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- AGRI PICK 編集部
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そこで、この記事では鹿沼土について詳しく解説!種類や使用用途、相性の良い植物などについて紹介します。赤玉土や日向土といった類似の土との比較も要チェックです!
鹿沼土とは?成分など特徴を紹介
雑菌のない鹿沼土は、枝の切り口から発根させる「挿し木」で植物を増やすときに、挿し床としてよく使用されます。また、鹿沼土は単用のほか、培養土や腐葉土に混ぜることで、排水性や通気性をアップさせる土壌改良材としても使えます。鹿沼土の読み方、由来や産地は?
「鹿沼土」は、「かぬまつち」と読みます。「土」という字が付いてはいますが、実は鹿沼土は軽石の仲間で、有機質や肥料分はほとんど含まれていません。栃木県の鹿沼市にある関東ローム層で、群馬県の赤城山が噴火したときの火山灰がたまって風化したものが「鹿沼土」として利用されています。特徴と種類
保水性や排水性・通気性に優れる
鹿沼土は、粒の表面に細かい孔がたくさん空いているため、水分を含んで保持する性質があります。また、粒表面が凹凸していることから、粒と粒の間にすき間ができ、水や空気を通します。pH4~5の酸性
火山灰である鹿沼土は、酸度がpH4~5の酸性です。この性質を活かし、サツキや盆栽、ブルーベリーなど、酸性土壌を好む植物の栽培に多く使用されます。粒の大きさで使い分けが可能
鹿沼土は粒の大きさによって、大粒、中粒、小粒、細粒といった種類に分かれます。粒が大きいほど排水性が高くなり、小さい粒になると保水性が上がるため、使用する目的によって使い分けると良いでしょう。また、鹿沼土には粒の大きさ以外にも、微塵(みじん)を取り除き、粒の硬いものだけ選別した「硬質鹿沼土」という種類もあります。通常の鹿沼土に比べてやや高価ですが、粒が崩れにくく長持ちするため、あまり植え替えをしないような植物の土にもおすすすめです。
成分
ケイ酸とアルミが豊富です。ほかにも鉄、マグネシウム、カルシウム、マンガン等を含んでいます。鹿沼土の用途
酸性土壌を好む植物の基本用土として使われたり、保水性や排水性の高さを活かして土壌改良材にも利用されたりと、ガーデニングや家庭菜園には欠かせない鹿沼土。ここでは、鹿沼土が実際どのような用途に使用されるのか説明します!
観葉植物の土づくり
室内はどうしても風通しが悪くなり、鉢土が乾くまでに時間がかかってしまいます。土がいつまでもジメジメと湿っていると、観葉植物は根腐れを起こして枯れてしまうことも。そんなトラブルを防ぐには、観葉植物の土に鹿沼土をブレンドし、排水性をアップさせるのがおすすめです。多肉植物の土づくり
乾燥地帯を原産地とする種類が多い多肉植物。元気に育てるためには、過湿を避け、乾燥気味に管理することが大切です。植え付ける用土も水はけの良いものにすることがマスト。鹿沼土は、排水性・通気性に優れているため、多肉植物の栽培に適しています。ブルーベリーの土づくり
ブルーベリーは酸性土壌を好む植物です。酸度が合わないとうまく栽培できません。同じく酸性のピートモスをメインに、鹿沼土を混ぜて栽培しましょう。赤玉土より、鹿沼土のほうが酸度が強いのでおすすめです。挿し木
植物の枝や茎を採取し、土に挿して発根させる増やし方を「挿し木」といいます。挿し木に使う土は、雑菌が少なく水持ちの良いものがベター。鹿沼土は雑菌を含まず、保水性にも優れているため挿し木用の土に適しています。その他
鹿沼土は水に濡れると、白っぽい色から黄色がかった色へと変化します。そのため、鹿沼土を鉢土の表面に敷いておくと、水やりのタイミングがわかりやすくなるので便利です。見た目もおしゃれになるので、飾り石としてもおすすめ。鹿沼土と赤玉土などほかの土との違い
鹿沼土とよく似た性質を持つのが「赤玉土」です。赤玉土は、関東ローム層から産出した土で、粒のサイズごとに細粒、小粒、中粒、大粒といった種類があります。赤玉土も鹿沼土同様、通気性や排水性、保水性に優れており、幅広い用途に使われます。「赤玉土と鹿沼土、どっちを使おう?」と迷ったら、「酸性を好む植物には鹿沼土、それ以外は赤玉土」と使い分けるのがおすすめです。赤玉土は、酸度がpH5~6の弱酸性であるため、鹿沼土よりも汎用性が高いのがメリットといえます。
赤玉土のほかに、鹿沼土と似た用途で使われるのが「ピートモス」と、ボラ土とも呼ばれる「日向土(ひゅうがつち)」です。ピートモスは、コケ類などが蓄積してできた泥炭(ピート)を乾燥させたもので、pH3~4の強酸性であることから、酸性の土を好むブルーベリー栽培などに使われます。
日向土は、宮崎県の霧島系火山帯で産出される軽石の一種で、排水性の高さが特徴。培養土に日向土をブレンドすることで、水はけや通気性をアップさせることができます。日向土も、細粒~大粒までの種類があります。
鹿沼土・赤玉土・ピートモス・日向土の比較表
用土名 | 酸度 | 排水性 | 通気性 | 保水性 | 保肥性 | 粒の硬さ |
鹿沼土 | pH4~5(酸性) | 良い | 良い | 良い | やや劣る | 硬い |
赤玉土 | pH5~6(弱酸性) | 良い | 良い | 良い | 良い | やや柔らかい |
ピートモス | pH3~4(強酸性)※酸度無調整のもの | 悪い | 良い | 良い | 良い | ー |
日向土 | pH6前後(弱酸性) | 良い | 良い | 悪い | 悪い | 硬い |
赤玉土の種類や特徴、使い方についてはこちらをチェック!
ピートモスの特徴や使い方はこちらの記事で紹介しています!
日向土の活用法やおすすめの種類はこちらをチェック!
鹿沼土を始めとする、園芸用土の種類についてはこちらの記事で!
鹿沼土の粒の大きさによる違い|特徴と価格
鹿沼土は用途によって、粒の大きさを使い分けると便利です。排水性を高める用途には中粒~大粒、保水性が求められる挿し木には細粒~小粒のものが適しています。鹿沼土の粒のサイズは、大粒で13~25mm、中粒で6~13mm、小粒で2~6mm、細粒で1~2mmほどが目安になります。また、価格は通販サイトや販売店によりまちまちですが、1Lあたり40~150円程度のものが多いようです。粒の大きさでは価格に大きな差は見られませんが、小袋よりも大袋で購入したほうが安くなる傾向にあります。まとめ買いをするとお得になる場合もあるので、比較検討すると良いでしょう。
大粒
大粒の鹿沼土は、鉢底石として使えます。鉢の底が見えなくなるくらいまで敷くことで、水はけと通気性が向上し、土が漏れたり虫が侵入したりするのを防ぐことができます。【鹿沼土の大粒】鉢底石にしても崩れにくい硬質タイプ
中粒
中粒の鹿沼土は、樹木や盆栽、観葉植物など、普通の草花より根の太い植物に適しています。【鹿沼土の中粒】粒の硬いものだけを選別した硬質タイプ
小粒
花、野菜全般におすすめな使いやすいサイズです。酸性を好む山野草との相性も◎【鹿沼土の小粒】手軽に使える少量タイプ
細粒
挿し木や種まき用に使われる、一番粒の細かいタイプ。手のひらサイズの小さな観葉植物やサボテン、多肉植物の土に最適です!【鹿沼土の細粒】挿し木やミニ鉢、多肉植物に最適!
鹿沼土の使い方① 観葉植物
観葉植物の土に鹿沼土を配合することで、水はけと通気性をアップさせ、根腐れを防ぐことができます。あまり多く入れてしまうと土が酸性に傾いてしまうため、配合量は全体の2割程度までにとどめておきましょう。観葉植物の種類や育て方のコツはこちらの記事で!
鹿沼土の使い方② 多肉植物
鹿沼土は、乾燥気味の環境を好む多肉植物の植え込み材にも適しています。粒の大きさは小粒や細粒がおすすめです。ほかの土とブレンドするときは、赤玉土と1:1の配合にするほか、鹿沼土と赤玉土(小粒)、軽石(小粒)を同等量合わせるという配合も。多肉植物の種類によって、配合量を調節することをおすすめします。多肉植物の種類や育て方についてはこちらをチェック!
鹿沼土の使い方③ ブルーベリー
ブルーベリーは、酸性の土壌でないとうまく育ちません。そのため、ブルーベリーの栽培には、酸性の性質を持つ鹿沼土とピートモスがよく使われます。鉢やプランターでブルーベリーを育てるときも、鹿沼土とピートモスをそれぞれ同量配合すると良いでしょう。ブルーベリーの土づくりや育て方は、こちらの記事で詳しく紹介しています!
鹿沼土の使い方④ 挿し木
肥料分を含まない鹿沼土は雑菌が発生しにくいため、挿し木用の土には最適。粒の大きさは、挿し穂が安定しやすい小粒や細粒がおすすめです。詳しい挿し木の方法は、こちらの記事をチェック!
鹿沼土に関するQ&A
ここでは、鹿沼土に関する疑問についてお答えします!鹿沼土を野菜の栽培に使うことはできる?
野菜は弱酸性~中性の土壌が適しています。そのため、鹿沼土のみでは酸性に傾き過ぎてしまい、うまく育てられません。鹿沼土を使うのであれば、赤玉土や腐葉土、野菜用の培養土などの基本用土に少量をブレンドすると良いでしょう。
鹿沼土はほかの土で代用可能?
排水性・通気性を高める用途でいえば、赤玉土の中粒~大粒、日向土などで代用できます。ただし、赤玉土は鹿沼土よりも柔らかいため、粒が崩れて水はけが悪くなりやすいのがネックです。
挿し木や種まきをする用途では、バーミキュライトや小粒の赤玉土、川砂、パーライトが鹿沼土の代わりとして使えます。