シマトネリコの剪定方法｜バッサリ切ってもOK！適切な時期や切り戻し方など失敗例付きで詳しく解説

灰色の斑点模様の幹が細くしなやかに伸び、初夏にブラシのような白い花が咲いたあと、秋に羽の付いた果実が鑑賞できるシマトネリコ。芽吹く力が強く、枝葉を切るとすぐに新しい芽が出るため、剪定（せんてい）がしやすい庭木です。樹形を美しく保ち、花や実の付きが良くなるシマトネリコの剪定の仕方についてまとめました！

鉢植えのシマトネリコの剪定方法や育て方はこちら

年に2回のペースで！シマトネリコの剪定の特徴

生長速度がとても早いシマトネリコは、地面から出る幹が1本の「単幹樹形」と、幹が複数出てくる「株立ち樹形」と呼ばれる両方の種類があります。基本的に、シマトネリコの剪定は年に2回のペースで行いますが、単幹樹形のものは、株立ち樹形のものよりも生長速度が速くなりやすいです。背丈が高くなり過ぎたときや、枝葉が混み合ったりしたときにも剪定しましょう。

シマトネリコの剪定の特徴｜ためらわずにバッサリと切る

基本的には、混み合っている枝葉、色が黒ずんだ古い枝葉、枯れた枝、不要な枝と幹の数を間引くように剪定します。ためらって切らずにいると、枝葉が鬱蒼（うっそう）として、壁のような圧迫感のある木になる場合も。次回以降の剪定も大変になってしまうので、向こう側が見えるようにバッサリと切り落とすことが大事です。樹形の美しかった植えたばかりの苗木を思い出して、すっきりとした見た目に仕立てましょう。

シマトネリコの詳しい育て方はこちらの記事をチェック！

シマトネリコの最適な剪定時期は、7月と10月〜12月

シマトネリコの剪定は、花が咲き終わる7月か、生長が緩やかになる10〜12月にしましょう。8月の真夏は切り口から水分が抜けやすく、枝葉が枯れてしまうこともあります。また、5月以降の梅雨の時期は、湿気によって病気が発生しやすいので、できるだけ避けてくださいね！

シマトネリコの鑑賞や剪定などの手入れの時期

• 鑑賞期：5月下旬〜7月上旬（花）、10〜11月（紅葉）
• 結実期：10〜11月
• 植え付け、植え替え：4月
• 肥料：鉢植え／3月（寒肥）
• 剪定：7月、10〜12月

どこの枝や幹を切る？シマトネリコの失敗しない剪定方法とコツ

単幹でも株立ちでも基本的に剪定方法は同じですが、単幹樹形のものは、幹上部の先端周りの枝葉のボリュームを減らし、株立ち樹形のものは、幹の数を3本や5本になるようにひこばえ（地面から生える幹）を間引くと、たたずまいが美しくなりますよ！

Step1. 理想の高さ・幅のラインと木の骨格を決める

伸びた枝葉をなんとなくでバツバツと切っていくと、切り詰め過ぎたり、透かし過ぎたりして、シマトネリコの樹形が思うように整わないことも。まずは、理想の高さ・幅のラインと木の骨格（樹形）を決めてから切るようにすると、失敗するリスクも減ります。

Step2. ラインに沿って枝葉を剪定する

決めたラインの外側に出ている枝葉や、樹形を見出す枝葉を、枝分かれしている箇所まで切り戻します。また、外から見たときに、幹や枝がうっすらと透けて見えるように、木の骨格となる枝葉を残しながら切りましょう。
節と節の間で切ったり、枝を中途半端に残したりすると、新しい枝葉が無数に出て、不自然な樹形になりやすいです。ある程度剪定ができたら、何度か遠くからも見て、木全体のバランスを整え、周りの植物や物との間隔も調整します。

シマトネリコの剪定のコツ｜複数に枝分かれした箇所は、短い枝葉を1本残して剪定

1本の枝節から2本以上の枝が伸びるようなところは、短い枝を1本残すようにしてほかの枝を切り落としましょう。全てを切り落としてしまうと、そこから新しい枝が5本以上で伸びることもあります。

Step3. 不要な枝や枯れ枝を切り落とす

花や実の付きが悪くならないように、以下のような枝を、枝分かれしたところまで切り戻しましょう。枝を切るときは、枯れ枝も一緒に取り除きながら剪定してくださいね。

・立ち枝｜横に伸びる太い枝に対して、上に真っ直ぐ伸びる枝
・平行枝｜平行に同じ方向へ伸びる枝
・交差枝｜枝同士が十字に交差するような枝
・逆さ枝｜地面に向かって伸びる逆さ枝
・腹切り枝｜中心の幹側（株の内側）に向かって伸びる枝

シマトネリコの剪定のコツ｜節目の数ミリ上で切り落とす

不要な枝が出ている付け根の数ミリ上で切り落とすと、新しい枝葉が暴れずに済みます。剪定ばさみの刃が枝に突っかかって、付け根で切れない場合は、剪定ばさみの上部の刃（切刃）で削るようにして取り除きましょう。

Step4. 枝先に生える細い枝葉を間引く

最後に、枝先に残った細かい枝葉を間引くように剪定し、樹形を整えます。枝先に残す枝葉は、樹木全体が好みの形になるように数を減らす程度で大丈夫です。枝分かれした箇所まで切り戻して取り除きましょう。

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シマトネリコの剪定のビフォーアフターと失敗例など

枝先にたくさんの葉が出ても、骨格となる枝を残しながら剪定することで、写真のようなたたずまいの美しい樹形のシマトネリコに仕立てられます。株の内側や胴回りからは枝葉（胴吹き枝）が出にくい特性ですが、もし出ていても適期以外の太い枝の強剪定は避けましょう。

シマトネリコの剪定でよくある失敗例

剪定し過ぎてしまうと、シマトネリコの樹形や樹高に良くない影響が出る可能性も。幹から伸びる太い枝を切る場合は、慎重に切りましょう。

こんなシマトネリコの剪定は失敗しやすい！

・太い枝を中心の幹の近くまで切り戻し過ぎた→株の内側に穴があいたような不自然な樹形に
・幹の胴回りから出る太い枝を切り落としてしまった→幹の先端周辺から伸びる太い枝に、栄養が集中し高木に

シマトネリコが大きくなり過ぎたときの剪定の仕方

木が全体的に大きくなり過ぎてしまったときや、高さを抑えたいときは、夏に太い幹や枝を強剪定することができます。ただし、10〜12月の寒い時期に根元から幹を切り倒すような強剪定をしてしまうと、株が枯れる場合もあるので注意しましょう。

シマトネリコの高さを抑えるときは、太い幹を切って芯止め

大きくなると樹高が20m以上にもなる高木のシマトネリコ。高さを抑えたいときは、木の中心にある太い幹を切り落とす「芯止め」をします。まずは好みの高さを決め、その位置にある節目から、数ミリ上を切り戻しましょう。ただし、芯止めをしたシマトネリコは、幹が太くなる場合も。樹高を高くしたくない場合は、日頃からこまめに剪定をして、できるだけ小さく維持することが大事です。

芯止めとは
樹木の中心にある主幹（主軸となる幹）の先端を切って、上に伸びようとする生長を止めることです。先端を切ることで、切った箇所のすぐ下の幹や枝に養分が流れるようになり、樹形を横に広げる役割があります。

株立ち樹形のシマトネリコは、太い幹の数を減らす

株立ち樹形のシマトネリコは、横に広がって全体的に大きくなり過ぎたり、幹同士が近過ぎて、やがて1本の太い木になったりすることがあります。そうならないためにも、思い切って太い幹を株元から強剪定することもできます。

株元の幹をバッサリ強剪定する方法

切るときは幹同士の間隔が広くなるように、真ん中に立つ幹を間引きましょう。そうすることで、次に剪定するときに、剪定ばさみやノコギリの刃が入りやすくなります。

詳しい防根シートの選び方・使い方については、こちらをチェック！

シマトネリコの剪定後にするべきこと

シマトネリコの剪定後、そのまま放置してしまうと、木が病気にかかって枯れてしまうこともあります。剪定で大きなストレスを受けたシマトネリコが、早く元気に生長するためにするべきことを知っておきましょう。

枝の切り口には癒合剤を塗っておこう！

シマトネリコの剪定が終わった直後に、枝の切り口からウイルスが入らないよう、癒合剤を塗って殺菌とコーティングをしましょう。特に太い幹を切るような芯止めをしたときは、癒合剤は必須！傷口の治りも早いですよ。

おすすめの癒合剤

鉢植えのシマトネリコを剪定した場合｜日当たりと風通しを良くする

シマトネリコを鉢植えで育てている場合は、剪定が終わったら、風通しが良く日中の強い直射日光が当たらない半日陰に移動させます。ただし、湿気が多い場所ではカビが発生しやすく、病気にかかりやすいので避けましょう。

道具をそろえて安全に！シマトネリコの剪定に必要なもの

シマトネリコの剪定に必要、またはあるといい道具はこちら！作業中に株元に敷いておくと便利なブルーシートや、切った枝葉や幹を入れるゴミ袋も用意しておくといいですよ。

剪定ばさみ｜手にフィットするものを

剪定ばさみは、シマトネリコの枝葉や幹を切るのに必要な道具です。グリップ部分がゴム製など、滑りにくいものがおすすめ！自分の手の形にフィットするような、使いやすいものを選んでくださいね。

詳しい剪定ばさみの選び方・使い方については、こちらをチェック！

ノコギリ｜太い枝を切るときの必需品

シマトネリコの太い幹や太い枝を切るときは、ノコギリを使って切り落としましょう。枝の切り口の断面がきれいに切れ、水がたまりにくいです。

手袋｜作業をしやすくするために

枝葉や幹を素手で触ると、ケガをする危険があります。事故防止のためにも、シマトネリコの剪定をするときは、必ず手袋をして作業をしましょう。手のひらにクッションや滑り止めが付いているものが、太い枝などを握りやすくておすすめです。

脚立｜シマトネリコの剪定には、5〜8段ある大きめのものが最適

樹高が3mを超えるなど、大きめのシマトネリコの高さを調整するときは、脚立を使いましょう。脚立の上から木全体を見ながら剪定すると、バランスのとれた美しい樹形に。脚立は足掛けが5〜8段ほどついた大きなものが、高木のシマトネリコとの高さがちょうど良く、作業がしやすいですよ。

シマトネリコの剪定時期と方法を知って、樹形の美しい庭木やシンボルツリーに！

シマトネリコは年に2回、花が咲き終わったあとか、実が落ちたあとに剪定すると、翌年に花や実を楽しめる庭木になります。樹形の美しい庭のシンボルツリーになるようにイメージして剪定してみてくださいね！