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秋に発生しやすい害虫|対策におすすめの農薬


秋に大発生し、植え付けたばかりの秋冬野菜に被害をもたらすチョウ目幼虫などの害虫について、その対策におすすめの農薬について紹介します。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。…続きを読む

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アオムシの食害

出典:写真AC
秋はチョウ目の幼虫などの害虫が大発生しやすい季節です。植え付け間もない秋冬野菜は、害虫の被害を受けやすく大きな被害となってしまいます。秋に発生しやすい害虫と、その対策におすすめの農薬について紹介します。

秋に発生しやすい病気もチェック!

注意!秋は野菜の害虫が発生しやすい時期

食害されたキャベツ
出典:写真AC
9~10月の気候の良い秋の時期は、アブラナ科野菜などを好んで食べるチョウ目の害虫が大発生しやすい時期です。
チョウ目害虫は何度か脱皮を繰り返しサナギになりますが、一般的に老齢幼虫には農薬が効きにくいです。早めに害虫の発生を察知し、若齢幼虫のうちに防除することが重要です。

秋に発生しやすいチョウ目害虫とおすすめ農薬

害虫、秋
出典:イラストAC
秋冬野菜に発生しやすいチョウ目害虫と、おすすめの農薬を紹介します。

農薬はローテーション散布を徹底しましょう
農薬散布は、害虫に薬剤抵抗性(特定の農薬が効きにくくなること)を持たせないように、系統の異なる薬剤をローテーションで散布することが基本です。
「新しいよく効く農薬が発売されたので、そればかり使っていたら、いつの間にか効かなくなっていた…」というのはよくある話です。
特に、コナガやオオタバコガは発生回数も多く、農薬を連用することで抵抗性がつきやすい害虫です。周辺の農家に発生する害虫にも同様の影響を与えてしまいますので、注意が必要です。
所属している生産部会などに、農薬の防除暦がある場合はそちらを優先的に参考にしてください。


コナガ

コナガ
出典:wikimedia
チョウ目のコナガは年間の発生サイクルが短く、関東より西の地域では、真夏を除く春から初夏、秋に発生が多くみられます。
淡黄色〜緑色の、1cmほどの小さな幼虫が大発生すると、アブラナ科野菜を好むためハクサイやキャベツの葉をひどく食害します。
薬剤抵抗性の出やすい害虫のため、同じ農薬を続けて散布することは控えましょう。

コナガ対策におすすめの薬剤

スピノエース顆粒水和剤

速効性及び残効性に優れ、散布翌日から7〜10日間まで効果を示します。
独自の作用性を有しており、既存薬剤に抵抗性を発達させたコナガやアザミウマ類にも高い効果を示します。
有機農産物にも使用できます(農作物の被害が予想される場合)。また、特別栽培においても総使用回数にカウントされません。

・内容量:100g
・有効成分:スピノサド 25.0%
・適用害虫:コナガ、オオタバコガ 、ヨトウムシ類、アオムシ など


トルネードエースDF

コナガなどの小型のチョウ目害虫はもとより、ハスモンヨトウ、オオタバコガ、ウワバ類などの大型チョウ目害虫にも高い効果を示します。
幼虫の各ステージに高い活性があり、中齢や老齢幼虫にも有効です。
※作物への食害が最も少ない、発生初期での使用がおすすめです。
圃場試験では、約2週間の残効が確認されています。

・内容量:250g
・有効成分:インドキサカルブ 5.0%
・適用害虫:コナガ、アオムシ、ヨトウムシ、ハスモンヨトウ など

コナガの生態や防除方法


ハスモンヨトウ

ハスモンヨトウ
出典:wikimedia
ヨトウムシ類は、チョウ目ヤガ科の害虫で、夜に畑に現れて食害することから「夜盗虫(ヨトウムシ)」と言われてきました。

「ヨトウガ」「シロイチモジヨトウ」「ハスモンヨトウ」などが含まれます。

ハスモンヨトウは、成虫が葉の裏に一塊りの卵塊を産み付け、卵からふ化した幼虫が作物を集団で食害します。

若齢幼虫は表皮を残して食害しますが、中齢〜老齢幼虫になると成長とともに食べる量が多くなり、被害に気が付いたころには葉脈を残して食べ尽くされていることもあります。
広範囲の植物を食害しますが、一番被害が多いのはアブラナ科のキャベツなどの葉菜類です。
薬剤抵抗性の出やすい害虫のため、同じ農薬を続けて散布することは控えましょう。

ハスモンヨトウ対策におすすめ薬剤

フェニックス顆粒水和剤

害虫の筋肉を収縮させるという従来の殺虫剤にない作用機作を有します。
幼虫・成虫に対して活性を示し、特に加害ステージである幼虫に高い活性を示します。
効果持続性に優れるため、害虫に対して散布後長期間、安定した効果を示します。

・内容量:100g
・有効成分:フルベンジアミド 20.0%
・適用害虫:ハスモンヨトウ、オオタバコガ 、コナガなど


ディアナSC

チョウ目害虫に対して、速やかな摂食阻害活性を発揮するので、被害の拡大(進展)を抑制します。
各生育ステージ(卵・幼虫・成虫)に高い効果を示します。よって、散布適期が広く使いやすい薬剤です。
チョウ目害虫はもちろん、アザミウマ目害虫・ハエ目害虫に対しても防除効果を発揮するので、幅広い害虫の防除が可能です。

・内容量:100ml
・有効成分:スピネトラム 11.7%
・適用害虫:ハスモンヨトウ、アオムシ、コナガ

ヨトウムシの生態や防除方法


アオムシ

アオムシ モンシロチョウの幼虫で、成虫が日中100~200個を一粒ずつ葉裏に産卵し、幼虫が野菜の葉を食害します。春と秋に発生し、年間で2~6回世代を繰り返します。
キャベツやブロッコリー、ハクサイ、コマツナなど主にアブラナ科作物を好みます。
老齢幼虫は薬剤が効きにくいので、小さいうちに駆除することが大事です。

アオムシ対策におすすめ薬剤

エスマルクDF

自然界に広く存在している細菌のバチルス・チューリンゲンシス(略称BT菌)の殺虫力を利用した農薬です。
チョウ目害虫の幼虫に対し摂食効果を有します。
生物農薬ですので、JAS法に基づく有機農法にも使用可能です。

・内容量:100g
・有効成分:バチルス チューリンゲンシス菌の生芽胞及び産生結晶毒素 10.0%
・適用害虫:アオムシ、ヨトウムシ、オオタバコガ 、コナガなど

アファーム乳剤

アオムシだけでなく、ハスモンヨトウ、オオタバコガなどの大型チョウ目に、速効性を発揮します。
コナガ、アザミウマ類、ダニ類、ハモグリバエ類など、複数の害虫を同時に防除します。
収穫前日数が短く、適用作物も60種類以上と幅広く使えます。
有効成分は自然物に由来、作物にも環境にも散布者にも安心です。

・内容量:250ml
・有効成分:エマメクチン安息香酸塩 1.0%
・適用害虫:アオムシ、コナガ、ハスモンヨトウ、オオタバコガ など

アオムシの生態や防除方法


オオタバコガ

オオタバコガ
出典:wikimedia
オオタバコガは1990年代から発生が多く見られ、特に西日本の果菜類や花き類を中心に被害が問題となっています。
卵は生長点部の葉や花蕾(からい)に1個ずつ産み付けられ、若齢幼虫は植物体上で食害し、中齢期以降は結球部や果実内に食入します。
1頭の幼虫が移動しながら次々と加害していくため、幼虫の数が少なくとも被害は大きくなります。
老齢になると薬剤が効きにくくなるため、なるべく若齢期に防除します。
高温と乾燥を好み、夏期が高温で雨が少ない年に発生が多い傾向にあります。

オオタバコガ対策におすすめ薬剤

前述のエスマルクDF、フェニックス顆粒水和剤も効果があります。

プレオフロアブル

チョウ目害虫に速効的に作用し、中~老齢期幼虫に対しても、若齢期幼虫とほぼ同等の高い殺虫活性を示します。また、優れた被害抑制効果を示します。
散布後の降雨による影響が少なく、残効性に優れています。

・内容量:500ml
・有効成分:ピリダリル 10.0%
・適用害虫:オオタバコガ 、ハスモンヨトウ、コナガ、アオムシなど

タバコガ類の生態や防除方法


ハイマダラノメイガ(ダイコンシンクイムシ)

全国に分布するハイマダラノメイガですが、関東より西の地域で特に多く発生します。幼虫が作物の生長点(芯部)を食害し、被害をもたらす害虫です。
8月下旬~10月下旬に最も多く発生しますが、年次によって発生量は変動し、夏に降雨量が少なく高温が続いた年は多発する傾向にあります。
ダイコンやハクサイ、キャベツ、コマツナ、ブロッコリーなどのアブラナ科の野菜を好みます。

ハイマダラノメイガ対策におすすめ薬剤

アクセルフロアブル

大型チョウ目やキスジノミハムシにも優れた効果を発揮します。
害虫からの食害を停止し、作物への食害を抑制しますので、きれいな作物の生産に役立ちます。

・内容量:500ml
・有効成分:メタフルミゾン 25.0%
・適用害虫:ハイマダラノメイガ、ハスモンヨトウ、コナガなど

予防におすすめ!秋冬野菜のチョウ目害虫をまとめて対策

チョウ目害虫は、大発生してから防除するのは大変です。予防的に効果のある農薬を使用し、まとめて予防してしまいましょう。

植え付け前に、セルトレイ苗灌注

ベリマークSC

潅注処理すると薬剤は根から吸収され、作物の地上部に移行します。この作用により処理後約3〜4週間の残効を示します。
潅注処理に適した製剤となっているため、作物に対して高い安全性が確認されています。

・内容量:100ml
・有効成分:シアントラニリプロール 18.7%
・適用害虫:ハスモンヨトウ、ハイマダラノメイガ、コナガ、ネキリムシ類など

定植時に植え穴に混ぜる

モスピラン粒剤

定植時の植穴土壌混和や株元散布でコナガ、アオムシ、アブラムシに効果を発揮し、発生を長期間抑えます。

・内容量:1kg
・有効成分:アセタミプリド 2.0%
・適用害虫:コナガ、アオムシ、アブラムシ、スリップスなど

生育期に

ゼンターリ顆粒水和剤

自然界の菌(バチルス菌)が産生する毒素が、チョウ目害虫に効果があります。
JAS法に基づく有機農産物にも使用できます。
抵抗性の高いコナガに対しても安定した高い効果を発揮します。

・内容量:500g
・有効成分:バチルス・チューリンゲンシス菌の生芽胞 および 産生結晶毒素 10.0%
・適用害虫:アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、オオタバコガなど


プレバソンフロアブル5

チョウ目・ハエ目など幅広い害虫に、長く優れた効果を発揮します。
若齢から老齢幼虫まで齢期を問わず安定した効果を発揮します。
茎葉処理で約2週間効果が持続します。
新規有効成分が、害虫の摂食活動を速やかに停止し、作物への食害を止めます。

・内容量:250ml
・有効成分:クロラントラニリプロール(リナキシピル) 5.0%
・適用害虫:アオムシ、オオタバコガ 、コナガ、ハスモンヨトウなど

秋に発生しやすいその他の害虫とおすすめ農薬

アブラムシ

アブラムシ
出典;Pixabay
アブラムシ類は植物に寄生して吸汁加害し、その際各種ウイルス病の病原菌を媒介します。また、アブラムシの排泄物にはすす病菌が発生して黒い「すす」が付いたような見た目になります。
春と秋に発生が多くなります。

アブラムシ対策におすすめ薬剤

前述の、モスピラン粒剤も効果的です。

チェス顆粒水和剤

汁を吸わせず餓死させる、ユニークな吸汁阻害作用を示します。
果菜類を加害するコナジラミ類・アブラムシ類に高い殺虫効果を示します。
浸透移行性が高く、作物のすみずみまでいきわたり、新葉や下葉の虫も確実に防除できます。

・内容量:100g
・有効成分:ピメトロジン 50%
・適用害虫:アブラムシ類、コナジラミ類

アブラムシの生態や防除方法


ネコブセンチュウ

センチュウ

出典:flickr(photo by Scot Nelson)

植物に寄生するセンチュウとは、主に土壌中に生息する微生物です。
ネコブセンチュウは、寄生した植物の根に特徴的なコブを作り、多くの葉菜類、果菜類、果樹、花き類を害します。

ネコブセンチュウ対策におすすめ薬剤

ネマトリンエース粒剤

センチュウと接触することにより殺線虫効果を示し、低濃度でもセンチュウの運動を阻害します。
また、センチュウの根部への侵入防止、根内の線虫の発育抑制などの効果を示し、安定した高い効果を発揮します。
くん蒸剤のように被覆期間やガス抜き作業の必要がなく、薬剤の処理直後から播種、定植が可能です。

・内容量:2kg
・有効成分:ホスチアゼート(PRTR・1種) 1.5%
・適用害虫:ネコブセンチュウ、アブラムシ類、ジャガイモシストセンチュウ、ネグサレセンチュウなど

センチュウ類の生態や防除方法


秋の害虫対策は予防が肝心

アオムシ
出典:写真AC
チョウ目害虫は多発してから防除することは困難で、結球する秋冬野菜の場合、中まで潜り込んでしまった害虫を駆除することは非常に難しいです。多発する前に、定期的に薬剤散布をして秋の害虫の大発生を抑えましょう。

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