目次
プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
畑や庭でインゲンを栽培したい方はこちら
農業でインゲンに挑戦したい方はこちら
プランターで育てよう!インゲン栽培の特徴や栽培時期
インゲンは、つるあり、つるなしなど育ち方の違いだけでなく、紫色や白、細いものや太いものなど、色も形もさまざまなものがあります。日本でよく食べられているのは、インゲン豆ではなくサヤインゲン。若いさやを食べるサヤインゲンの中でも、細長い「丸ざやタイプ」と、幅広の「平ざやタイプ」の2種類が有名です。インゲンのつるあり品種とつるなし品種の違い
インゲンには、つるが伸びて生長していく品種とつるが伸びていかない品種があり、それぞれ特徴が異なりますが、栽培時期は同じで年に3回程度育てることができます。家庭菜園で育てる際は、栽培スペースや収穫のタイミングなど、好みに合った方を育ててみましょう。つるありインゲンの栽培の特徴|収穫量が多い
つるありインゲンは、つるが3m近くまで高く伸びていくため、長い支柱が必要です。つるなしインゲンよりも収穫期間が長く、その分収穫量が多くなります。安藤康夫さん
童話「ジャックと豆の木」に登場する豆の木は、インゲンがモデルです。支柱をぐるぐると巻き上がっていくように生長します。
つるなしインゲンの栽培の特徴|コンパクトに育てられる
つるなしインゲンは背丈が50~60cm程度にしかならず、つるも伸びていかないので、短い支柱&小スペースで育てられます。つるが伸びていくつるありインゲンに比べると収穫期間は短く、収穫量も少なめです。インゲンの種まきが可能な時期は、春・夏・晩夏の年に3回!
つるありインゲンとつるなしインゲンの栽培時期は同じです。インゲンは栽培期間が短く、春から秋にかけて年に3回育てることも可能で、三度豆(さんどまめ)と呼ばれることもあります。ただし、関東以北の東北や北海道などの寒い地域では、気温がぐっと低くなる秋にかけての晩夏まきでの栽培は難しいでしょう。
- 種まき:春まき/3月中旬、夏まき/5月中旬〜6月中旬、晩夏まき/8月
- 収穫:春まき/6〜8月、夏まき/7月中旬〜8月中旬、晩夏まき/10〜11月
安藤康夫さん
4~8月まで、1カ月ごとに違うプランターへ種まきをしていけば、11月まで継続して栽培&収穫することもできますよ。
インゲンの栽培適温
20~30℃インゲンを栽培中のプランターの設置場所
日当たりと風通しの良い場所にプランターを設置します。べランダなどの狭いスペースで、エアコンが近くにある場合は、温風がプランターやインゲンの苗に直接当たらないように注意してください。インゲンのプランター栽培のポイントは2つ!
Point1. 水やりはこまめに
マメ科の植物は、花が咲いてさやができるときに、水が足りないと実がつかないので要注意!こまめな水やりが大切です。Point2. 種まき後の鳥害対策を忘れずに!
マメ科の植物には、地中から双葉で発芽する種類と豆の形のまま発芽する種類があります。豆の形のまま発芽するインゲンは、ふやけた豆が地中から顔を出すこととなり、鳥の格好の餌食に!種まきしてから双葉が出そろうまでは、不織布や寒冷紗などでプランターを覆い、守ってあげましょう。
マメ科の植物の英語表記
英語では、地中から双葉を出すタイプをpea(ピー)、豆の形のまま発芽するタイプをbean(ビーン)と、発芽の仕方によって呼び方が異なります。
インゲン栽培に必要なプランターのサイズ・支柱・土・肥料など
インゲンをプランターで育てるときに必要なのは、プランターと土、肥料、支柱です。つるありインゲン、つるなしインゲン、それぞれの栽培に必要なものの違いもチェックしましょう。インゲン栽培に適したプランターのサイズや深さ
つるありインゲン|おすすめのプランターのサイズ
・A:直径30cm以上・B:深さ30cm以上
用意するのは、直径30cmの10号ポットです。プランター1つにつき、3粒程度の種をまき、最終的には2株を育てましょう。
安藤康夫さん
私は10号の鉢を星形に5つ設置し、各ポットに2mの支柱を1本ずつ、真ん中に集めるように斜めに立て、それを頂点で連結して、インゲンタワーを作りました!
つるなしインゲン|おすすめのプランターのサイズ
・A:幅65cm程度・B:奥行25cm程度
・C:高さ20cm程度
横幅が65cmの650型プランターを用意しましょう。ひとつのプランターで3カ所、6株育てられます。
インゲンのプランター栽培に最適な土
プランターでインゲンを育てるときは、元肥入りの野菜用の培養土がベストです。おすすめの培養土
ほかの野菜を育てた土を再利用する場合
一度ほかの野菜を育てた土を使う場合は、酸性の土を中和するために苦土石灰、元肥として油かすをそれぞれひと握りずつ、さらに堆肥または腐葉土を全体量に対して10%くらいの割合で混ぜて、土を再生させておきましょう。▼土づくりについての関連記事はこちら
土を入れる前に!プランターの底には、鉢底石や赤玉石を敷こう
プランターに土を入れる前に、鉢底石を敷きましょう。鉢底石には、土の排水性や通気性を良くする働きがあり、根腐れ予防に効果的です。▼鉢底石についての関連記事はこちら
プランターでのインゲン栽培に最適な肥料
肥料があらかじめ配合されている野菜栽培専用の培養土を使う場合は、元肥は必要ありません。つるなしインゲンの場合追肥は不要ですが、つるありインゲンの場合は追肥用として油かすを準備しておきましょう。
安藤康夫さん
肥料分が多過ぎると、つるや葉ばかりに栄養がいく「つるぼけ」をおこしてしまい、実がつかなくなってしまいます。肥料の量には注意してくださいね。
おすすめの油かす
プランターでのインゲン栽培に最適な支柱
つるありインゲン|おすすめの支柱サイズと本数
つるありインゲンの場合は、2m程度の支柱を、1鉢につき1本用意しましょう。支柱に巻きつきながら上に向かってつるが伸びていくので、ネットは必要ありません。1階にプランターを置くなら、2階からロープ1本を垂らしてそこに巻きつけるのもおすすめです。ロープなら倒れる心配もなく、しっかり上に生長させることができます。収穫の際はロープをゆるめて、手の届くところで収穫するといいでしょう。
つるなしインゲン|おすすめの支柱サイズと本数
つるなしインゲンの場合、長い支柱は必要ありませんが、実がつくと重さで主枝が傾くため、支柱で固定します。2株につき60cmの支柱を1本用意しましょう。鳥から守るために!プランターでのインゲン栽培にあると便利な不織布
発芽し双葉が出そろうまでは、鳥に食べられないように注意が必要です。不織布や寒冷紗で、プランターの土の上を覆っておきましょう。おすすめの不織布
そのほかにあると便利な家庭菜園の道具はこちら
プランターでのインゲンの育て方|つるありとつるなしの違いもチェック!
つるありインゲンとつるなしインゲンをプランターで育てるときの違いは、支柱を立てるタイミングと追肥の有無です。Step1. 種まき
インゲンは、プランターに直接種をまいて育てます。まず、プランターの底から5cmほどの高さまで鉢底石を敷き、縁から5cmほど下まで野菜用培養土を入れます。
つるありインゲン|丸型プランターの場合
真ん中に深さ2cm×直径5cmほどの穴をあけ、1カ所につき種を3粒まき、土をかぶせて鎮圧します。つるなしインゲン|長方形のプランターの場合
最終的に株間が20cmくらいになるような間隔で3カ所、深さ2cm×直径5cmほどの穴をあけ、1カ所につき種を3粒まき、土をかぶせて鎮圧します。Step2. 種まきの後の水やり・鳥害対策・間引き
種をまき終えたら、たっぷりと水を与え、プランターの上部を不織布で覆います。不織布の端をゴムや洗濯ばさみなどでプランターに固定しましょう。発芽したら、1カ所につき生育の良いものを2本残します。安藤康夫さん
3粒の種の力で、土を押し上げて発芽します!
Step3. 支柱を立てる
つるありインゲン|発芽のタイミングで支柱を立てる
発芽して双葉がそろったタイミングで不織布を外し、残した2株の苗の間に支柱を立てておきます。つるが伸び始めると、2株とも1本の支柱に巻きついていくので、特に誘引する必要はありません。安藤康夫さん
ベランダの手すりに支柱をななめに固定すると、つるが手すりに巻きついていくので収穫が楽ですよ!
つるなしインゲン|実がつき重くなってきたら支柱を立てる
高さが30cmくらいになり、実を付け始めると重さで主枝が傾いてきます。株脇に支柱を立て、適所をひもで誘引し固定しましょう。Step4. 水やり
土が乾いたタイミングで、鉢底からあふれるくらいたっぷりと水を与えます。花が咲いたときに水を切らすと、さやがつきにくくなってしまうので、忘れずに水やりをしましょう。Step5. 追肥・土寄せ
つるありインゲン|花が咲いたら追肥
花が咲き始めたら、追肥のタイミング。株元に油かすをひと握り与えます。追肥のとき、土の表面に根が浮いていたら、油かすを混ぜた土で覆いましょう。肥料が多いと全部葉になり実が付かなくなってしまうため、与え過ぎは禁物です。つるなしインゲン|追肥不要!
実が付く期間が10日ほどしかないつるなしインゲンは、肥料が配合された野菜用培養土で栽培をしていれば、追肥は不要です。土の表面に根が浮いていたら、その都度培養土をかぶせてあげましょう。Step6. 収穫のタイミング
やわらかく甘みがありおいしいのは、開花から10日ほど経った若ざや。豆のふくらみが目立つ前に、実のつけ根をはさみで切り取り、収穫しましょう。採り遅れると、さやの中の実が育ち過ぎて硬くなるので要注意!Step7. インゲンの種を採るのも◎
インゲンのさやが茶色く枯れるまで収穫せず、そのまま乾燥させると、中の豆をインゲンの種として収穫することもできますよ。殻を外して天日干しして乾燥させ保存しましょう。マメ科の種の寿命は1年ほど。インゲン豆として食用に収穫できるものもあります。インゲン栽培を終えたプランターの土の再利用方法
葉や茎が黄色く枯れてきたら、根ごと引き抜いてしまいましょう。マメ科の根には、空気中のチッ素を取り込み養分に変える根粒菌が共生しているので、そのまま次の野菜を育てられます。また、インゲンを育てた後の土で、同じマメ科の植物を育てると連作障害が起こりやすいといわれていますので、少し頭においておきましょう。
安藤康夫さん
インゲンを育てた後のプランター栽培には、秋に育てるコマツナやミズナなどの葉物野菜がおすすめですよ!