本記事では被害を受けた各部位の様子から、原因となる害虫を特定できるように、それぞれの被害の特徴を示しました。
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葉や茎に被害を及ぼす害虫
トウモロコシは太い茎がまっすぐ立ち、幅の広い葉が茎の節に1枚ずつ交互に違う方向につきます。第一葉が伸びてくる生育初期時点から害虫被害が及ぶこともあり、予防と対策が必要となります。ここではトウモロコシの葉を食害する害虫を紹介します。ヨトウムシ類
【害虫名】
アワヨトウ、キタショウブヨトウ、ツマジロクサヨトウなど
【食害の様子】
アワヨトウの幼虫は葉の周縁部から食害するのに対し、キタショウブヨトウの幼虫は地面近くから茎内に食入して中心部の葉などを萎(しお)れさせます。
近年、日本で初めて確認されたツマジロクサヨトウについては、若齢幼虫は葉の裏面から表皮を残して食べるので白い食害痕を残しますが、中齢幼虫は若い葉を食べて不定形な穴をあけます。さらに老齢幼虫では未展開の若い葉を食害するため、その後展開した葉には列状の穴があいたような痕が残ります。また、先端の葉を食べた後に茎内部に食入することもあり、一度内部に入られると駆除が困難となります。
※ツマジロクサヨトウについては2020年3月時点で登録農薬がまだありません。農薬を使用する際には、発生場所の都道府県の指導により防除する必要があります。
【予防と対策】
ヨトウムシ類を駆除・防除する方法
アブラムシ類
【害虫名】
キビクビレアブラムシ、ムギクビレアブラムシなど
【食害の様子】
主に茎や葉に寄生して吸汁します。発生後に増殖して高密度になると、重なり合った葉の間などに集団で寄生します。吸汁被害のみでなく、排泄物などの汚れにより商品価値を損なわせてしまいます。さらにウイルスを媒介してモザイク病を発生させることなどもあり、さまざまな被害の原因となります。発生を確認した際には速やかに対処しましょう。
【予防と対策】
アブラムシ類を駆除・防除する方法
葉・茎を食害するほかの注意すべき害虫
上記以外にも発生することがある害虫について紹介します。ネキリムシ(カブラヤガ)
【食害の様子】
トウモロコシの幼苗期に幼虫が土壌中から出現して、地面に近い部分の葉や茎を食害します。茎が食害により切られると決定的な被害となります。除草が十分にできていない土地などで育苗した際に発生しやすい害虫です。
【予防と対策】
ネキリムシを駆除・防除する方法
果実に被害を及ぼす害虫
メイガ類
【害虫名】
アワノメイガなど
【食害の様子】
アワノメイガはトウモロコシの大害虫としてよく知られています。ふ化した幼虫は茎内部や子実部分まで侵入し、雌蕊(しずい)部分や実を食い荒らします。一旦、茎などに入り込むと見つけるのが難しく、駆除しにくいため早期の対策が重要となります。
【予防と対策】
メイガ類を駆除・防除する方法
カメムシ類
【害虫名】
アオクサカメムシなど
【食害の様子】
収穫時期近くのトウモロコシ上に寄生し、皮の上から口を突き刺して中の実を吸汁します。吸汁された実は変形したり変色したりして商品価値を損わせます。
【予防と対策】
カメムシ類を駆除・防除する方法
タバコガ類
【害虫名】
オオタバコガなど
【食害の様子】
幼虫が葉、実、先端にあるヒゲ部分などを食害します。実を食害する場合は、特に先端部分の子実を食べることが多いようです。一株に多発することは少ないのですが、齢数が上がるにつれて摂食量が多くなり、大きな被害を与えます。
【予防と対策】
タバコガ類を駆除・防除する方法
果実を食害するほかの注意すべき害虫
上記以外にも発生することがある害虫について紹介します。ヨトウガ類
【害虫名】
イネヨトウ
【食害の様子】
本州以西に広く分布しており、アワノメイガと同様に茎内や子実部分に食入します。アワノメイガへの対策で同時防除を行うことが推奨されています。
【予防と対策】
ヨトウガ類を駆除・防除する方法