- ライター
- 柴﨑 光一
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。
カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。
現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。
植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。
幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。
日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!…続きを読む
春に無数の白い小さな花が枝垂れるように咲くユキヤナギ。芽吹く力が強く、枝葉を切るとすぐに新しい芽が出るため、剪定(せんてい)や刈り込みがしやすい庭木です。樹形を美しく保ち、花付きが良くなるユキヤナギの剪定や刈り込みの仕方についてまとめました!
ユキヤナギとは?樹木の特徴や魅力をもっと詳しく!
ユキヤナギの剪定や刈り込みは、1年に1〜2回でOK!
庭木に使われる木を大きく分けると、地面から出る幹が1本の「単幹樹形」と、幹が複数出てくる「株立ち樹形」と呼ばれる2種類があります。
ユキヤナギは株立ち樹形で、大きくなっても樹高が1〜2m程度にしかならない低木ですが、ひこばえ(地面から生える幹)がたくさん伸び、傘を広げたように株が大きくなります。生長はゆっくりなので、剪定や刈り込みは1年に1〜2回のペースでOKです!
一度刈り込んだユキヤナギを自然樹形に戻すのは難しいので、樹形を楽しむ場合は剪定で仕立てましょう。
「剪定」と「刈り込み」の目的の違い
・剪定:伸び過ぎた枝や生長を阻害する枝を切って、木の生育をコントロールしたり、病気や害虫の被害を防ぐ
・刈り込み:伸び過ぎた枝葉を切り、木の形を整えて見た目を良くする
ユキヤナギの剪定の特徴
撮影:柴崎光一
基本的には、混み合っている枝葉や花が咲きにくくなった幹を中心に剪定します。
太い枝を切るような強剪定にも強いため、初心者でも問題なくできます。
ユキヤナギの刈り込みの特徴
出典:shutterstock
枝葉のどこを切っても新しく芽が伸び、細かく密集して生長するユキヤナギ。
比較的刈り込みがしやすく、外から中が見えにくいしっかりとした生垣をつくれます。ユキヤナギの剪定や刈り込みの時期は、花が咲いた後と秋になる前
撮影:柴崎光一
ユキヤナギの剪定や刈り込みは、花が咲き終わる4月下旬〜5月上旬か、翌年の花芽ができる前の8月下旬〜9月上旬にしましょう。9月下旬以降にすると、花芽を切り落としてしまい花が咲かなくなります。
ユキヤナギの鑑賞や剪定などの手入れの時期
イラスト:柴崎光一
- 開花期:3月中旬〜4月
- 鑑賞期:10〜11月(紅葉)
- 植え付け、植え替え:2月中旬〜3月、10〜11月
- 肥料:5月(お礼肥)、1〜2月(寒肥)
- 剪定(1年に1〜2回):4月下旬〜5月上旬、8月下旬〜9月上旬
ユキヤナギの適切な剪定時期を逃してしまったときは
撮影:柴崎光一
春と夏の終わりに剪定ができなかった場合、葉が落ちた冬に剪定しても問題ありません。ただし、冬にはすでに翌年の花芽がたくさん付き始めているので、切り過ぎに注意しましょう。
コンパクトで上品な樹形に!ユキヤナギの上手な剪定の仕方
細い枝を全方向に伸ばすユキヤナギは、幹の数が多いと樹形が暴れ、見た目が悪くなります。ただし、幹を切り過ぎると、枝がスカスカで見た目の悪い姿になるので注意しましょう。自然樹形に仕立てると、たたずまいがより美しいですよ!
Step1. 地際から出るひこばえを切り落とす
撮影:柴崎光一
たくさんの幹(ひこばえ)が伸びていると、すっきりした樹形にならず、枝葉もどんどん広がっていきます。また、枝の途中で切るとそこから複数に枝分かれし葉も混み合い、樹形も暴れやすくなります。
まずは株の外側から内側に向かって、幹の数を減らすように株元から切り落としましょう。地際から幹を剪定するだけで、樹形を美しく仕上げられます。
株の外側から切り落とすと、ユキヤナギの株のサイズを決めやすいですよ。
剪定のコツ|見栄えの良いユキヤナギにするために
撮影:柴崎光一
ユキヤナギと
隣合わせになる植物や建物などと、30〜60cm程度離すぐらい余裕を持たせましょう。
放物線を描くように横へ伸びた長い新しい幹を残すと、春には上品な花の姿が鑑賞できます。
Step2. 古い&枯れた枝や幹を間引く
撮影:柴崎光一
株の内側の日当たりや風通しが良くなるように、古い枝や幹、枯れた枝は株元から切り落としましょう。切った箇所から新たに不要な枝が伸びないように、
切る幹の地面を少し掘ってから株元を切るのがポイントです!
剪定のコツ|新しい枝と古い枝を見極める
撮影:柴崎光一
ユキヤナギの
古い幹は樹皮が灰色で、新しい幹は茶色です。古い幹から新しい枝が伸びている場合は、
枝分かれした箇所の数ミリ上で、新しい枝を残して剪定しましょう。
Step3. 枝葉や幹が過密になっている箇所を透かす
撮影:柴崎光一
枝葉や幹が重なり過ぎて、陰が多くできてしまっているような枝は、幹を株元から切り落としましょう。ただし、
残したい幹に細い枝葉が出て混みあっている場合、太い枝は切らず、細い枝葉だけを切り落とすようにします。不要な新しい芽が出ず、すっきりとした見た目にできます。
剪定のコツ|新しく伸びた幹は残すようにする
撮影:柴崎光一
花付きが良くなるように、春や夏に新しく伸びた幹は残すようにしましょう。そうすることで、花がたくさん付く木になりますよ!
剪定の種類や切るべき不要な枝など関連記事をチェック!
すっきりとした生垣に!ユキヤナギの刈り込みの仕方
出典:写真AC
幹を一本一本丁寧に切り落とす剪定とは違い、ユキヤナギの木の表面の伸び過ぎた枝葉を大胆に切り落とす刈り込み。刈り込みばさみやヘッジトリマーを使って、
木全体のバランスを見ながら刈り込みすることがポイントです。
ユキヤナギの刈り込みは、特に専門的な知識や技術を必要としないので、初心者でも安心して作業ができます。
Step1. 側面を大胆に一度刈り込む
撮影:柴崎光一
株の側面から徒長した枝がたくさん出ている場合は、一度大胆に刈り込み、元の株の大きさまで戻します。このとき、
できるだけ地面と直角になるよう意識しながら刈り込みましょう。Step2. 側面を下から上に向かって再度刈り込む
出典:写真AC
再度、側面を下から上に向かって刈り込み、表面の凹凸や全体のバランスが整うようきれいに仕上げましょう。
Step3. 上部の面を平らに刈り込む
提供:野添匠さん
上部が平らな生垣にしたい場合は、最後に株上部の面を、垂直にきれいに刈り込みます。ユキヤナギは、
上部に高く幹が立ち上がりやすいので、太い幹が飛び出てきている場合、先にはさみで株の内側まで切り戻しておくと作業がしやすく、ヘッジトリマーの刃も傷まずに済みます。
ユキヤナギの剪定後にするべきこと
出典:写真AC
生命力の強いユキヤナギは、剪定後のケアは特に必要ありません。水やりや肥料などを過剰に与えず、あまり神経質にならずに見守りましょう。
下手に肥料を与えてしまうと、ユキヤナギの株に勢いがついてしまい樹形が暴れやすくなります。
切った箇所から不要な新芽が伸びていたら
撮影:柴崎光一
剪定直後、枝葉の途中で切り落とした箇所、もしくはその下部から複数の新芽が出ることがあります。株の内側へ向いた芽や二又に分かれて出た不要な芽などは、病害虫の被害にあいやすくなるので、発見次第、摘み取ってしまいましょう!
水やりは株元に
出典:写真AC
土の表面が乾燥していたら、株元や地面に水を与えましょう。特に新芽が出始めたころは、枝葉の上に直接水をかけてしまうと芽が弱り、そのまま枯れてしまうことがあります。
鉢植えのユキヤナギを剪定した場合|日当たりと風通しを良くする
出典:写真AC
鉢植えのユキヤナギを剪定した後は、風通しが良く日中の強い直射日光が当たらない半日陰に移動させます。ただし、日陰過ぎると葉が枯れやすく、陽が当たらない箇所は落葉してしまうので、午前中にしっかり日光が当たる場所がおすすめです。
道具をそろえて安全に!ユキヤナギの剪定に必要なもの
出典:shutterstock
ユキヤナギの剪定や刈り込みに必要、またはあるといい道具はこちら!作業中に株元に敷いておくと便利なブルーシートや、切った枝葉や幹を入れるゴミ袋も用意しておくといいですよ。
剪定ばさみ
撮影:柴崎光一
剪定ばさみは、枝葉や幹を切るのに必要な道具です。
グリップ部分がゴム製など、滑りにくいものがおすすめ!自分の手の形にフィットするような、使いやすいものを選んでくださいね。
詳しい剪定ばさみの選び方・使い方については、こちらをチェック!
刈り込みばさみ
出典:写真AC
刈り込みばさみは剪定ばさみとは違い、木の表面の細かい枝や葉を切って、見た目をきれいに整えるための専用のはさみ。刃が短いものや長いものがあり、刃が短いものは軽量で疲れにくく、刃が長いものは一度に刈り込める量が多く、作業スピードを早くできます。持ち手にグリップや、刃の交差した下部にバネがついたものが使いやすいですよ。
詳しい刈り込みばさみの選び方・使い方については、こちらをチェック!
ヘッジトリマー(生垣用バリカン)
電動式のヘッジトリマーは、生垣やトピアリー(植物の造形物)などを楽に刈り込めます。動力には充電式、電源コード式、エンジン式の3つがあり、刈り込みばさみよりも短時間で作業ができます。軽量なモデルが多い充電式は、腕や肩などに負担がかからず、初心者でも扱いやすいのでおすすめ!
詳しいのヘッジトリマー選び方・使い方については、こちらをチェック!
ノコギリ
出典:写真AC
ひこばえなど、太く伸びた幹や枝を切るときは、ノコギリを使って切り落としましょう。枝の切り口の断面がきれいに切れ、水がたまりにくいです。
手袋
撮影:柴崎光一
枝葉や幹を素手で触ると、ケガをする危険があります。事故防止のためにも、ユキヤナギの剪定をするときは、必ず手袋をして作業をしましょう。手のひらにクッションや滑り止めが付いているものが、太い枝などを握りやすくておすすめです。
脚立
出典:写真AC
樹高が2mを超えるなど、大きめのユキヤナギの高さを調整するときは、脚立を使いましょう。脚立の上から木全体を見ながら剪定すると、バランスのとれた美しい樹形に。
脚立は足掛けが4段ほどついた大き過ぎないものが、低木のユキヤナギとの高さがちょうど良く、作業がしやすいですよ。
剪定の時期を守り、樹形の美しいユキヤナギに!
出典:shutterstock
ユキヤナギは、適切な時期に剪定すると花芽を切り落とさず、翌年にはまるで滝のように真っ白い花がたくさん咲きます。玄関やシンボルツリーの下など、美しい樹形になるようにイメージして剪定してみてくださいね!