目次
-
- AGRI PICK 編集部
AGRI PICKの運営・編集スタッフ。農業者や家庭菜園・ガーデニングを楽しむ方に向けて、栽培のコツや便利な農作業グッズなどのお役立ち情報を配信しています。これから農業を始めたい・学びたい方に向けた、栽培の基礎知識や、農業の求人・就農に関する情報も。…続きを読む
<構成>こぐま農場
→こぐま農場やさいひろば:https://koguma.theshop.jp/
育苗って何だろう?

育苗とは?
育苗とは野菜や花の苗を育てることをいいます。野菜や花などの苗は、品目によっては畑に直接種をまくこともありますが、一般的にはセルトレイやビニールポットなど、小さく区画のある容器などで管理し、苗がある程度大きくなってから移植して植え付けます。育苗のメリットとしては、
・種を畑の畝などに直接まくよりも、種が雨や風などで流れにくい
・間引き、除草や病害虫防除が容易に行える
・畑に野菜を植えておく期間を短縮し、ほかの野菜を栽培することができる
などがあげられます。
育苗ハウス?ベランダ?育苗を行う場所
大規模に生産するなら、苗を大量生産できる育苗ハウスがおすすめです。家庭菜園ユーザーであれば、ベランダで育苗する方法のほか、畑に苗床を作る場合もあります。初心者でも簡単!育苗の基本

Step1. 種を準備する
植物の種は、ホームセンターや農協、ネット通販などで簡単に手に入るので、お気に入りを見つけて購入しましょう。街中に種屋さんがあれば、そちらでも購入できます。お店のなかには、品種選びの相談に乗ってくれるほか、量り売りをしてくれるところもあります。Step2. 種まき用の土を選ぶ
種まきには、種まき専用培土を使用するのがおすすめ。開封後は運搬中の肥料分の偏りをなくすため、大きくかき混ぜることがポイントです。プロ農家の中には、夏場の高温による苗の徒長を防ぐため、窒素成分を抑えた種まき培土を使うケースもあります。夏場でも朝1回水やりをすれば夕方まで乾かない保水性の高い土や、覆土専用培土のほか、ポット苗用培土もあります。苗の徒長防止に!夏用の培土
赤玉土配合で軽量の夏用培土
Step3. 容器を選ぶ|セルトレイ・育苗箱・ポリポット
キャベツやブロッコリー、ハクサイ、レタスなどの葉茎菜には128穴のセルトレイがよく使われます。ほかにも200穴や400穴があり、ネギなどに使われています。トマトやナス、ピーマンなどの果菜類は、12~15cmの大きめのポリポットに種をまく方法や、まず苗箱やセルトレイに種をまき、ある程度大きくなってからポリポットに移植する方法もあります。なお、ダイコンやカブなどの根菜類は育苗せずに畑に直接種をまきます。
容器の色にも注目!防虫効果や遮熱効果も
シルバーのポリポットにはアブラムシなどの害虫忌避効果が期待できます。また白いセルトレイは、夏場の温度上昇を抑えてくれます。Step4. 容器に培土を入れる
培土はよく撹拌し、成分をならします。水を入れてから使う培土もあるので、説明書をチェックしてから使いましょう。培土を入れる際、隙間があると、かん水したときに凹むのでしっかり詰めます。Step5. 十分にかん水(水やり)する
容器の穴から水がしたたり落ちるくらい十分にかん水します。Step6. 地面から浮かせた場所に置き、エアープルーニングを施す
通気性の良い場所で苗を管理するには、育苗ベンチがおすすめです。セルトレイやポリポットの底を空気にさらすことで、植物の根がしっかり培土にまき根鉢が形成されます。これをエアープルーニングと呼びます。Step7. 新聞紙を被せて乾燥を防ぐ
乾燥しないように新聞紙などを被せておきます。発芽を確認したら直ちに取り除きましょう。育苗中の農薬や肥料は、取扱方法をチェックしてから!

育苗中の肥料は必要に応じて行う
一般的な育苗培土にはあらかじめ養分が含まれているので、発芽から3~5枚葉などある程度苗が大きくなるまでの期間、追肥の必要はほとんどありません。ただし、葉色が薄くなった場合など必要に応じて液肥などで追肥します。農薬は希釈倍率に注意!
育苗後半の定植前に所定量の農薬を潅注することで、定植後に効き目を発揮させ、防除の労力を減らす方法もあります。これを潅注処理といいます。希釈倍率に注意しましょう。家庭菜園ユーザーさん必見!手軽な育苗器や培土の自作方法
育苗器を使って、苗を作る!
低温期には加温して使えベランダにもおける育苗器が販売されているほか、園芸用のミニ温室でも育苗を行うことが可能です。コンパクトでもしっかり育苗できる!育苗器「愛菜花」
ナスやトマトの苗作りならこちら!大型育苗器「菜友器」
種まき培土は自作できる?
種まき培土は実際商品に使われている質材を同じような割合で混ぜれば、自作することができます。特に大量であれば、用土を配合した方が安く済みます。畑の土をそのまま使う場合は、病害虫や雑草の種が含まれている場合があるため、釜や大きな鍋で蒸しこんだり、太陽熱で消毒を施してから使うほうが安全です。育苗を通じて技術力向上につなげよう
育苗は、種まきから収穫までを経験できる貴重な機会です。一方で、果菜類などは育苗期で花芽分化が決定されるなど、失敗が許されないステージでもあります。温度管理や肥料、病害虫の防除などの苦労はありますが、収穫したときの喜びもひとしお。ぜひチャレンジしてみてください。





















