- Akiko Isono
編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。…続きを読む
初めてベランダ菜園に挑戦するなら、ぜひチェックしてほしいポイントがいくつかあります。日当たりや風通しなど、植物を育てるのに大切な条件を満たしているかどうか。そして、暮らしの快適さや安全面を妨げていないかどうか。いろいろな目線でベランダを見直して、植物が成長しやすい環境を整えておけば、途中で枯れたりするトラブルも予防できます。もし、ベランダの条件が悪くても、それを解決するためのアイデアをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください!
ベランダで有機野菜を作ろう!プランター栽培におすすめの野菜と育て方
▼プランター栽培できる!有機野菜の育て方をもっと見る
1. 日当たりをチェック
ほとんどの野菜は日当たりでよく育ちますが、ベランダの場合、後ろに壁があるため、太陽光の入る方角や時間帯が限定されてしまいます。まずは、どの方角から、一日にどのくらい日差しが入るかを確認しましょう。ベストは南~東向き
植物は、午前中に光合成を活発に行うといわれています。つまり、午前中から長時間日差しの入る、南向きや東向きのベランダなら、植物の成長も旺盛になるということです。ただし、ベランダの向かい側に高い建物がある、もしくは手すり部分が日差しを遮るようなコンクリートがある場合は、ちょっと注意が必要です。手すり側が陰になるようであれば、壁側にプランターを置くなどの工夫をしましょう。
太陽の高さは季節によって変わり、ベランダへの日差しの入り方も変化するので、できれば季節ごとのベストポジションを探してみてください。
西向きは、高さを出して日当たりを確保
午後~夕方にしか日ざしの入らない西向きのベランダは、一般に植物を育てるのに向かないといわれています。とはいえ、まったく育てられないわけではありません。午前中は半日陰でも、午後に4時間ほど日が入れば、南や東向きに比べて成長スピードは落ちるかもしれませんが、ほとんどの野菜が育てられます。レンガや丈夫な木箱などで台を作り、高さを出して、できるだけ長時間日が当たるようにするとよいでしょう。大型の野菜は、キャスター付きのプランターで育てて、日の当たる位置に移動させるという手もあります。
移動しやすい!コロ付きプランター
4つのキャスターで大きく育った野菜も楽々移動。ストッパーで固定もできます。土の漏れを防ぐ不織布のシート付きで、ベランダが汚れにくいのも高ポイントです!夏場の西日や直射日光に注意
西向きのベランダで、もう一つ注意してほしいのが、夏場の西日です。午後に西日が照りつけると、コンクリートのベランダの床は50℃前後の高温になり、夜になってもプランターの土は熱いままです。これは植物にとってよい環境とは言えません。床の上にすのこやウッドパネルを敷いて、プランターの底が直接床に触れないようにすることをおすすめします。もちろん、日当たり確保を兼ねて、レンガや木箱を置くのもおすすめですよ。西向きに限らず、南向きのベランダも、直射日光が当たってベランダが暑くなりすぎることがあります。この場合も、同じように対策しましょう。
北向きでも野菜は育てられる!
日当たりの悪い北向きのベランダでも、ちゃんと野菜は育てられます。日陰といっても真っ暗になるわけではないので、日なたに比べてスピードは落ちますが、野菜は光合成をして成長できるのです。トマト、ナスなどの特に日当たりを好む野菜は、株が大きくならず収穫量が減る可能性がありますが、小松菜や水菜などの葉物野菜は、逆に、葉がやわらかく育つといったメリットもあります。また、ミョウガや三つ葉など、日陰を好む野菜やハーブもあります。主な野菜と、好む環境を次にまとめたので、ぜひ参考にしてください。
日当たりを好む野菜
トマト なす ピーマン きゅうり かぼちゃ スイカ とうもろこし えだまめ いんげん そらまめ えんどう キャベツ 白菜 大根 にんじん さつまいも日当たりが悪くても育つ野菜
レタス ほうれんそう 小松菜 水菜 春菊 かぶ じゃがいも 里いも ショウガ ネギ アスパラガス パセリ バジル ミント日陰を好む野菜
ミョウガ 三つ葉 セリ クレソン シソ2. 風通しをチェック
人間と同様、野菜も風通しのよいさわやかな環境が好き。また、一方で乾燥に弱いという弱点もあります。風通しが悪いと病害虫がふえる
風通しの悪い場所では、病気や害虫が発生しやすくなります。特にトマトやきゅうりなどの大型野菜は、プランターを並べるときに葉や茎が重なり合わないよう、間隔をあけるようにしてください。支柱に誘引して広がりを抑えたり、適度に剪定して密集した葉の間をすかすのも効果的です。強風による乾燥にも気をつけて
一方で、風が強すぎる環境も植物にとってはNG。強い風が一日中当たるような場所では、きちんと水やりしていても、葉から水分が奪われてカサカサに乾いてしまいます。トマトなどの実物の野菜は、擦れて実に傷がつく場合も。強風が吹き込むベランダには、すのこやラティスなどを設置して、直接風が当たるのを避けましょう。ラティスの関連記事はこちら
室外機の風もNG!
見落としやすいのが、エアコンの室外機から出る風。室外機の前にはプランターを置かないようにして、乾燥を避けてください。3. 生活環境を邪魔していないかチェック
アパートやマンションの場合、ベランダは専有スペースではなく共有部分です。ただし、通路などとは違って、その部屋の住人だけが使用するので、専用使用権というものが認められていて、ある程度自由に使うことができます。マンションによってはベランダの使い方が制限されているので、ベランダ菜園を始める前に、規約を確認しておきましょう。また、ベランダは生活スペースでもあり、いざというときの避難経路でもあるので、本来の目的を邪魔しないようにすることも大切です。
避難経路をふさがない
ベランダは、緊急時の避難経路として消防法で定められているため、隣の部屋との境目にある間仕切り板をふさいでしまうのはNG!プランターは避難経路を邪魔しない場所に置きましょう。狭いベランダの場合、避難経路を確保しながら大型プランターを置くのはむずかしいのですが、フラワースタンドで高低差をつけて小さめのプランターを並べたり、ハンギングでいちごや葉物野菜を育てたりと、小さなスペースを有効利用する方法はいろいろあります。下のようなアイテムもぜひ活用してみてくださいね。
木製3段ラック
幅42cmとスリムで、おしゃれなアンティーク調のフラワースタンド。折り畳み式で、使わないときはしまっておけるのも助かりますね。ハンギングプランター
ワイヤーと麻布で作られた植込み用のオシャレな壁掛けプランター。壁掛けでおしゃれに野菜が育てられます。排水溝を詰まらせない
植物を育てていると、やはり枯れ葉や枝などが落ちてゴミが出ます。また、少量ですが、水やりをするとプランターの底から土が流れます。ゴミや土を放置すると、排水溝を詰まらせてしまうので、こまめな掃除を欠かさないようにしましょう。植え替えなどのときは、土が周りに散らからないようにシートを敷いて作業すると、あとの片付けが楽ですよ。
ダルトン サンオブスマイリー
ほうきをはずすと、かわいいスマイルが現れるお掃除セット。10色展開で、ベランダ菜園になじみやすい、おしゃれなカラーがそろっています。園芸シート 105×105cm
四隅にスナップボタンがついていて、留めるとトレイのように使えます。大型プランターの植え替えにも使えるサイズ。ハンギングはベランダの内側に
ハンギングタイプのプランターを使う場合、落下の危険があるので、手すりの外側に掛けるのはNG!内向きに掛ける場合も、水やりのときに下の階の迷惑にならないように気をつけてくださいね。床置きタイプのハンギングスタンドや、壁面に掛けられるプランターもあるので、縦の空間を有効利用したい場合はこちらもおすすめです。
ハンギングスタンド アンティークリーフ型 幅35×高さ180×奥行32cm
組み立て式のハンギングスタンド。スリムでベランダにも置きやすいサイズです。生活スペースと菜園スペースは分けよう
ベランダは、洗濯物干しなどの生活スペースでもあります。洗濯物が汚れたり、干すときなどにひっかけて、植物の茎を折ったりといったトラブルを避けるためにも、物干しと菜園スペースは分けるようにしましょう。また、プランターはベランダの出入りの邪魔にならない位置に置きましょう。4. 自分だけのアイデアを考えるのも、ベランダ菜園の楽しみ
畑に比べると、ちょっと制約の多いベランダ菜園ですが、それだけに、自分でいろいろ工夫する楽しみがあります。家の中のインテリアを考えるのと同じように、アイテム選びや配置にこだわってみましょう。自宅のベランダの環境を生かして、スペースを有効に利用しながら、おいしい野菜を育てる。そんなベランダ菜園上級者を、ぜひめざしてくださいね!
プランターで育てられる!ベランダ菜園におすすめの野菜
▼プランター栽培できる!有機野菜の育て方をもっと見る