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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
プランターで育てられるハーブの種類とは?
ハーブは、一年草、多年草、球根、木で育つものに大きくは分けられます。栽培の難易度はハーブによって異なりますが、ここではプランターで育てやすく、料理などにも手軽に使える一年草と多年草を紹介します。育てるのに必要な栽培スペースやどんな花が咲くかなど、好みにあった品種を選びましょう。一年草|生長サイクルが1年以内のもの
一年草とは、種をまいてから1年程度で花が咲き、枯れる植物のことです。1年で栽培が終わるので、コンパクトに育てられて、手軽にさまざまな種類のハーブ栽培を楽しむことができます。プランターで栽培するなら、場所の移動や枯れた後の土のリセットなどもさらに楽!ただし、継続してハーブを育てたい場合は、また種や苗から栽培をスタートさせる必要があります。
代表的な一年草のハーブ
ディル、バジル、ジャーマンカモミール、青ジソ、コリアンダーなど。そのほか、ボリジやネモフィラなども人気です。一年草についての関連記事はこちら
多年草|一度植えると何年も生長を続けるもの
多年草とは、植え付けたら何年も生長していく植物のこと。冬になると地上に露出している葉や茎などが枯れ、春になるとまた新しい芽を出して生長する種類のものもあります。毎年植え替えなくても、苗や種を1度買えば長期間育てられるのがメリットなので、植物をじっくり育てたい人におすすめ。ただし、長年プランターで育てていると根詰まりするので、2年おき位の頻度でプランターを大きくするなどの植え替えが必要です。
代表的な多年草のハーブ
タイム、ローズマリー、レモングラス、セージ、オレガノ、レモンバーム、ラベンダー、ミント、チャイブ、フェンネル(フローレンスフェンネルは、一年草に分類)など。多年草についての関連記事はこちら
プランター栽培する!ハーブの育て方のポイント3つ
ハーブには多くの種類があり、それぞれ育て方も異なりますが、基本の育て方やポイントを知っておくことでトラブルを回避しやすくなります。ハーブの苗は、園芸店やホームセンターなどでたくさん販売されています。種から育てることもできますが、温度管理など大変なことも。プランターでのハーブ栽培が初めてなら、まずは好きなハーブの苗を購入して植え付けから始めると楽ですよ!
Point1. 育ちやすい環境はそれぞれのハーブで違う
ハーブが元気に育つ環境や要素は種類によってもさまざま。日差しを好むもの、半日陰を好むもの、乾燥を好むもの、ある程度の湿度が必要なものなど、たくさんの種類があり、さらに風通しや気温などの条件にも違いがあります。例えば、ラベンダーやローズマリーなど地中海沿岸育ちのハーブなら、夏は涼しく乾燥ぎみの環境を好むので、特に梅雨時期は多湿にならないように水はけに注意します。日本育ちのシソやミツバなどは、半日陰や湿度がある程度高くても育ちます。
室内でハーブを育てる場合
日光を好むハーブの場合、キッチンなど限られたスペースでもしっかりと太陽光が当たるなら、ほとんどのハーブは育ちます。プランターは風通しの良い場所におくようにしましょう。▼室内のハーブ栽培についての関連記事はこちら
Point2. プランター内で密植にならないように
プランター内の風通しが悪いと病気になりやすく、生長しにくくなります。ハーブを植え付ける際は、密植にならないように株間をあけ、こまめに収穫して風通しを良くしましょう。それでも葉や枝が茂ってきたら、葉や茎が混み合わないように適度にカットして、プランター内をすっきりさせるようにしてくださいね。Point3. それぞれのハーブにあわせた水やりが大事
基本はプランターの土が乾いたら、プランターの底から水が流れるほどたっぷりと水やりします。真夏は朝夕の2回行いましょう。ただし、ローズマリーやアロマティカスなど乾燥を好むものもあるので、それぞれのハーブにあわせた適切な水やりが必要です。イタリアンパセリなど湿気を好むハーブもありますが、過湿は厳禁。どんなハーブでも、梅雨時期や台風など長雨が当たる場合は、プランターを軒下などに移動させましょう。
プランターでのハーブ栽培に必要な材料と準備|最適な土や肥料も
プランターでのハーブ栽培に必要な基本の材料は、土と育てるハーブにあった肥料だけ!プランターの大きさは、育てたい株数やハーブそれぞれの特徴によっても変わってきます。種から育苗のためのビニールポットや、スコップ・ジョウロ・園芸用のはさみもあると便利ですよ。ハーブ栽培に必要なプランターの大きさ
育てるハーブの種類によって変わりますが、基本のプランターサイズは一般的に売られている以下のような大きさのものを用意しましょう。詳しくは、後述するおすすめハーブのそれぞれの育て方をチェックしてくださいね。1株植え付けるのに向いているプランター(鉢・ポット)の大きさ
・A:直径24m程度・B:深さ25cm程度
1株植え付けるなら、直径24cmの8号以上の大きさのプランターや鉢があればいいでしょう。
2株植え付けるのに向いているプランターの大きさ
・A:幅65cm以上・B:奥行20cm程度
・C:高さ20cm程度
1つのプランターに2株植え付けるなら、幅65×奥行20×高さ20cmある65型以上のサイズが必要です。
ハーブをおしゃれに育てるならハンギングバスケットもおすすめ
どのハーブもハンキングバスケットで育ちます。プランターと同様に直径24cm以上の大きさのあるものが必要です。ハンキングバスケットでハーブを育てる場合は、プランターで栽培するよりも土が乾きやすいため、水やりの管理が難しくなります。こまめに土の状態をチェックして、土が乾いていればしっかり水を与えるようにしましょう。プランターの関連記事はこちら
プランターでのハーブ栽培には、野菜培養土を使おう
ハーブ用の培養土も販売されていますが、どのハーブも野菜用培養土で育ちます。ラベンダーやローズマリーなど地中海原産のハーブ類は、少しカキ殻石灰を混ぜると生育が良くなりますよ。水はけや根腐れ防止のため、鉢底石も用意しておきます。
ハーブのプランター栽培に適した土
ハーブのプランター栽培に適した石灰
鉢底石についての関連記事はこちら
ハーブのプランター栽培におすすめの追肥用肥料は油かす
野菜用培養土を使うのであれば、基本的に元肥は必要ありません。株に元気がないときや生長期などに、追肥として油かすを与えると効果的。ただし、ハーブは実を収穫する野菜に比べると肥料は少なめにしましょう。肥料を与え過ぎると害虫がつきやすく、香りが弱まるといわれています。
ハーブのプランター栽培に適した肥料
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あると便利!そろえておくと便利なアイテムはこちら
材料がそろったら!プランターと土の準備をしよう
鉢底石をプランターの底から5cm程度の高さまで、まんべんなく敷きます。その上から、プランターの8分目程度の高さまで培養土を入れましょう。準備はこれだけ!ただし、種まきから始める場合は、ビニールポットでの育苗がおすすめです。その場合は、苗がある程度育って植え付けの前に、プランターと土の準備をしてくださいね。
プランター栽培におすすめのハーブ5選
プランターで育てやすいのはもちろん、普段の料理で活躍すること間違いなしの5つのハーブはこちら!このあと、それぞれのハーブの特徴や安藤さん直伝の栽培のコツも紹介するので、安心して始められますよ。- バジル/一年草
- ディル/一年草
- セージ/多年草
- タイム/多年草
- ローズマリー/多年草
1.【バジル/一年草】ハーブの特徴とプランターでの育て方
バジルはカプレーゼやジェノベーゼソースなど、イタリア料理には欠かせないハーブです。春から秋までプランターで長期間栽培できるので、1株育てるだけでも便利に使えます。安藤さんおすすめの食べ方は、マルゲリータ。家庭菜園ならではのフレッシュなバジルを味わいましょう。プランターでのバジルの栽培時期
・種まき(育苗):4~8月・植え付け:4月中旬~9月中旬
・収穫:5~11月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
バジル栽培に最適なプランターの大きさ・植え付けられる株数
1株育てるなら、直径15cm程度の5号サイズに、2~3株育てるなら直径24cm程度ある8号以上の大きさのプランターを使います。複数株植えるときは、株間は15cm程度あけましょう。プランターでのバジル栽培のコツ
やわらかくておいしい葉を収穫するなら、摘芯するようにこまめに収穫し、花穂は切り取りましょう。バジルは基本的に病気になりにくいですが、ハダニやヨトウムシなどの害虫が発生することもあるので、見つけたらすぐに捕殺します。株を増やしたい場合は、摘芯した枝を水にさして発根させ、新しいプランターに植え付けると簡単にできますよ。プランターでのバジルの栽培方法を詳しくチェック
プランターで育てやすいバジルのおすすめ品種
2.【ディル/一年草】ハーブの特徴とプランターでの育て方
ディルは北欧の魚料理に欠かせないハーブとして有名で、サーモン料理やポテトサラダ、マッシュポテトなどと相性抜群!葉はもちろん、乾燥させた種もスパイスとして利用できますよ。プランターでのディルの栽培時期
栽培時期は春まきと秋まきの2回あります。春まきは夏の暑さで葉が硬くなりやすいので、収穫は初夏までにしましょう。秋まきは4〜11月と長期で収穫が楽しめます。・種まき(育苗):春まき/4月初旬~6月初旬、秋まき/9~10月初旬
・植え付け:春まき/4月中旬~6月中旬、秋まき/9月中旬~10月中旬
・収穫:春まき/5〜7月、秋まき/翌4〜11月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
安藤康夫さん
9〜10月に種をまくと、翌年の4月から収穫できます!
ディル栽培に最適なプランターの大きさ・植え付けられる株数
8号以上の大きさのあるプランターや鉢を使いましょう。生長すると高さが100cm程度になるので、支柱を立てられる深さのあるプランターがおすすめです。1つのプランターに植え付けるのは1株のみで、2株以上育てる場合は、同じサイズのプランターを並べて栽培するようにします。プランターでのディル栽培のコツ
ビニールポットで育苗してから、プランターに苗を植え付けます。株が20cm程度まで生長したら、新芽を残し外葉から収穫します。花が咲くと葉が硬くなってしまうので、すぐに摘み取るようにしましょう。それでも葉が硬くなってきたら、花を咲かせたままにして種を収穫することもできます。キアゲハの幼虫やカメムシなどの害虫がつきやすいので、見つけたらすぐに捕殺しましょう。
プランターで育てやすいディルのおすすめ品種
3.【セージ/多年草】ハーブの特徴とプランターでの育て方
セージは、肉料理の香りづけや臭み消しなどに万能に使えるハーブで、煮込む、焼く、揚げる、蒸すなどの料理でマルチに使えます。豚肉のソテーやいため物、スープの香りづけなどがおすすめです。プランターでのセージの栽培時期
・種まき(育苗):4月・植え付け:5~6月
・収穫:1〜12月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
セージ栽培に最適なプランターの大きさ・植え付けられる株数
セージは株張りが約30cmと大きく育つので、プランターが小さいと生育不良になります。1株育てるなら、最低でも8号鉢以上の大きさのプランターを準備しましょう。2株育てるなら、幅が65cm以上あるプランターが必要です。プランターでのセージ栽培のコツ
ビニールポットに種をまき、育苗してからプランターに移し替えます。セージは過湿を嫌うので、水はけが悪かったり、葉が込み合って風通しや通気性が悪くなったりするとハダニが発生しやすくなります。水やりのときに、葉の裏面もシャワーで洗い流すようすれば、害虫対策にもなりますよ。草丈が30cm程度になったら、摘芯をかねて収穫します。切り取った部分からまた新しい茎や葉が伸びてくるので、こまめに収穫しましょう。
プランターで育てやすいセージのおすすめ品種
4.【タイム/多年草】ハーブの特徴とプランターでの育て方
肉や魚の臭み消しや香りづけなどに使われるタイム。ハーブビネガーやハーブオイルを作るのもおすすめです。タイムは大きく分けると、上に向かって生長する木立ち性と、地面をはうように生長するほふく性の2種類がありますが、どちらもプランターで栽培できます。白やピンク、紫など小さな花が咲くのもとても愛らしいですよ。
プランターでのタイムの栽培時期
・種まき(育苗):春まき/3~5月、秋まき/9〜10月・植え付け:春まき/4月中旬~6月中旬、秋まき/9月中旬~11月初旬
・収穫:1〜12月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
タイム栽培に最適なプランターの大きさ・植え付けられる株数
プランターは、5号以上の大きさのもので、プランター1つにつき1株育てましょう。タイムは生育旺盛で丈夫なので、葉や茎がどんどん増えていきます。あまり増やしたくない場合は小さめのプランターを選び、反対に増やしたい場合は徐々に鉢上げをして、最終的に8号程度のサイズのプランターにするのがおすすめです。プランターでのタイム栽培のコツ
タイムはビニールポットで育苗して植え付けても、プランターに種を直接まいても育ちます。本葉が3枚になったら生育の悪い苗を間引きながら、本葉が6枚のときに最終的に1株になるようにします。大きなプランターの場合は、株間が10cm以上あくようにして育てましょう。こんもりと育つので、株が20cm程度になったら茎を10cm程刈り取ります。追肥すると新しい茎や葉が伸びてくるので、繰り返して収穫できます。
タイムは高温多湿に弱く、梅雨時期はうどんこ病にかかりやすく、枝葉が込み合うとハダニも発生しやすくなるので、梅雨に入る前に茎を刈り込むのがおすすめです。風通しと水はけの良い環境で育てましょう。
安藤康夫さん
多年草のタイムは、真冬を除けばいつでも収穫できます。たくさん収穫したいなら、プランターの数を増やして育てましょう。
プランターで育てやすいタイムのおすすめ品種
5.【ローズマリー/多年草】ハーブの特徴とプランターでの育て方
鶏肉やジャガイモ料理と相性が良く、独特な奥深い香りは素材への風味づけとして使われることが多いローズマリー。鶏肉のソテーやトマト煮込みなどに使うのがおすすめです。プランターでのローズマリーの栽培時期
・種まき(育苗):春まき/3~4月、秋まき/9〜10月・植え付け:春まき/4~5月、秋まき/10〜11月
・収穫:1〜12月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
ローズマリー栽培に最適なプランターの大きさ・植え付けられる株数
1株植え付けるなら、直径が24cm程度の8号のプランターや鉢が最適です。1つのプランターに植え付けるのは1株のみとし、2株以上育てる場合は、プランターを並べて栽培しましょう。プランターでのローズマリー栽培のコツ
ローズマリーには、上に向かって伸びる木立性と、地面に沿って伸びるほふく性などの種類がありますが、育て方に違いはありません。病害虫がほとんど発生しないため、初めてのハーブ栽培にもおすすめです。ビニールポットで育苗し、プランターに移し替えて育てます。ローズマリーは、枝が込み合うと内部が蒸れて株の老化にもつながるので、摘芯をかねてこまめに収穫しましょう。株を増やしたいなら挿し木がおすすめです。