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常に前へ!小さな農家だからこそ自由な発想で最良の農業を!!


【連載】タケイファームから学ぶ時短と収益UPを目指すヒント|第12回は常に前へ!小さな農家だからこそ自由な発想で最良の農業を!! 1人都市型農業の成功事例として注目を浴びるタケイファームが、新規就農者や現状を打破したいと考える方へ、農作業の時短・効率化から新たなアイディアを生み出して収益を上げるヒントを伝える連載の最終回です。

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YumiYamashita

作家・コラムニスト 身体と社会との関わりに関心を持ち、五感、食、日本文化、ヒット商品などをテーマに取材。新聞、月刊誌、週刊誌、大手ニュースサイトにて時事問題からテレビドラマまで幅広く執筆。…続きを読む

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タケイファーム、武井さん

写真提供:タケイファーム
有名レストランから引く手あまたの人気。
生産した野菜の95%はレストランへ直販され市価の数倍で売れていく。
その独自性あふれるタケイファームの農業経営を、多角的に伝えてきた当連載もいよいよ最終回です。

目標は「農業の地位を上げたい」

農業の地位を高めたいという目標を掲げ、モチベーションを維持してきた武井さん。
その人生は試行錯誤の繰り返しでした。
一番やりたくない仕事だったという農業。
しかし、始めてみると次第にこの仕事の奥深さに目覚め、最高の野菜を作りたいと奮起するように。
そして、今では独自の農業経営を打ち立て軌道に乗せています。
その過程には常識を覆す発想がぎっしり詰まっていて、目からウロコの発見も多々ありました。

連載を振り返って

「農業は『地』ではなく『天』から始める」では、栽培方法を考える前にもっと大切な課題があるはず。自分の仕事の意味や価値を見定めることについて武井さんは実感を語ってくれました。

野菜の価格について考えるというテーマでは、100~200円という低価格に張り付いたままの野菜の現状について、どこかおかしくないだろうかと問題提起。もう一度、価格について正面から考えることを提唱しました。
そのほかにも、すぐに売れるものは作ってはいけないことや、労働は1日6時間、お金に換算できない対価を知ろうなど、通常なら考えつかないような発想や逆説的な話題も連載の中にたくさん詰まっています。

一方では、具体的なノウハウも発信。「営業しないで農業経営を成功させる!?タケイファームの情報発信術」では、このSNS時代の今だからこそ、何気なく発信してはいけない、頭を使い効果を考え抜いた情報発信術が必要だとアドバイス。

また、「タケイファーム流・農作業の時短と効率化!アイディア農業で収益もUP!!」の回では、農家がすぐに活用できる具体的な時短・効率化の方法を惜しみなく伝えています。


伝えることが今の自分の仕事

武井さん、タケイファーム
撮影:Yumi Yamashita
通常の農家にはみられない方法を編み出し、都市型農業の成功者として結果を出してきたタケイファームは、そのノウハウを惜しみなく伝える努力もしています。武井さんを慕って教えを請う若手農家も多いそうです。

「いま、僕にとって伝えることが大きなテーマです。タケイファームの方法をどんどん参考にしてもらって、若手の農家に力を発揮してもらいたいのです。農業の地位を上げていくことが、僕が農業を続けている理由ですから。」

武井さんは今、目標を共有している仲間たちと、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
例えば、やる気のある農家を訪ね、取材して動画で発信している「週末畑.com(ドットコム)」では、農業が非常にフレキシビリティのある、夢にあふれた仕事だということを伝えたい、と武井さんは言います。
週末畑.com

マイナス要素はプラスに転化できる!

既存の農業のイメージから自由になれず、新しいチャレンジに躊躇する農家もまだ数多くいる現状の中で、武井さんは外部から「なぜ、みんな武井さんの真似をしないのですか?」という質問をよく受けるそうです。

「それは僕が農業を知らないからだと思います。今となっては、独学で農業を始めたおかげで、ある意味無謀なやり方ができてしまった、ということかもしれません。
もし、農業の学校に通い、教科書できちんと学んでいたら、現在のタケイファームの主力野菜でもある『マイクロサイズの野菜』なんてありえない、と先入観が邪魔してしまったかもしれません。
それに消費者が名前を聞いたこともない野菜を栽培して、いったい誰が買うのかと聞かれたら、なかなか即答できないですからね。」

今まで武井さんは約350種類の種をまき、栽培方法も収穫のサイズも独自の方法を考えて、従来の栽培スタイルを改善してきました。タケイファームの人気商品であるフィレンツェ(ナス)やオイスターリーフも、そうしたトライアル・アンド・エラーの中から主力商品として定着させてきたのです。

「一人ですべてを行うためには、時短や効率の工夫も必要不可欠なので、一般的な農法は通用しないのです。
だからこそ常識の枠から自由になれて工夫もできたし、新しい商品も生み出すことができました。」


テーマは「心を動かす野菜」

武井さん、タケイファーム
撮影:Yumi Yamashita
畑の上で野菜を作っているだけの農業では完結しない時代。レストランやその先の消費者のことを知り、プロデュースしていくセンスを、武井さんはこの連載で惜しみなく教えてくれました。
そして、さらに武井さんは野菜を通して人と出会い、野菜を介して人々の暮らしがいきいきすること、「おいしい体験」「幸せを感じる瞬間」を全ての人に伝えたいと言います。

「僕のテーマは『心を動かす野菜』。
それはどういうことかと言うと、タケイファームの野菜を手にしたお母さんが『今日は料理を頑張ろう』とか、タケイファームの野菜を食べた子どもたちが『野菜を好き』になったとか、タケイファームの野菜を目の前にしたシェフが『お客さまにおいしい野菜料理を食べさせたい』と思ったなど、タケイファームの野菜でそれぞれの人の心を動かすことができたらと願ってきました。
でも今、一番心を動かされているのは、僕かもしれません。」


「最新」のタケイファームが「最良」のタケイファーム

若い人たちが「私もやりたい」「これなら成功できるはず」と希望を持って飛び込んでくるような魅力的な農業の事業モデルが、今こそ求められています。
そして、それは武井さんが目指す「農業の地位を上げる」ことにつながり、そのさまざまな事業モデルの中で実現し成功しているのがタケイファームの農業のカタチです。

「僕は『最新』のタケイファームが『最良』のタケイファームだと思っています。」

農業だけでなく変わり続ける社会の中で、常に前を向いて上を目指す武井さんの言葉が、今を憂いていないで現状を打破せよ、と心に突き刺さります。
進化し続けていくタケイファーム。また何年後かにガラリとその姿を変えている可能性もあります。
今後も武井さんの目指す農業が、時代とともにどんな変貌を遂げるのか目が離せません。

「タケイファームから学ぶ時短と収益UPを目指すヒント」最初から読むにはこちらから。

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