【新規就農】熊本県で農業を始める|スマート農業の進展や輸出拡大、新しい動きから目が離せない

ゆったりとした阿蘇の風景や、美しい湧き水が知られている熊本県。米、トマト、すいか、デコポンなど、全国シェア1位の農産物がたくさん。有機栽培やスマート農業が進んでいる側面もあり、目が離せません。熊本県の地形や気候、農業の概要、法人化や求人の動き、農業大学校や研修の情報などをお伝えします。


阿蘇風景

撮影:AGRI PICK編集部
世界有数のカルデラを誇る阿蘇があることから「火の国」と呼ばれる熊本県。阿蘇山という活火山がつくる美しい景観のほかにも、東から南にかけてある標高1,000メートル級の山々、美しい海を臨む雲仙、天草など、山と海の両方の魅力をもつ県です。また、阿蘇山の噴火によって形成された地層の賜物である清らかな湧水も県内に1,000ヵ所以上あることから、「水の国」でもあります。豊かな自然と向き合って農業を始めたい人にとって、魅力的な環境といえます。


熊本県の農業を知りたい!

熊本県の地図と生産される農作物
出典:熊本県新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」

熊本県の主要生産物

いぐさの生産風景
撮影:AGRI PICK編集部
熊本県では、米、野菜、果樹、畜産をはじめ、多彩な農産物が栽培されています。天草地方などの温暖な気候の地域では露地野菜の栽培が、阿蘇・球磨地方などの高冷地では夏の冷涼な気候を生かした高冷地野菜の栽培がさかんになっています。熊本県の農作物には、全国シェア第1位の品目がたくさんあります。

熊本県が全国シェア第1位の品目

農産物

全国に占める割合(%)

いぐさ 98.6
不知火類(デコポン) 38.1
宿根カスミソウ 35.2
トマト 17.4
葉たばこ 15.1
すいか 14.2
このほかにも、なす、しょうが、なつみかん、くりなども、全国的にも有数の産地となっています。

参考:「くまもとの農林水産業2019」


県も農産物の魅力を発信!「くまもとの赤」ブランド

「火の国」熊本。火の赤をイメージさせる農産物を「くまもとの赤」ブランドとして、全国に発信しています。「くまもとの赤」ブランドの農林水産物には、トマト、あか牛、すいか、いちご、赤ナス、馬肉、天草大王(赤鶏)、マダイなどがあります。

立地条件から見る熊本県

熊本県の地形や気候は?

熊本県は、地形が変化にとんでおり、西側の有明海や八代海に沿った温暖な地域、阿蘇などの標高の高い山間地域など、さまざまな特徴があります。三方を山に囲まれているため内陸性気候の地域も多いです。年間の平均気温は熊本市で17℃前後、阿蘇地方は10℃前後となっています。年間降水量は平地で約2,000mm、山地で約3,000mmとなっています。また、水資源にも恵まれており、菊池川、球磨川などの河川や豊富な地下水などが利用されています。

山都町は有機栽培が盛ん

熊本県では、土づくりをして、化学合成された肥料や農薬をできるだけ減らした環境に配慮した農業である「くまもとグリーン農業」を推進しています。なかでも、県東部の上益城郡にある山都町では、有機JAS認証事業者数が市町村単位で日本一※を誇っています。
※アグリコネクト株式会社調べ


    熊本県の農家の年収って?

    ビニールハウス内のトマト
    出典:写真AC
    熊本県の平成2017年の生産農業所得は1,296億円で、全国6位、九州2位で、前年よりも5.6%増加しています。また、販売農家1戸あたりの農業所得は、前年と比べて 1.6%減少し、246万円となりましたが、主業農家1戸あたりの農業所得は、前年と比べて 5.8%増加し、688万円となっています。

    参考:「くまもとの農林水産業2019」

    熊本県の農業の特徴

    ライトのついたビニールハウス
    出典:写真AC

    農業経営体の法人化が進んでいる

    全国的に農業経営体の法人化は進んでいますが、熊本県においても、法人化している農業経営体数は 861経営体で、2010年から2015年までの5年間で157経営体(22.3%)増加しています。このうち会社法人は623経営体、農事組合法人は104経営体で、2010年に比べそれぞれ170経営体(37.5%)、24経営体(30.0%)という大きい伸びが見られます。このような状況のもと、正社員としての求人も見つけやすい状況にあります。

    参考:2015年農林業センサス結果の概要(概数値:熊本県分)

    進む高齢化、スマート農業への取り組みを加速

    高齢化が進む中、農業の担い手不足から生じる問題の解消や作業の省力化を目指して、ロボット、AI、Iotなどの先端技術を活用した「スマート農業」の導入が進んでいます。九州農政局では、スマート農業を実証している農業者や、九州の各県庁、研究機関の連携体制を構築する「九州スマート農業技術情報連絡会議」を創設しました。ウェブサイトで、九州農政局管内のスマート農業取組事例が紹介されており、熊本県内では、水田の水管理やほ場管理、施設園芸の環境制御などが紹介されています。

    水田に計測器を設置し、数値化された水位や水温、温湿度をタブレット等で確認・管理することで、見回りの回数を減らせる、施設園芸では、ハウス内の環境を自動制御する事で、経験が浅くても比較的簡単に作物を管理できるなど、新規就農をする人こそスマート農業の力に助けられることがあるかもしれません。

    参考:スマート農業(九州農政局ウェブサイト)


    熊本県で新規就農をするには?

    パソコンをする人
    出典:写真AC

    まずは熊本県新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」をチェック

    新規就農を希望する人向けに、新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」があります。就農に関する情報がまとめて掲載されているのでとても便利。就農相談先や研修・支援制度、先輩の体験談などを読むことができます。

    熊本県新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」

    熊本県新規就農支援センターに相談

    公益財団法人熊本県農業公社と一般社団法人熊本県農業会議が運営する熊本県新規就農支援センター。就農相談担当スタッフが、来訪、電話、メール等で相談に対応してくれます。面談を希望する場合には、事前に連絡をしましょう。

    【熊本県新規就農支援センター】
    公益財団法人熊本県農業公社(熊本県庁本館10階)
    熊本市中央区水前寺6丁目18-1
    TEL 096-385-2679 FAX 096-213-1239
    一般社団法人熊本県農業会議(熊本県庁本館9階)
    TEL 096-384-3333 FAX 096-213-1239
    問い合わせフォーム:http://www.kuma-farm.jp/contact-index/#contact-input

    熊本県地域就農支援アドバイザー

    熊本県では、熊本農政事務所管内ごとに、1名ずつ(計11名)地域就農支援アドバイザーを配置しています。新規就農に向けてのアドバイスや、新規就農後の農業技術、経営等に関しての助言指導、農業研修など、継続的な相談役として頼りになる存在です。アドバイザーは、新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」の就農相談先のページに掲載されています。

    求人サイトを参考に

    県新規就農相談ウェブサイト「新・農業人を応援します」の中には、求人情報が掲載されています。栽培作物も掲載されているので、志す農業から選ぶことができます。ハローワークにも農業の求人はあります。また、他県を含めての情報は農業専門の求人サイトを見てみましょう。


    アルバイトやボランティア、熊本農業フェアで農業に触れてみる

    農業がまったく初めてという場合には、アルバイトやボランティアをして、農業の世界に触れてみるのも一つの方法。また、毎年開催されている熊本農業フェアには、県内のJAや生産者、農業高校、行政機関などが出展しています。足を運んで、情報を集めてみるのもいいですね。


    農業をイチから学んでプロになる|熊本県立農業大学校

    農業をする若者
    出典:PIXTA
    就農するにあたって農業をきちんと学びたい人には、熊本県立農業大学校への入学がおすすめ。農業の基礎から先進的な技術まで、体系的に学ぶことができます。また、充実したほ場、施設、設備があるので、学内で実践ができる上、農業に必要な多くの資格を取ることも可能。2年間の全寮制で、卒業生の約半数は県内各地で就農するため、農業を続けるうえで心強い仲間ができます。

    また、農業大学校では、県内で新たに農業を始める社会人を対象に、就農に必要な農業の基礎知識や栽培技術、関連情報等を体系的に学ぶための研修(新規就農支援研修生)も実施しています。

    熊本県立農業大学校

    県農業のトップリーダーを育成|くまもと農業経営塾

    熊本県では、農業のトップリーダーを育成するため、平成22年度から「くまもと農業経営塾」を開講しています。10回のゼミ講座を受講し、経営管理、マーケティング、人材育成等を学び、トップリーダーとなるための資質を養います。

    新しい動きのある熊本県で農業を!

    握手をする人の手
    出典:写真AC
    熊本県では、東海大学、熊本県立大学、九州大学農学部、熊本大学と農業に係る学術研究交流に関する基本協定を締結しています。この基本協定をもとに、共同研究や相互交流が行われることになっています。また、県産農産物の輸出拡大に向けて、外国のバイヤー招へいや現地での販売プロモーションなど、商談機会の創出に取り組んでいます。実際、熊本県の農産物の輸出額は年々増加し、9億円に上る勢いです。

    行政と民間が一体となって、地域ぐるみで新しい取り組みを行っている熊本県の農業は、これからますます注目を浴びていくことになるでしょう。

    この記事に関連するタグ

    関連する記事

    阿蘇山
    このまとめが気に入ったら
    「いいね!」をしよう

    この記事のキーワード

    神山 朋香
    神山 朋香

    大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報や農業体験の記事などを執筆しています。