ソラマメは葉や株全体、莢や種実に病気が発生します。
本記事では、圃場でよく見られる葉や株、莢に出ている症状から病気を推測できるように、茎葉、株、莢・種実に発生する病気の順に紹介します。
▼ソラマメの栽培方法についてはこちらをご覧ください。
▼植物の病気についてはこちらもご覧ください。
ソラマメの茎葉に発生する病気
ソラマメの葉や茎の症状から推測できる病気を紹介します。ソラマメの茎葉に病斑(斑点やカビ)
ソラマメの葉に斑点やカビが出ている場合、病原菌に感染している可能性があります。赤色斑点病(チョコレート斑点病)
形 | 円形〜不整形 |
色 | 赤褐色 |
特徴 | 輪郭がはっきりした内部がやや凹んだ病斑 |
【症状】
葉では、内部がやや凹んだ直径1~2mmほどの赤褐色で、輪郭がはっきりとした病斑が生じます。やがて小さな病斑は融合して1cm以上となり、その後落葉したり、枯れたりします。
【予防と対策】
被害植物の残渣(ざんさ)は伝染源になるので、圃場の外に持ち出して処分します。
水はけが悪く、湿度が高いと発病が助長されるので、圃場の水はけを改善し、適切な株間をとって風通しの良い環境を心がけましょう。
※残渣とは、圃場などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。
褐斑病
形 | 円形〜不整形 |
色 | 灰褐色 |
特徴 | 縁取りがある輪紋病斑 |
【症状】
はじめ葉や茎で赤褐色の小斑点が生じると、徐々に暗褐色に縁取られた3~5mmくらいの円形〜不整形の病斑ができます。病斑の内部は灰褐色で、丸を重ねたような模様を形成すると、やがて病斑上に小さな黒い粒ができます。
【予防と対策】
病原菌は種子で伝染するため、病気の疑いのある際は、自家採種を行わないようにします。
3~5月に降雨が多い場合や、水はけの悪い圃場で発生が助長されます。降雨が続く場合は予防的に薬剤散布を行い、水はけの良い圃場づくりを心がけましょう。
さび病
形 | 円形(斑点) |
色 | 黄色〜赤褐色 |
特徴 | やや盛り上がった、粉っぽい病斑 |
【症状】
ソラマメの葉や茎では、はじめは白色の小斑点が生じ、次第に盛り上がって鉄のさびのような色(黄色~赤褐色)をした斑点になります。その後、斑点の表皮が破れて黄褐色の粉末が飛び散ります。
【予防と対策】
さび病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)
※上記リンク先の記事で紹介されている「ユニフォーム粒剤」はソラマメには使用できません。
ソラマメの株に発生する病気
ソラマメの株全体の症状から推測できる病気を紹介します。ソラマメの株に萎れ
ソラマメの株が萎れている場合、病原菌に感染している可能性があります。茎腐病
【症状】
茎の地際部が黒色に腐り、病斑部より上部は萎れて枯死します。湿度が高い場合に、茎の地際部や病斑に白いクモの巣のようなカビ(菌糸)がみられます。
【予防と対策】
湿度が高い状態で発生しやすくなるので、圃場の排水性を良くする、余分な葉を取り除く、適度な株間をとるなど湿度を下げる対策を行います。
ソラマメの株に異常
ソラマメの株が大きくならない、葉が小さいまま、そんな場合は病原菌に感染している可能性があります。モザイク病
【症状】
アブラムシ類によってウイルスが媒介される病気です。
感染すると葉の色が濃淡のはっきりとしたモザイク状になり、縮れる、よじれる、サイズが小さくなるなどの症状も現れます。株全体も萎縮して生長が抑制されます。
【予防と対策】
モザイク病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)
※上記リンク先の記事で紹介されている「モスピラン・トップジンMスプレー」「ウララ DF」はソラマメには使用できません。
えそモザイク病
【症状】
葉や茎に赤褐色のえそ病斑が生じます。症状が進むと葉全体が赤褐色となって落葉し、株全体は萎縮して生長が抑制されます。
【予防と対策】
被害植物の残渣は伝染源になるので、圃場の外に持ち出して処分します。汁液によって伝染するため、管理や収穫作業の際はこまめに手を洗い、はさみは「ケミクロンG」などで消毒しましょう。
ソラマメの莢・種実に発生する病気
ソラマメの莢・種実の症状から推測できる病気を紹介します。ソラマメの莢・種実に斑点
ソラマメの莢や種実に、斑点が出ている場合は病原菌に感染している可能性があります。えそモザイク病
【症状】
ソラマメの莢の細胞組織が壊死して、褐色に変色したような病斑が多数できます。
【予防と対策】
被害植物の残渣は伝染源になるので、圃場の外に持ち出して処分します。汁液によって伝染するため、管理や収穫作業の際はこまめに手を洗い、はさみは「ケミクロンG」などで消毒しましょう。
褐斑病
【症状】
莢の表面にややへこんだ暗褐色で、形の定まらない病斑が現れます。種実にも褐色の斑点が生じます。
【予防と対策】
病原菌は種子で伝染するので、病気の疑いのある場合、自家採種は行わないようにします。
3~5月に降雨が多い場合や、水はけの悪い圃場で発生が助長されます。降雨が続く際は、予防的に薬剤を散布し、水はけの良い圃場づくりを心がけましょう。
菌核病
【症状】
莢に水が浸みたような病斑ができると、その後軟化して腐敗します。病状が進むと、白色のカビにネズミの糞(ふん)のような黒色の菌核が形成されます。
【予防と対策】
菌核病の原因と対策|防除方法と使用薬剤(農薬)
※上記リンク先の記事で紹介されている「アミスター20フロアブル」はソラマメにおいて菌核病の適用はありません。また「フロンサイド粉剤」はソラマメには使用できません。
赤色斑点病
【症状】
若い莢の表面に赤褐色の小さな斑点ができます。
【予防と対策】
被害植物の残渣は伝染源になるので、圃場の外に持ち出して処分します。
水はけが悪く、湿度が高いことで発病が助長されるため、圃場は水はけを良くして、株間を適切にとって風通しを良くしましょう。
病気以外の生理障害・害虫などの要因も併せて対策
ソラマメの生育が悪い原因は病気だけとは限りません。曇天が続いたことから起る日照不足、雨や台風などの荒天、肥料や水の過不足などが原因で発生する生理障害でも元気を無くしてしまいます。また、ヨトウムシ類やハモグリバエ類、アブラムシ類といった害虫の被害を受けても生育が悪くなります。
上記の病気を一例として、生理障害や害虫被害など、そのほかの要因も併せて考えながら対策を行いましょう。
※生理障害とは、育てる植物に適さない温度、光、土壌の状態や栄養による障害などによって生長が阻害されること。
▼生理障害のまとめ
▼ヨトウムシ類やハモグリバエ類のことならこちらをご覧ください。
ソラマメで発生しやすい養分の欠乏・過剰症状
生理障害の中でもソラマメの栽培で起こりやすい養分の欠乏症状について紹介します。しみ症
ソラマメの種皮がまだらに「しみ」のように褐変します。カルシウム欠乏が原因であると明らかになっています。▼カルシウム欠乏のことならこちらをご覧ください。