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ライター - AGRI PICK 編集部
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出典:Pixabay
「海沿いのおうちでもガーデニングを楽しみたい!」そんな夢をお持ちの人も多いのではないでしょうか。
海の近くで庭木を育てるときの懸念点が潮風です。潮風に弱い樹木だと、枯れてしまったり生育不良になったりと思うように育ちません。
今回は、海の近くでも育てやすい樹木を20種紹介します。シンボルツリーにもなるおしゃれな樹木がいっぱいです。
海沿いで樹木が育ちにくい理由

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そもそも海の近くでは、なぜ樹木が育ちにくいのでしょうか。
これは、海風に含まれる塩分が原因です。海風には小さな水滴となった海水が含まれ、それが植物の葉や幹に付着します。塩分が付着したところから水が蒸発し、みるみる元気を失ってしまうのです。
さらに、海水が土壌に吸収され塩分の濃度が上がると、植物が水を吸収しづらくなります。これは⽔分がイオン濃度を⼀定に保つために、濃度が薄い⽅から濃い⽅へ移動する「浸透圧」の作⽤によるものです。塩分は植物の生長を妨げる厄介な相手といえます。
海沿いでは耐潮性の高い樹木を選ぶ

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植物によっては、海沿いでも育つよう進化した「耐潮性(たいちょうせい)」の高いものがあります。葉から塩分が吸収されにくいものや、塩分が高い土壌でも育つもの、種類によっては塩分が高い土の方が育ちやすい植物も。
海沿いのガーデニングでは耐潮性の高いものを選ぶようにしましょう。
塩害に強い樹木|シンボルツリー【3選】

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「シンボルツリー」はその名の通り、庭の象徴になる樹木のことです。庭の中心や人の集まるところに植えられ、庭の雰囲気を演出したり、全体の雰囲気に統一感を与えたりといった効果があります。
海沿いの家では、特に塩害に強いものをシンボルツリーとして選びたいですね。
1. オリーブ

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オリーブは冬でも葉が落ちない常緑樹です。一年中見栄えが美しく落ち葉の掃除の手間もかからないため、シンボルツリーにおすすめです。
「平和」「家庭円満」などをあらわす縁起の良い樹木で、乾燥に強くて育てやすいというメリットもあります。
オリーブは樹形を簡単に整えられるので、生垣にする人も多いです。品種により直立形の性質のもの、開帳形の性質のものがあるため、生垣にする際は開帳形を選ぶと良いでしょう。
オリーブの品種
オリーブを地植えするときの育て方
2. 月桂樹

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月桂樹は一年中緑の葉が楽しめる植物です。
春には丸いポンポンのような黄色い花、秋には1cm弱の紫の実をつけ、季節ごとにさまざまな変化が見られます。葉は隙間なく茂るので道から家への目隠しにもなり、まさにシンボルツリーにぴったりの樹木といえるでしょう。
月桂樹は別名「ローリエ」といい、乾燥した葉で肉や魚の臭みをとったり、香りづけをしたりと料理にも使われます。
大きくなると樹高が10mを超え枝葉がよく茂るので、定期的に剪定して樹形を整えましょう。
3. オオシマザクラ

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シンボルツリーのほか、街路樹としても人気なのがオオシマザクラ。伊豆諸島や房総半島などの海沿いに自生することから、潮風にも強い桜です。
病気などにも強く、自宅で簡単に育てられるのも魅力。ただし、害虫の被害にあいやすいので、定期的に消毒が必要です。
サクラといえばピンクのイメージが強いですが、オオシマザクラは白い花を咲かせます。自宅で桜が楽しめるなんてすてきですよね。
塩害に強い樹木|花も楽しめる【6選】

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海沿いでも美しい花が楽しめる樹木がたくさんあります。お庭に植えるのであれば、見た目だけではなく、香りも楽しめるものがおすすめです。
1. シャリンバイ

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シャリンバイは潮風のほか大気汚染や暑さにも強い常緑性の樹木です。
厚みがあり光沢のある葉は一年中楽しめ、5~6月には多くの白い花、秋には黒緑色の果実も色づきます。葉が枝先に車輪状に集まることと、花が梅に似ていることからその名がつきました。
2. ブラシノキ

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ブラシノキはオーストラリア原産の低~高木の常緑性の樹木です。
コップを洗うブラシのような赤い花が特徴です。赤以外にも赤紫、ピンク、白などに色づく品種もあります。真夏の暑さにも強く、日当たりが良ければ植えっぱなしでも元気に育ちます。
3. ヒイラギモクセイ

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ヒイラギモクセイはヒイラギとギンモクセイの雑種といわれています。葉はヒイラギ、花はギンモクセイにそっくりです。
花の香りはキンモクセイに似ていますが、キンモクセイよりもさわやかで甘過ぎず上品です。
4. ヤブツバキ

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ヤブツバキは一般的に「ツバキ」と呼ばれる常緑樹です。冬から春にかけてきれいな赤色の花が楽しめます。
日本では古くから庭木として親しまれています。夏には毛虫がつくこともあるので、殺虫剤で退治しましょう。
5. サルスベリ

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サルスベリは「百日紅」とも書き、開花期が長いのが特徴です。ピンク、白、濃い紅紫、紫などの花が夏~秋の間楽しめます。
6. トベラ

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トベラは春~初夏にかけて枝先に小さな星型のクリーム色の花を咲かせます。クチナシに似た甘い香りが風にのって周囲に広がり、庭全体が香りに包まれます。ただし、枝や葉を切ると強烈な悪臭を放つため、不必要な剪定は禁物です。
塩害に強い樹木|葉が美しい【4選】

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海沿いでも美しい葉が楽しめる樹木も多くあります。こまめな剪定が必要な種類もあるので、事前に調べておきましょう。
1. クロマツ

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とがった葉が特徴的なクロマツは、和風の庭園や盆栽などで日本人に親しまれる定番の樹木です。防災林にも使われるくらい防潮性に優れています。樹高20m以上になることもあるので、定期的な剪定が必要不可欠です。
2. シラカシ

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明るい緑色の葉が特徴でどんぐりの木としても知られているシラカシ。寒さに強く大きく育つので街路樹としても人気です。好みの大きさや高さに保つためには、こまめな剪定が必要になります。
3. カイヅカイブキ

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カイヅカイブキはらせん状に旋回する円錐形の樹木です。葉が密に茂るため、刈り込みをして好きな樹形に仕立てる楽しみがありますよ。
4. ウバメガシ

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ウバメガシはクヌギやカシの仲間で、しっかりと厚みがある葉をつけます。葉の色はつやつやした黄緑色で、庭を明るい雰囲気に演出できます。葉が密集しており小枝が多いので、丸く刈り込んで仕立てることもできます。
塩害に強い樹木|実がつく【3選】

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実が楽しめる樹木も塩害に強いものがあります。食べられる実なら見て楽しんで、食べて楽しんでと満喫できますね。毎年実りの季節が待ち遠しくなりそうです。
1. フェイジョア

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ニュージーランドでよく食べられるフルーツ、フェイジョア。庭木としても育てやすく、秋にグリーンの実がなります。パイナップルのような香りの実は食物繊維、ビタミンCが豊富でおいしく食べられます。
フェイジョアのおすすめ品種
フェイジョアの育て方
フェイジョアの味や食べ方
2. サンゴジュ

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サンゴジュは秋に赤い実が垂れ下がるように実り、珊瑚のように見えることからその名がつきました。
風に強く海岸の防風垣などにも用いられます。熟した実は周辺に落下するので、こまめな掃除が必要となる時期もあります。
3. ビワ

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夏にオレンジ色の実がなるビワ。実がおいしく食べられ病害虫にも強いため、庭木として人気です。大きく生長すると実が収穫しづらいので、こまめな剪定で樹高をおさえるのがおすすめですよ。
ビワの木の育て方
ビワの効能
塩害に強い樹木|生垣に【4選】

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塩害に強い樹木の生垣は、家を人目からも潮風からも守ってくれます。一年中緑が鮮やかなもの、花も楽しめるものが人気です。
1. マサキ

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丸くてつやつやした明るい緑色の葉が鮮やかなマサキは刈り込みに強いことから生垣にも人気です。常緑樹なので、一年を通して緑が楽しめます。
2. イヌツゲ

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イヌツゲは小さく丸い葉が生い茂り、球型仕立てや玉散らし仕立てなど、好きな形に刈り込んで楽しめます。生長が早いため剪定を頻繁に行わないと形が崩れやすく、注意が必要です。
3. サザンカ

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咲き誇る花で美しい生垣をつくるならサザンカがおすすめ。
サザンカはツバキ科の植物で花もツバキに似ていますが、ツバキは花が散るとき花首から落ちるのに比べ、サザンカは花びらが落ちるという違いがあります。晩秋~初冬に赤、白、ピンクなどの花を咲かせます。
4.モチノキ

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モチノキはたくましく風に強いことから、古くから防風用の生垣として用いられてきました。
刈り込みにも強く、自由に高さを仕立てることができます。小さい葉が茂るので目隠し効果も抜群です。
塩害に強い植物を選べば、海辺でもガーデニングを楽しめる!

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海が近い庭ではガーデニングが楽しめない?そんなことはありません。塩害に強い樹木にもたくさんの種類があります。樹木によって背の高さや手入れの頻度、害虫のつきやすさなどが違うので、自分の庭にはどういう樹木が合うのかじっくり検討してみましょう。