GAP(農業生産工程管理)とは?農作物の安全を確保し、良い農業経営を実現しよう

GAPという言葉を聞いたことはありますか?よりよいものを消費者に届けたいと願う農業者なら、知っておきたいのが農業生産工程管理(GAP)。農作物の安全性や品質の向上、適切な労働環境の構築などに取り組むGAPについてご紹介します。


夏の畑

出典:写真AC
食品に対する安全性や品質を示す規格にはいくつかの種類があります。HACCP(危害要因分析重要管理点)やJAS(日本農林規格)と同様に、近年注目されているのが「GAP(Good Agricultural Practice:農業生産工程管理)」です。東京オリンピック・パラリンピックにて提供される食材の基準の一つとして挙げられ「GAP」という名称が広く一般的にも知られるようになりました。

このGAPには大きく分けて3つの種類があり、それぞれ認証を受けるための基準や内容が異なります。ここでは、GAPとはどのようなものなのか、認証基準や種類についてご紹介します。

GAP(農業生産工程管理)とは「よい農業の実践」に向けた取り組み

水田に並ぶ人
出典:写真AC
GAPとは、「Good Agricultural Practice」の略語で、「より良い農業経営の実現」という意味を持ちます。持続可能な農業生産に向け、農作物に対する安全性だけでなく環境保全や労働安全、人権保護や農場経営管理への取り組みを記録、掲示、確認し、改善しながらより良い農業経営を目指すのがGAPです。

GAPで何が変わるのか

PCDA
出典:写真AC
農場にGAPを導入することで、次のような効果が見込めます。
効果の内容 効果があったと答えた農業者の割合
 品質の向上  45%
 資材の不良在庫の削減  54%
 作業時間・作業事故件数の改善  30%
 従業員の責任感・自主性の向上  70%
 従業員間の意思疎通の改善  56%
 生産コストの削減  37%
 欠品や在庫の減少  40%
参考:GAP導入による経営改善効果に関するアンケート調査|独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構

GAPを導入した農場にどのような経営改善効果があったのかアンケートを取ったところ、従業員の責任感や自主性が向上すると答えた農場が約7割、販売先への信頼や品質が向上したとする農場はそれぞれ約5割という結果になりました。そのほかにも、不良在庫の削減や生産コストの削減など経営に好影響とする回答が多くあります。

GAP手法の実践の仕方

チェックリスト
出典:Pixabay
GAPでは具体的に次のような取り組みを行います。

まずは普及指導センターや農協に相談する

GAPに取り組む際は、事前に普及指導センターや農協に相談してみましょう。GAPに対する指導やアドバイスを行える普及指導員や農業指導員もいます。

GAPの基礎を無料で学べるオンライン研修

農林水産省のWebサイト「これから始めるGAP」にて、事前にGAPについての学びを深めておきましょう。GAPの基本や始め方を知ることができます。

目標とルールを策定する

GAPでは、実践する農業者自身が目標やルール、実践するうえでの基盤づくりを行います。GAP認証の基準書を参考にしつつ、点検項目や規定を法令に沿った形で決め、農場に適したルールを作りましょう。

整理整頓・記録からはじめる

GAPの基本は整理整頓と生産履歴の記録です。倉庫内の備品や農薬、肥料などの物品を整理し、どこに何があるのかを誰でも把握できる状態にしておきます。また、毎日の作業内容を記録する癖をつけるようにしましょう。

農場内の点検と問題点の改善を実行する

次に、農場内をくまなく点検して、問題点を見つけたら順次改善していきます。
・食品に異物が混入しない体制になっているか
・農場に立ち入る人へ衛生指示をしているか
・農薬の空容器を分別して処分しているか
・余った農薬や液肥の管理は適切か
・労働中のケガや事故につながる場所・機械がないか
・農業機器の整備・点検を行っているか
・家族経営協定の締結を行っているか
・技能実習生の作業条件を遵守しているか

などを改めて確認しましょう。

次のステップ:GAP認証を取る

昼の農場
出典:Pixabay
GAPへの取り組みを実践するだけでも農業経営の改善に役立ちますが、GAP認証を取得すると「GAPを実践している」ことを証明できるようになります。大手流通との取引では、GAP認証を求められるケースも増えています。

GAP認証は、審査会社に申し込み、審査員に取り組みを評価してもらうことで取得できます。取り組みの中に問題があれば、審査員が適宜指摘してくれます。

GAP認証には種類がある!3つのGAPとは

GAP認証には、GLOBALG.A.P.、ASIAGAP、JGAPの3種類があります。JGAPおよびASIAGAPは一般財団法人日本GAP協会が運営しており、GLOBALG.A.P.はドイツのFood PLUS GmbHが運営母体で、主にヨーロッパで普及しているGAPです。いずれも東京オリンピック・パラリンピックの調達基準を満たす認証です。
GAP認証 JGAP、ASIAGAP GLOBALG.A.P.
運営主体 一般財団法人日本GAP協会 Food PLUS GmbH
審査会社 AFC インターナショナル株式会社
一般社団法人日本能率協会審査登録センターJMAQA) など
日本オーガニック&ナチュラルフーズ協会
テュフズードジャパン など
GAP認証を取りたい方は、3つのいずれかのGAPを選び、それぞれの審査会社に問い合わせてみましょう。

GAPに取り組み、安全と品質を販売先や消費者にPRしよう

買い物 シェフ
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GAPを実践することで、農場内の安全性や生産物の品質の向上が見込めるほか、作業のマニュアル化・農薬等資材の在庫管理の適正化で作業効率の向上も目指せます。また、コストの削減や従業員の意識改革にも役立つはずです。GAPについて詳しく知りたい場合は、普及指導センターや農協に相談してみましょう。GAP認証を取得する際には、各地にあるGAPの審査会社に問い合わせてみてください。

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高橋 みゆき

北海道在住のフリーライター。北海道の畑作農家に生まれ、高校卒業後に農業協同組合に入組。JAでは貯金共済課の共済係として、窓口にて主に組合員の生命保険・損害保険の取り扱いをしていました。退組後、2013年まで酪農業に従事。現在はスマート農業に興味津々。テクノロジーを活用した農業についてお伝えしていければと思います。

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