農作物を霜害から守るには

霜害とは、春や秋に急に気温が下がり、霜がおりるような気象条件の中で、作物が凍結することで発生する被害を意味します。霜害が発生しやすい場所や、被害を受けやすい作物、対策についてご紹介。茶畑で多く取られている送風法やスプリンクラーを使う散水氷結法など対策方法も色々あります。


霜の降りたキャベツ

出典:写真AC
毎年初秋と晩春になると発令される霜注意報。人が生活するうえでは、霜の影響を強く受けることはさほどありませんが、植物にとっては生死に関わる問題です。農家にとっては、作物が枯れてしまって収穫の機会を逃し、経済的な損失を大きく受ける場合もあります。

霜害(凍霜害)とは

霜のおりたほうれんそう
出典:写真AC
霜害(凍霜害)は秋や春の夜に急に気温が下がり、霜が降りるような気象条件の中で、作物が凍結することによって起きる被害です。多くの場合、葉や新芽などが凍結することで、作物体に障害が発生します。

初霜害

秋から初冬にかけて発生する霜害のこと。成熟期の作物が被害にあうことが多いです。

晩霜害

春から初夏にかけて発生する霜害のこと。春は多くの作物が芽吹いたばかりの新芽の状態なので、寒さに耐える力がなく大きな被害が発生することがあります。

霜害と地形との関係

霜害は夜間、移動性高気圧におおわれて晴天で無風に近い状態のときに、地表の放射冷却が盛んになることで低温になって発生します。このようなときの地表の温度は、地形によって大きく異なるため、霜害の発生は局地性が大きいです。

霜害が発生しやすい場所

風が弱まりやすく、冷気がたまりやすい場所。盆地の低地部、小規模な凹地、傾斜面を横切って空気の流れをせき止める形となる土手や樹林の山手側、平坦な場所では防風林で囲まれた場所などがあたります。

霜害が発生しにくい場所

山の中腹。標高200~300mのあたりはサーマルベルト(斜面温暖帯)と呼ばれ、それより低地部と比較して霜がおりない期間が長いことが知られています。

霜害の症状

霜害を受けた茶畑
出典:PIXTA

霜害を受けやすい作物は?

果樹、茶、ムギ、アスパラガスなどの野菜、植林した樹木の苗木などが霜害の被害を受けやすいです。

霜害を受けると植物はどうなる?

霜がついて、耐えることができなかった葉や新芽は、霜が消えてしばらくすると油浸状になり、やがて褐色や黒色になって枯れてしまいます。これは、低温により植物の組織が凍結し、破壊されたことによるものです。葉の重なりがある場合には、上側で露出している葉だけが枯れてしまうことが多く、これは、霜が直接ついて氷結した部分だけが被害を受けたことを示しています。

葉物野菜は、初霜で出荷が早く終わってしまうことが多く、果樹は、遅霜で花が落ち受粉できなくなることで、その年の収穫が期待できなくなります。ナスやトマトも遅霜を受けると1回で苗が枯れてしまいます。

過去の被害状況

木の手入れをする人の後ろ姿
出典:写真AC
霜害により、収量の大幅な低下や品質低下を招き、著しい被害が発生することがあります。2013年には、4月以降の低温による農業被害額が全国で69億円に達しました。被害は暖冬年に大きくなる傾向が指摘されています。

霜害を防ぐにはどうしたらいい?

天気予報をタブレットで見ている手
出典:写真AC

霜害を予測する

気象庁が発表する霜注意報を活用します。霜注意報は最低気温の予想値によって出されるものです。しかし、場所によっては気象庁発表予定の最低気温が5℃でも霜害が発生することもあります。普段から自分の畑の気温の測定を行い、気象庁発表の気温との差を理解しておくことが重要です。

霜害の対策

霜害対策にはさまざまな方法がありますが、対応できる低温の程度やコストや労力などに差があります。育てている作物や畑の環境に合わせて、適切な対策を選びましょう。

被覆法

ビニールで覆われた畑
出典:写真AC
熱伝導率の低い物質で植物を覆います。寒冷紗などの被覆資材や保温シートを活用します。トンネル育苗やハウス栽培の場合には、ビニールを二重にすることも有効です。

送風法

防霜ファンがある茶畑
出典:写真AC
防霜ファンで上層の温かい空気を作物に吹き付ける方法。茶やみかん畑で広く実施されています。ただし、畑の上層の空気が-2℃以下の場合には効果がなくなります。防霜ファンの設置には、運転経費や騒音などについても考慮する必要があります。

燃焼法

薪などの可燃物を燃やして熱で温める方法。夜間に作業を行うことになるので、負担が大きいという声もあります。

散水氷結法

水は氷になるときに、1gにつき79.7calの潜熱を出します。この氷結時に放出される潜熱を利用して霜を防ぐのが散水氷結法です。通常、スプリンクラーを利用して散水します。植物体に散水された水はその上で凍りつつ、植物体を凍死温度よりも高い0℃近くに維持します。気温が一定以下になると自動で散水を始めるスプリンクラーを設置しておくと安心です。

煙霧法

煙や人工霧で放射冷却を少なくする方法で、盆地などに向いています。日没後できるだけ早く、くん煙作業を開始すると効果的です。

機能性資材などの散布

凍霜害を防ぐための機能性資材が販売されています。主にトレハロース糖類を含むもので、凍霜害が起こる時期にあらかじめ散布します。凍霜害が予想される日の数日前に散布すると効果的なので、気温の予測が大切になってきます。

予測と対策で作物を霜害から守る

りんごの木
出典:写真AC
たった一度の霜害で、収穫ができなくなってしまう…そんなことは避けたいものです。霜害から作物を守るには、日頃から自分の畑や作物の特徴を知ることが大切です。気象情報をチェックし、畑の気温を予測して、適切な対策を実施しましょう。気象庁のウェブサイトには、2週間気温予報が掲載されています。また、民間の気象予報サービスを利用するのも一つの方法ですね。大切な作物を霜害から守りましょう。

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神山 朋香
神山 朋香

大学卒業後、地方公務員として消費者教育や労働福祉の普及事業に従事した後、AGRI PICK編集部に。AGRI PICKでは、新規就農に役立つ情報や農業体験の記事などを執筆しています。