肉牛の仕事|気になる所得や仕事内容、就職方法をチェック!

肉牛の仕事についてご紹介。肉牛農家の仕事の内容や気になる年収、やりがいや大変な点、就職する方法など、これから肉牛の仕事に就こうと考えている方に役立つ情報のほか、日本の牛肉の生産量や自給率、輸入量、乳牛と肉牛の違いや牛の体重などの豆知識も得られます!


牛

撮影:AGRI PICK編集部
焼き肉やステーキ店が盛況だったり、肉フェスが開催されたりと、今は空前の肉ブームといわれています。また、牛肉には良質なたんぱく質と鉄分が含まれており、効率的な栄養補給のために欠かせない食材ですね。ここでは、牛を飼育し、牛肉を生産する仕事をご紹介します。

繁殖牛経営と肥育牛経営

牛舎
出典:PIXTA
牛を育てて牛肉として出荷する畜産業を「肉用牛経営」といいます。母牛に子牛を産ませて、育てて、出荷するのが肉用牛経営の仕事ですが、子牛を生産・販売する「繁殖牛経営」と、育てて肉として出荷する「肥育牛経営」のどちらかを専門として行っている農家が多いです。これに対し、繁殖・肥育の双方を一貫して行っている場合を「一貫経営」といいます。

子牛が生まれてから出荷されるまでの期間は約30カ月で、体重30kgぐらいの子牛が、出荷されるときには600~700kgになります。

肉用牛の飼育戸数や飼育頭数は?

牛
出典:写真AC
畜産統計調査によると、2018年の全国の肉用牛の飼育戸数は4万8,300戸で、廃業等により前年に比べて1,800戸減少しました。肉用牛農家は高齢化や担い手不足などから離農が進んでいる状況です。一方、飼養頭数は251万4,000頭で、前年に比べ1万5,000頭(0.6%)増加しています。また、200頭以上飼育している農家が全体の6割の頭数を飼養しています。

国内の牛肉の生産量は?

牛肉
出典:写真AC
2018年度の牛肉の国内生産量は33万tで、牛肉の自給率(重量ベース)は、近年40%前後で推移し、減少傾向にあります。一方、日本の牛肉の輸入量は57万t(2017年)で、10年間で24%増加していますが、世界的に牛肉需要は急激に伸びており、安定的に牛肉を輸入できる環境が続かないのではという見方もあります。そのため、国内で肉用牛の生産がより盛んになることが期待されています。

国では、肉用牛生産の安定を図るため、肉用子牛の平均売買価格が保証基準価格を下回った場合に補給金を交付する制度や売却価格が一定以下の場合に所得税や住民税が免除される制度などを設けています。

肉用牛経営の所得は?

牧草ロールのある風景
出典:写真AC
肉用牛経営については、稲作や野菜栽培などに比べて、利益も大きいですがコストも大きいという実態があります。

繁殖牛経営の所得

2017年の繁殖牛経営(全国平均)の1経営あたりの農業粗収益は1,258万円となっています。一方、農業経営費は723万円で、農業所得は535万円となっています。

肥育牛経営の所得

2017年の肥育牛経営(全国平均)の1経営あたりの農業粗収益は7,517万円となっています。一方、農業経営費は6,524万円で、農業所得は993万円となっています。
参考:農業経営統計調査「営農類型別経営統計(個別経営)」

肉用牛の一頭の値段は?

大規模肉用牛経営動向に関する調査報告書(独立行政法人農畜産業振興機構)によると、2017年度の市場出荷の1頭あたりの平均販売額は黒毛和種で118万円、交雑種68万円、乳用種44万円となっています。

肉用牛の種類

黒い牛と茶色の牛
出典:写真AC

乳牛と肉牛の違い

牛は体に肉がつきやすい肉用牛と乳をたくさん出す乳用牛に分類されます。乳用牛には、白黒のまだらな毛を持つホルスタイン種や鹿のようなジャージー種があります。一方、肉用牛には、以下のように「肉専用種(和牛)」「乳用種(国産若牛)」「交雑種(F1)」という3種の区分があります。

肉専用種(和牛)

もともと牛肉を生産する目的で飼育されている牛をいいます。主に以下の4種です。

黒毛和種(くろげわしゅ)

黒毛和種
出典:PIXTA
日本の和牛の主要品種で、高級な霜降り肉などを生産できます。和牛の飼養頭数のうち、約95%を占めています。

無角和種(むかくわしゅ)

濃い黒色の毛が特徴で、肉質は黒毛和種より劣ります。

日本短角種(にほんたんかくしゅ)

日本短角種
撮影:AGRI PICK編集部
岩手県が主産県。体格が良く、放牧適性が高く効率的に赤身肉を生産します。

褐毛和種(あかげわしゅ)

褐毛和種
出典:PIXTA
熊本県が主産県。肉質の点では黒毛和種に次ぐ品種。耐暑性に優れています。

乳用種(国産若牛)

国産若牛
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酪農経営の副産物である牡牛を肉向けに肥育したもの。主にホルスタイン種の雄です。

交雑種(F1)

人に引かれる牛
出典:写真AC
黒毛和種の雄にホルスタイン種の雌を交配し肉質の向上を図ったものです。

肉用牛の仕事の内容

牧草
出典:写真AC
肉用牛の仕事には、えさやり、畜舎清掃、飼料配合・準備、牛の体調管理(発情等確認)、繁殖、出荷などがあります。繁殖させて安全に子牛を育てることは、経営に直結する大事な仕事です。近年では、発情発見装置や分娩監視装置、哺乳ロボットなど、ICTやロボットを活用して省力化を進め、生産性を向上させている事例もあります。

えさは、1頭につき、1日に7~8kg与え、牛の成長過程に合わせて内容を変えることが一般的です。最初のうちは内臓や骨格などを作るため、牧草や稲わらなどの飼料を使います。牛の骨格が十分な大きさに成長した後に、脂肪を蓄えるよう大麦などを増やしていきます。食べるものによって肉質が違ってくるので、どのようなえさを与えたら良いのか各農家で試行錯誤をしながら飼育しています。ほかにも、牛が快適に過ごせるよう、削蹄(さくてい)というひづめを切る作業や、防暑対策の日かげづくりなどもあります。

肉用牛の仕事のやりがいとメリット

牛
出典:PIXTA
牛とかかわりながら仕事ができることが一番の魅力です。牛は人になつくので、動物好きで、育てることが好きな人には喜びややりがいが感じられる仕事です。肉用牛の価格は上昇傾向にあり、順調に育てて出荷すると安定した収入が得られます。また、牛は豚や鶏に比べて病気に強いこと、酪農と比べると搾乳作業がない分ゆとりがあるのも特徴です。

肉用牛の仕事の厳しさ

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動物を相手にする仕事なので、仕事は毎日あります。一人で始めることは難しいと考えた方が良いでしょう。家族の理解も大切になります。肉用牛の経営資本をすべて準備するには多額な費用が必要になるため、投資を回収できる年齢のうちに経営を開始することと、一度経営を開始したら簡単に転職することは難しいことは認識しておきましょう。

肉用牛の農家になるには

農家の夫婦
出典:写真AC

農業法人や牧場に就職する

肉用牛の仕事をしたい場合に、一番身近な方法は農業法人や牧場に就職することです。ハローワークや求人サイトで、肉用牛の仕事の求人を見つけることができます。早朝や休憩時間を挟んで夕方に仕事があるため、寮を完備していたり、夫婦での移住を歓迎していたりする求人もあります。


肉用牛ヘルパーになる

休みがとりにくい肉用牛農家の休日などに、農家に代わって業務を請け負う「肉用牛ヘルパー利用組合」に雇用されて、ヘルパーとして農場業務の一部に従事することができます。仕事は飼料給与が中心ですが、牛舎清掃、出荷など、さまざまな牧場で作業を経験でき、ノウハウを蓄積できるので、肉牛農家への最初の一歩として考えてみると良いでしょう。

農場を経営する

牛、農地、畜舎、設備などを備えて、肉用牛を生産・販売し、自分で肉用牛経営を行います。肉用牛経営を行うには、営農技術、農地、施設や設備、家畜、自己資金、地域農業者からの信用が必要です。親の経営基盤がある農業後継者であれば、親の持っているものを引き継ぐことができますが、新規参入を考えている人は、自分でこれらを準備しなくてはならないため、経営まで相当の時間がかかると考えておいた方が良いでしょう。まずは、各都道府県にある都道府県新規就農相談センターに相談してみましょう。就農支援や経営移譲希望者などの情報を収集することができます。

牛という命に向き合う仕事

黒い牛
出典:写真AC
おいしい牛肉。それはかわいい牛の命なのですが、肉牛農家にとって、かわいいこととおいしいことは矛盾するものではありません。自分の育てた牛が肉となり、喜んで食べてくれた誰かの命につながることが肉牛の仕事の醍醐味といえるでしょう。

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神山 朋香
神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報や農業体験の記事などを執筆しています。