目次
庭師
野添 匠青森県八戸市出身。2017年から2年半、カナダのトロントで造園を学び、2020年に株式会社みちのく庭園入社。生け花を通じて植栽のインスピレーションをもらうことも。趣味はサーフィン。 「庭職人としてのルーツは“洋”ですが、自分の中にある“和”とうまく融合させて、日本人の心ある庭を作庭するのが夢。また、街の緑を増やし、地球と人に優しい環境をつくっていきたいと思っています。」 ■みちのく庭園HP:https://michinoku-teien.com/ ■Instagram:https://www.instagram.com/nzetkm/…続きを読む
サルスベリの剪定時期は、12月~翌3月中旬
サルスベリは3月下旬ごろから新しく芽吹いた枝の先に、その年に咲く花芽をつけます。夏に咲く美しい花を楽しむためには、花芽ができる前の12月~翌3月中旬に剪定するのが基本。この時期はサルスベリの休眠期なので、大胆に切り戻してもOKです。サルスベリの剪定など手入れの時期
- 開花期:7~10月
- 結実期:9~10月
- 鑑賞期:10〜11月(紅葉)
- 植え付け、植え替え:3〜5月、9月
- 肥料:2月(寒肥)
- 剪定:12〜3月中旬
サルスベリの育て方や種類を知ろう!関連記事はこちら
美しい花を咲かせる&コンパクトな庭木に!サルスベリは年に1回は剪定しよう
サルスベリは剪定することで、新しい芽や枝、花芽が出やすくなるので、定期的に剪定をしないと花付きが悪くなってしまいます。また品種によっては5mを超える木なので、大きくなり過ぎると剪定などの手入れがしにくくなったり、日当たりや風通しが悪くなって病害虫の被害に遭いやすくなったりしてしまいます。年に1回は剪定をして、適度な大きさを維持することが大切です。夏に2度目の軽い剪定をしてもOK
枝が混み過ぎてしまって日当たりや風通しが気になるときには、夏の早いうちに間引くように剪定してもOKです。また、温暖な地域で育つ早咲きの品種であれば、最初に花が咲いた後に花がらを切り取るように剪定すると、もう一度芽を吹き、2度目の花を楽しめることもありますよ。図解付き!サルスベリの剪定の仕方|強剪定が花付きを良くするポイント
サルスベリの美しい花を楽しむためには、剪定の仕方が重要。詳しい剪定の方法やコツを図解付きで順に紹介します。Step1.不要な枝の処理をする
まずは枯れている枝や、樹の中心に向かっていたり垂直に伸びていたりする枝、2本並んで同じ方向へ伸びている枝など、不要な枝を切りましょう。これらの枝は樹形の乱れにつながるだけではなく、放っておくと枯れてしまう枝なので、大胆に元から切ってしまってOKです。太い幹の途中から出ている胴吹きや、根元からでているやご・ひこばえも忘れずに!野添 匠さん
サルスベリの剪定をする12~翌3月は葉が落ちているので、全体の樹形を把握しやすく、不要な枝も見つけやすいですよ。
不要な枝など剪定の基本に関する記事はこちら
Step2.車枝を整理しよう
サルスベリは芽吹く力が強いので、昨年剪定した切り口から放射状に多くの枝が出ることがあり、これを「車枝」と呼びます。四方八方に伸びた枝は見栄えも悪く、混みあってしまうので、2〜3本残して間引くように根元から切りましょう。サルスベリは上へ伸びる習性があるので、なるべく横に伸びている枝を残すようにすると、やわらかくきれいな樹形になりますよ。野添 匠さん
この車枝を全て切り取ってしまうと、コブの原因に。コブについてはこの後詳しく紹介します!
Step3.車枝を整理して、残した枝を強剪定する
Step2で残した長く伸びた車枝を、短く切り詰める強剪定をします。強剪定は太い枝を短く切り詰めたり、枝を長く切り取ること。サルスベリは強剪定をすると、強く元気な枝が出て大きな花が咲く習性があるので、大きな花を咲かせるためには、大胆に切り戻してOKです。野添 匠さん
切るときには枝分かれしているすぐ上で切るようにしましょう。切り口から枝分かれした部分までが長く残っていると、その部分から枯れやすくなってしまいますよ。
Step4.剪定の後は癒合剤と施肥を忘れずに
太い枝を切り戻しをしたときには、癒合剤を塗って切り口を保護しましょう。雨水や細菌の侵入を防ぎ、切り口の回復の手助けをしてくれます。また寒肥として緩効性の肥料を与えると、新芽の発生を促してくれます。野添 匠さん
肥料は効率よく吸収できるように、太い根がある根元ではなく、細かい根が出ている枝先の直下にあげるのがポイントです。
おすすめの癒合剤
剪定をしないと、うどんこ病やすす病の原因になることも
サルスベリは剪定をしないと花付きが悪くなるだけではなく、日当たりや風通しが悪くなって、うどんこ病やすす病の発生原因になるカイガラムシが付きやすくなってしまいます。病害虫の被害をおさえるためには、定期的な剪定と早期発見・早期駆除が大切です。野添 匠さん
剪定をするついでに、カイガラムシが発生していないかチェックして、見つけたら竹べらなどでこすり落として除去しましょう。冬の間はサルスベリの休眠期なので、少し強めの殺虫剤、マシン油乳剤を散布しても樹勢に影響が出にくいですよ。
カイガラムシやうどんこ病、すす病の詳しい関連記事はこちら
より美しい自然樹形のサルスベリに!コブをつくらない剪定のコツ
サルスベリというと、ゴツゴツとしたコブのある姿が思い浮かぶ方もいらっしゃるかもしれません。実はこのコブは、その独特の樹形を楽しむためや、大きさを維持するために剪定で仕立てた形なんです。この仕立て方は好みが分かれるところですが、サルスベリ本来のやわらかな樹形を楽しみたいときは、コブをつくらない剪定の仕方を知っておきましょう。サルスベリにコブができるメカニズム
「車枝を整理しよう」で紹介したように、サルスベリは剪定した切り口から、複数の枝を吹く性質があります。このたくさん出た枝を全て切り取ると、枝分かれしている部分はもともと太くなりがちなことに加えて、切り口をふさぐように樹皮が丸くなり、コブになっていきます。サルスベリに大きなコブをつくらないようにするための剪定のコツ
特に毎年同じところで剪定を繰り返していると、コブ同士が密着して一つの大きなコブになってしまいます。コブが目立たない自然樹形にするためには、毎年同じ箇所を剪定しないことがポイント!古い枝のところから新しい枝が出たら、古い枝を根元から切り、新しい枝に更新していきましょう。枝を入れ替えながら剪定していくイメージです。野添 匠さん
同じ切り口から出ている枝を整理するときには、木の上の方は1本、真ん中は2本、下の方は3本という風に枝を残すと、自然と横へ伸びやすい樹形になります。
コブができてしまったときは、コブの下で切り落とせばOK
庭の大きさや植えてある場所の状況、サルスベリの大きさを維持したいときなど、同じ箇所で切らなければならずコブができてしまうことも。でも大丈夫!数年に一度、コブの下で剪定しましょう。樹形も整い、サイズも一回り小さくすることができますよ。野添 匠さん
コブを切り落としたときには切り口が大きくなるので、癒合剤を塗るのをお忘れなく!