キャベツ株腐病の症状
「キャベツの表面が黒くなっている」「葉が腐ってきた」などの症状が現れたときは、キャベツ株腐病を疑いましょう。キャベツ株腐病に感染すると、結球期ごろから結球の表面に、淡い黒色のぼんやりとした病斑があらわれ、やがて褐色〜淡黒色の病斑で全体が覆われます。
通常、腐敗は結球葉1〜3枚のみで、内部にまで進行しませんが、軟腐病菌に感染し、結球全体が軟化腐敗するものもあります。
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キャベツ株腐病の発症原因
キャベツ株腐病は、土壌に生息する糸状菌(カビ)が原因で発生する病気です。この糸状菌(カビ)は子のう菌類に属するキノコの仲間です。名前 | 株腐病 | |
学名 | Rhizoctonia solani | |
分類 | 糸状菌/子のう菌類、不完全菌類 |
キャベツ株腐病の伝染源
植物体は、腐敗した葉、残渣(ざんさ)等で生存を続け、伝染源となります。発病後は葉に菌糸を伸ばして広がり、病斑上で胞子作り、これが飛散して病気が拡大します。のちに菌核を作って、被害にあった葉と土壌中に残ります。
※残渣とは、圃場(ほじょう)などに残った生育(栽培)を終え枯れた植物体。
キャベツ株腐病と似ている病気、菌核病キャベツ株腐病と似ている病気に、「菌核病」があります。
菌核病は結球全体が白い菌糸で覆われるのに対し、株腐病の菌糸は淡褐色で、菌核病のように密生することはありません。
黒いネズミの糞のような菌核を作る菌核病に対し、株腐病は暗褐色の小さい菌核を作ります。
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キャベツ株腐病が発生する環境
結球期ごろから、梅雨など雨が続くような時期に、発生が多くなります。また、圃場の水はけが悪く湿度が高いと、キャベツ株腐病の病斑から胞子が飛散し、周囲に感染が広がります。
キャベツ株腐病に有効な予防方法
キャベツ株腐病に有効な予防は、圃場の管理(耕種的防除方法)と農薬散布です。この2つの方法を組み合わせて、適切なキャベツ株腐病の予防を行いましょう。※圃場(ほじょう)とは田や畑のような農作物を育てる場所のことです。
キャベツ株腐病を発症させない管理方法
農薬を使わずに行う菌核病の予防方法について説明します。1. 前作の残渣の処理
前作の植物残渣などに病原菌が付着している可能性があります。残渣は圃場外に持ち出して処理します。2. 水はけの良い圃場づくり
圃場の水はけが悪い圃場では、畝を高くしたり、腐植土、パーライト、バーミキュライト、ヤシガラなどの土壌改良材を投入して効果的な土質改善を行いましょう。▼土壌改良のことならこちらをご覧ください
3. 連作をしない
連作をすることで、土壌中の病原菌の密度を高めてしまいます。病気が多発する圃場では、連作をしないことも有効です。
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キャベツ株腐病の予防に効果的な「農薬」
農薬を定期的に散布してキャベツ株腐病を予防しましょう。使用する薬剤に作物の登録があるか必ずご確認ください。耐性菌の出現を防ぐため、なるべく連用を避け、作用機作の異なる薬剤とのローテーション散布を心がけましょう。
※耐性菌とは、薬剤(農薬)に含まれる有効成分が効かない菌のことです。
※農薬は地域の防除指導機関や生産部会など所属団体の使用基準を守り施用してください。
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