目次
- YasuhiroOgawa
植物園に勤務していた経験を活かして、正確でわかりやすい記事を書いていきたいです。好きな花はハイビスカス。現在は、トロピカルフルーツの新しい栽培に取り組んでます!…続きを読む
様々な色、ユニークな形で独特の質感が魅力の多肉植物。自然が生み出した、そんな小さな芸術作品たちが今人気です。
乾燥に耐えて育つ植物なので、他の植物よりも水やりの手間がかかりません。植物の世話で最も手間がかかるのは水やりなので、多忙がちな現代の人々にとっても助かります。
お部屋や職場などに気軽に飾って、多肉植物との暮らしを始めてみましょう。
多肉植物の定義!サボテンとの違いは?
根や茎、葉に水を蓄えることができる、乾燥に強い植物たちです。世界の高地の岩場や海岸沿い、砂漠などの乾燥した場所に、数千種の多肉植物が分布しています。一般によく多肉植物=サボテンとされることも多いようですが、正確にはサボテンはサボテン科に属する植物を指し、多肉植物の中に含まれる1つのグループとなります。トウダイグサ科のユーフォルビアの仲間にも、トゲだらけでサボテンそっくりの植物が多くありますが、サボテンではなく多肉植物に属し、性質もサボテンより寒さに弱いものが多いです。
多肉植物は一般には、サボテン科の植物はサボテン、それ以外は多肉植物として扱われています。この記事でも本来の定義とは違いますが、一般の扱いと同じようにサボテン科以外の多肉植物について解説します。
多肉植物の3つのタイプ!その特徴は?
多肉植物は生育時期で3タイプに分けられます。枯らすことなく長く多肉植物を楽しむためには、まず性質を知ることが大切です。夏型
20℃以上の高い気温を好み、夏によく生育します。夏型の中でも、温度が高いほどよく生育するタイプ、暑すぎる温度を嫌うタイプがあります。寒さには弱い種類がほとんどです。近年は温暖化の影響のためか、夏型種が春秋型に変更されることもあります。夏型の主な種類
アロエ、サンスベリア、ユーフォルビア、カランコエ、パキポディウム他春秋型
春と秋に生育し、夏と冬は休眠します。休眠期は水を控えないと根腐れしやすいので、注意してください。一般によく流通する多肉植物の多くが、春秋型に属します。春秋型の主な種類
セダム、エケベリア、クラッスラ(主に小型種)、ハオルチア冬型
5~20℃が生育適温です。夏は半日陰の涼しい場所で、水やりを控えます。厳しい寒さに強くはないので注意してください。
冬型の主な種類
アエオニウム、セネシオ、コノフィツム、フォーカリア多肉植物の置場は?
夏の高温多湿による蒸れを嫌う種類が多いので、30%程度の遮光下や午前中だけ日光が当たる場所に移動すると初心者は安心です。戸外に置く場合は、雨の当たらない軒下のような場所に置くようにしてください。特に梅雨期などの長雨に当てると、非常に失敗しやすいです。 秋に寒さに当てると、葉色の赤色が強くなり、観賞価値が上がります。雨の当たらない日当たりのよい場所に、11月初旬頃まで置くとよいでしょう。
冬は室内の明るい場所に置けば、容易に越冬します。
多肉植物を室内で育てる時のポイントと注意点
ほとんどの種類は日当たりを好みます。インテリア雑誌やショップなどで暗い場所に置かれているのをよく見かけますが、そのような場所に長期間置くと形が間延びして見苦しくなり、だんだんと弱って枯れてしまうので注意してください。室内の置き場は、日光のよく当たる東から南側の窓際が適します。ただし春から秋にかけて閉め切った室内の窓際は、温度が急上昇して鉢内が蒸れやすく、葉焼けを起こしやすいです。一般家庭の部屋では意外と窓を開けるなど通風を図れない場合が多く、室内では多肉植物を長期間育てるのは意外と難しいです。また室内の暗い場所に置いてあった株を、戸外などの日当たりのよい場所に急に移動すると葉焼けを起こします。1か月くらいかけて、徐々に明るい場所にならすようにしてください。
冬は温度が低下して葉焼けや蒸れの心配がなくなるので、室内の窓際は最適な置き場になります。ただし暖房事情のよい部屋では生育適温になり、冬でも多肉植物がよく生育することもあります。そのような場合は乾燥気味の水やりではなく、通常の管理を行ってください。
一方、ハオルチアやガステリアなどの仲間は、強光線を嫌うので室内で育てるには最適です。いろいろな種類があり、小型で場所を取らず、コレクションする楽しみがあります。近年は、愛好家の間で高価な金額で取引される品種もあり、話題になります。
多肉植物の水やり、肥料の与え方は?
初心者が最も失敗しやすいのは水の与えすぎです。それぞれのタイプの生育時期は鉢土が乾いたらたっぷりと水を与え、休眠期は乾燥気味にします。夏の締め切った室内の窓際は、特に温度が高くなりやすくなります。水やりは控え、乾燥気味にしたほうがよいでしょう。
受け皿を使っている場合は、受け皿に貯まった水はすぐに捨てるようにしてください。また水やりの際に株の中央などに水が貯まらないように気を付けましょう。
植替を適切に行っていれば、肥料を与えなくてもあまり問題ありません。肥料を与えることは絶対に必要な作業ではなく、特に初心者の方は肥料を与えて失敗することも多いので注意してください。
早く生長させたい場合は、肥料を与えるとよいでしょう。ただし状態の悪い株は、肥料を与えることで間延びして株姿見苦しくなったり、根ぐされを起こしやすくなります。また、弱っている株に肥料を与えるのは厳禁です。
肥料は、3要素が等量の化成肥料などの置き肥を規定の半分程度の量、または液体肥料を規定の半分程度の倍率に薄めて与えてください。
多肉植物の植替え!適した用土や鉢は?
1年に1回、春頃に植替えてください。土は清潔で排水のよいものが適します。市販の多肉、サボテン用の土でもよいでしょう。※配合例:砂4割+赤玉土小粒3割+腐葉土2割+くん炭1割
植え替え後は半日蔭に1カ月程度置き、水やりは1週間後くらいに与えてください。
鉢はいろいろな素材のものが使えますが、底穴があったほうが失敗は少ないです。缶などを利用するときは、底に穴を開けるとよいでしょう。細長い容器を使う際や、穴が小さい鉢を使う場合は、鉢底石を入れて排水に配慮してください。また素焼き鉢や缶などを、自分で塗装するのも楽しいでしょう。
サボテン・多肉植物の土 14L プロトリーフ
育てることを重視した適度の水もちのある土です。このまま植えられる有機肥料入り。多肉植物の増やし方
さし木、株分け、葉ざしなどで増やすことができます。特にさし木は、よく流通しているほとんどの種類で比較的簡単にできます。間延びした株の仕立て直しなどで、ぜひ挑戦してみてください。適期はそれぞれのタイプの生育時期になります。さし木をする際は、切り口を乾かしてから砂などの用土に挿し、発根するまで水は与えないようにしてください。さし床は、直射日光が当たる場所を避けた、明るい日陰が適します。
葉ざしは、葉を土の上に置いておくだけでよく、一度に多く増やすことができます。ただし葉ざしでは増やせない種類も多いので、本などで確認してから行うとよいでしょう。葉を取る際は、葉のつけ根がないと発根しないので注意してください。
葉ざし可能な植物
虹の玉、黄麗、玉つづり、おぼろ月、ブロンズ姫、十二の巻、ガギュウ、錦牡丹、月美人戸外での越冬
霜があまり降りない地域では、戸外でも越冬する多肉植物があります。建物の側などで雨があまり当たらない場所や冬の冷たい北風や西風が当たらない場所、排水がよい場所などで越冬が成功する確率が高まります。越冬しやすい植物
木立アロエ、サンゴアロエ、アロエ不夜城、黒法師、花月、おぼろ月、センペルビブム、ユッカ、虹の玉、ウチワサボテン人気の寄せ植えを作ろう!
多肉植物を使った寄せ植えが大人気です。生育期なら、切った枝をそのまま土にさせば、さし木を兼ねて手軽に寄せ植えを作ることができます。寄せ植えに使う容器は凝ったほうが見た目もよく、楽しいものです。自分で塗装した鉢などに植えるのもお勧めです。置き場は、夏は半日蔭、春秋は日光がよく当たる風通しのよい場所が適します。冬は室内の窓際に置いて楽しんでください。
鑑賞しているうちに枯れてしまう植物もありますが、見つけ次第早めに取り、新しい多肉植物を植えてください。また1~2年楽しんだら、春先に分解して再度植えなおすとよいでしょう。
おすすめの多肉植物 虹の玉
ベンケイソウ科セダム属 春秋型性質が丈夫で育てやすく、初めて育てるには特にお勧めの多肉植物です。暑さ、寒さに強く、関東南部では戸外でも越冬することがあります。日当たりのよい場所で寒さに当てると、葉が鮮やかに紅葉するのも魅力です。葉に斑が入った品種として、オーロラがあります。
置き場は、日光のよく当たる風通しのよい場所が適します。日光が不足すると間延びするので、戸外でよく日光に当てて育てると株が引き締まり、葉色もよくなります。
水やりは、鉢土の表面が乾いてから水を与え、冬は乾燥気味に管理してください。
増殖は、葉ざしで簡単に増やすことができます。
虹の玉(ニジノタマ) ポット苗
耐寒性・耐暑性どちらにもすぐれ、非常に栽培しやすい多肉植物。ポピュラーな多肉植物で、品種にはさまざまなバリエーションがあり、アレンジ・寄せ植え素材としても重宝します。 ベンケイソウ科の多肉植物の属では最も大きいものです。おすすめの多肉植物 おぼろ月
ベンケイソウ科グラプトペタルム属 春秋型寒さに強く、関東の南部で条件がよければ戸外でも越冬します。プランターや石垣などに植えると、枝が下垂して群生します。平鉢などに植えて戸外に置くと、ほぼ放任状態でも育つほど丈夫です。
置き場は日光がよく当たる場所が適します。水やりは、鉢土の表面が乾いてから与えてください。
葉はちょっとした衝撃でよく取れますが、葉ざしで容易に増えるので、増殖用に利用するとよいでしょう。
朧月(オボロヅキ) 7.5センチポット
おすすめの多肉植物 ハオルチア・シンビフォルミス
ツルボラン科ハオルチア属 春秋型透明感のある葉が人気のハオルチアは、熱心な愛好家も多いようです。その中でもこの種類は、性質が丈夫で育てやすく、比較的生育も早いです。
置き場は、直射日光を避けた明るい場所が適します。ただし暗すぎる場所に置くと、茎が伸びて間延びするので注意してください。
春と秋の成長期は鉢土の表面が乾いてから与え、その他の季節は鉢土が完全に乾いてから水やりしてください。多肉植物の中では意外と水を好むほうなので、あまり乾燥させないほうがよいです。
子株を株分けして増やすことができますが、株が小さなうちに分けると生育に時間がかかります。
ハオルチア・シンビフォルミス
耐陰性はありますが、明るい半日陰を好みます。乾燥に強く、冬以外は戸外でも栽培可能です。おすすめの多肉植物 金のなる木(花月)
葉や茎が多肉質で晩秋頃に咲く花も美しく、古くからよく栽培される育てやすい多肉植物です。寒さにも比較的強く、関東の海沿いの地域では戸外でもよく越冬します。様々な品種があり、ユニークな形のゴーラム、斑入りの葉が美しい黄金花月、よく開花する桜花月などがあります。置き場は、日光がよく当たる場所が適しますが、斑入りの品種は夏は半日蔭に移動してください。
水やりは、鉢土の表面が乾いてから与えますが、冬は乾燥気味に管理してください。
増殖は主にさし木で行います。
カネノナルキ
丈夫で簡単、初心者の方でもおすすめ。シンプルな鉢とのセットで置き場所を選びません。おすすめの多肉植物 千代田錦
葉に不規則な白斑が入り、タイガーアロエの別名があります。小苗でも楽しめ、意外と美しい花も咲きます。株が充実してくると、軽い霜程度には耐えます。日当たりのよい場所に置き、用土が乾いてから水を与えてください。冬は室内に置けば容易に越冬します。
増殖は、子株を株分けして増やします。
千代田錦
乾燥に強く、室内・室外どちらでも育てられます。比較的育てやすい種類です。おすすめの多肉植物 黒法師
枝先に黒っぽい葉をロゼット状につけた葉がユニークで、暖地では戸外でも越冬します。類似品種に茶色っぽいカシミアバイオレットがあります。また実生などで増やされた葉が緑色に近い株などが、寄せ植えして販売されることもあります。日光のよく当たる風通しのよい場所を好みます。夏は暑さを嫌い休眠状態になるので、7月から9月は50パーセント程度の遮光下に置いてください。日照不足になると、7葉色が薄くなるので注意してください。
水やりは鉢土の表面が乾いてから与えますが、夏は乾かし気味に管理してください。多肉植物の中では水を好む方なので、成長期は特に乾燥させないほうがよいでしょう。
増殖は主にさし木で行います。
黒法師
密に重なるロゼット状の葉が特徴。木立ちするものが多く、大きな株に仕立てることができます。紹介されたアイテム
サボテン・多肉植物の土 14L プロトリーフ
¥1,020 税込
多肉植物 虹の玉ポット苗
¥302 税込
朧月(オボロヅキ) 7.5センチポット
¥270 税込
ハオルチア・シンビフォルミス
¥810 税込
カネノナルキ
¥1,180 税込
黒法師
¥700 税込