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ライター - AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
![上から見たパキラの鉢植え](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20427'%3E%3C/svg%3E)
出典:PIXTA
とても丈夫な性質で育てやすいことから、ポピュラーな観葉植物として親しまれている「パキラ」。そんなパキラは、生育が旺盛になる時期であれば、挿し木で簡単に増やすことができます。お気に入りのパキラを増やして、いろいろな場所に飾るのも良いですね。
そこで今回は、パキラの挿し木に挑戦!観葉植物のプロに、失敗しないためのコツやテクニックを教えてもらいました。「挿し木が大きくならない」「根が出ない」といったトラブルQ&Aも必見です!ぜひチェックしてみてくださいね。
パキラの詳しい育て方はこちらの記事で紹介しています!
パキラの挿し木に適した時期は?
![剪定したパキラの枝3本](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20480'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
パキラは挿し木で増やすことが可能です。適期であれば発根しやすく、失敗も少なくなくなりますよ。
パキラの挿し木に適した時期
パキラを挿し木で増やすのに適した時期は、
5月下旬~9月上旬です。気温が上がるこの時期は、パキラの生育が旺盛になるため発根も早く、成功率が上がります。
剪定で出た枝を挿し木にするのもおすすめ!
![水揚げしているパキラの枝](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
パキラは生長スピードが早いため、定期的な剪定(せんてい)が必要になります。剪定で出た枝は、捨てずに挿し木にしてみましょう。切りっぱなしにしているとしおれてしまうので、水に入れた容器に浸しておいてくださいね。
パキラの枝を切る場所など、詳しい剪定方法はこちらの記事で!
パキラの挿し木方法|挿し穂の作り方や土選びなど、プロがコツを伝授!
![植え替え前のパキラの鉢植え](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20571'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
それではさっそく、パキラの挿し木に挑戦してみましょう!今回は、生長して姿が乱れたパキラを剪定し、切り取った枝を挿し穂にしようと思います。観葉植物のプロに、失敗しないやり方を聞きながら作業を進めていきます。
挿し木に必要なもの
![床に並べたパキラの挿し木作業に必要なもの](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
パキラの枝
挿し穂にするパキラの枝を用意します。1本だけでも良いですが、挿し木は100%成功するというわけではないため、何本かあると安心です。
3節ほどの長さになるようにカットしておきましょう。
挿し木用の枝は、若過ぎても良くありません。成葉がそろっており、充実した枝を選びましょう。
鉢
挿し木用の鉢は小ぶりのものでOK。用土を入れる前に、ゴロ土や鉢底石を入れておきましょう。鉢底穴から用土が流れ出てしまうのを防ぎ、排水性も高めてくれます。
用土
挿し木には、水はけが良く、清潔な用土が適しています。初心者は、市販の専用配合土を使用すると安心です。または、雑菌が少ない赤玉土やバーミキュライトもおすすめ。粒が大き過ぎると挿し穂(枝)が安定しないため、小粒タイプを使うようにしましょう。
粒子が細かく、挿し芽のしやすい専用配合土。特殊パーライトが水の浸透性を高めます。生育を早める活力材も配合。
内容量 | 2L |
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成分 | バーミキュライト、パーライト、鹿沼土、ピートモス |
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▼赤玉土やバーミキュライトについては、こちらの記事をチェック!
はさみ
枝を適度な長さに切ったり、挿し穂の葉をカットするのに使います。
細長い棒
割りばしなどの棒で土に穴をあけておくと、挿し穂が挿しやすくなり、枝が折れてしまうのを防ぐことができます。
Step1. 挿し穂の切り口を斜めにカットする
![挿し穂の切り口をはさみでななめにカットする様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
![パキラの挿し穂の切り口のアップ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20297'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
吸水性をアップさせるために、挿し穂の切り口を斜めに切って面積を広げます。
Step2. 葉数を減らす
![はさみで切って葉数を減らす様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20295'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
挿し穂に葉が何枚もついていると
水分の蒸散量が増えてしまうため、葉数を減らします。葉は1~2枚程度残し、余分な葉は葉柄の付け根から切り落としましょう。
Step3. 葉を切って小さくする
![はさみで葉を半分に切る様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
![葉を半分に切って完成したパキラの挿し穂](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
さらに蒸散を抑えるため、
挿し穂に残した葉も1/3~1/2の大きさになるようにカットします。
Step4. 挿し穂を水揚げする
![挿し穂の水揚げ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20308'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
水を張った容器に挿し穂を浸し、
1~2時間程水揚げしておきます。
Step5. 用土に穴をあけて挿し穂を挿す
![用土に棒で穴をあける様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20294'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
![パキラの挿し穂を用土に挿す様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20305'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
用土を水で湿らせてから、棒で穴をあけて挿し穂を挿していきます。倒れない程度の深さであればOKですが、
1節分は埋まるようにしましょう。
Step6. 挿し木の完成!
![挿し穂をすべて挿し終わったパキラの挿し床](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20313'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
最後に、もう一度挿し床に水やりをしたら、作業は終了です!
今回は挿し床に赤玉土を使いましたが、たっぷりと灌水(かんすい)することで、付着している微塵(みじん)を鉢底穴から流出させることができます。微塵が残っていると、その後の水やりで固まってしまい、水はけが悪くなるので注意しましょう。
パキラの挿し木・その後の管理方法|置き場所や水やりなど
![腰水にしたパキラの挿し木鉢](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20487'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
置き場所
風通しの良い半日陰で管理します。挿し床がムレないように注意しましょう。
観葉植物に適した置き場所とは?こちらの記事をチェック!
水やり
挿し穂が発根するまで、常に用土が湿っている状態をキープしましょう。
今回は小粒の赤玉土を使いましたが、すぐに乾いてしまうのが欠点。こまめに水やりをするのも良いですが、水を張った容器に鉢を入れておく腰水にすると手間がかかりませんよ。
観葉植物への水やり方法や、便利な給水グッズについてはこちら!
挿し木に肥料はNG!
早く根を出したいからといって、挿し床に肥料を与えるのは厳禁。施肥により浸透圧が生じ、挿し穂の水分が引き出されて枯れてしまう原因になります。
パキラの挿し木が発根するまでの期間と、鉢上げのタイミング
![パキラの挿し床の土のアップ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20480'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
パキラの挿し木が発根するまでの期間
元気な親株から挿し穂を取ったのであれば、
10日~2週間ほどで発根します。弱っている株を更新させるために挿し木をする場合は、挿し穂の勢いがないため、1カ月ほどかかることも。茶色く枯れなければダメにはなっていないので、気長に発根を待ちましょう。
挿し木苗を鉢上げするタイミング
![パキラの挿し穂を手で軽く引っ張り発根を確認する様子](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20410%20278'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
挿し穂を軽く引っ張ってみて、抵抗を感じたら発根しています。
根が出たら、2週間~1カ月半の間に鉢上げしましょう。植え替えする鉢は5号以下の小さなサイズがベター。大き過ぎる鉢では、密度のある根鉢を形成できないため注意しましょう。用土は、観葉植物用の配合土でOK。できるだけ水はけを優先させたものを選ぶようにしてください。
観葉植物の挿し木・挿し芽・葉挿しの方法は、こちらの記事でも紹介!
パキラの挿し木は水栽培や水耕栽培もOK|水から土へ植え替える際の注意点は?
![チェストの上に置いたパキラの水挿し](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20480'%3E%3C/svg%3E)
撮影:AGRI PICK編集部
水で発根させ、水栽培やハイドロカルチャーなどの水耕栽培に!
パキラの挿し木は、土だけでなく水に挿して発根させることもできます。
常に水に浸かっている状態なので、葉は小さくカットしなくても良く、生け花感覚で楽しめます。容器は発根が確認できる透明なものがおすすめです。根腐れ防止剤をひとつかみ入れておくと、水もにごりにくくなり、水換えの面倒もなくなりますよ。
パキラをそのまま水で育てたいという場合は、ハイドロカルチャーなどの水耕栽培にするのも良いでしょう。土栽培のように大株に育てることはできませんが、清潔感があるので室内で育てるにはおすすめです。
透明な容器は、光が当たる場所に置いていると藻類が発生しやすくなります。気になる人は、定期的に容器を洗うようにしましょう。
ハイドロカルチャーについては、こちらの記事で詳しく紹介しています!
水から土に植え替える際の注意点
水栽培していたパキラを土に植え替える予定であれば、発根したら早めに土栽培に切り替えましょう。
長期間水で育てていると、水に適応した根になってしまい、土に植えたときにうまく水分を吸収できず枯れてしまうことがあるためです。
水から土に植え替えた後、最初の2週間~1カ月は水を多めに与え、徐々に根を土に慣らすようにしましょう。土は排水性の高いものにし、表面が乾き始めたらすぐに水やりします。土が乾き切らないように注意してくださいね。
観葉植物におすすめの土の種類や配合については、こちらの記事で!
パキラの挿し木の生長スピード|挿し木苗の幹は太くなる?
![まだ幼いパキラの葉のアップ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20425'%3E%3C/svg%3E)
出典:PIXTA
生育旺盛なパキラは、挿し木にしてもぐんぐん生長します。伸びるスピードは早いですが、ひょろひょろとした細い幹になりがち。園芸店などで販売されている株は、冬のない南国で地植え栽培されたもので、鉢植え管理ではあのような太い幹になるまでには10年以上かかってしまいます。
挿し木苗のパキラの幹は太くなる?
時間はかかりますが、生長と共に幹全体が均等に太くなります。ただし、実生株のように幹の基部がぷっくりと太くなることはありません。
パキラは種でも増やせるの?実生株と挿し木株の違いとは
![パキラの小さな苗](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20427'%3E%3C/svg%3E)
出典:PIXTA
パキラは種まきでも増やせる
種でもパキラを増やすことは可能です。しかし、パキラは樹齢を重ね、大木にならないと花を咲かせて結実しません。十分大きくなるには、冬でも最低15℃以上になるような自生地に似た環境が必要。そのため、日本の一般家庭でパキラの種を採ることは難しいでしょう。ただし、ネット通販ではパキラの種が販売されていることもあるので、入手したら実生に挑戦するのも良いかもしれませんね。
実生株と挿し木株の見分け方
販売されているパキラのほとんどは、海外から輸入された実生株です。実生株の特徴は、幹の基部がぷっくりと膨らんでいること。挿し木株は、生長しても基部は太くならず細いままです。そのため、
実生株と挿し木株を見分けるためには、幹の基部に膨らみがあるかどうかをチェックしてみましょう。
パキラの幹を編み込みにしたい!挿し木苗からできる?
![編み込まれたパキラの幹のアップ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20427'%3E%3C/svg%3E)
出典:PIXTA
数本の幹が編み込みになったパキラをよく見かけます。挿し木で増やした株を編み込みにしてみたい!という人もいるかもしれませんが、一般家庭でパキラの幹を編み込むのは非常に困難。
まだ若い株でも幹は十分硬いため折れやすく、また、販売されているパキラのように均等な編み込みにはできません。販売されている編み込みのパキラは、東南アジアの種苗場で専用の器具などを使い、専門業者によって加工されているのです。
大きくならない!根が出ない…|パキラの挿し木に関するQ&A
![白い板の上に置かれたパキラの葉](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20427'%3E%3C/svg%3E)
出典:写真AC
ここでは、パキラの挿し木に関するよくある疑問やトラブルの対処法について、観葉植物のプロ・白田さんに聞きました。ぜひ参考にしてみてくださいね!
Q. パキラの挿し木がなかなか大きくならない!生長を促進するには?
パキラの生育に適した環境であれば、挿し木が大きくならないということはありません。挿し木が失敗してしまうのは、光量不足が一番多い要因ですが、気温の低い冬に挿し木をして根が出ないまま枯れてしまうというパターンもあります。暗い場所に置いていないか、気温は低過ぎないか環境を確認してみましょう。
Q. パキラの挿し木から根が出ない…どうすれば発根しますか?
挿し穂の勢いがないと発根までに時間がかかることがあるので、まずは1カ月ほどは様子を見てみましょう。挿し穂の葉が茶色く枯れてしまったら、残念ですが失敗です。挿し木の成功率は100%ではないので、保険として挿し穂は何本か用意することをおすすめします。また、挿し木をする時期や、挿し床を管理する環境も適しているか確認してみてください。
Q. 葉がないパキラを復活させたい!挿し木で更新できますか?
パキラがどのような状態なのかにもよります。水切れにより落葉してしまったのであれば、きちんと水を与えれば再び葉が生えてきますが、根腐れして葉がなくなったパキラは体力がなくなっているので、挿し木をしても失敗する可能性も。十分生命力があるパキラなら、幹の部分を胴切りし、土に植えても復活します。自生地の気温に近い時期に行い、上下を間違わないように挿すように注意しましょう。
パキラを挿し木で増やしてみよう!
![鉢植えのパキラの葉のアップ](data:image/svg+xml,%3Csvg%20xmlns='http://www.w3.org/2000/svg'%20viewBox='0%200%20640%20427'%3E%3C/svg%3E)
出典:写真AC
パキラはとても丈夫な観葉植物なので、初心者でも挿し木で簡単に増やすことが可能です。挿し木株をミニ観葉植物として、テーブルの上などで楽しむのも良いですね。パキラを剪定したら、枝を捨てずにぜひ増やしてみてはいかがでしょうか。涼し気な水栽培もおすすめです!