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ライター - 田中 いつき
フリーランスライター。東京農業大学卒業後、自然体験活動の指導など行う。2014年から企業のオウンドメディアなどで、ライフスタイル、エンタメ、レシピ作成、生き物記事などを執筆。日当たりの悪い庭でも育つ野菜を探して格闘する日々。つい生長を観察してしまうので、雑草を抜くのが苦手。…続きを読む

出典:写真AC
ソテーやおひたし、シチューなど、さまざま料理に活躍する栄養たっぷりな緑黄色野菜のホウレンソウ。プランター野菜専門家監修の元、ホウレンソウの土づくり、種の春まき・秋まきの違い、水やり、収穫時期などのポイントをまとめました。ホウレンソウ栽培に必要なプランターのサイズや深さ、ホウレンソウの品種も要チェックですよ。
畑や庭でホウレンソウを栽培したい方はこちらをチェック!
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プランターで栽培できるホウレンソウの栽培時期と適温

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ホウレンソウの栽培適期は年2回。種まき後、2カ月程度で収穫でき、野菜の中では栽培期間が短く、思い立ったときに栽培を始めやすい野菜です。春まき・秋まき共に、それぞれの時期に育てやすい品種を選ぶようにしましょう。
ホウレンソウの種まきと収穫の時期

イラスト:rie
・種まき:春まき/4月、秋まき/9月
・収穫:春まき/6月、秋まき/11~翌1月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
プランターでのホウレンソウ栽培に適した温度

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ホウレンソウの
栽培適温は15〜20℃。冷涼な気候を好みます。
「土づくり」と「トウ立ち」に注意!プランターでのホウレンソウ栽培のポイント

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ホウレンソウ栽培ではプランターの置き場所や土づくりに注意が必要です。しっかりとチェックして、栽培を始めてから起こるトラブルを減らしましょう。
Point1. ホウレンソウはアルカリ性の土が好き

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ホウレンソウはアルカリ性の土を好み、酸性土壌では育ちません。種まきの前に、
野菜用培養土に石灰を混ぜ、アルカリ性にしておきます。
Point2. ホウレンソウの「トウ立ち」を防ぐ

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ホウレンソウには花芽を出そうと茎が伸びる「トウ立ち」が起きやすい性質があります。「トウ立ち」すると葉の生長が止まり、固くなり食べにくくなります。以下の3つのポイントに気をつけましょう。
1. プランターの置き場所は夜の状況もチェック

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ホウレンソウを育てるプランターは、日当たりと風通しの良いところに置きます。さらに
夜間に街灯や部屋の窓の明かりがホウレンソウに当たるのも「トウ立ち」の原因となってしまうので注意が必要です。野菜を育てるときに日当たりは気にしますが、夜間の明るさは盲点なことが多いもの。種まき前に夜の環境も検討してみてくださいね。
2. 品種の選定は重要

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昼の時間が長くなっていく春まきのホウレンソウは、特に「トウ立ち」を起こしやすくなります。これを防ぐために、
「トウ立ち」しにくい春まき用品種を選びます。種のパッケージの説明をよく読んでから、選ぶようにしましょう。
3. ホウレンソウは早めの収穫を!

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ホウレンソウが20cmを超えたら収穫をします。
20cmを超えると「トウ立ち」しやすくなります。プランターでのホウレンソウ栽培におすすめの品種
ホウレンソウの原産地はアフガニスタン。アフガニスタンから、地球を西へ回って
ヨーロッパ方面で栽培されたものが西洋種に、東へ向かって
アジア方面で栽培された品種が東洋種となりました。どちらの品種も乾燥したアフガニスタンの気候と似た状態を好み、ジメジメと水分が多い状態が苦手です。
春まきするなら西洋種
春まきが可能なのが西洋種です。
春まきで起こりやすいトウ立ちが、西洋種では起きにくくなります。癖が少なく生食のサラダに使われることもあります。
プランター栽培の春まきホウレンソウにおすすめの品種
春まき サラダほうれん草 ボーノ 種
暑さや病気に強く作りやすいホウレンソウです。アクが少なくサラダでもおいしく食べられます。
・内容量:25ml
スプリングほうれん草 種
春まき専用の種で、育てやすい品種です。暑さにも強く、収穫量が多く見込めます。
・内容量:25ml
秋まきは東洋種でも西洋種でもOK
秋まきに向いている東洋種は、肉厚で甘さのあるホウレンソウらしい味わい。西洋種も秋まきできるので、好みに合わせて選んでみてくださいね。
ホウレンソウ 弁天丸 種
寒さに強い秋冬向けの品種です。冬どりにすると、特に株元の葉柄が甘くなります。
・内容量:30ml
西洋大葉ほうれん草 ハンブルグ 種
葉肉が厚く、照りのある濃い緑に育つホウレンソウです。トウ立ちが遅い品種です。
・内容量:25ml
ホウレンソウのプランター栽培で事前に準備するもの|プランターの大きさ・深さ・土など

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プランター栽培では土の量が限られるため、作物の根の張り方に合わせた大きさのプランターを選ぶことが大切です。また、土の種類を間違えるとうまく育ちません。ホウレンソウ栽培に適したプランターのサイズや土を確認しましょう。
ホウレンソウ栽培に必要なプランターの大きさ・深さの目安

イラスト:AGRI PICK編集部
・A:幅65cm以上
・B:奥行20cm程度
・C:高さ20cm程度
幅65×奥行20×高さ20cm程度のプランターで、10株程度を育てることができます。
おすすめのプランター
プランター 65型
葉物栽培に使える浅めのプランターです。軽いので持ち運びやすいです。
・サイズ:幅65×奥行23.5×高さ19cm
ホウレンソウのプランター栽培に適した土・石灰
ホウレンソウを育てるには、
一般的な野菜用培養土に石灰を一握りほど混ぜ込み、アルカリ性にした土を使いましょう。鉢底石には大粒の赤玉土を利用します。
元肥入りの野菜培養土がおすすめ
花・野菜の培養土
通気性と保水性の良い土です。天然の有機質が豊富に含まれていて、よく育ちます。
・内容量:12L
石灰を入れてアルカリ性にしよう
粒状有機石灰
中和能力が穏やかな石灰です。培養土に混ぜ込んだ後、すぐに植え付けられます
・内容量:700g
プランターの底に入れる赤玉土や鉢底石の関連リンクはこちら
ホウレンソウのプランター栽培に適した肥料
ホウレンソウは肥料を与え過ぎると、葉の色がどす黒い緑になり、えぐ味が出てしまいます。
新しい野菜用培養土を使うのであれば元肥はもちろん、追肥の必要もありません。一度、ほかの植物を育てた古い土を再利用する場合にのみ、油かすを追肥するようにしましょう。
古い土を使う場合におすすめの追肥用油かす
醗酵油かす 粉末
醗酵済みで使いやすい油かすです。
・内容量:650g
プランターでできるホウレンソウの育て方|種まき、水やり、追肥の方法など

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プランターへの種のまき方や、水やり、間引きや収穫のタイミングなど、おいしいホウレンソウを育てるための詳しい栽培方法を紹介します!
Step1. ホウレンソウ栽培のためのプランターと土の準備

出典:写真AC
- 水はけを良くするために、プランターの底に大粒赤玉土を3〜5cmほどの厚さに敷きます。
- 石灰を一握りほど混ぜた野菜用培養土を、プランターの縁から5cm下くらいの高さまで入れます。
しっかりアルカリ性にしよう!西洋種は特に注意
ホウレンソウの
西洋種では、土壌の酸度をph6以上にしないと生長が止まってしまいます。アルカリ性になっているかどうか調べるには、土壌酸度計を利用すると便利ですよ。
▼あると便利!土壌酸度計の関連記事はこちら
Step2. プランターへのホウレンソウの種まき方法

イラスト:AGRI PICK編集部
- 列間10cmになるように、深さ1cmの溝を2列つけます。
- その溝に1cm間隔で種をまきます。
- 表面の土が平らになるように、溝の両脇の土をかぶせて手で押さえます。
- ジョウロでたっぷりと、プランターの土全体に水をかけます。
Step3. 水やりし過ぎないように気をつけよう

撮影:AGRI PICK編集部
毎日定期的に水やりをするのではなく、
土が乾いたらたっぷりと水を与えましょう。プランター栽培の場合、水のやり過ぎは失敗の元なので気をつけましょう。
Step4. 雨が続くときは、プランターの雨除けを

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ホウレンソウは、乾燥地帯の原産の植物なので過湿を嫌います。
春まきでは梅雨の時期は軒下に移動させるか、梅雨の前に収穫してしまいましょう。秋まきでも雨が続く予報のときは、雨除けの対策をしましょう。
Step5. ホウレンソウの間引きは必ずしよう!

撮影:AGRI PICK編集部
本葉が3枚になったら、株間10cmになるように間引きします。残す苗の根を痛めないように注意して、ゆっくりと引き抜きましょう。
間引き菜はベビーリーフとして食べよう

出典:写真AC
間引いたホウレンソウは食べることができます。ベビーリーフとしてサラダにしたり、みそ汁にちょっと入れたりと活用してくださいね。
うちではルッコラやイタリアンパセリも育てているので、ホウレンソウの間引き菜と一緒にグリーンサラダにして食べていますよ。
Step6. ホウレンソウへの追肥は必要なし!

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野菜用培養土を使うのであれば、ホウレンソウは追肥なしで育てることができます。再利用土の場合は、本葉が4〜5枚になったら株元に油かすを1つまみ程度与えます。
Step7. プランター栽培のホウレンソウは、20cmを超えたら収穫!

撮影:AGRI PICK編集部
草丈が20cmを超えたら、随時収穫していきます。こちらも残す苗の根を痛めないように、そっと引き抜きます。
大きくし過ぎると、えぐみが出たり、トウ立ちしたりと良いことがないので早めに収穫していきましょう。
葉が育たない、害虫がついているなど、プランターでのホウレンソウ栽培のトラブルと対策

撮影:AGRI PICK編集部
新しい野菜用培養土を使ったホウレンソウのプランター栽培では、病害虫の被害は多くはありませんが、土の作り方や過湿な状況によってトラブルが起きることも。トラブルの種類をチェックして対策しましょう。
ホウレンソウの株が大きくならない場合

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プランターでのホウレンソウ栽培で、「株が大きくならない」「葉が生長しない」という場合は、土に問題があるかもしれません。
酸性の土を嫌うホウレンソウを育てるときは、必ず土をアルカリ性にしましょう。再利用の土はもちろん、中性に調整された培養土でも
石灰を一握り入れると、育ちやすくなりますよ。プランター栽培でのホウレンソウの病気

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過湿な状態が続くと、葉に黄色い斑点ができるべと病や、倒れてしまう苗立枯病などが起きます。水を与え過ぎず、土の中の水はけを良くし、長雨のときは雨除けをしましょう。
ホウレンソウの病気についてさらに詳しく知りたい場合は、こちらの記事でチェック
ホウレンソウにつく害虫は?

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肥料を入れ過ぎると、アブラムシがやってくることがあります。アブラムシは葉の裏について、草の汁を吸ってホウレンソウを弱らせます。水やりのタイミングで、葉の裏側や茎にアブラムシがついていないかチェックし、ついていたら捕殺します。ガムテープなどの粘着テープを使ってくっつけて取ると簡単ですよ。
秋まきでは鳥害に注意!

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新鮮で柔らかい葉がなくなる冬。食べ物が少なくなったムクドリやヒヨドリが青菜を狙ってやってくることがあります。1羽が食べる量は多くありませんが、冬には群れで動くので、被害に遭うと全滅ということも。
秋まきで収穫が冬になる場合は、鳥よけするようにしましょう。冬に90cmのプランター2台で育てていたホウレンソウがムクドリの群れに狙われ、数時間で丸ハダカにされたことがあります。
プランターでホウレンソウを栽培してみよう!

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色鮮やかで栄養たっぷりなホウレンソウ。比較的育てやすく収穫までも早いので、家庭菜園向きの野菜ですね。自分で育てた採りたてホウレンソウで作るサラダやおひたしは、格別の味になること間違いありません。種まきする時期や好みの品種を選んで、おいしいホウレンソウを育ててみてくださいね!