【有機種子とは?】輸入・販売会社に聞いた有機種子のメリットやおすすめ種子

有機種子は栽培に手間がかかるため、購入コストが高くなりがちですが、有機ならではのメリットがあるようです。輸入・販売を手がける株式会社グリーンフィールドプロジェクトの松崎氏に、有機種子のメリットや通販でも手に入るおすすめの種子を教えていただきました。


ビーツ

出典:写真AC
種子にも有機と非有機があることをご存知でしょうか。これから有機農業に取り組みたい方、有機農業に興味がある方は、有機種子についても理解を深めていきましょう。有機種子とはどのようなものなのか、有機種子の販売を行う「株式会社グリーンフィールドプロジェクト」代表取締役・松崎英(ひで)氏に、特徴やおすすめの品種について伺いました。

有機種子とはどんな種?

色とりどりの野菜
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農業に有機と非有機があるように、種にも有機と非有機があります。有機にこだわるのであれば、栽培手法だけでなく作物の根幹となる種についても考えてみましょう。有機種子とは、具体的にどのような種子なのでしょうか。

有機種子は種の収穫まで化学的に合成された農薬や肥料を使用しない種子

有機種子とは、種子を収穫するまでに化学的に合成された農薬や肥料を使用していない種子のことです。植物を栽培して種子を採取するまでの期間は、実や葉を収穫する期間よりも当然長くなります。
栽培の期間が長ければ長いほど、化学的に合成された農薬や肥料を使用せずに収穫まで至るのは一般的に難しいものです。しかし、農業の持続可能性という観点から見ると、有機種子が持つ意義は大きいでしょう。

松崎氏「『持続可能性』という面から農業を考えた時、環境への負荷を軽減するために、なるべく有機種子を使用したほうがいいのではと考えています。
有機種子は非有機種子と比べて価格が高いため、すべての農家が有機種子を購入して使用するのは現段階では現実的ではありませんが、可能であれば有機種子を選択してほしいという思いから、当社では有機種子を販売しています。」


固定種=有機種子ではない

新芽
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家庭菜園や有機栽培・自然栽培で人気の固定種。古くから各地で栽培されてきた伝統的な品種ということもあり、安全なイメージを持たれがちですが、固定種と有機種子は異なるものです。固定種でも、化学的に合成された農薬や肥料を使用して栽培して採種しているのなら、非有機種子となります。

日本ではなぜ有機種子の認知度が低いのか

松崎氏「日本の有機JAS認証は食品を対象としており、種子は除外されています。そのため有機種子への理解はまだまだ進んでいないのが現状です。一方、ヨーロッパではEU理事会が定めた基準によって有機認証制度が実施されており、作物だけでなく種子もその対象です。
『有機栽培は有機の種子から行うべき』という概念があり、有機農産物の栽培には原則として有機種子を使用することが定められています。
また有機栽培での大量生産も行われているため、有機F1種子が広く活用されています。」


有機F1種子も販売

株式会社グリーンフィールドプロジェクトでは、有機のF1種も販売しています。

松崎氏「当社で取り扱っている有機F1種子は、2020年1月現在、輸入のみの取り扱いとなっています。国内でも有機F1種子の研究・開発が行われていますが、それほど多くないのが現状です。日本では、有機種子を手に入れたくとも購入ルートが限られていて難しい農家もいるのではないでしょうか。
日本でも、持続可能な農業への取り組みのために、有機F1種子をもっと活用してもらえたら、という気持ちで有機F1種子を販売しています。有機F1種子を使えば、自然栽培や有機栽培もスマート化が進むかもしれませんよね。」


有機種子を使うメリット・デメリット

メリット
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有機種子を使用するメリットとデメリットについても見ていきましょう。

有機種子のメリット|環境への負荷を軽減できる

地球 エコのイメージ
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化学的に合成された農薬や肥料を使用し、大量生産を行う農業の構造は、地球環境に大きな負荷をかけています。有機的に育てられた種子を使って環境に配慮した栽培を行うことは、あらゆる生き物の生息環境を守ることにもつながります。有機種子は、生物多様性の保全においても重要な役割を担っているといえるでしょう。

松崎氏「そもそも有機栽培は、”環境負荷の軽減”という利他的な考えのもと行われている農業です。農業自体、基本的には環境に負荷をかける行為ですよね。それを軽減して、農業を持続可能な産業として未来にわたって続けていくことを考えるのであれば、有機種子、有機F1種子を選択する必要もあるのではないでしょうか。」


有機種子のデメリット|価格が高い

有機種子のデメリットは、一般的な種子よりも価格が高い点にあります。作物のすべてを有機種子でまかなおうとするとコストがかさみ、生産性の面から見ても多くの農家が有機種子を使った有機栽培に転換するのは難しいでしょう。

松崎氏「種にも有機と非有機があること、有機種子のメリットとデメリットについてよく知ったうえで、何を使うのかを選択していくことが大切だと考えます。」




農業初心者でも育てやすい、おすすめの有機種子の品種は?

初心者マークを持つ女性
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株式会社グリーンフィールドプロジェクトが運営する、有機種子・有機F1種子の通販サイト「グリーンマーケット」で購入できる、おすすめの有機種子についても教えていただきました。

グリーンマーケット|株式会社グリーンフィールドプロジェクト

栄養たっぷり!大人気のビーツは育てやすい

ビーツチオギア
提供:株式会社グリーンフィールドプロジェクト
チオギア

鮮やかな色で豊富な栄養素を持つビーツは、近年人気の野菜です。ビートやウズマキダイコンとも呼ばれるアカザ科の野菜で、カリウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル、ビタミンBやビタミンC、葉酸も含まれています。ビーツの鮮やかな赤色はポリフェノールの一種ベタシアニンからきているものです。

松崎氏「当社では、ビーツチオギアという品種の有機種子を扱っています。実を割ると、中がうずまき状になっているビーツで、見た目にも楽しいので家庭菜園にも良いのではと思います。
そのほかにも、丸い形のビーツデトロイト、大根のように縦に伸びるデンマークのシリンダーという品種も取り扱っています。
ビーツはアブラナ科の大根などに比べると、虫が付きづらい品種なので、農業初心者にもおすすめですよ。」

デトロイト

シリンダー

独特の味わいのウラナス(チコリ)は害虫が来づらい品種

チコリウラナス
提供:株式会社グリーンフィールドプロジェクト
小さな白菜のような見た目の、ヨーロッパ原産の野菜です。独特の苦みを持つチコリには、特有の成分「チコリ酸」が含まれています。チコリには赤と白があります。

松崎氏「当社のおすすめは、緑色のラグビーボールのような見た目のウラナスです。縦長で少し珍しい形に育ちます。
チコリの中では苦みが少なく、食感もおもしろいので、収穫後はぜひサラダで楽しんでみてください。
こちらも虫が付きづらく、有機栽培に適している品種です。当社では有機F1の種子を取り扱っています。」

ウラナス

加熱するとトロトロになる!おいしい固定種・翡翠(ひすい)ナス

翡翠色(淡い緑色)をした珍しいナスです。関東地方で栽培されている固定種で、加熱すると実がトロトロになるのが特徴です。

松崎氏「こちらは固定種、しかも国内で自然栽培された種子なので、国産にこだわりたい方におすすめです。輪切りにして焼いただけでもおいしいんですよ。」

翡翠ナス

同業者に差をつける!珍しい品種も

さまざまな品種の野菜
出典:PIXTA
珍しい品種の有機野菜を作りたい方におすすめしたい種もあります。希少価値のある有機野菜を取りそろえれば、レストランやホテルに卸したり、固定ファンを獲得したりできるかもしれません。

日本では雑草扱い?ヨーロッパの伝統野菜ペイシェンスドック(スイバ)

日本ではスイバと呼ばれている植物で、繁殖力が強く育てやすいのが特徴です。海外では野菜として親しまれています。スイバ(酸い葉)の名の通り、特徴的な酸味を持ちます。
一見するとほうれん草のような葉を持つハーブ。若葉はサラダに、育った葉は加熱調理をして食べることができます。スープの具材として利用されるほか、ルーマニアではロールキャベツのようにして、ペイシェンスドックの葉にひき肉を包んでトマトソースで煮込む料理(サルマーレ)もポピュラーです。

ペイシェンスドック

独特の酸味と粘り気がある夏すべりひゆ

夏すべりひゆ
提供:株式会社グリーンフィールドプロジェクト
「グリーンマーケット」で販売している夏すべりひゆは、固定種の有機種子。寒暖差や乾燥にも強く、大変育てやすい野菜です。

松崎氏「当社で販売している夏すべりひゆには独特の酸味と粘り気があって、世界中で親しまれている野菜です。栄養価も豊富で、ビタミンEやカリウムを多く含んでいます。」

夏すべりひゆ

ごぼうなのに牡蠣の味!サルシファイ(西洋ごぼう)

松崎氏「サルシファイという、西洋ごぼうを栽培するのも面白いと思います。ごぼうというと、土の香りが特徴だと思うのですが、西洋ごぼうは全く違って、海の幸の牡蠣のような風味がすることからオイスタープラントとも呼ばれています。
バターで炒めて食べると、本当に牡蠣のような風味になるんですよ。」

サルシファイ

大きなピーマンが鈴なりに ブルホーン(パプリカ)

縦長で肉厚なピーマン・ブルホーン。まるで牛の角のような形をしています。幅約5cm、長さ約20cmまで成長します。

松崎氏「ブルホーンは一度実をつけると、長い期間収穫できる野菜です。たくさん実をつけてくれるので、家庭菜園でも楽しめる品種ですよ。栽培する地域にもよりますが、夏から晩秋ぐらいまで収穫できるのではないでしょうか。
味は甘みもあって、魚焼きグリルなどで丸焼きにするとジューシーでとてもおいしいです。」

・ブルホーン

有機栽培を始めるなら種子も有機にこだわってみよう

OKサインを出す女性
出典:写真AC
地球規模で気候の変化が見られる中、国や企業だけでなく、個人単位でも持続可能な社会へ向けた取り組みが求められています。人の生命を支える農業の役割はとても大きく、生産量を落とすことなく環境への負荷を軽減する農業を実践していく必要がありそうです。
「環境のためにできることから何か始めたい」のなら、有機種子を使用する、小規模から有機農業を始めてみるという選択肢もあります。有機栽培農家として新規就農を考えている方、慣行栽培から有機栽培への転換を考えている方は、今回ご紹介した有機種子を試してみてはいかがでしょうか。

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ビーツチオギア
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高橋 みゆき

北海道在住のフリーライター。北海道の畑作農家に生まれ、高校卒業後に農業協同組合に入組。JAでは貯金共済課の共済係として、窓口にて主に組合員の生命保険・損害保険の取り扱いをしていました。退組後、2013年まで酪農業に従事。現在はスマート農業に興味津々。テクノロジーを活用した農業についてお伝えしていければと思います。

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