目次
品種によっては、1株に何輪ものひまわりの花が咲くので、花束や生け花などの切り花にもおすすめです。草丈が低い種類もあるので、地植えだけでなく、ベランダや玄関前の寄せ植えでもひまわりを楽しむことができます。
ひまわり(向日葵)について
ひまわりは、アメリカ北部原産のキク科ヒマワリ属の一年草です。ひまわりの花が太陽の方向を向いて咲く様子から、「Sunflower」「向日葵」という名前がつけられました。
古くからアメリカインディアンの食料としてひまわりの種が食べられており、16世紀以降はアメリカ北部からヨーロッパ、ロシア、南アフリカ、オーストラリアなど世界各国に伝わって栽培(主に油の原料)されています。
日本へは江戸時代に観賞用として導入され、明治に入ってからは北海道で飼料や油の原料として栽培していました。
現在のひまわりは、草丈の低い矮性品種が花き類として花束などに使用されたり、草丈の大きな高性品種は美しい夏の景観を演出するひまわり畑として栽培され観光地のような賑わいをみせています。
植物名 | ヒマワリ |
和名 | 向日葵 |
学名 | Helianthus annuus |
英名 | Sunflower |
科名 | キク科 |
属名 | ヒマワリ属 |
原産地 | 北アメリカ |
ひまわりの花の特徴
ひまわりの花房の外周は、雌しべと雄しべのない「舌状花(ぜつじょうか)」という舌のような形の花弁が並んでいます。内側の茶色い部分は「筒状花(つつじょうか)」といって、雌しべと雄しべを持つ両性花です。1株に1輪のひまわりを咲かせる1本仕立てや、摘芯を行なって1株から数本花を咲かせる育て方があります。品種によっては、摘芯をしなくても分枝するひまわりもありますが、さらに摘芯することで草丈を抑えたり、花数を増やすこともできます。
1輪でも存在感のある花ですが、仕立て方によって草姿を変えられるのが、ひまわりの魅力の一つです。
ひまわりの品種
直径約30cmほどの大きな品種や、10cmほどの小さな花をいくつか咲かせる種類があります。花の色は黄色やオレンジ以外にも赤や白、バイカラーなどがあり、一重咲のほかに八重咲き品種もあります。
また、草丈が高く育つものや、草丈の低い品種もあるので、育てる場所や好みに合わせて選んでみましょう。
高性品種
草丈が90cm以上に育つ品種で、高さ200cm位まで育つものもあります。
花房は約15〜30cmと大きく開花するので、見応えたっぷり。
草丈を高く育てる場合は地植えがおすすめです。
矮性品種
草丈が低く、分枝するので、鉢植えや寄植えに適しています。
花粉のない種類もあるので、切り花としてお部屋に飾るのにも最適です。
ひまわり(向日葵)を育てる前に
発芽後は乾燥に強く、水や肥料をさほど必要としないので、ガーデニングを始めたばかりの方にも、比較的簡単に育てることができます。ひまわりを育てる環境
風通しや水はけの良い土壌を好みます。ひまわりにとって、日本の環境はやや多湿気味ですが、過度に多湿な場所でなければ、北海道から九州まで育てることができます。
ひまわりの種
発芽適温は20〜25℃。日長反応(にっちょうはんのう)が長日条件で開花する性質を持っているひまわりの品種は、温度が適していても短日条件下では花が咲かないことがあります。
ひまわりの種は温度に注意するだけでなく、適した時期を選んでまきましょう。
※日長反応…日の長さの影響を受けて花芽が形成される反応のことで、発芽や開花する時期に違いが出る影響のひとつ。
ひまわりの種まきの時期
寒冷地では5〜6月中旬。
温暖地では4〜6月中旬が目安です。
ひまわりの苗の選び方
ひまわりの苗の大きさは、育苗ポット(3〜3.5号)位。葉の裏などに、害虫がついていないか確認します。
苗の植え付け時期
4〜7月上旬が適期です。
ひまわり(向日葵)の鉢植え栽培
鉢植えで育てるなら、草丈が大きくならない矮性品種がおすすめです。準備するもの
水はけの良い土を好みます。花苗用の培養土を使うか、赤玉土や腐葉土などの堆肥を合わせ、元肥として緩効性肥料を施します。種まき
鉢に直接種をまくか、ポリポットに種をまいて育苗します。種まきの手順
根を深く伸ばしていくので、元肥は用土の深いところに施します。株間を大きくとると草丈が大きくなる傾向があります。鉢で育てる場合は、10cm位の株間にして、ひまわりを小さめに育てます。
種同士の間隔を少しあけて、一箇所に2〜3粒種をまき、約1〜1.5cm覆土をして水をたっぷり与えます。発芽するまで種を乾燥させないように管理しましょう。
発芽後、本葉が2〜3枚のころまっすぐでしっかり伸びた芽を残して、ほかの芽は間引きます。
育苗ポットで育苗する場合
3〜3.5号(9〜10.5cm)のポリポットに、種を2〜3粒まいて約1〜1.5cm覆土し、水をたっぷり与えます。
本葉が2〜3枚になるころ1本に間引き、本葉が5〜6枚になるころには根も十分張ってくるので、鉢へ植え付けます。
苗の植え付け
根を傷付けられることに弱いので、根鉢を崩さないようにして植え付けます。ひまわりは、草丈が大きく育ってしまってからの移植が苦手です。生育が悪くなり枯れてしまうことがあるので、植え付けは本葉が5〜6枚ごろまでには済ませましょう。
苗の植え付けの手順
苗の肩が出てしまわないように用土を隙間なく敷き詰め、最後にたっぷり水を与えます。ひまわり(向日葵)の地植え栽培
地植え栽培は、根をよく伸ばすことができるので草丈が大きく育ちます。種まき
草丈が大きく育つひまわりの株間は40〜50cm位、茎が細く切り花に適したひまわりに育てる場合は10〜20cmほどにします。種まきの手順
排水性を良くする場合は高めの畝を作ります。根を深く伸ばすので、40cmほどの深いところに元肥を施しましょう。1箇所に2〜3粒まいて、本葉2〜3枚になるころ、元気でまっすぐ伸びた芽を残して1本に間引きます。
苗の植え付け
種まきの間隔同様に、草丈が大きく育つひまわりの株間は40〜50cm位、小さく育てたい場合は10〜20cmほどにします。要領は鉢植えと同じです。排水性のある土壌で育てましょう。
苗の植え付けの手順
深さ40cmほどまで耕したら元肥をすき込み、株元が沈まない高さに植え付けて、苗の周りを手で押さえるように根と土を密着させましょう。ひまわり(向日葵)の日頃の管理
ひまわりの栽培のポイントは生育初期の「肥料」と「水分」そして「日光」です。ひまわりの水やり
夏場の水やりは気温の高い日中に水を与えてしまうと、土中の温度が上がり株を傷めるので、涼しい朝の時間帯に行いましょう。鉢植えの水やり
基本的には、過湿にならないように土が乾いてから水を与えます。水分が足りないと葉が落ちやすくなったり、花付きが悪くなったりするので気を付けましょう。
鉢植えの水やりは水を与えるだけじゃない!
鉢底から流れるくらい水をたっぷり与えることは、水分補給以外にも良いことがあります。
それは土中の空気の入れ替えです。
土の中にも酸素が存在しています。私たちの部屋でも時々空気の入れ替えが必要なように、植物も時々空気の入れ替えが必要です。
鉢底から流れてくるくらい水をたっぷり与えることで、土中の水分とともに空気を入れ替え、土中の状態を良く保ちましょう。
地植えの水やり
比較的乾燥した環境でも育つので、降雨だけでも十分ですが、生育初期は乾燥状態にならないように注意しましょう。ひまわりの肥料
ひまわりは肥料を吸収する力が強く、土壌に残っている栄養素を吸収しながらぐんぐん育っていくので、地植え栽培で元肥を施している場合、追肥は控えめに育てます。追肥を与える場合は開花前まで済ませ、花が咲き始めたらストップします。鉢植え栽培では、肥料が足りていないと葉が黄色くなるなどの症状が出るので、速効性のある液肥などを与えましょう。
ひまわりの病害虫
ひまわりがかかりやすい病気や害虫を紹介します。病気
降雨で湿度が高い状態が続くとべと病や斑点細菌病に、風通しの悪い環境でうどんこ病にかかることがあります。害虫
真夏の高温乾燥時期にはハダニが発生しやすくなります。そのほかにも、ナメクジやヨトウムシ、アブラムシ、アザミウマなどの被害が出ます。支柱立て
高性種の草丈が高くなってきたころ、花の重みでぐらつく際は、支柱を立てると株元の傷みを防ぐことができます。花がら摘み
花が枯れたら付け根から切り取りましょう。枯れた花をそのままにしておくと、種子を作るためにたくさん力を使うので、摘み取ることで次に咲く花へ栄養を行き渡らせることができ、病気の予防にもなります。
ひまわり(向日葵)の摘芯・仕立て方
てっぺんの生長点の管理の方法で、草姿や花の咲き方を調整します。摘芯して分枝させる仕立て方
摘芯して栄養をわき芽に分散させる仕立て方です。双葉(株元近くに生える小さな葉)を除いた、本葉4〜6枚ごろに摘芯を行うと、花径は小さめですが花数多く育ち、本葉10枚以上のころに摘芯を行うと、花径は少し大きめのひまわりを咲かせることができます。
大きなひまわりを1つだけ咲かせる方法
摘芯を行わずにわき芽を摘み取り、1輪の大きな花を咲かせる仕立て方です。ひまわり(向日葵)の花の楽しみ方
ひまわりの花の楽しみ方を紹介します。切り花
矮性品種のひまわりを育てて、切り花にして花瓶に生けたり、花束にするのもすてきです。1輪でも存在感のあるひまわりは、プレゼントにもおすすめです。
▼ひまわりのおしゃれなアレンジ方法ならこちらをご覧ください。
次の年もひまわりを楽しむ
筒状花に種子ができる種類は、種が黒くなってきたら切り取り、日陰で風通しの良いところで乾燥させます。乾燥したものを木箱や封筒に入れ、翌年まで湿気のたまらない容器などで冷蔵庫保管します。
ひまわり(向日葵)を育てよう
ひまわりを見ているだけで、なんだか暑い夏も元気に過ごせそうな気持ちになります。黄色のイメージが強いですが、ワインレッドや、オレンジと黄色のコントラストが美しい品種も開発されています。花の中心の色もよく見ると、茶色だけではなく山吹色やオレンジなどがあります。
草丈が高い品種はお庭で、矮性品種は鉢植えで栽培を楽しむことができるので、皆さんもご自宅でひまわりの花を咲かせてみませんか。