症状からわかるトウモロコシの害虫

トウモロコシの葉や子実を食害したり、ウイルス媒介をもたらし病気を発症させたりする害虫。加害部位とそこに現れる被害症状から、害虫そのものは見えなくても原因を判別できるよう、現れる部位ごとのトウモロコシの被害・症状を説明します。


トウモロコシ

出典:Pixabay
トウモロコシは日当たりや風通し、排水性の良い環境を好んで生育します。トウモロコシの収穫時期は主に夏で、実の先端部分が丸みを帯びて鮮やかな黄色となります。その実は糖度が高く、害虫に食害されやすいので注意が必要です。
本記事では被害を受けた各部位の様子から、原因となる害虫を特定できるように、それぞれの被害の特徴を示しました。
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葉や茎に被害を及ぼす害虫

トウモロコシは太い茎がまっすぐ立ち、幅の広い葉が茎の節に1枚ずつ交互に違う方向につきます。第一葉が伸びてくる生育初期時点から害虫被害が及ぶこともあり、予防と対策が必要となります。ここではトウモロコシの葉を食害する害虫を紹介します。

ヨトウムシ類

アワノメイガの食害を受けるトウモロコシ葉
出典:Flickr (Photo by K-State Research and Extension)

【害虫名】
アワヨトウ、キタショウブヨトウ、ツマジロクサヨトウなど
【食害の様子】
アワヨトウの幼虫は葉の周縁部から食害するのに対し、キタショウブヨトウの幼虫は地面近くから茎内に食入して中心部の葉などを萎(しお)れさせます。
近年、日本で初めて確認されたツマジロクサヨトウについては、若齢幼虫は葉の裏面から表皮を残して食べるので白い食害痕を残しますが、中齢幼虫は若い葉を食べて不定形な穴をあけます。さらに老齢幼虫では未展開の若い葉を食害するため、その後展開した葉には列状の穴があいたような痕が残ります。また、先端の葉を食べた後に茎内部に食入することもあり、一度内部に入られると駆除が困難となります。
※ツマジロクサヨトウについては2020年3月時点で登録農薬がまだありません。農薬を使用する際には、発生場所の都道府県の指導により防除する必要があります。
【予防と対策】
ヨトウムシ類の駆除と防除


アブラムシ類

出典:Flickr (Photo by Scot Nelson)

【害虫名】
キビクビレアブラムシ、ムギクビレアブラムシなど
【食害の様子】
主に茎や葉に寄生して吸汁します。発生後に増殖して高密度になると、重なり合った葉の間などに集団で寄生します。吸汁被害のみでなく、排泄物などの汚れにより商品価値を損なわせてしまいます。さらにウイルスを媒介してモザイク病を発生させることなどもあり、さまざまな被害の原因となります。発生を確認した際には速やかに対処しましょう。
【予防と対策】
アブラムシ類の駆除と防除

▼モザイク病のことならこちらをご覧ください。

葉・茎を食害するほかの注意すべき害虫

上記以外にも発生することがある害虫について紹介します。

ネキリムシ(カブラヤガ)

【食害の様子】
トウモロコシの幼苗期に幼虫が土壌中から出現して、地面に近い部分の葉や茎を食害します。茎が食害により切られると決定的な被害となります。除草が十分にできていない土地などで育苗した際に発生しやすい害虫です。
【予防と対策】
ネキリムシを駆除・防除する方法


果実に被害を及ぼす害虫

トウモロコシの雄穂と雌穂
出典:写真AC
株の先端から出た花粉がトウモロコシの先端にあるヒゲに付いて受粉すると、内部の子実が実ります。トウモロコシ栽培では、この実を食害する害虫が特に問題となっており、対策が不可欠となります。確実に予防と対策を行いましょう。

メイガ類

出典:Shutterstock (Photo by Tomasz Klejdysz)

【害虫名】
アワノメイガなど
【食害の様子】
アワノメイガはトウモロコシの大害虫としてよく知られています。ふ化した幼虫は茎内部や子実部分まで侵入し、雌蕊(しずい)部分や実を食い荒らします。一旦、茎などに入り込むと見つけるのが難しく、駆除しにくいため早期の対策が重要となります。
【予防と対策】
メイガ類の駆除と防除


カメムシ類

トウモロコシに寄生するアオクサカメムシ
出典:Flickr (Photo by Sarah Zukoff)

【害虫名】
アオクサカメムシなど
【食害の様子】
収穫時期近くのトウモロコシ上に寄生し、皮の上から口を突き刺して中の実を吸汁します。吸汁された実は変形したり変色したりして商品価値を損わせます。
【予防と対策】
カメムシ類の駆除と防除


タバコガ類

出典:Flickr (Photo by Scot Nelson)

【害虫名】
オオタバコガなど
【食害の様子】
幼虫が葉、実、先端にあるヒゲ部分などを食害します。実を食害する場合は、特に先端部分の子実を食べることが多いようです。一株に多発することは少ないのですが、齢数が上がるにつれて摂食量が多くなり、大きな被害を与えます。
【予防と対策】
タバコガ類を駆除・防除する方法


果実を食害するほかの注意すべき害虫

上記以外にも発生することがある害虫について紹介します。

ヨトウガ類

【害虫名】
イネヨトウ
【食害の様子】
本州以西に広く分布しており、アワノメイガと同様に茎内や子実部分に食入します。アワノメイガへの対策で同時防除を行うことが推奨されています。
【予防と対策】
ヨトウガ類を駆除・防除する方法


大害虫アワノメイガに要注意

出典:Wikimedia
受粉のために株の先端から出る雄穂の花粉が欠かせませんが、この部分を好んで害虫が侵入するため注意が必要です。中でもアワノメイガの幼虫がトウモロコシ内部に侵入すると、雌しべなどの柔らかい部分や、最終生産物である子実を加害するので、収穫量、品質共に大きな影響を与えます。アワノメイガの生態に関する知見から有効な予防や防除方法があるので早期の対策を行いましょう。

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y.murata
y.murata

大阪府茨木市出身。大学院農学研究科で農業害虫を扱った研究に取り組み、博士号を取得。国際学会・ワークショップや応用研究プロジェクトなどに積極的に参加。 幼少期から持つ生物への興味とこれまでの経験を活かして、栽培・農薬・害虫などの記事編集を担当。 好きなことは音楽で遊ぶこと。

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