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ボタニカルショップ「NEO GREEN 渋谷」オーナー
白田 仁「趣味の園芸」テキストで、園芸ダイアリーの観葉植物を担当し、執筆・監修を2年間務める。そのほか、インテリアグリーンに関する本の監修も多数。店舗で扱う植物は、全て自身の目で厳選し、鉢合わせしたもの。植物とかわいらしいネコ達との暮らしが垣間見れるインスタグラムは必見! HP:http://www.neogreen.co.jp/ Instagram:https://www.instagram.com/neo_green/…続きを読む
- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
そんなときに挑戦したいのが、「挿し木」や「茎伏せ」「株分け」でモンステラを増やすテクニック。初心者でもコツさえつかめば、じょうずに増やすことが可能です。今回は、観葉植物のプロに挿し木や株分けの方法を教えてもらいました。ステップごとに画像を交え、わかりやすく解説していますのでぜひ参考にしてみてくださいね!
モンステラの種類と詳しい育て方はこちらの記事をチェック!
モンステラを増やすのに適した時期は?
モンステラを増やすのに適した時期は、5月下旬~9月です。この時期は、モンステラの生長が旺盛になるため、挿し木や茎伏せをした際に発根するのが早く、成功する確率が上がります。また、株分けなどで根をいじってダメージを受けても、すぐに回復するため安心です。冬でも挿し木や株分けすることはできる?
モンステラの増やし方1|挿し木で増やす方法
モンステラの挿し木に必要なもの
まずは、モンステラの挿し木に必要なものを用意しましょう。挿し木用の鉢
挿し木をする鉢は、小ぶりのものでOKです。用土を入れる前に、鉢底石を入れておきましょう。鉢底穴から用土が流れ出てしまうのを防ぎ、排水性も高めてくれます。用土
挿し木には、水はけが良く、雑菌の少ない用土が適しています。初心者は、市販の専用配合土を使用すると安心です。さし芽種まきの土
細かい粒子で、挿し芽がしやすい専用配合土。特殊パーライトが水の浸透を高めます。生育を早める活力材も配合。
内容量 | 5L |
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成分 | バーミキュライト、パーライト、鹿沼土、ピートモス |
剪定(せんてい)ばさみ
モンステラは茎が太いため、カットするには剪定(せんてい)ばさみがおすすめです。切断面の繊維がつぶれてしまわないように、できるだけ切れ味の良いものを使うようにしましょう。ビニール手袋
サトイモ科の植物であるモンステラの樹液には、シュウ酸カルシウムが含まれており、肌が弱い人はかゆみを感じたりかぶれてしまうことがあります。モンステラの樹液はそれほど多く出ませんが、長芋やサトイモなどでかぶれやすい人は、ビニール手袋をして作業しましょう。Step1. 挿し穂の長さを決める
モンステラを挿し木にするには、ある程度の長さで切るようにしましょう。挿し穂が短か過ぎると、土に挿したときに倒れやすくなってしまいます。今回の株は、4~5節ほどの長さでカットしました。節(せつ)は、茎にあるちょっとくびれた線のような部分です。上の画像で説明すると、赤い矢印で指したところが節になります。新根はこの節付近から発生するため、何節か含んだ長さで挿し穂をつくります。
Step2. 茎を切り取る
節と節の中間の位置で、モンステラの茎を切り取ります。茎が太い場合は、周りから少しずつはさみを入れていきましょう。Step3. 余分な葉をカットする
葉から水分が蒸散してしまわないように、余分な葉は葉柄の付け根からカットします。勢いのある若い葉を1枚だけ残しました。Step4. 長過ぎる気根を切る
気根が長過ぎると土に挿しづらくなるため、ある程度の長さを残してカットします。土に挿す際に、まだ長いようであれば微調整しましょう。Step5. 鉢に入るように気根をカット
気根が長過ぎて鉢に入らないため、さらに短く切り詰めます。Step6. 用土に植え付ける
気根が下になるように、挿し穂を土に埋え付けます。Step7. 用土を足す
挿し穂が安定して倒れなくなるまで、用土を足していきます。Step8. 挿し木の完成!
これで挿し木作業は完了です!発根するまでの期間
気根がある挿し穂の場合は、土に埋めた気根から新根が1週間~10日ほどで出てきます。気根がない挿し穂は、あるものよりも倍以上の日数がかかります。挿し木の管理方法
置き場所
風通しの良い半日陰で管理します。直射日光が当たって高温になるような場所は避けましょう。水やり
挿し床が乾かないように、水やりは多めに管理します。土の表面の一部が乾き始めたら、水を与えるようにしましょう。肥料
新しい葉が出てくるまで肥料は控えます。モンステラの増やし方2|株分けで増やす方法
ここからは、モンステラの株分けの方法を紹介していきます。今回株分けをしたのは、複数の株が寄せ植えになっているモンステラの幼苗です。葉数も多く混み合っているため、それぞれ株を分けることにしました。
モンステラの株分けに必要なもの
鉢
モンステラは、ある程度高さのある鉢のほうがバランス良く見えます。用土
市販の観葉植物用の培養土など、水はけの良いものを使用しましょう。草花や野菜用の培養土しかないという人は、小粒の赤玉土を半分量混ぜると排水性を良くすることができます。観葉植物におすすめの土の種類や配合については、こちらの記事で!
鉢底石
軽石を鉢底に敷くことで、鉢底穴から土が流れ出てしまうのを防ぎ、排水性も高めてくれます。鉢底石は、軽石のほかに大粒の赤玉土(ゴロ土)もおすすめです。鉢底石や挿し木にも!赤玉土の種類や使い方はこちらの記事をチェック!
鉢底ネット
鉢底穴から土が流出するのを抑えるほか、害虫が侵入するのを防ぐ効果があります。針金
鉢底ネットがずれないよう、固定するために使います。ペンチ
針金を曲げて加工したり、適度な長さにカットしたりするときにあると便利です。はさみ
鉢底ネットを適切な大きさに切ったり、余分な根や枝葉を切り取ったりするときに使用します。長めの棒
土をつついてならし、すき間をなくすための必須アイテム。根鉢に付いた古い土を取り除くときにも活躍します。木づち
根が回った株は引き抜くくなるため、木づちがあると便利です。新聞紙
床が土などで汚れないように、新聞紙でカバーしましょう。Step1. 根鉢を引き抜く
鉢からモンステラの根鉢を引き抜きます。根が回っていて抜きにくいときは、木づちで鉢のフチを軽くたたいてみましょう。振動ですき間ができ、力を入れずに根鉢を抜くことができます。Step2. 根をほぐす
寄せ植えになっている株を分離するために、古い土を落とし、根鉢をほぐしていきます。今回株分けをしたモンステラは、複数株の根がからみ合い、ガチガチに固まっていました。植物の根は、硬いところに沿って伸びていく性質があるため、根鉢の外側は特に根の密度が高くなっています。ほぐすときは、根の密度が低い根鉢の中心部分から行うと比較的スムーズです。根鉢の下部分から指を差し入れてほぐすと良いでしょう。
手でほぐしていると、どうしても根が切れてしまうことがありますが、あまり神経質にならなくても大丈夫。株分けをする時期は、モンステラの生育が旺盛になるため、根にダメージを受けても回復しやすいためです。ただ、根はできるだけ残したほうが、土に植え付けたときに安定します。
根鉢の外側は、棒でつついて根のすき間に詰まった土をある程度取り除きます。
Step3. ひと株ずつに分ける
丁寧に少しずつ根鉢をほぐし、寄せ植えになっていた4つの株を分離させました。これから、新しい鉢に植え付けていきます。大きめの1株は独立させ、残りの3株は大きい鉢に寄せ植えにすることにしました。
また、大きなモンステラに育てていくために、植え付けの際、支柱も立てることにします。
Step4. 鉢底穴にネットを設置する
まずは、鉢底穴にネットを設置しましょう。鉢底穴より少し大きめのサイズにネットをカットしたら、コの字型に曲げた針金を通し、鉢底穴に引っかけて固定します。針金の両端は曲げておくと安全です。Step5. 鉢底石を敷く
排水性と通気性を高めるため、鉢底石を敷き詰めます。粒の大きさは鉢のサイズに合わせましょう。今回は大きめの鉢を使ったため、大粒の鉢底石を選びました。Step6. 鉢に移し入れる
モンステラの株を鉢に入れます。最も新しい気根が生えている側(新葉の伸びていく方向)をあけ、新根が伸びるためのスペースを確保しましょう。Step7. 余分な葉をカットする
株を鉢に仮入れし、バランスを見ます。邪魔になるような葉があればカットしてください。切る位置は、葉柄の付け根で。Step8. 土を入れる
株の周りに土を入れていきます。ある程度入れたら、棒でザクザクとつつき、土にすき間が出ないようにならしましょう。Step9. 株分け完了!
モンステラの茎がぐらつかなくなるまで、土を足したら完成です!残りの3株も、黒色の大鉢に寄せ植えにしました。モンステラはつる性植物なので、今後生長すると共に株が倒れてきてしまいます。それを防ぐために、それぞれ株分けと同時に支柱を立てました。支柱の立て方は別記事で詳しく紹介しているので、そちらをチェックしてみてくださいね。
モンステラの支柱の立て方はこちらの記事で紹介しています!
モンステラが大きくなったら植え替えも!詳しい方法はこちらの記事で
株分け後の管理方法
置き場所
風通しの良い、明るい日陰で管理します。元気に育っていたのであれば、同じ場所でOKです。観葉植物に適した置き場所とは?こちらの記事をチェック!
水やり
株分け前と同様に管理します。株分けに適した時期はモンステラの生長期のため、水やりは多めに与えましょう。3~5日に1回が目安になります。観葉植物への水やり方法や、便利な給水グッズについてはこちら!
肥料
株分け後は、根にダメージを受けているため施肥は控えます。新葉が展開してきたら、肥料を与えるようにしましょう。観葉植物の肥料の種類や使い方はこちらの記事で!
モンステラの詳しい育て方はこちらの記事で紹介しています
モンステラの増やし方3|茎伏せで増やす方法
モンステラは、茎伏せでも増やすことができます。茎伏せとは、文字通り植物の茎を土の上に寝かせ、発根させる園芸テクニックです。茎伏せの方法
Step1. 茎をカットする
茎伏せ用に、節と節の間で茎を切り取ります。前項で挿し木にしたモンステラの株を使って、茎伏せを行いました。赤い矢印で指した、線のように見える部分が節です。
Step2. 土の上に置く
カットした茎を用土の上に寝かせます。土に接する部分が多くなるように、軽く埋め込むように置きましょう。Step3. 気根は用土に挿す
気根がある場合は、用土に挿します。鉢の深さに合わせて、短くカットしてから挿しましょう。Step4. 茎伏せ完了!
最後に水で用土を十分湿らせたら、茎伏せ作業は完了です!茎伏せ後の管理方法
置き場所
用土が湿っている状態をキープできる、半日陰などの環境が適しています。霧吹きなどを利用して、湿度管理をするようにしましょう。水やり
用土が乾かないように管理します。水苔(みずごけ)やベラボン、バーミキュライトを使うと、水持ちが良いため、水やりの管理も楽になります。水苔、ベラボン、バーミキュライトについてはこちらをチェック!
発根までの期間
茎伏せの発根目安は、約1~2カ月。気根がついていれば、これよりやや早くなります。発根剤(メネデール)
液状の発根剤は、稀釈(きしゃく)して水やりを兼ねて与えられるので便利です。発根を促進させるほかにも、弱った株の栄養剤としても使えます。メネデール
植物の生長に欠かせない鉄を、根から吸収されやすいイオンの形で含む植物活力剤。発根を促して元気な株に育てます。挿し木のほか、種まきや植え付け、植え替えから弱った時の活力アップなど、あらゆる場面で活躍!
内容量 | 100ml |
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鉢上げのタイミング
茎から芽が出てきて、葉が2~3枚ほどになったら鉢上げのタイミングです。植え替える用土は、水はけの良い観葉植物用がおすすめです。モンステラの増やし方に関するQ&A|株分けして水栽培にできる?発根剤は必要??など
Q. 株分けしたモンステラは水栽培にできますか?
水栽培は清潔感のある見た目が魅力ですが、土栽培のように微生物の助けがないため大株に育てることはできません。モンステラを大きくしたいのであれば、土栽培がおすすめです。