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いろいろな国の言葉で「環境」を考えよう|おしゃれじゃないサステナブル日記No.25

【連載】農業・食コミュニケーターとして活動する 紀平真理子さんの「農業と環境」をテーマにしたコラム「おしゃれじゃないサステナブル日記」。第25回は「いろいろな国の言葉で「環境」を考えよう」。国によって言葉の持つ意味が少しずつ違っていることに着目した筆者が、各国の「環境」について考察します。


オランダのグリーン

写真提供:maru communicate 紀平真理子
前回、前々回はスペインのバスク地方について思いのままに筆を執りました。
今回は、不耕起栽培のブログに対していただいたコメントの中に、「環境という言葉でさえ、欧州と日本とでは開きがある」というものがあり、「なるほどなー」と思ったことが、きっかけで「環境という言葉」について考えてみます。平易にPOPに書くことを目標としていますので、より深く・正確に知りたい方は関連する書籍や研究論文を読み、深みにはまってください。

日本語の「環境」ってどんな意味?

日本の自然
写真提供:maru communicate 紀平真理子(日本の複雑で多様な環境)
私たちが何気なく使っている「環境」という言葉の日本語の意味を調べてみると、「1. めぐり囲む区域、2. 四囲の外界。周囲の事物。特に、人間または生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合うものとして見た外界。自然的環境と社会的とがある」とあります。

ちなみに、このブログのテーマである「環境」は、「人間または生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合うものとして見た外界」の意味で使っているつもりです。

ほかの言語で「環境」に当たる言葉は?

オランダの環境
写真提供:maru communicate 紀平真理子(オランダはどこまでも平ら、自然?不自然?)
日本語以外では「環境」に相当する言葉はあるのでしょうか。また、その辞書的な意味を記載したいと思います。断っておくと、私が知っている言語や友人が話す言語が中心のため、非常に偏りがあります。ご注意ください!

英語の「Environment」

無難に英語から始めましょう。英語の「Environment」の中で、自然環境に該当するものは「人、動物、植物が住んでいる、または生活するための空気、水、土地」と辞書には書いてあります。

スペイン語の「El medioambiente」

スペイン語の「El medioambiente」または「el medio ambiente」は、「生物の発達と活動に影響を与える、生物の外部の一連の状況または条件」と記載があります。

オランダ語「het milieu」

オランダ語の「het milieu」は、「1. 生物に影響を与える自然的、社会的、文化的環境すべて 2. 生物が生存する生物学的気候」とあります。「de omgeving」という言葉も「環境」という意味ですが、より広義なので、気候、自然、社会、文化の文脈で具体的に環境について述べたい場合には「het milieu」が適切です。

フランス語「l’environnement」

フランス語の「l’environnement」は、「1. (誰かの)周りにあるもの、2. 生物と人間活動に影響を与える一連の自然文化的状態」という意味を持ちます。

ブータンの公用語、ゾンカ(語)「Tha kor netang」

ブータンの公用語のゾンカ(語)「Tha kor netang」は「あなたの周り」という意味だそうですが、これは、ブータン人の友人に解説してもらったに過ぎず、辞書で調べられませんでした。

インドネシア語「Lingkungan」

インドネシア語の「Lingkungan」は「1. 地域(地理的にそこにあるすべてのものを含む)、2. 政府が責任を負っている統治された地帯、3. 周辺領域、4. 人間や動物の生命に影響をあたえるすべてのもの」。「政府が責任を負っている統治された地帯」という説明がほかの国には見られないので、興味深いです。
インドネシアの自然とのつきあい方については、こちらでも紹介しています。

言葉の違いから考えること

インドネシアの自然
写真提供:maru communicate 紀平真理子(インドネシアは自然とともに生きる)
一部の言語のみ取り上げたので、エッセンス程度に過ぎませんが、これらの辞書的な意味から「人間と環境に相互関係があるのか」「環境を空間もしくはモノとして捉えるか」「登場するのは何/誰か」という論点にワクワクしました。

人間と環境の関係性は?

日本語では、人間・生物と環境は相互に関係があるとしています。しかし、スペイン語、オランダ語、フランス語、インドネシア語などその他の国では言語的には「環境」は人間や生物に影響を与えるものとされているようです。人間が環境に影響を与えているとされている昨今、言語的に逆なので、何だか洋服を裏表に着ている複雑な気持ちになります。

環境を空間として捉える?モノとして捉える?

日本語では、環境を空間としてもコトモノとしても捉えているようです。他言語に目を向けると、フランス語やインドネシア語はコトやモノが主であるなど違いが見られます。この相違をひも解くと、各国の環境規制や、自然とのつきあい方が見えてくるような気がします。

登場するのは?人?動物?植物?

登場するモノも、各言語で異なります。日本語とフランス語、インドネシア語では、「人間」と「生物/動物」が登場します。英語ではそれに加えて「植物」についての記載もあります。一方で、スペイン語やオランダ語はひとくくりに「生物」のみが登場します。植物があまり入っていないことにも興味津々。植物は生物に含まれているのでしょうか。

「環境」の概念が違う場合も

環境という言葉
写真提供:maru communicate 紀平真理子(アイルランドの環境とは)
他国の環境保全政策などを見ていると、「ほかの国ではできているのに、なぜ日本は」と思うことがあるかもしれません。もちろん、各国の気候条件や栽培条件などさまざまな要因が異なることで実現できないこともありますが、そもそも「環境」の概念が違うのだろうな、としみじみ感じます。関連書籍などを読んでみようと思います。言語に関して話すことはとても好きなのですが、実は他言語を話すことは、得意とはいえないのです。

出典:広辞苑、Cambridge Dictionary、Diccionario panhispanico de dudas、van Dale、Dictionnaires Le Robert、KBBI Daring

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おしゃれじゃないサステナブル日記

紀平真理子(きひらまりこ)プロフィール
1985年生まれ。大学ではスペイン・ラテンアメリカ哲学を専攻し、卒業後はコンタクトレンズメーカーにて国内、海外営業に携わる。2011年にオランダ アムステルダムに移住したことをきっかけに、農業界に足を踏み入れる。2013年より雑誌『農業経営者』、ジャガイモ専門誌『ポテカル』にて執筆を開始。『AGRI FACT』編集。取材活動と並行してオランダの大学院にて農村開発(農村部におけるコミュニケーション・イノベーション)を専攻し、修士号取得。2016年に帰国したのち、静岡県浜松市を拠点にmaru communicateを立ち上げ、農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートなどを行う。食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格。著書『FOOD&BABY世界の赤ちゃんとたべもの』
趣味は大相撲観戦と音楽。行ってみたい国はアルゼンチン、ブータン、ルワンダ、南アフリカ。
ウェブサイト:maru communicate

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紀平 真理子

オランダ大学院にて、開発学(農村部におけるイノベーション・コミュニケーション専攻)修士卒業。農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートやイベントコーディネートなどを行うmaru communicate代表。 食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫農業経営アドバイザー試験合格。 農業専門誌など、他メディアでも執筆中。

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