輪紋病 | 防除方法とおすすめの使用薬剤(農薬)

トマトやナシ、リンゴなどの葉や実に同心円状の褐色の病斑ができる輪紋(りんもん)病の原因、感染しやすい時期や環境など、防除方法やおすすめの薬剤(農薬)を詳しく説明します。


輪紋病

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輪紋(りんもん)病とは、葉や果実に同心円状で褐色の病斑ができる病気です。多発すると生育が悪くなり、果実に発症すると商品価値がなくなってしまう重要な病気です。そんな輪紋病の発見のポイントを押さえて予防と早期発見、防除を心がけましょう。

輪紋病の症状は同心円状の病斑

「葉に茶色の病斑ができた」「病斑が大きくなると、輪のような模様が見える」などの症状が現れたときは輪紋病を疑いましょう。
輪紋病は葉や果実、枝などから発症する病気です。「輪紋病」と名前がつく病気でも、植物によって感染する菌の種類が異なります。
本記事ではトマト輪紋病とリンゴ・ナシの輪紋病について詳しく説明します。

トマト輪紋病

輪紋病
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葉に褐色の小斑点ができて、次第に拡大し円形または不正円形の病斑となり、その中に同心輪紋を生じます。多湿状態のときには表面にビロード状のカビが生えます。
葉以外にも、茎や葉柄(ようへい)、果実、果梗(かこう)に発病する場合もあります。
ナス、トウガラシ、ジャガイモなどナス科植物にも感染します。
※葉柄とは葉の一部で、茎・枝につながる柄(え)のような所のこと。
※果梗とは葉から果実までの枝の部分のこと。

菌名  Alternaria solani
分類  糸状菌
発生時期  7〜9月
発生適温  28~30℃
▼病原体のことならこちらをご覧ください。

トマト輪紋病は土壌伝染性病害

病原菌は被害植物の残渣(ざんさ)で土壌中で越冬して、伝染源にとなります。土壌の病原菌が飛散して、トマトの茎葉に感染します。発病すると、病斑状に分生子が作られてほかの葉や植物体に伝染します。
また、種子表面に付着して種子伝染もします。
※残渣とは枯れた植物や落ち葉のこと。

トマト輪紋病が発生しやすい条件とは

トマト輪紋病が発生しやすい環境や土壌について説明します。

◆発生時期、気温

発生時期は7~9月で、発病適温は28〜30℃と高温を好み、真夏でも発生します。
ハウス栽培では年中発生がみられます。

◆乾燥

土壌が乾燥して、水切れを起こすような条件で発生しやすくなります。

◆肥料不足

生育後期で肥料不足を起こすと、発生が助長されます。

トマト輪紋病に有効な防除方法

トマト輪紋病に有効な防除は圃場(ほじょう)の管理で行う方法(耕種的防除方法)と「農薬」の使用で行います。
※圃場とは、田や畑のような農作物を育てる場所のことです。

トマト輪紋病を発症させない管理方法

農薬を使わずに行うトマト輪紋病の予防方法について説明します。

1. 植物残渣の処理

前作の枯れた終えた植物にトマト輪紋病が感染している可能性があります。
残渣は圃場外に持ち出して処理します。

2. 無病種子を使う

トマト輪紋病は種子の表面について伝染することから、自家採種の種子はなるべく使用せず、種子更新を行いましょう。

3. 育苗トレイ、ポットなど資材の消毒

前作で使用した育苗トレイ、ポットなど資材に病原菌が付着して伝染する可能性があるため、資材の使用後、使用前は消毒することをおすすめします。
資材の消毒にはケミクロンGの500〜1000倍処理がおすすめです。
ITEM
ケミクロンG
本剤はあらゆる病原菌に対し強い殺菌力を持っており、農業用資材や用水の消毒にすばらしい効果を発揮します。
使用方法が簡単でしかも薬剤は速やかに分解消失します。

・内容量 500g
・有効成分 カルシウムハイポクロライト(70.0%)

4. 保水性の良い圃場づくり

水切れを起こすと、トマト輪紋病に感染しやすくなります。
水持ちを良くするには腐植などの土壌改良材を投入するほか、敷きワラやマルチで土壌表面を覆うと効果があります。
▼土壌改良のことならこちらをご覧ください。

▼マルチのことならこちらをご覧ください。

5. 肥料切れに注意

生育後半に肥料切れを起こさないように注意します。適量の元肥と、追肥の時期を逃さないようにします。
施肥量を決める際は土壌分析をすることがおすすめです。
▼ECメーター(窒素分測定)についてはこちらをご覧ください。
▼トマトの施肥など栽培方法についてはこちらをご覧ください。

トマト輪紋病の防除に効果的な「農薬」

農薬を使用してより効果的にトマト輪紋病を防除しましょう。薬剤散布の効果は高いので、発病前から定期的に散布してください。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

◆保護殺菌剤で菌の感染を予防

菌の発芽を防ぐ、保護殺菌剤です。予防的散布で効果が高いです。
ITEM
ジマンダイセン水和剤
マンゼブはジチオカーバメート系の保護殺菌剤で 植物体上に付着して主として胞子発芽を強く抑制する事により、病原菌の侵入を阻害し殺菌効果を発揮します。
SH酵素など多作用点を阻害するので薬剤耐性が発達しにくく、他剤の耐性菌対策としても効果が期待できます。
多くの作物の病害対策にもっとも広く利用されている殺菌剤のひとつで、国内では39作物の100種類を越える病害、 また柑橘には害虫(チャノキイロアザミウマ、ミカンサビダニ)に使用できます。

・内容量 250g
・有効成分 マンゼブ(80.0%)

◆ほかの病害も一気に防ぐ

多くの病害に効果があるので、輪紋病と同時防除ができます。
ITEM
ダコニール1000
広範囲の病害に有効です。
発売以来耐性菌の出現事例はありません。。
水中分散性・懸濁性に優れていますので、所定量を水中に入れ撹拌すれば速やかに安定した散布液ができます。
有効成分が微粒子なので植物に均一に付着し、高い防除効果を発揮します。

・内容量 250ml
・有効成分 テトラクロロインソフタロニトリル(TPN)(40.0%)

▼農薬についてはこちらをご覧ください。



リンゴ・ナシ輪紋病

主に枝や果実に病斑を作ります。果実では収穫期のころに茶〜黒褐色の同心輪紋状の病斑ができ、軟化腐敗します。
また、枝に発病して特徴的なイボ病斑をつくることから別名イボ皮病ともいわれます。
同じ病原菌がニホンナシ、セイヨウナシ、 リンゴにも感染し、ナシやリンゴの間で交互に感染することもあります。
菌名  Botryosphaeria berengeriana
分類  糸状菌
発生時期  6〜8月
発生適温  25~30℃

病原菌は幹や枝の病斑から降雨で飛散する

幹や枝に形成されたイボ皮病斑が伝染源となります。病斑の表面に柄胞子(へいほうし)を形成し、柄胞子は5〜10月までの長期間飛散します。6月下旬から8月下旬にピークに達して飛散量が多くなります。
飛散は降雨に伴って起こり乾燥条件下では飛散しません。長雨の時期には病気が発生しやすくなります。
果実では菌糸の形で潜伏し、収穫の成熟期ごろになると発病します。
※柄胞子とは柄子殻と呼ばれる殻から出る胞子のこと

リンゴ・ナシ輪紋病に有効な防除方法

リンゴ・ナシ輪紋病に有効な防除方法について説明します。
※農薬使用の際は必ず作物登録、使用方法をラベルで確認してください。地域の防除指導機関やJAなどの使用基準を守り施用してください。

1. イボ病斑と周囲の樹皮の削り取り

伝染源となるイボ病斑は周辺の樹皮と一緒に削り取ります。イボ病斑が多発している若い枝は枝ごと切り落とします。
削り取った部分や傷口には塗布剤を塗布します。
ITEM
トップジンMペースト
殺菌力が強く、浸透性の高いチオファネートメチルを配合した殺菌塗布剤です。
病患部を削り取ったあとの傷口、剪定、整枝、環状はく皮時の切り口などに塗布すると、 木質部の亀裂、雨水や雑菌の侵入を防ぎ、新しい組織の形成を促進します。
日やけ・凍害・つる直しなどによる傷口に予防的に塗布すると、病原菌の侵入を防ぐことができます。

・内容量 200g
・有効成分 チオファネートメチル(3.0%)

2. 早期の袋掛け

病原菌が果実の表面に付着しないように、袋掛けは胞子飛散が多くなる前の6月中旬までに終わらせます。

3. 5〜7月の農薬散布

5〜7月に果実に最も感染が多くなる時期です。果実をはじめ新梢や主枝部にも十分に薬剤がかかるように散布しましょう。
梅雨時期と重なりますが、散布間隔があかないように晴れ間に定期的に散布することをおすすめします。

予防散布にはコレ!保護殺菌剤

病原菌の胞子発芽を強く抑えます。発病しないように定期的に散布しましょう。
ITEM
オキシンドー水和剤80
強い保護殺菌力のある有機銅の高含有製剤です。
果樹や芝生の諸病害に耐性菌出現のおそれが少なく、総合殺菌剤として使用できます。
散布液は物理性にすぐれ使いやすく、特にSSやスプリンクラーによる多量散布に適しています。
他剤との混用範囲も広く、人畜毒性も低く安全に使用できます。

・内容量 500g
・有効成分 8-ヒドロキシキノリン銅(80.0%)

多発が予想される場合に

予防から初期発生まで使用できます。
ITEM
トップジンM水和剤
広い範囲の植物の広い範囲の病気に、高い効果と残効性があります。
低濃度で高い効果があり、作物の汚れが少ない農薬です。
浸透移行性に優れ、速やかに植物体内へ取り込まれ、植物体内に潜む病原菌を根本から退治します。
激発時の蔓延防止に素晴らしい効力を発揮します。

・内容量 100g
・有効成分 チオファネートメチル(70.0%)

▼農薬についてはこちらをご覧ください。

輪紋病対策に何より大事なのは予防と早期発見

輪紋病は葉や果実に同心円状の病斑を作り、商品価値を無くしてしまう病気です。早めの予防と、発見で圃場での蔓延を防ぎましょう。
トマト輪紋病は種子や資材からも伝染するので注意します。リンゴ・ナシ輪紋病は枝のイボ状病斑から伝染するので、発生する前に病斑の切除、および果実の防除を心がけましょう。

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rinko

農学部大学院にて植物病理学の修士号を取得。 農協、農業資材メーカーで合わせて約10年間、農家へ栽培技術指導、病害虫診断業務を担当。現場で得た経験と知識で正確な情報をお伝えします。