果実表面の結露時間 |
灰色かび病 | 93%以上 | 5時間以上 |
白さび病 | 95%以上 | 3〜4時間以上 |
斑点細菌病 | 90%以上 | 5〜6時間以上 |
疫病 | 91~96%以上 | 5〜6時間以上 |
▼カビ(糸状菌)や細菌など病気の原因についてはこちらをご覧ください。
▼湿度のことについてはこちらをご覧ください。
▼秋に発生しやすい害虫についてはこちらをご覧ください。
秋の多湿時に注意が必要な病気とおすすめ農薬
灰色かび病
最初は水に浸したような(水浸状)病斑が葉に現れた後に、灰白色〜褐色のカビに覆われます。感染が茎内部や地際部に及び、被害が進むと病斑が茎を一周して上葉が萎れ、後に水を吸い上げられずに枯死することもあります。花弁や蕾(つぼみ)に発生することもあります。
水やり後や雨上がり、朝夕が冷え込む時期に夜露で葉がぬれているなどの条件がそろうと発生します。
▼灰色かび病の詳細はこちらをご覧ください。
菌核病
葉や茎に水で浸したような茶褐色〜黒色の病斑が現れ、次第に拡大し、やがて白色のふわふわとした綿毛状の菌糸で覆われます。菌糸の中にはネズミの糞のような黒色の菌核が形成されます。また、葉・茎以外にも新芽や果実にも発生することがあります。春(3~5月)と秋(9~11月)は菌が繁殖しやすい温度(15~20℃)なので、降雨が長く続く場合などは感染拡大に注意が必要です。
▼菌核病の詳細はこちらをご覧ください。
葉かび病・すすかび病
葉かび病は葉の裏面にビロード状の灰色のカビを生やす、トマトにのみ発生する病気です。主に葉に発病し、はじめは葉の表面に不整形の黄色い病斑をつくります。その後、裏面に灰白色のビロード状のカビが生えて、色は徐々に濃くなっていきます。
病気が進展すると葉先から巻き上がって、葉のほとんどが枯れたり、株が弱ったり、トマトの花や実が着かなかったりすることもあります。
葉かび病とよく似ている病気で、すすかび病があります。見た目状ではほとんど違いがわかりません。
▼葉かび病の詳細はこちらをご覧ください。
▼すすかび 病の詳細はこちらをご覧ください。
カビ病におすすめの農薬
予防散布で効果有!アフェットフロアブル
病原菌の胞子発芽を阻害する効果があり、灰色かび病や葉かび病など多くのカビ病を予防します。発病前から発病初期の予防的散布が効果的です。また二次感染の防止も期待できます。
トマト、ミニトマト、キュウリ、ナス、ピーマンなど多くの種類の作物で登録があり、幅広い時期で使用できます。
予防と治療効果を併せ持つ|ファンタジスタ顆粒水和剤
灰色かび病や菌核病など多くのカビ病を予防、治療します。葉の内部への浸達性、茎部から上位葉への浸透移行性があります。
トマト、ミニトマト、キュウリ、キャベツ、レタス、イチゴ、カンキツ、ウメなど多くの作物で登録があります。
使用する薬剤に作物の登録があるか必ずご確認ください。
灰色かび病は、同一薬剤の多使用による薬剤耐性菌の発達が報告されています。耐性菌の発生を予防するためにも、薬剤を組み合わせたローテーション散布がおすすめです。
※耐性菌とは、薬剤(農薬)に含まれる抗菌薬(抗生物質)が効かない菌のことです。
※農薬は地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。
疫病
疫病に感染すると葉や茎、根、果実に黒褐色の水が浸みたような(水浸状)病斑ができます。水耕栽培や湿潤土壌では根に感染しやすく、茶褐色〜黒色に変色してとろけるように腐ります。多湿な条件で、病斑部分に白いカビを生じます。灰色かび病や菌核病と良く似た見た目が同じ「カビ状の病斑」ですが、灰色かび病や菌核病とは以下の特徴で見分けることができます。
病気名 | 特徴的な症状 |
疫病 | 葉や茎が、暗緑色から褐色の水浸状の病斑に白色カビで覆われる |
菌核病 | 地際部や茎などに、ネズミの糞のような黒色の菌核と白いカビが生える |
灰色かび病 | 葉、果実、茎に灰褐色ビロード状のカビが生える |
▼疫病の詳細はこちらをご覧ください。
高い予防性と持続性|ベトファイター顆粒水和剤
高い予防性と持続性で疫病やベと病の発病を抑え、初期感染を抑制します。すでに菌が植物体内に侵入した直後の状態(病徴発見前)であっても、発病を抑制できます。散布ムラを生じても安定した防除効果が期待できます。予防効果と治療効果を併せ持つ|ホライズンドライフロアブル
2つの成分を含み、予防効果と治療効果を併せ持つので、発病初期の散布でも効果的です。細かく均一に付着するように製剤に工夫が凝らされているため、収穫物の汚れが少なくなっています。
有効成分が散布後速やかに葉面内に吸収され、葉の表面のクチクラ層に強く固着されるため、降雨の影響を受けにくい薬剤です。降雨が断続的に続くような不順な天候の場合でも、比較的安定した防除効果を期待することができます。
斑点細菌病
葉や茎、果実に、水に浸したような病斑が現れます。最初は黄色から茶褐色の針の穴程度の小さな円形、または不整形の小斑点が現れ、徐々に拡大して病斑が融合し、葉脈に沿った不整形の大型の病斑を形成します。風や雨、灌水の水滴でほかの部位へ感染が広がります。
▼斑点細菌病の詳細はこちらをご覧ください。
有機農産物にも使える|ジーファイン水和剤
有効成分である炭酸水素ナトリウム、無水硫酸銅は食品添加物にも認可されており、有機農産物の日本農林規格に適合した薬剤です。収穫前日まで使用できるので、毎日収穫する果菜類の殺菌剤として使いやすい薬剤です。
多くの病害に登録あり|コサイド3000
果樹・野菜の幅広い病害に優れた予防効果を発揮する銅殺菌剤です。製剤改良により、さらにサラサラと流動性が良くなりました。薬液調製時も計量がしやすく扱いやすい銅剤です。
有効成分の微粒子が、作物表面にムラなく均一に広がるため、散布液の痕が作物に残りにくくなり、収穫期の作物にも使い易い銅剤です。
※幼苗期及び高温時の散布は薬害を生じる恐れがあります。また他農薬の混用には十分気をつけてください。
軟腐病
葉、茎、果実、根、花、結球頭部などに水に浸したような病斑が現れ、拡大して軟化腐敗します。根から侵入した場合、内部(芯)の部分まで被害が及び、台風や豪雨の後などに一気に病勢が進みます。
軟化腐敗した病斑部からは独特の悪臭を放ちます。
作物の貯蔵中、輸送中にも発生することがあります。
▼軟腐病の詳細はこちらをご覧ください。
多くの土壌病害も同時防除!バリダシン
軟腐病をはじめ、株腐病、黒腐病、苗立枯病にも効果が高く、同時防除が可能です。散布後茎葉に吸収され、導管内の細菌の増殖を抑制します。液剤タイプなので作物への汚れの心配がありません。
結球後期までの防除が可能です。ハクサイ・タマネギ防除では、収穫3日前まで使用できます。
マルチや水はけの良い土作りも大切
病気を防ぐために、マルチシートを設置して土壌からの病気を防いだり、水はけの良い土作りをしたりして、湿度の高い圃場を目指すことも大切です。ハウス栽培の場合は、夜に湿度が上がらないよう早めに暖房をつけることもおすすめです。