大原の生産者や京都の八百屋へアテンドしてくださったのは、八百屋Gg’sの角谷香織さんでした。今回は「八百屋と農家」の関係について、もっといえば、農家にとって八百屋とはどのような存在なのか?について、考えてみます。ここでは、Gg’sさんにならって「八百屋」と呼びます。
京都の八百屋
今回訪問した八百屋さんも、おしゃれな店構えでしたが、普段使いのお店として地元のお客さんが普段の装いのまま、新鮮な野菜や食材を求めてやってきます。おしゃれ×おしゃれな雰囲気だと入店に二の足を踏む私でもとても居心地が良く、近所にあったら通いたいお店でした。
振り売りの歴史
オランダの八百屋の形態は?
スタイル1:毎日異なるマーケット/朝市に出店
スタイル1の八百屋は、毎日、オランダ内の朝市・マーケット(毎週決まった曜日に開催)を巡回しています。地域の野菜に限定せず、EU域内外の商品も見られました。中には、オーガニック縛りやローカル縛りの店もありました。スタイル2:デリカテッセン中心で、野菜や果物も置いてある店舗
スタイル3:PR要素が強い店舗
スタイル4:店舗を持たず飲食店や施設へ配送
スタイル4は、振り売りに近い形態です。ただ、BtoBがほとんどなので、八百屋というより卸売だと思います。また、どちらかというと地元農産物にこだわるというよりは、奇想天外な作物や品種を売りにしているビジネスが多い気がします。日本の野菜(シソ、ユズ、ミズナ、シュンギク、海藻類など)も、「料理人のイノベーティブなアイディアを引き起こす!」と紹介されているのを見かけたことがあります。日本はオランダより地産地消の意識が高い?
オランダでは、「ローカルなものを食べよう」という文脈もあります。しかし、日本で見聞きするヨーロッパの現状より、(少なくともオランダの場合は)ローカルを気にしているのは、一部の意識が高い人たちであって、多くの人たちはあまり関心を持っていません。むしろ日本の方が、ずっと地産地消の意識が強いように思います。
そうなると、直販を考える場合の販売形態についても限定的です。少ないながらも、オランダで小規模農家を訪問したことがありますが、基本的には野菜ボックスの販売と、ローカルスーパーへの直販がメインで、直接顧客に取りに来てもらう、または小売店に自ら納品へ行っていました。これは、日本のようには宅配業者が当てにならないという背景もあります。オランダ在住中には、荷物が時間通りに届かない!紛失を何度も経験!勝手に近隣の家に荷物を預ける!ことも多々ありました。私がオランダの農家なら、絶対に宅配業者は使いません。
京都の八百屋と農家は「おいしさを共有する関係」
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毎週水曜日更新おしゃれじゃないサステナブル日記
紀平真理子(きひらまりこ)プロフィール
1985年生まれ。大学ではスペイン・ラテンアメリカ哲学を専攻し、卒業後はコンタクトレンズメーカーにて国内、海外営業に携わる。2011年にオランダ アムステルダムに移住したことをきっかけに、農業界に足を踏み入れる。2013年より雑誌『農業経営者』、ジャガイモ専門誌『ポテカル』にて執筆を開始。『AGRI FACT』編集。取材活動と並行してオランダの大学院にて農村開発(農村部におけるコミュニケーション・イノベーション)を専攻し、修士号取得。2016年に帰国したのち、静岡県浜松市を拠点にmaru communicateを立ち上げ、農業・食コミュニケーターとして、農業関連事業サポートなどを行う。食の6次産業化プロデュ ーサーレベル3認定。日本政策金融公庫 農業経営アドバイザー試験合格。著書『FOOD&BABY世界の赤ちゃんとたべもの』
趣味は大相撲観戦と音楽。行ってみたい国はアルゼンチン、ブータン、ルワンダ、南アフリカ。
ウェブサイト:maru communicate