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- Akiko Isono
編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。…続きを読む
冬の寒さがきびしくなるころ、店頭に並ぶ「ちぢみほうれん草」。普通のほうれん草よりも甘みがあり、一度食べるとついリピートしたくなるおいしさです。「普通のほうれん草と何が違うの?」「自分でも育てられるの?」「一番おいしい食べ方は?」そんな数々の疑問にお答えし、詳しい栽培方法もご紹介しましょう!
ちぢみほうれん草(寒締めほうれん草)ってどんな野菜?
出典:PIXTAちぢみほうれん草は、真冬の寒さに当たることで葉が分厚く、クシュクシュと縮んだ状態になるほうれん草のこと。「寒締めほうれん草」とも呼ばれます。霜が降りるほど気温が下がると、ほうれん草は凍結を防ぐために、葉に送る水分量を減らします。水分が減ることで糖分が凝縮し、普通のほうれん草よりも甘みを強く感じられるようになるのです。
さらに、各種ビタミンや、カロテノイド、ポリフェノールなどの機能性成分も、ほかの季節のほうれん草に比べて多いことが研究によってわかってきました。出回る時期は12月〜2月と短いのですが、冬の間にぜひ味わっておきたい野菜ですね!
ちぢみほうれん草のおいしい食べ方は?
ほかの時期のほうれん草に比べると葉が分厚く、ややアクが強いため、生で食べるよりも加熱調理が向いています。まずはシンプルなおひたしやバター炒めで、ちぢみほうれん草ならではの甘みと、しっかりした食べごたえを楽しむのがおすすめ!ほうれん草に多く含まれるベータカロテンは、油と合わせることで体への吸収率がアップします。冬が旬の野菜なので、鍋もはずせませんね。ほうれん草と豚肉だけで作る、定番の「常夜鍋」も、ちぢみほうれん草で作ればワンランク上のおいしさになりますよ!
ちぢみほうれん草人気のレシピ!
ちぢみほうれん草を美味しく食べるためにオススメレシピを紹介します。1.一番オススメ!ちぢみほうれん草の『常夜鍋』
出典:PIXTA
ちぢみほうれん草の甘さが引き立つ料理は鍋!豚肉とほうれん草だけというシンプルな鍋ですが、毎晩食べても飽きないことが、”常夜”鍋という名前の由来とも言われています。
人気レシピ☞『温まる~ちぢみほうれん草の常夜鍋レシピ・作り方』出典:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1030000527/
これで寒い冬を乗り過ごせそうですね。ポン酢以外にもねぎ醤油や柚子胡椒もオススメです!
2.シンプルにちぢみほうれん草を味わう『おひたし』
ほうれん草と言えば!という定番のおひたしですが、ちぢみほうれん草の厚みや食感、甘みをストレートに楽しむことができます。ぜひ普通のほうれん草との違いを食べて感じてみてください。
人気レシピ☞『レンジでちぢみほうれん草のお浸しレシピ・作り方』出典:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1800006090/
手早く簡単に調理ができるレンジを使ったレシピです。
3.おひたしよりちょっと変化を加えたい『ナムル』
ただのおひたしより、ちょっと味に変化をつけたいな、という人にはナムルがおすすめ。ごま油や塩、ダシと和えるだけで韓国風の味付けに。
人気レシピ☞『ちぢみほうれん草の黒ごま塩麹ナムル』出典:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1800010684/
黒ゴマと塩麹が旨味を引き立てます。
4.スープや味噌汁にも!
ちぢみほうれん草はそのまま味噌汁やスープに入れてしまっても十分おいしいです。豆腐や油揚げなど、冷蔵庫にあるものとちぢみほうれん草を入れるだけでも、ちぢみほうれん草の甘みを楽しめますよ!
人気レシピ☞『カボチャとちぢみほうれん草の味噌汁レシピ・作り方』出典:https://recipe.rakuten.co.jp/recipe/1310007679/
余った食材とちぢみほうれん草で、美味しく食べられ冷蔵庫をスッキリさせられます。
⇨次ページ:あま~いちぢみほうれん草の育て方のポイントと詳しい栽培方法!プランターでも
甘いちぢみほうれん草をつくる3つのポイント
ポイントをしっかり押さえれば、家庭菜園やプランターでもちぢみほうれん草が育てられます。たっぷり味わいたい方は、ぜひチャレンジを!①秋まき用品種の種をまく
ほうれん草の種には「春まき用」と「秋まき用」がありますが、ちぢみほうれん草を育てるには、寒さに強い「秋まき用」の品種を選びます。特に寒さに強く、ちぢみほうれん草の特長が出やすい専用品種もあります。②栽培前半はしっかり防寒
ほうれん草は寒さに強い野菜ですが、発芽には15〜20℃の温度が必要です。種まき後は寒冷紗(かんれいしゃ)、ビニールなどの防寒資材をトンネル状にかけて、確実に発芽させましょう。また、気温が低いとそのぶん生育が遅くなるので、発芽後も防寒しながら育てたほうがよいでしょう。③収穫の2週間前から寒さに当てる
寒さに当てるのは、種まきの1か月半〜2か月後、株が十分大きくなってからです。収穫前の10日〜2週間ほど、防寒資材をはずして5℃以下の寒さに当てると、葉が縮んで分厚くなってきます。ちぢみほうれん草の栽培カレンダー
ちぢみほうれん草の種まきは10月下旬から11月の中旬まで。一度寒さに当ててから、12月上旬から2月下旬の収穫です。
⇨次ページ:ちぢみほうれん草のプランターでの育て方!
ちぢみほうれん草の栽培方法・育て方のコツ【プランター編】
出典:PIXTASTEP1 用意するもの
プランター栽培の基本的なアイテムについては、必須アイテム一覧と選び方を詳しく解説しているこの記事を参考にしてください。基本の道具のほかに、ほうれん草の種(秋まき用)、プランター用のトンネル支柱や防寒資材を準備します。
STEP2 プランターの準備
深さ20cmほどのプランターを用意しましょう。鉢底ネット、鉢底石の順にプランターの底に敷き、縁から3cmほど下まで野菜用培養土を入れます。STEP3 まき溝をつくる
土の表面をきれいにならし、支柱や板などを土に押しつけて、深さ1cmのまき溝をつくります。2列以上まくときは、間隔を20cmほどあけます。STEP4 種をまく
種まきの間隔は約1cm。土をかぶせたら、土と種が密着するように手のひらで押さえます。ジョウロでたっぷりと水やりして、種まきは完了です。STEP5 防寒する
プランター用のトンネル支柱を立て、防寒資材をかぶせます。風で飛ばないように、端はひもやクリップなどでしっかり押さえましょう。STEP6 間引きをする
ほうれん草の間引きは1回。本葉が1〜2枚出たら、株と株が3〜4cm間隔になるように株を抜き取ります。残した株が倒れないように、軽く土を寄せておきます。STEP7 追肥をする
種まきから1か月を超えたら、追加で肥料を与えます。固形でも液体タイプでもどちらでもよいですが、必ず野菜用のものを使用します。散布の量や回数は製品パッケージを確認にしてください。STEP8 寒さに当てる
株が十分な大きさに育ち、収穫が近づいたら、防寒資材をはずします。5℃以下の寒さに10日〜2週間当ててから収穫します。⇨次ページ:畑での育て方やほかの寒締め野菜について!
ちぢみほうれん草の栽培方法・育て方のコツ【畑編】
出典:PIXTASTEP1 用意するもの
畑での家庭菜園に必要なアイテム一覧と選び方はこちらをチェック。基本の道具以外に、ほうれん草の種(秋まき用品種)、寒冷紗やビニールなど の防寒資材、トンネル用支柱を準備します。
STEP2 土づくり
栽培する場所全体に石灰をまき、クワでよく耕して土の酸度がpH6.5〜7.0になるように調整します。さらに、堆肥、肥料をまいて耕し、必要な栄養分などを補います。土づくりは種まきの1〜2週間前までにすませておきましょう。STEP3 まき溝をつくる
土を盛り上げて畝を立て、表面を平らにならします。凸凹があると発芽がそろわないので、気をつけましょう。支柱や板などを土に押しつけて、深さ1cmのまき溝をつくります。2列以上まくときは、間隔を30cmほどあけます。STEP4 種をまく
種まきの間隔は約1cm。土をかぶせたら、土と種が密着するように手のひらで押さえます。ジョウロでたっぷりと水やりして、種まきは完了。STEP5 防寒する
種まき後は、畝の両脇にトンネル用支柱をアーチのように設置し、防寒資材をかぶせます。資材の端はきちんと土に埋めて、寒さが入り込まないようにします。STEP6 間引きをする
ほうれん草の間引きは1回。本葉が1〜2枚出たら、株と株が3〜4cm間隔になるように株を抜き取ります。残した株が倒れないように、指で軽く土を寄せておくと安心です。STEP7 追肥をする
葉の高さが7〜8cmになったころを目安に、追加で肥料を与えます。固形と液体タイプはどちらでもよいですが、必ず野菜用と書かれたものを使用し、パッケージの記載通りの量を散布します。STEP8 寒さに当てる
株が十分な大きさに育ち、収穫が近づいたら、防寒資材をはずしてしっかり寒さに当てましょう。5℃以下の低温に10日〜2週間当ててから収穫します。ちぢみほうれん草の病気と害虫
べと病など、かびによる病気が起こることがあります。葉に斑点のような変色が見られたら病気の可能性があるので、早めにその株を抜き取って被害が広がるのを防ぎます。春〜夏は、アブラムシやハスモンヨトウなどのガの幼虫がつくことがあります。アブラムシはウィルスを媒介し、ホウレンソウモザイク病などを引き起こすこともあるので注意しましょう。防虫ネットで対策しておくと安心です。防虫ネットはこちらの記事でチェック!
「アブラムシ」「ヨトウガ(ヨトウムシ)」などの害虫対策はこちら!
「モザイク病」についてはこちらの記事で詳しく解説しています!
ほかにもある!寒さに当てるとおいしくなる野菜
撮影:磯野亜希子寒さに当たることでおいしくなる「寒締め野菜」は、ほかにもあります。代表的なのは、小松菜、タアサイなどのアブラナ科野菜。種まきの時期や寒さに当てるタイミングなどは、ちぢみほうれん草と同様で、糖度や栄養価が高くなる点も同じ。収穫の時期になると、寒さに耐えるため、葉がバラの花のように地面に広がった美しい姿も見どころですよ!
甘くておいしい!栄養価もUP!「ちぢみほうれん草」を自分で育ててみよう
おいしくて栄養価が高く、いいことづくめのちぢみほうれん草。上手に栽培できたら、菜園仲間にもちょっと自慢できそうですね!【AGRI PICKチャンネル】
AGRI PICKでは、家庭菜園初心者にもわかりやすい!畑でも手軽に視聴できる動画もあります。
野菜を育てるときのお困りごとや、失敗を防ぐワンポイントアドバイス付きの「AGRI PICKチャンネル」も合わせてご覧ください!
【AGRI PICKチャンネル】
AGRI PICKでは、家庭菜園初心者にもわかりやすい!畑でも手軽に視聴できる動画もあります。
野菜を育てるときのお困りごとや、失敗を防ぐワンポイントアドバイス付きの「AGRI PICKチャンネル」も合わせてご覧ください!