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道産子ライターが綴る北海道移住のリアル-仕事や住まい、支援制度を徹底ガイド


北海道の大自然の中で暮らしたい!と移住を考えたとき、気になるのが仕事や住居のこと。先人たちはどのようなことで失敗や後悔をしたのでしょうか。ここでは、北海道への移住を考えている方に向け、北海道で暮らすうえの現実的な注意点や支援・補助制度についてご紹介します。1人暮らしにも手厚い自治体情報も。

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高橋 みゆき

北海道在住のフリーライター。北海道の畑作農家に生まれ、高校卒業後に農業協同組合に入組。JAでは貯金共済課の共済係として、窓口にて主に組合員の生命保険・損害保険の取り扱いをしていました。退組後、2013年まで酪農業に従事。現在はスマート農業に興味津々。テクノロジーを活用した農業についてお伝えしていければと思います。…続きを読む

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真冬の北海道の圃場

撮影:高橋みゆき
広大な大地と厳しい自然が織りなす美しい景色に魅了され、北海道への移住を考える方は多くいます。観光シーズンの北海道はどこを見ても絶景で、生まれたときから北海道で暮らす筆者でさえ、毎年感動を覚えるほどです。

とはいえ、下調べもせず思い付きで移住をするのは得策ではありません。北海道への移住を考えているのなら、まずは移住に関する情報を収集しましょう。北海道には179の市町村があり、移住者への支援や補助も市町村によりまちまちです。ここでは、いくつかの市町村の支援制度や移住者への補助金について紹介します。

北海道に移住するメリットは?北海道のおすすめポイント

知床の海鮮丼
撮影:高橋みゆき
移住先として北海道がおすすめな理由は次の3つです。

どこに行っても食べ物がおいしい!

刺身盛り合わせ
撮影:高橋みゆき
前述の通り、北海道には179の市町村がありますが、どこに行っても食べ物のレベルが高く、何を食べても安くておいしいのが北海道のいいところです。ふらっと立ち寄った居酒屋、移動の途中で見つけた定食屋、回転ずしもおいしいのが北海道。

定住先が決まったら、飲食店を探して食べ歩きなんていかがでしょうか。

自然の厳しさと優しさを体感できる

津別21世紀の森
撮影:高橋みゆき
冬が長く、それ以外の季節が短いのが北海道です。9月から寒さを感じはじめ、10月には初雪が降り、春が来るのは5月ごろ。半年におよぶ冬の厳しさからは、人間は自然には敵わないという気付きを、短い春と夏は、素晴らしい景色と過ごしやすい気候を与えてくれます。

人との物理的な距離感があり心地いい

北海道の農村部に行くと、家と家との距離がとても遠いことに気が付きます。都心部や市街地で人混みに行くと疲れてしまう方、家族と、あるいは1人で静かに暮らしたい方にとって、北海道の農村部での暮らしには心地よいものになることでしょう。

北海道への移住で後悔しないために!知っておきたい現実と注意点

圧雪アイスバーン
撮影:高橋みゆき
厳寒期はもちろん、夏の北海道にも気を付けたい点がいくつかあります。移住に失敗しないために、北海道ならではの暮らしの注意点についても知っておきましょう。

北海道移住:春と夏の注意点

冬から春に向かう時期、春から夏に向かう時期と、季節の変わり目の気温が読めないのが北海道です。5月に気温が30℃を超える日もあれば、6月下旬にストーブを使うような寒い日が来ることもあります。

ストーブを片付けたと思ったらまた出した、というぐらい、ストーブを使わない時期が短い地域も少なくありません。寒さが苦手な方は、比較的温暖な道南エリアへの移住を考えたほうがよさそうです。

北海道移住:秋と冬の注意点

北海道の秋と冬に注意したいのが、暖房器具の選び方と暖房費です。
暖房設備にはエアコン、ガスストーブ、灯油ストーブなどの種類がありますが、暖かさと燃料費のバランスを考えてFF式の灯油ストーブや灯油セントラルヒーティング、灯油ポータブルストーブを選択する家庭が多くなっています。

灯油ストーブの気になる暖房費は、筆者の家庭(戸建て・3人家族、FF式灯油ストーブ1台、灯油ファンヒーター2台)で冬期間の月平均2~3万円ほどです。

移住支援員がアドバイス!情報収集時はここをチェック

自らも移住経験者である岡山県真庭市の移住支援員、藤本一志さんが移住先を探すときの「情報収集」方法を解説します。

北海道に移住したら仕事は何がある?

広がる畑
出典:写真AC
移住の際、もっとも気になるのは仕事でしょう。北海道ではどのような仕事が盛んなのでしょうか。

北海道の仕事は製造業が少ない

北海道の産業構造には、都府県との違いが見られます。全国と比較して、一次産業と三次産業が多く、二次産業の割合が低いのです。しかも、全産業に占める二次産業のウェイトも減少傾向にあります。

北海道は全体的に人手不足

オフィスの席で困っている男性
出典:PIXTA
道内金融機関の独自調査によると、道内企業のうち約7割が「人手不足」と答えるなど、労働力の不足感は北海道全域に見られます。農業法人や畜産・酪農業でも求人を募集しており、中には従業員用の住宅や社用車が用意されているケースも見られます。

北海道の良さを感じながら働きたい、未経験でもできる仕事を探しているのなら、農業など一次産業関連の求人を探してみましょう。


農業関係の求人の例

次の表は、北海道の主な農業関係の求人情報をいくつかの求人サイトからピックアップしたものです。
職種仕事内容勤務時間必要な資格
牧場スタッフ和牛の親牛と子牛の管理等8時~18時普通自動車免許(オートマ限定可)
酪農業全般搾乳や牛舎の清掃など、酪農作業全般10時~12時30分、15時30分~18時30分普通自動車免許
果樹・野菜の栽培管理果樹と野菜の栽培管理9時~17時20分普通自動車免許、大型特殊免許
野菜の生産野菜の栽培管理、収穫、出荷など7時~18時普通自動車免許(オートマ限定可)
農業関連の求人は、作業時間や作業内容もバラバラですが、おおむね普通自動車免許を取得している方であれば、年齢に関係なく応募できるようです。


水産業の求人の例

網走港
撮影:高橋みゆき
職種仕事内容勤務時間必要な資格
漁師沖に出ての沿岸漁業7時~18時普通自動車免許
作業員加工品の袋詰め作業8時~17時  -
漁業関連の求人には、漁師や貝むき作業、加工品の袋詰め作業員などがありました。水産業関連の求人でも、社員寮を用意しているものが見られます。

林業

林業では、森林管理や育林作業、森林作業道解説作業などを行う林業作業員の求人があります。勤務時間は7時から16時と少し変則的なケースが多いようです。

北海道の移住支援や補助金制度は?

家の前に立つ仲良しファミリー
出典:PIXTA
ここからは、北海道の移住支援について紹介します。手厚い支援を用意している自治体をピックアップしました(2020年1月現在)。

東京から北海道への移住で最大100万円(独身60万円)の移住支援金が受け取れる

5年以上東京23区に在住していた方、または通勤していた方が北海道内の特定市町村へU・I・Jターン就職をすると、世帯で100万円、単身で60万円の支援金が受け取れます。この支援金を受け取るためには、道が開設する求人マッチングサイトに掲載されている企業に就職する必要があります。

支援金は、移住後1年以内に移住先の対象市町村に申請しましょう。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

移住支援金特設ページ(移住者向け)北海道【UIJターン新規就業支援事業】|北海道

転入祝い金など、奨励金・補助金が受け取れる市町村もある

お金
出典:Pixabay

雨竜町では、町内就業者の単身世帯で10万円、世帯で20万円が受け取れる、雨竜町転入者奨励金が用意されています。厚沢部(あっさぶ)町では、後継就農者に就農奨励金50万円、新規就農者には新規就農奨励金として100万円を交付しています。

世帯にうれしい住宅購入関連補助

白老町には、45歳以下の子育て世代の土地購入費を全額補助する制度があります。補助の対象となるのは指定分譲宅地で、町内建設事業者で住宅を建築した場合に限られます。この補助は、子育て世代の移住者を促進する支援事業によるものです。

浦幌町では、住宅を新築する移住者や中古住宅を購入する移住者に対する支援金を用意しています。新築住宅は200万円(町内業者が施工した場合は50万円増額)、中古住宅では最大で100万円の補助金が受け取れます。

出産・育児に手厚いのは

眠る子ども
出典:Pixabay
道南の福島町では、移住者のみならず、すべての町民に対し出産祝い金を交付しています。出産祝い金は、1人目が5万円、2人目が20万円、3人目は100万円です。それぞれ、金額のうち30%が町内商品券で支給されます。また、3人目の支給は3年間に渡って分割で支給されます。

育児の支援に手厚いのが中富良野町です。子育て世代が賃貸住宅を契約すると、入居時の補助が5万円に毎月の家賃補助1.5万円が支給されます。チャイルドシート購入時にも補助金1万円が、さらに、中学3年生までの医療費が全額無料になります。

移住に人気のエリアは東川、ニセコ、三笠

道路を渡る鹿
撮影:高橋みゆき
北海道の市町村の中でも、移住者に人気のエリアがいくつかあります。移住者が続々と集まり、20年間で人口が2割も増加しているのが旭川市の隣にある、上川郡東川町です(2020年1月現在)。

東川町が人気の理由

大雪山のふもとにある、水源豊かな東川町には、上水道がありません。水道水の代わりとなっているのが、天然ミネラル水です。山々に囲まれた東川町は温泉も豊富で、旭岳温泉と天人峡温泉の2つの温泉地を有しています。
子育て施設、医療施設、福祉施設も多くあり、起業支援や移住者支援制度も整っています。

東川町は、ショートステイで移住体験ができる体験施設も用意しています。ログハウス風の大雪遊水ハウスは定員6名の部屋が2室、貸別荘のケビンは平屋建てと2階建ての2タイプがあります。
一人暮らしにうれしいワンルームのマンションタイプも。これまで数多くの移住者を受け入れてきた東川町なら、初めての北海道での暮らしへの不安も薄れそうです。

写真の町 北海道上川郡東川町 東川町に住んでみませんか?

三笠市の支援制度も手厚い!

家の積み木
出典:Pixabay
空知地方の南部、岩見沢市や美唄市に近い三笠市も、移住の支援制度が手厚い自治体です。シングルマザーの資格取得を応援する制度、新婚世帯、三世代同居・近居の支援、家賃補助は最大3万円、住宅の購入支援として最大で150万円が助成されます。

ニセコは外国からの移住者増

スキー客が急増し、その勢いで外国からの移住者が増えているのがニセコです。ニセコの上質な雪を求めて、冬には世界中からスキーの愛好家が集まります。外国人観光客と移住者の増加で、ニセコの町は大きく変わりました。
起業したい方やグローバルに活躍したい方は、ニセコへの移住でチャンスが生まれるかもしれません。

失敗しないために!まずは「短期お試し」移住体験がおすすめ

小樽運河
撮影:高橋みゆき
NPO法人住んでみたい北海道推進会議などが運営するサイト「北海道で暮らそう!?」は、旅行気分で移住体験ができる「ちょっと暮らし」制度を提供しています。上富良野町、新篠津村、標津町、黒松内町、利尻町、足寄町など、エリアの異なる複数の市町村で移住体験が可能です。

せっかく移住するのなら、自分が気に入った場所で暮らしたいものです。本格的な移住をする前に、体験移住を通して、エリアで異なる北海道の生活を体感してみてはいかがでしょうか。

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