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玉ねぎの皮の効能|栄養や農薬についても知りたい
血圧への影響は?
玉ねぎの皮には、ポリフェノールの一種「ケルセチン」が豊富に含まれています。ケルセチンは黄色の色素であり、苦味があります。強い抗酸化作用があり、糖尿病や高血圧、メタボなどの生活習慣病対策へ有用性に注目が集まっています。参考:健康産業新聞「【特集】タマネギ・ケルセチン 抗肥満・抗糖尿など幅広い機能性で需要拡大」https://www.kenko-media.com/health_idst/archives/3869
ケルセチンは、ブロッコリーやモロヘイヤなどの野菜にも入っていますが、玉ねぎには豊富に含まれているのだとか。特に、玉ねぎの皮の部分にはケルセチンの含有量が多いとされています。
農薬の心配は?
玉ねぎの皮を料理に使う場合、農薬が気になる人もいるかもしれません。基本的には栽培期間中農薬不使用などの素材を選ぶのがおすすめです。野菜や果物に残っている農薬は「残留農薬」と呼ばれます。日本では残留農薬の基準値が定められており、野菜の残留農薬は微量とされています。
参考:厚生労働省「食品中の残留農薬等」
もし気になる場合には、「重曹で洗う」などの下処理をしてから料理に使うようにしましょう。重曹を使う時は、水1.5Lに対して重曹大さじ1杯を目安に溶かしたものを用意します。その液体に野菜を1分程度浸した後、流水で洗います。
新玉ねぎとの違いは?
よく見かける茶色の皮がある玉ねぎは「黄玉ねぎ」と呼ばれる品種です。収穫した後に干して、表面の皮を乾燥させてから出荷されます。こうすることで保存性が高まるとともに、光にあてることでケルセチンの量が増えるとされています。春先に収穫される新玉ねぎは、白玉ねぎの品種です。水分が多く、生の状態でも甘味が強いのが特徴です。乾燥には適していないため、収穫後すぐに出荷されることが多いです。
簡単!玉ねぎの皮茶を作ってみよう
玉ねぎ皮の活用法のなかでも、手軽でおすすめなのが「玉ねぎの皮茶」です。作り方は、皮を洗って煮出すだけ!私もよく作りますが、素材から抽出された黄金色が美しく、味も飲みやすいので気に入っています。玉ねぎの皮茶の効果は?
玉ねぎの皮に豊富に含まれており、強い抗酸化力を持つケルセチン。ケルセチンは、水に溶けだしやすいという特徴があります。玉ねぎの皮茶は、玉ねぎの皮を煮出して作るため、簡単かつ効率よくケルセチンを摂取することができます。玉ねぎの皮茶の作り方
〈材料〉作りやすい分量
・玉ねぎの皮 1個分
・水 2カップ(400cc)
作り方
1. 玉ねぎの皮はよく洗う。汚れた部分などがあれば、取り除く。2. やかんに1の玉ねぎの皮と水を入れて火にかける。
3. 沸騰したら弱火にして、お好みの濃さになるまで5~10分煮出す。
4. 玉ねぎの皮を茶こしなどで取り出せば、できあがり。
ポイント
・玉ねぎの皮を天日干しまたはオーブンなどで5分程度焼いた後、煮出す方法もあります。このひと手間により、香ばしい味わいに仕上がります。・独特の風味が苦手な人は、水の量を増やしたり煮出す時間を短くしたりして調整してください。お好みで番茶やほうじ茶などとブレンドするのもおすすめです。
玉ねぎの皮を使った、簡単おいしい養生ごはん
玉ねぎの皮を使った料理は、いろいろあります。ここでは、玉ねぎの皮を使ったベジブロス(スープ)や丸ごとローストの作り方をご紹介します。玉ねぎの皮を上手に活用すると、家庭から出るゴミが減り、自然環境にもやさしい暮らしにつながります。玉ねぎの皮のベジブロス(スープ)
ベジブロスとは、捨ててしまいがちな野菜の皮やヘタなどを煮出して作るだしのこと。ベジブロスは「ベジタブルブロス」を省略したもので、「ベジタブル」は野菜、「ブロス」はだしという意味です。このだしには甘味とうま味が凝縮しており、スープやみそ汁、カレーなどの煮込み料理のベースに使うと格別の味わいに仕上がります。特に、玉ねぎの皮は黄金色のスープに仕上がるのでぜひ使いましょう。ベジブロスの主な栄養として、野菜の皮やヘタに豊富に含まれる「フィトケミカル」があります。フィトケミカルは数千種類以上あるといわれ、抗酸化作用をはじめさまざまな効果が期待されています。食材を無駄なく使って、貴重な栄養が摂取できるのはとてもうれしいことですね。
我が家では、調理で出た野菜の皮やヘタは保存容器に入れて冷蔵庫で保管しておき、容器いっぱいになったらベジブロスを作っています。野菜は農薬を使わずに栽培されたものなどの素材を選ぶのが基本ですが、手に入らない場合には、先にご紹介したとおり重曹で洗うようにしましょう。
〈材料〉作りやすい分量
・玉ねぎの皮など、野菜の皮やヘタ(数種類) 300~400g(手の平いっぱい分)
・水 1L
・酒 大さじ1
作り方
1. 野菜の皮やヘタはよく洗って、汚れを落としておく。2. 鍋に1の野菜と水、酒を入れて火にかける。
3. 沸騰したら弱火にして、20~30分煮出す。
4. ザルにあげて、野菜の皮とヘタを取り出す。
ポイント
・いろいろな栄養素が摂取できるように、さまざまな種類や色の野菜を使うようにします。煮込むことによって甘味が出る野菜を選ぶのがポイントです(たとえば、にんじんや大根のヘタのほか、長ネギの緑色の部分も使用できます)。・お好みで、ローリエなどのハーブ類やにんにくなどの香味野菜、昆布や干しシイタケなどの出汁が出る食材を加えて煮出すのもおすすめです。
・煮込む時間を短縮して作りたい場合には、圧力鍋を使う方法もあります。すべての材料を入れて加熱し、圧がかかったら1~2分程度置いて火を止めます。冷めるまで待てば、できあがりです。
・できあがったベジブロスは清潔な保存容器に入れて冷蔵庫で保管し、2~3日以内に使用しましょう。
玉ねぎの皮ごとロースト
玉ねぎの皮をカップに見立てて、丸ごと焼くのもおすすめです。皮自体は食べられませんが、甘味やうま味が凝縮した味わいを楽しむことができます。作り方は、玉ねぎを皮付のまま半分に切り、柔らかくなるまでオーブンでじっくり焼くだけ。にんじんやじゃがいもなど、ほかの根菜類と組み合わせてボリューム感を出すのもいいですね。シンプルな味付けで、素材そのままの味を楽しんでみてはいかがでしょうか。
玉ねぎの皮の乾燥粉末
玉ねぎの栄養分を手軽に
「玉ねぎの皮の栄養を継続的かつ手軽に摂取したい」という方には、玉ねぎの皮の乾燥粉末もおすすめです。乾燥粉末は、お茶やスープに使うのはもちろん、炊き込みごはんやハンバーグ、お菓子づくりにも活用できます。甘味があり消化しやすいので、離乳食づくりにも向いています。市販品もあるので、まずは購入して味を確認してもいいかもしれません。玉ねぎの皮パウダーの作り方
玉ねぎの皮を乾燥させてから、フードプロセッサーまたはミルサーなどで粉砕します。乾燥させる際には、天日干しのほかに、オーブンで5分程度焼く方法もあります。完成した玉ねぎの皮の乾燥粉末は、清潔な保存容器に入れて、高温多湿を避けて常温で保存します。玉ねぎの皮で染める!天然染料としても大活躍
玉ねぎの皮は独特の黄色が美しく、草木染めの天然染料としても人気があります。草木染とは、野菜や草花などを煮出した液を使った自然な色合いの染め物のこと。玉ねぎの皮以外にも、代表的なものとしてはアカネやよもぎなどがあります。玉ねぎの皮を使って染め物をする際には、玉ねぎの皮のほかに、ミョウバン(焼きミョウバン)が必要です。玉ねぎの皮を煮出した液体に、ハンカチなど染める布を浸すようにします。ミョウバンは、色が抜けないように「色止め」をするために使います。
染める素材は、綿や絹、麻などの天然素材を使うのがおすすめです。化学繊維が入っていると、きれいに染まらない場合もあります。玉ねぎの皮染めは、子どもの自由研究にもぴったりです。ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
玉ねぎの皮は捨てずに活用しよう
玉ねぎの皮は捨ててしまうことの多い部分ですが、ケルセチンなどの栄養成分をたっぷりと含んでいます。玉ねぎの皮茶のほか、ベジブロス(スープ)や乾燥粉末、丸ごとローストなどの料理においしく活用できます。また、玉ねぎの皮は天然染料としても人気があり、自然な風合いの染物にも利用できます。玉ねぎの皮を上手に活用すれば、おいしくて健康的な食生活の実現とともに、家庭から出るゴミが減り、自然環境にもやさしい暮らしにもつながりそうですね。まずはできそうなことから始めてみてはいかがでしょうか。