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- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
ここではバーミキュライトの概要や効果、成分、使い方、気になるアスベストの関係性などをご紹介します。
教えてくれたのは?
お話を聞いたのは、株式会社大宮グリーンサービスの鴻谷さん。育てる植物に合わせた土の選定や調合を行うプロに、バーミキュライトの正しい使い方を教えてもらいました。
「優しい緑があふれる生活環境を作りたい」という思いのもと、園芸資材の中でも主に培養土・肥料などの製造・卸販売を行っている会社。植物、花、果実の命の糧である土を吟味し、各々の植物に合わせた調合を加えるといった土のブレンダー及び、健康診断の役割を担っています。
株式会社大宮グリーンサービス:http://www.ohmiyags.com/gaiyou.htm
バーミキュライトとは
バーミキュライトとは
バーミキュライトはケイ酸塩鉱物の「苦土蛭石(くどひるいし)」からできた鉱物です。この苦土蛭石を700度以上の高温で焼くと、アコーディオン状に膨張します。それを細かく砕いたものがバーミキュライトと呼ばれています。産地によって違いはありますが、色は金、銀、白などで光沢感があるのが特徴です。
バーミキュライトの成分|肥料として使える?
バーミキュライトは酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムを主成分としています。植物の生育に有効なマグネシウムやカリウム、鉄分を含みますが、それらの成分が土に溶け出すことはなく、単体で肥料として使われることはありません。園芸に使用する際には、栄養のあるほかの用土に混ぜて使われています。カイロの原料にも使われている
カイロの原料はバーミキュライト活性炭、鉄粉、塩類、水となっており、バーミキュライトに含まれた食塩水がもまれることで染み出て、鉄粉が酸化し熱が出るという仕組みです。
断熱・防音材や建材に
また、バーミキュライトはその軽量性、耐火性、断熱性を生かし、建材としても使われています。鉄骨の耐火被覆施工や耐火ボードとして使われるほか、耐火性と軽量化を実現するためにコンクリートに混ぜることもあります。
包装材としての使い方も
軽量性や取り扱いのしやすさ、断熱性や保水性を生かして、緩衝材や球根などを保存する際の包装材としても使われています。バーミキュライトの効果
1. 通気・保水・保肥
バーミキュライトは多孔質の多層構造なので、通気性が抜群です。その隙間に水や肥料を吸収することができるため、用土に混ぜれば保水性と保肥性に優れた通気性の高い用土を作ることができます。2. 断熱・保温
バーミキュライトは表面にあいた多数の穴に熱を保ち、種の発芽を促します。外からの熱を遮断するため、夏の暑さから植物を守ってくれる効果も期待できます。3. 水はけをよくする
4. 土の比重を軽くする
バーミキュライトは通常の土の約10分の1以下の重さなので、ほかの用土と混ぜ込むことで土全体の比重を軽くできます。重量を抑えたい吊り鉢や、重い用土の持ち運びに苦労するベランダ園芸にも最適です。5. 無菌性で病害虫の発生を抑える
バーミキュライトは生成するときに高温で処理されるため、無菌状態で病害虫の発生を抑える効果があります。同じく無菌の赤玉土やピートモスと混ぜることで挿し木や発芽に使用する土として活用できます。6. 酸性度(pH)が中性で使いやすい
パーライトとの違いは?バーミキュライトの代用品になる?
原料の違い
バーミキュライトは雲母類の苦⼟蛭⽯、パーライトは黒曜石や真珠岩などの火山岩が原料です。どちらも石も高温で熱して作られた人工的な資材という点では共通しています。パーライトは排水性・バーミキュライトは保水性が特に優れている
バーミキュライトにもある程度排水性がありますが、パーライトの方がより優れています。水はけに特化した土を作るときにはパーライト、ある程度の保水性も持たせたいのならバーミキュライト、と使い分けるのがいいでしょう。
バーミキュライトの使い方|正しい使用量、割合で使おう
1. 水耕栽培
土を使わずに植物を育てる水耕栽培。重い土や大きなプランターを用意する必要がないので、室内でも気軽に楽しめると人気です。土を使わないとはいえ、水耕栽培には植物が水に沈まないよう支えるための「培地」が必要になりますが、バーミキュライトは保水性と保肥性があるのでその材料としてもおすすめです。バーミキュライト単体で培地を作ることもできますし、より植物を安定させるために赤玉土小粒やピートモスなどを混ぜるのもいいでしょう。
2. 種まき
芽が出た後にしっかり根と茎を支えるために赤玉土を混ぜ込むとさらに良いでしょう。
3. 挿し木
バーミキュライトを挿し木用の土に使うと、挿し木が乾燥しにくくなり発根を促す効果があります。赤玉土、腐葉土、バーミキュライトを3:1:1で混ぜると土がふかふかになり、より効果的です。4. 土壌改良
畑や庭の土壌改良としてバーミキュライトをもとの土に混ぜ込む方法があります。混ぜ込む際にはもとの土と粒の大きさをそろえるとバーミキュライトの特性を十分に生かせます。バーミキュライトの再利用方法や捨て方
バーミキュライトは再利用できる
バーミキュライトは鉱物なのでしっかり消毒すれば再利用が可能です。植物の根を取り除き水で洗い流した後、日光や熱湯で消毒しましょう。捨てるときは自治体のルールに従って
捨てる場合は自治体への事前確認が必要なことがあります。バーミキュライトはほかの用土や砂利などと同様に自然物のため、中にはゴミとして回収していない自治体もあります。燃えるゴミなのか、燃えないゴミなのか、それとも特殊な回収方法なのか事前に確認するようにしましょう。バーミキュライトの価格|100均でも買える
バーミキュライトの価格と選び方のポイント
バーミキュライトはホームセンターの園芸コーナーや通販をはじめ、100円ショップにある場合もあります。メーカーにより異なりますが、安いものだと2L100円前後で手に入れることができます。大粒では10mm以上、小さいものだと1mm以下のものまでさまざまなサイズが販売されています。大粒のものは通気性に、小粒のものは保水性により特化していますので、用途に適したサイズ選びをするといいでしょう。大宮グリーンサービスのおすすめバーミキュライト
バーミキュライトとアスベストの関連性|安全性に問題はない
1960~1980年ごろアメリカのモンタナ州リビー鉱山で採掘されたバーミキュライトには実際にアスベストを含んでいましたが、1990年に閉山し、現在日本で使われているバーミキュライトにはアスベストは含まれていませんので安心してください。