GAP(農業生産工程管理)に取り組み、2010年にJGAP認証を取得した三和農林株式会社は、埼玉県蓮田市でかいわれや豆苗、ブロッコリースプラウトなどを生産する企業です。
スプラウトの生産者としてはじめてJGAP認証を取得。認証取得からの10年間を振り返り、JGAP認証取得のメリットや今後JGAP認証を取得する予定の生産者に向けたアドバイスをお伺いしました。
インタビューイー:三和農林株式会社 取締役 第二営業部部長花岡博治さん
昭和55年創業。かいわれや豆苗、スプラウトを栽培し、市場や小売店に向け販売している三和農林株式会社に1985年入社。1998年三和農林井沼農場農場長、2002年本社農場長を経て2006年より取締役営業部長。
三和農林の事業内容は
ーー三和農林さんの事業内容について教えてください。

ーーすべて施設内で栽培ということは、スプラウト類の栽培はほかの野菜類とはかなり違いがありそうですね。どのようにして栽培するのでしょうか。

だからこそ、栽培管理がシビアなんです。肥料を与えるタイミングを一度間違ってしまったら、もう修正がきかないのです。栽培にかけられる時間が短い作物ならではの難しさは日々感じています。
また当社は、「植物性乳酸菌栽培スプラウト」という、カイワレ大根由来の植物性乳酸菌で種子をコーティングすることで悪玉菌である大腸菌の付着を防ぐ独自商品も展開しています。播種の前に種子を殺菌してさらに乳酸菌によるコーティングを行うなど、一般的なスプラウト類よりも手間暇をかけて栽培しているのが特徴です。
JGAP認証を取得した理由は
ーー10年前にJGAP認証を取得された、その経緯を教えてください。

消費者のみなさまに安心して召し上がっていただけるように、農薬や肥料の管理、環境保全、生産管理の方法など120を超えるチェック項目が定められているJGAP認証を2010年に取得し、以来認証の更新を続けています。
ーー生産したものを安全に消費者に届けるために、さまざまな努力をしてこられたのですね。既存のマニュアルからJGAP認証に変える際、難しい部分はありましたか?

当社のJGAP認証の登録番号が「110000001」と、0と1が並んでいるのにはそういった理由があるんです。当社がJGAP認証を取得した後、同業他社もJGAP認証を取得するようになっていきました。
ただ、JGAP認証取得以前から取り組んでいたかいわれ大根生産マニュアルもJGAPのような側面がありましたから、移行する際に業務負担が増えたということは記憶しておりません。比較的スムーズにJGAP認証を受けられました。
ーーJGAP認証自体の認知度についてはどのような印象をお持ちですか。

この点については今後に期待しているところです。延期が決定するまで当社もJGAP認証を取得している生産者としてPR活動を行ってまいりましたし、JGAPと聞いて、多くの人が「ああ、オリンピックの時の」と思い出してくれるようになると嬉しいですね。
JGAP認証取得後にかかる費用は
審査・認証にかかる費用は審査・認証機関が料金設定を行うため、一律でいくらとは言えません。その他、年会費やロゴマークの使用料などがかかります。
ーー三和農林株式会社さんはJGAP認証取得から10年ということで、これまでに何度か認証の更新手続きをされていますよね。どのような形で更新が行われるのでしょうか。

JGAP認証の有効期間は2年間です。2年後には、認証を継続するための更新審査を受ける必要があります。更新審査は初回審査と同様に行われ、さらに初回から更新審査の中間で維持審査が行われます。つまり、認証取得後は毎年何らかの審査が行われるということです。
ーーJGAP認証取得からこれまで、補助金などは利用されましたか?

JGAP認証取得にかかる費用は、農林水産省の経営継続補助金の対象です。経営継続補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響を克服するため、感染拡大防止対策を行いつつ、販路の回復や開拓などに取り組む農林漁業者が対象となっている補助金です。
補助額の上限は単独申請で150万円、グループ申請では1,500万円まで、2020年5月14日以降に発生し、同年12月末までに支払いが完了した経費が対象です。
詳しくは下記よりご確認ください。
経営継続補助金|農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/keiei/keizoku.html
これからJGAP認証を取得する農家へのアドバイス
ーー最後に、これからJGAP認証を取得したい農家へのアドバイスをお願いいたします。

また、GAP認証を取得するにあたって、今後海外への輸出を考えているのならグローバルGAP認証の取得を視野に入れるなど、自農場の目的に合ったGAP認証を取得することも大切だと思います。
JGAP認証取得の事例から見えたこと
三和農林は、O157が発生した際に大変な風評被害を受け、それから生産工程管理の重要性に気づき、のちにJGAP認証を取得しています。そんな同社がJGAP認証を取得してから10年。花岡さんにお話を伺って、JGAP認証取得に向けて農家がやっておくべきことが見えてきました。
・JGAP認証取得のために情報収集を行い、支援体制を確認すること
・認証を取得して終わりではなく、更新があることを念頭にJGAPの指針にのっとった農場運営を継続する体制を整えること
安心安全への取り組みが第三者に認証されることで、生産品や農場への信頼が高まり取引の幅が広がる可能性があります。JGAP認証取得に向けた取り組みは、農場の運営をよりよく変えてくれることでしょう。

























