
画像提供:福田俊
種まきから収穫まで、早ければ1カ月ほどと生長が早いホウレンソウ。生食できるものやちぢみホウレンソウなど種類が豊富にあり、家庭菜園でもぜひ育ててみたい野菜の一つです。
そこで今回は、じょうずにホウレンソウを育てる方法を家庭菜園のプロ・福田先生に聞きました!
家庭菜園歴40年!福田俊先生にホウレンソウ栽培のお話をうかがいました

画像提供:福田俊
菜園家。ブルーベリー研究家。東京農業大学グリーンアカデミー専科野菜コース講師。「どうすればおいしい野菜がたくさん採れるか」「いかにラクで楽しい野菜づくりができるか」を追求し、「フクダ流」自然農的有機栽培を実践。16平米という限られたスペースの市民農園で、年間50品目以上の野菜を有機・無農薬で栽培しています。監修を務めた家庭菜園誌や著書も多数。
関連サイト
HP:http://www.fukuberry.com/
Youtube:https://www.youtube.com/user/f104ryo
Instagram:https://www.instagram.com/fukuberry104/?hl=ja
Twitter:https://twitter.com/29da104
facebook:https://www.facebook.com/toshi.fukuda.73
著書
『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)
『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)
『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)
ホウレンソウ栽培の特徴|適した時期や収穫までの期間

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栽培カレンダー
・種まき:春まき 3~5月/秋まき 9~11月
・収穫:春まき 4~6月/秋まき 10~翌2月
栽培適温
15~20℃
栽培期間
種まきから収穫まで、春まきでは1カ月ほどかかります。秋まきでも、時期が早ければ1カ月程度で収穫することは可能です。晩秋の10月まきは2カ月、11月まきでは3カ月ほどと栽培期間が長くなります。
失敗しない!ホウレンソウ栽培のポイント

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ホウレンソウの栽培は、初心者では意外と失敗してしまうことも。そこで、失敗せずに育てるためのポイントを福田先生に教えてもらいました!
Point1. 土壌の酸度調整
ホウレンソウは酸性土壌では育ちません。種まきをする前に、畑の土を中和させておく必要があります。詳しい酸度調整の方法については、栽培方法の「土作り」の項目を参照してください。
Point2. 時期に適した品種選び
栽培時期に合った品種を選ぶことも重要です。秋から種まきをして栽培する場合は、冬の寒さに強い品種、春に栽培をスタートさせるのであれば、初夏の暑さにも耐えられる品種を選びましょう。
おすすめのホウレンソウの品種は後ほど紹介しますので、ぜひチェックしてみてください!
Point3. 害虫対策
春~夏は、アブラムシやヨトウムシなどのガの幼虫がつくことがあります。アブラムシはウィルスを媒介し、ホウレンソウモザイク病などを引き起こすこともあるので注意しましょう。防虫トンネルは必ず設置してください。
Point4. 温度管理
晩秋に種まきをする場合は、ポリトンネルを掛けて防寒対策を行います。
ホウレンソウの栽培方法|畑・プランター
Step1. 土作り

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草木灰を1平米あたり100gまき、クワで耕してよく土となじませてpH6.5~7.0になるように土壌の酸度を調整します。さらに、ボカシ肥料を1平米あたり200gほど漉き込み、栄養分を補いましょう。野菜が元気に育つには、有機物が豊富に含まれ、それを分解する微生物がいっぱい活動しているふかふかの土が理想です。
土壌の酸度チェックに必須!
ITEM
シンワ測定 土壌酸度計 A72724
土と触れやすく、より正確な酸度を出すことができる円錐形の土壌酸度計です。計測方法は土に挿すだけと簡単!
・測定範囲:pH4~7
・精度:±pH0.5
・重量:100g
・サイズ:160×47×47mm
福田先生直伝!ぼかし肥料の作り方
草木灰の詳しい情報はこちらの記事で
福田先生解説!「有機質たっぷりの土づくり」
Step2.種まき

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穴あきマルチを張り、1穴に3~4粒まき、手で鎮圧します。マルチなしなら、ばらまきも可能です。
マルチは雨による泥はねを防ぎ、病気にかかりにくくする効果があります。ほかにも、雨で土が固まらずふかふかの状態を維持してくれたり、保温効果や雑草を防ぐというメリットも。収穫が終わるまでマルチは張りっぱなしにしておきます。
ITEM
9515 マルチ イワタニ
高い保温性で、作物の育成を助けるマルチシート。土壌水分を適度に保ち、雑草も抑制します。雨天時の肥料の流出防止効果も。
・サイズ:幅95cm×長さ50m×厚さ0.02mm、45mm孔×5列
必要な栽培スペース

図:AGRI PICK編集部
・A:畝幅/70cm
・B:畝の高さ/10cm
・C:種まきの間隔/15cm
・D:条間/15cm(5条)
ホウレンソウはあまりスペースを取らないので、菜園の空きスペースを利用して栽培するのにおすすめです。例えば、ダイコン2条の間や、エンドウとソラマメの両脇、ホウレンソウとコマツナの交互植えにしたりなど、いろいろな植え方ができるので工夫してみましょう!
Step3.防虫トンネル・保温トンネルの設置

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防虫トンネル
種をまいたら、すぐに防虫トンネルを設置します。収穫が終わるまで、そのまま外さずに掛けておきましょう。
防虫ネットについてはこちらの記事で!
保温トンネル
まだ寒い3月に種まきをする場合は、保温トンネルをかぶせます。
晩秋まきも、厳寒期を経ての収穫となるため温度管理が必要。収穫時期になったら、保温トンネルを外して寒じめすると、ホウレンソウの甘みが増します。
ITEM
ユーラック換気
保温性・耐久性に優れた透明な「ユーラックフィルム」に、換気孔をあけたトンネル専用のフィルム。昼夜の温度差が密閉トンネルのように極端になりません。また、適度な換気により苗の軟化を防ぎ、低温への抵抗力が強い作物を育てます。
・サイズ: 幅210×長さ100m(孔2列)
Step4.間引き
1穴に3~4粒まきであれば、間引きは不要です。種をまき過ぎた場合は、小さい芽から順に間引き、大きいものを残して間引きます。
Step5. 収穫

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草丈が20~25cmほどになったら収穫のタイミングです。根元のピンク色の部分が1cmほど残るようにして、はさみで切って収穫します。
ホウレンソウの保存方法もチェック!
プランター
プランター
一般的な60cmプランターでOKです。栽培可能な株数は20株になります。
ITEM
楽々菜園 深型600
水やりの手間が軽減される、貯水機能付きの野菜用プランター。支柱フレーム付きで、さまざまな野菜の栽培に使えます。
・サイズ:幅60×奥行32.4×高さ32.4cm
・容量:22L
・材質:ポリプロピレン
用土
市販の野菜用培養土で育てることができます。鉢底ネット、鉢底石の順にプランターの底に敷いたら、プランターのフチから3cmほど下まで培養土を入れましょう。
種まき
1穴に3~4粒ずつ、5cm間隔の点まきにします。60cmプランターであれば、2条までOK。
水やり
表面の土が乾いたら、鉢底穴から流れ出るまでたっぷり水やりしましょう。
家庭菜園におすすめの品種|サラダ・ちぢみホウレンソウなど

画像提供:福田俊
ここからは福田先生おすすめの、ホウレンソウの品種を紹介していきます!
生食が楽しめる!|サラダホウレンソウ
ITEM
サラダホウレンソウ
アクやエグみが少なく、サラダなどの生食にして食べられます。べと病の抵抗性もあり、育てやすい品種です。
・内容量:1dl
食べ応えのあるちぢみホウレンソウ|寒味(かんあじ)
ITEM
寒味(かんあじ)
葉肉が厚く、甘味も強いちぢみホウレンソウです。降霜後はさらに味が濃くなります。
・内容量:30ml
ちぢみホウレンソウの詳しい情報はこちらの記事で!
晩夏~晩秋まきに最適|ソロモン
ITEM
ソロモン
耐暑・耐寒性にすぐれ、べと病にも抵抗性を持つ、作りやすい品種。晩夏~晩秋まきに適しています。
・内容量:1dl
たっぷり採れる秋まき品種|まほろば
ITEM
まほろば
秋まき専用のおいしいホウレンソウ。株張りが良く、収量性も高い品種です。べと病への抵抗性もあります。
・内容量:1dl
早春~秋まで種まき可能!|サンライト
ITEM
サンライト
トウ立ちが遅く、早春~初夏と夏~秋まきができるべと病に強い品種です。 株張りも良く、たっぷり収穫できます。
・内容量:25ml
病害に強く育てやすい品種|日本
ITEM
日本
江戸時代から栽培されてきた、日本古来の在来種。病害に強く、生育も旺盛なため、とても育てやすいホウレンソウです。
・内容量:85ml
耐寒・耐暑性抜群で生育旺盛|次郎丸
ITEM
次郎丸
日本在来品種と、西洋種の自然交雑で生まれた品種。切れ込みの多い葉と根部の鮮やかなピンク色が特徴です。暑さ・寒さに強く育てやすいのも魅力。
・内容量:80ml
寒さに強い秋まきにおすすめの品種|豊葉
ITEM
豊葉(ほうよう)
耐寒性があり、生育も旺盛なのでたくさん収穫ができる人気の品種。アクが少なく、食味も優秀です。
・内容:1dl
ホウレンソウの害虫と病気

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害虫
ホウレンソウの害虫には、アブラムシ、ヨトウムシなどが多く見られます。対策としては、防虫トンネルが最も有効です。種まきの直後から収穫まで、必ず設置しておきましょう。
「アブラムシ」と「ヨトウムシ」の詳しい対策方法はこちら!
病気
ホウレンソウによくある主な病気は、べと病です。初心者は、抵抗性品種を選んで栽培することをおすすめします。
「べと病」についてはこちらの記事で詳しく解説しています
栄養たっぷりのホウレンソウを育ててみよう!

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鉄分やベータカロテンなど、体にうれしい栄養をたくさん含むホウレンソウ。自分でたくさん育てて、モリモリたくさん食べましょう!