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畑や庭でジャガイモを栽培したい人はこちらの記事をチェック
農業でジャガイモ栽培に挑戦したい人はこちらをチェック
ジャガイモ栽培の監修は、プランター野菜栽培家の安藤康夫さん
プランター野菜栽培家。自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中!
関連サイト
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2019年5月以前のブログ 「Hanna-papaの菜園日記 2」
著書
『プランターで有機栽培1』(農文協)
『プランターで有機栽培2』(農文協)
春植え・秋植え|プランターで育てるジャガイモの植え付けや収穫の時期
南米アンデス山脈が原産地であるジャガイモ。やや寒い時期から育て始められる上に、品種によって発芽までの休眠期間が異なるので、春と秋に植え付けをする「二期作」が可能で、栽培中の気温の幅が広いのが特徴です。プランターでのジャガイモの植え付けや収穫の時期
・植え付け:春植え/3月、秋植え/9月・収穫:春植え/6月、秋植え/12月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
ジャガイモ栽培に適した温度
・植え付け:春植え/10℃前後、秋植え/25℃前後・収穫:春植え/25℃前後、秋植え/10℃前後
失敗を防ぐ!ジャガイモ栽培で注意したい3つのポイント
ジャガイモは、種芋選びや増し土など、いくつかの栽培のポイントを知って育てれば、ほぼ失敗なく収穫できますよ。Point1. 種苗店やホームセンターなどで種芋を購入しよう
ジャガイモは種芋を植えて育てますが、種芋自体がウイルスに感染していると病気になり、途中で枯れたり、収穫量が少なくなったりします。種苗店やホームセンターなどで販売されている、ウイルスがいないように消毒された種芋を購入すると良いでしょう。安藤康夫さん
家庭菜園なので自己責任ということでキッチンの芽の出た芋を植えてみるのもよいかもしれませんね。私の場合、もう何年も、自分で育てたジャガイモから二期作で育てていますよ。
Point2. 春植え&秋植えは、季節に合わせた種芋を選ぶ
品種によって種芋の休眠期間が異なるために、春植えの品種と秋植えの品種があるジャガイモ。休眠期間さえ合っていれば、品種によって育てやすさの差はありません。好みの品種のジャガイモを植えれば大丈夫です。好きな品種の植え付け時期をチェックしておきましょう。安藤康夫さん
年に2回植え付けられる品種もありますが、春植えでも秋植えでも味は同じです。
Point3. 収穫量アップには増し土がマスト
ジャガイモは、種芋より上の方に実がつくという性質があります。そのため、深めのプランターに土を浅めに入れて植え、茎が伸びるにしたがって、土を足す「増し土」をします。増し土した土の中に、ジャガイモが実っていくというイメージです。最初から深い土の中に植えると芽が出にくくなってしまうので、茎の生長に合わせて土を増やしていくのがベストな育て方です。安藤さんおすすめ!プランターで栽培しやすいジャガイモの品種
ジャガイモはどの品種でもプランターで育てられますが、おすすめはイモが小さい「インカのめざめ」や二期作ができる「アンデスレッド」。赤や紫や白などカラフルなジャガイモや、好みのジャガイモの品種を選んで栽培すると、収穫の楽しみが膨らみますね。種苗店によっては、種芋を品種ごとに1個ずつ購入できるところもあります。プランターで育てやすいおすすめの種芋
インカのめざめ|小さくてプランター栽培向き
アンデスレッド|春と秋の2回育てられる!赤い皮が特徴
さらに詳しく!家庭菜園におすすめのジャガイモの品種
ジャガイモ栽培に必要なプランターのサイズ、培養土、肥料
必要な道具が少なめで、初心者にもうれしいのがジャガイモ栽培です。生長すると茎が自立するので支柱は必要ありません。ジャガイモ栽培に必要なプランターの大きさ・深さ
1株植えるときのプランターのサイズ
A:直径24cm/B:高さ24cm1株を植えるのであれば、直径24×高さ24cmの8号、5.1L程度のポットや丸型プランターが必要です。
2株植えるときのプランターのサイズ
A:幅55cm/B:奥行30cm/C:高さ30cm2株を植えるのであれば、幅55×奥行30×高さ30cm、25L以上の深めのプランターがおすすめです。
ジャガイモ栽培におすすめの深さのあるプランター
袋でも育つんです!プランター以外での育て方
プランターでのジャガイモ栽培におすすめの培養土
プランターに入れる土は、一般的な肥料入りの野菜用培養土が最適です。鉢底石として、赤玉土の大粒を入れましょう。プランターの底に入れる赤玉土や鉢底石の関連記事はこちら
プランターでのジャガイモ栽培におすすめの肥料
肥料入りの野菜用培養土を使うのであれば、元肥も土増し時の追肥も必要ありません。一度、ほかの野菜を育てた再利用土などを使うときは、種芋の周りに、種芋に触れないように油かすを一握り程度置いて、元肥にしましょう。
増し土の時には、追肥として油かす一握りと、根肥として草木灰を半握りくらい与えます。
安藤康夫さん
草木灰のカリウムの成分が芋の良質なデンプン質を作るので、ゴロっとした大きなジャガイモになりますよ。
元肥や追肥におすすめの油かす
ジャガイモを大きくさせる草木灰についてはこちら
プランターでできるジャガイモの育て方|植え付け、水やり、芽かき、増し土など
Step1. 植え付け前のひと手間「浴光催芽」
植え付けの2週間前に種芋を日光浴させ、安定した発芽を促す「浴光催芽(よっこうさいが)」を行います。ジャガイモが重ならないように新聞紙などに並べ、2週間ほど日光を当てます。夜間や雨天時は屋内に取り込むようにしましょう。大きい種芋の場合
大きい種芋は、カットして2~4つの種芋とすることもできます。その場合は1つが40g以上になるように、芽の数が均等になるようなラインでジャガイモをカットします。切り口から腐りやすくなるので、1日乾燥させます。さらに、草木灰を切り口につけてから植え付けると、種芋の腐敗を防げます。小さい種芋の場合
初めから小さい種芋を選べば、切り口を乾燥させたり草木灰をつけるなどの手間がかかりません。種芋は、いろいろなところから芽が出てきます。この芽の中から、一番大きい芽を1つ残し、あとの芽は取り除いてから植え付けます。これをすることで、後の芽かきの手間を省くことができます。
Step2. プランターは日当たりの良い場所へ設置
プランターは日当たりが良く、風通しの良いところに置くようにしましょう。エアコンの室外機の風が当たる場所は避けてください。マンションのベランダの場合は、プランターを設置可能か規約を確認した上で、避難経路をふさがない場所に置くようにしましょう。
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Step3. ジャガイモの種芋の植え付け
- プランターの底に、赤玉土大粒を高さ3cm程度敷きます。
- 土をプランターの1/3の高さまで入れ、種芋を置いたら、上から高さ2cm程度の土をかけ、発芽を待ちます。
- 2株以上植える場合は、株間を30cmあけましょう。
初心者にもわかりやすい!動画でジャガイモの植え付け方法を見る
Step4. 水やり
土が乾いたら、たっぷりと水をやります。気温の低い春先は控えめにしますが、8〜9月の暑い時期は毎日水を与えましょう。Step5. ジャガイモの芽かき
植えるときに余計な芽をかいておけば、あまり多くの茎が生えてくることはありませんが、茎が2~3本以上生えてきた場合は、太い茎を2~3本残して、それ以外の茎をかき取る「芽かき」をすると、大きな芋を収穫できます。種芋を掘り起こさないように、土を押さえながら、茎をねじり取りましょう。Step6. 増し土(土寄せ)・追肥の時期
茎が20cmくらいに生長したらプランターの縁から2cm下まで土を増やす「増し土」をします。収量アップのための欠かせない作業です。増し土する土が野菜用培養土であれば、追肥は不要です。増し土が不十分で、生長してきたイモに日光が当たるとソラニンという有毒成分が生成され、緑色になってしまいます。緑色になると、加熱しても毒素は取り除けません。しっかり増し土し、イモが露出した場合は、土を足しましょう。
再利用の土の場合は追肥しよう
栄養に乏しい再利用土などであれば、増し土のタイミングで、追肥として油かす一握りと、根肥として草木灰を半握りくらい与えます。ジャガイモの花が咲いたら?
2カ月ほどで、白~薄紫の花が咲いてきます。ジャガイモは、栄養を花に取られるといったことはないので、そのまま鑑賞すると良いでしょう。ナス科の植物ですので、ナスやトマトなどの野菜とよく似た花ですよ。ジャガイモの収穫は、プランターをひっくり返すだけ!上手な保存のコツも
葉の色が全体的に黄色くなって枯れてきたら、ジャガイモの収穫時期です。収穫の3日前から水をやらずに、土を乾かしてから収穫しましょう。といっても、畑のように掘り起こす必要はなく、プランターをひっくり返すだけで芋がゴロゴロ出てきます。小さいジャガイモが出てきたら
小さいジャガイモは、毒性を持ったソラニンという物質の含有率が高いことが知られています。皮がむけないほど小さいジャガイモは食べないようにし、十分に熟して大きくなったものを食べるようにしましょう。また、えぐみや苦みを感じるジャガイモは食べないようにしましょう。収穫したジャガイモの上手な保存方法
土のついた芋は新聞紙の上などに広げ、数時間乾燥させ、土を払ってから保存します。収穫後の保存も遮光状態に!
収穫後の大きなジャガイモでも、日光が当たるとソラニンが生成され緑色になってしまいます。せっかく収穫できた大切なジャガイモは、日光の当たらない通気性の良い涼しい場所で、遮光状態にして保管するようにしましょう。ジャガイモのプランターの片付け方法
収穫後のジャガイモは役目を終えた種芋が、ドロっと腐っています。きつい腐敗臭がするので、出てくる汁に気をつけて、ポリ袋などに入れて捨てましょう。茎と葉も、自治体のゴミ出しのルールに従って廃棄しましょう。土はふるいにかけて古根や鉢底石を取り除けば、次のプランター栽培に再利用できますよ。
古い土の処分方法
土をゴミ収集に出す場合のルールは自治体によって異なるので、自治体の規約を確認してください。ホームセンターなどで培養土を購入するときに、古い土を回収するサービスを実施しているところもあります。