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ネギの葉(葉身、葉鞘)に被害を及ぼす害虫
ここではネギの葉(葉身、葉鞘)を加害する害虫をその被害の様子と合わせて紹介します。ヨトウムシ類
【害虫名】
ヨトウガ、ハスモンヨトウ、シロイチモジヨトウなど
【食害の様子】
若齢幼虫は葉に穴をあけて葉身内部に侵入して内側から食害します。表皮を残して食害するため、被害を受けた葉は白くなって折れてしまいます。中齢以降では葉内部から外にでる個体も多くなり、激しく食害して葉をぼろぼろにしてしまいます。
【予防と対策】
ヨトウムシ類の駆除・防除の方法
アザミウマ類
【害虫名】
ネギアザミウマなど
【食害の様子】
幼虫・成虫ともに葉に寄生して葉の表面を舐めるように吸汁加害し、カスリ状の小白斑となります。ネギの緑色部に食害の痕(あと)が残ると品質が著しく損なわれてしまいます。
また、間接的な被害として「アイリス・イエロー・スポット・ウイルス(IYSV)」というウイルスを媒介することが知られており、病気発生の原因としても問題となっています。
【予防と対策】
アザミウマ類を駆除・防除する方法
※上記リンク先の記事で紹介されている「コテツフロアブル」はネギには使用できますが、ネギのアザミウマ類の適用はありません。ネギに「モベントフロアブル」は使用できません。
アブラムシ類
【害虫名】
ネギアブラムシなど
【食害の様子】
集団で葉に寄生して吸汁加害します。成長・増殖が速く、多発すると寄生部分がアブラムシで埋め尽くされてしまいます。被害が拡大すると生育不良となり、幼苗期では枯死することもあります。
また、アブラムシ類は「ネギ萎縮病ウイルス」を媒介するので間接的な病気発生の原因となります。
【予防と対策】
アブラムシ類を駆除・防除する方法
※上記リンク先の記事で紹介されている「モスピラン粒剤」「コルト顆粒水和剤」はネギには使用できますが、ネギのアブラムシ類の適用はありません。ネギに「チェス顆粒水和剤」は使用できません。
ネギコガ
【害虫名】
ネギコガ
【食害の様子】
幼虫が葉に穴をあけて内部に潜り、葉の内側から表皮を残して食害します。被害部分には小白点や若干蛇行した線状の白斑が現れます。被害が進むと太く短い筋のような痕となり、葉の所々に穴があきます。
【予防と対策】
圃場内への侵入を防ぐために防虫ネットなどを利用します。薬剤散布は株の定植時の散布が有効です。葉の内部に潜ると薬剤の効果が劣ってしまうので、生育期には浸透移行性の高い殺虫剤を選択しましょう。
▼浸透移行性の殺虫剤のことならこちらをご覧ください。
ハモグリバエ類
幼虫による被害
成虫による食害痕
【害虫名】
ネギハモグリバエなど
【食害の様子】
雌成虫が葉から吸汁して点々とした白い小点の痕が残ります。幼虫は葉の内部に潜って葉肉を食べながら進むため、不規則な白い線状の食害痕が残ります。
ハモグリバエ類の中でも、ヒガンバナ科ネギ属だけに寄生するネギハモグリバエの寄生が多く、さらに近年では新たな系統のネギハモグリバエも確認されています。新たな系統は一枚の葉に寄生する幼虫の数が多い傾向があるので、複数の食害痕が重なったり、つながったりして葉全体が白化する被害が生じます。
【予防と対策】
ハモグリバエ類を駆除・防除する方法
ネキリムシ類
【害虫名】
カブラヤガ、タマナヤガなど
【食害の様子】
中齢〜老齢幼虫は日中土の中に潜み、夜間に現れて地表面の株の生え際、または地際部分から葉鞘部分を切り倒すように食害していきます。
【予防と対策】
ネキリムシ類を駆除・防除する方法
※上記リンク先の記事で紹介されている「ダイアジノン粒剤5」はネギには使用できますが、ネギのネキリムシ類の適用はありません。ネギに「サンケイデナポン5%ベイト」は使用できません。
ネギの根や地下の葉鞘部に被害を及ぼす害虫
ここではネギの根や地下部の葉鞘部を加害する害虫をその被害の様子と合わせて紹介します。コガネムシ類
【害虫名】
オオクロコガネなど
【食害の様子】
幼虫が地下部の葉鞘部分や根を食害します。被害部分にはえぐり取ったような痕が残って生育不良を引き起こし、ひどい場合には枯死してしまいます。
【予防と対策】
コガネムシ類を駆除・防除する方法
※上記リンク先の記事で紹介されている「マラソン乳剤」「バイオトピア」はネギには使用できますが、ネギのコガネムシ類の適用はありません。
根や地下部の葉鞘部を食害するほかの注意すべき害虫
上記の害虫以外にも根や地下部の葉鞘部に発生することがあるネギの害虫について紹介します。ダニ類
【害虫名】
ロビンネダニなど
【食害の様子】
根や土中の茎部分に寄生して吸汁します。加害されると株全体の生長が妨げられ、葉色が悪くなり、ひどい場合には枯死してしまいます。
【予防と対策】
連作で被害が拡大します。
発生が確認された場合は残渣(ざんさ)を残さないようにします。防除には土壌消毒や湛水処理などが有効です。
※残渣とは圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。
ダニ類を防除する方法
ハエ類
【害虫名】
ネギネクロバネキノコバエなど
【食害の様子】
幼虫が地下部の茎盤(けいばん)や葉鞘部分を食害します。被害を受けるのは地下部だけですが、食害がひどくなると、地上部の生育が妨げられ、葉が枯れてしまうこともあります。近年一部の地域で多発しています。
【予防と対策】
ハエ類は多湿な環境を好むため、排水性の高い土づくりを目指します。また、多様な植物に寄生するため、圃場周辺の雑草などの管理を適切に行いましょう。
発生した株の残渣は廃棄し、薬剤を散布する際は寄生部位の株元によくかかるように留意してください。
主にネギの根に被害を及ぼす害虫
ここでは主にネギの根を加害する害虫を紹介します。ヒョウタンゾウムシ類
【害虫名】
サビヒョウタンゾウムシ、トビイロヒョウタンゾウムシなど
【食害の様子】
成虫は育苗期や定植後間もないネギの地上部を加害しますが、幼虫による被害株では根が食い切られたり、茎盤部がかじられたりします。特に茎盤部の食害がひどいと、地上部の生長が止まってしまうこともあり、簡単に引き抜くことができます。
【予防と対策】
ヒョウタンゾウムシ類は周辺の雑草地から夜間侵入してくるため、圃場周辺を除草を適切に行うことが有効です。
ハエ類
【害虫名】
タネバエ、タマネギバエなど
【食害の様子】
茎盤部付近に寄生している白色の幼虫(ウジ)が、ネギの地下部に食入して内部から食害し、ネギは外葉から枯れはじめます。また、根の部分が食害されているので、被害株は簡単に引き抜くことができます。
タネバエはほかの多くの野菜も加害するのに対し、タマネギバエはネギ属のみを加害します。
【予防と対策】
タネバエが未熟堆肥、鶏ふんなど、有機物のにおいに誘引されるのに対し、タマネギバエは被害株が発する腐敗臭に誘引され産卵することが多いようです。以上のことから残渣を残さないこと、堆肥は完熟堆肥を用いることなどが主な予防策です。
被害株を確認した際は抜き取り、周辺の幼虫・蛹個体を除去しましょう。
※これらの被害の様子はロビンネダニやヒョウタンゾウムシと類似しています。加害虫を特定するためには個体を直接確認しましょう。
地下部を食害する害虫に要注意
また、可食部が主に白い葉鞘部分のネギと、アサツキやワケギなどの葉鞘部と緑色の葉身部分の両方が食されるものとでは、適用作物名が別に規定されているので、農薬を選ぶ際には注意が必要です。