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株式会社グリーンフィールドプロジェクト
松崎 英【株式会社グリーンフィールドプロジェクト】有機認証の中でも厳しいとされる「ヨーロッパ有機認証」を取得した、有機種子を輸入・販売。2017年には、日本の固定種を残すことを目的とした「SAVE THE SEED (セーブ・ザ・シード)プロジェクト」を開始。「有機栽培するなら、その種も有機種子であってほしい」という思いから、日本での有機種子の普及に尽力しています。 HP:http://gfp-japan.com/…続きを読む
- 柴﨑 光一
リゾートガーデンスタイル専属の庭師×Webコンテンツクリエイター。 カナダのトロントで造園士を、その後日本で花屋のバイヤー・鉢物の管理・アドバイザーを経験した後、ヤシの木を主体とするリゾート・ドライガーデンの造園士に。 現在は、リゾートガーデンスタイルの社会福祉施設・DOG CAFEの専属庭師に加え、畑の開拓・管理、SNSも兼務。 植物を専門とするWebコンテンツクリエイター、ガーデニング商品の監修者としても活躍中。 幼いころから生き物やもの作りが大好きで、庭木・草花・観葉植物を使ったガーデニングの世界を開拓しています。 日本とカナダでの造園・庭師の経験に加え、趣味の植物やコケの収集、植物アート作りを生かして、 みなさんに植物や庭の魅力をお届けします!…続きを読む
今回は種子販売会社「株式会社グリーンフィールドプロジェクト」で代表取締役を務める、松崎英(ひで)さんに、家庭菜園で育てやすいネギの種類についてお伺いしました!
教えて!ネギにはどんな種類があるの?
ネギは、ユリ科ユリ属またはヒガンバナ科(ネギ科)ネギ属の野菜で、世界では500種以上、日本在来のものでも何十種類もの品種があります。日本でよく栽培されているものは、白い部分の多い長ネギ、主に緑の葉を食べる葉ネギや球根ネギです。長ネギ(白ネギ)|寒冷地でも育てやすい種類
白い部分が長く、加熱してその甘さと食感を味わうことが多い長ネギ。関東より北の地方では、葉ネギは寒さで枯れてしまうため、土寄せなどの工夫をしてでき上がった品種が長ネギといわれています。栽培は、春まきと秋まきの年2回できます。代表的な長ネギの品種
- 深谷ネギ:埼玉県深谷市を中心として栽培される長ネギの総称。白い部分がすらっと真っ直ぐに長く伸び、つやのある姿で、糖度が高く、繊維のきめ細やかさが特徴です。
- リーク:地中海沿岸部が原産の長ネギ。白い部分から葉までが太くて長く、一枚一枚の皮が厚いので、歯応えと食べ応えがしっかりあるネギです。
長ネギの詳しい育て方はこちらをチェック
葉ネギ(青ネギ)|寒さに弱く、暖かい地域でよく育つ
緑の細くて長い葉を、薬味やたこ焼きなどの具として食べられている葉ネギ。関東以南であれば、ほぼ一年中栽培できたり、一度植えると何度も収穫できたりと、葉ネギはプランター栽培や家庭菜園におすすめのネギの種類です。代表的な葉ネギの品種
- 九条ネギ:京都の伝統野菜で、主に西日本で栽培される葉ネギ。香りが豊かで、料理や薬味に欠かせないネギです。
- 博多万能ネギ:福岡県朝倉市で生まれたネギで、生でも煮てもおいしく、様々な料理に便利に使えることから万能ネギと名前がついたそうです。
葉ネギ(青ネギ)の詳しい育て方はこちらをチェック
球根ネギ|球根から育てる種類
長ネギや葉ネギのようにネギ坊主や種ができず、球根で増えていく球根ネギ。収穫までの期間が短く、9月に植え付けたら10月には収穫が可能!土の中で株も増えていくので、葉ネギ同様、繰り返し収穫できます。代表的な球根ネギの品種
- ワケギ:葉がやわらかくおいしいネギ。西日本で栽培が盛んです。
- アサツキ:日本に古くから自生しているネギの仲間。寒さに強いので、主に東北地方で栽培されています。
- チャイブ(エゾネギ、セイヨウアサツキ):ハーブとして人気があるチャイブは、アサツキの変種。マイルドな風味が、料理の香りづけとしてよく使われます。種からでも球根からでも栽培ができます。
球根ネギの育て方はこちらをチェック
次々増える&収穫までが早い!おすすめのネギの種類
球根ネギは収穫までの期間が短く、栽培も簡単!株元から数センチ残して葉をカットすれば、2〜3回は繰り返し収穫ができますよ。1. ワケギ
ラッキョウのような見た目の球根から育てるワケギ。ネギと玉ねぎの交配によって生まれた品種ですが、鼻にツンとくる辛みがなく、ネギ独特の臭いが苦手な人でも食べやすいですよ。ワケギの栽培・収穫時期の目安
植え付け | 収穫 |
8月下旬〜9月 | 10〜11月、翌3〜4月 |
ワケギの栽培のコツ
植え付けてから約1カ月ほどで収穫できるワケギ。1回目の収穫後に追肥をすると、ぐんぐんとまた生長し、20日前後でまた収穫が可能です。植え付けるときは、外側の茶色の薄皮や古い根を取ってから、球根のとがっている方が上に向くようして植えましょう。おすすめのワケギの球根
2. アサツキ
アサツキは、先までピンと伸びたハリのある緑の葉が特徴。辛味が強く、香りや食感もいいので、薬味やお好み焼きなどの具としても好まれています。アサツキの栽培・収穫時期の目安
植え付け | 収穫 |
8月下旬〜9月 | 10〜11月、翌3〜4月 |
アサツキの栽培のコツ
球根そのものに多くの水分が含まれているので、水を与え過ぎると球根が腐ってしまうことも。少し乾燥気味で育てるのが失敗しないコツですよ。おすすめのアサツキの球根
料理に使い分けOK!白&緑の葉がおいしいネギのおすすめの種類
長ネギの栽培は、白い部分が土から露出しないよう、生長にあわせて株元に土寄せしていく必要があります。プランターでの栽培は難しく、土の深さが十分にある広い場所や畑で育てましょう。3. 汐止晩生ネギ
一本の太いネギが、10〜15本ほどに分かれながら育つので、収穫量が多くてお得な汐止晩生ネギ。白い部分がほかの長ネギと比べるとやわらかく、焼き鳥などにして食べると絶品!ただし、栽培期間がとても長い品種なので、辛抱強さが必要です。汐止晩生ネギの栽培・収穫時期の目安
種まき | 収穫 |
4〜5月中旬/春まき 9月中旬〜10月中旬/秋まき | 翌5月/春まき 翌々5月/秋まき |
汐止晩生ネギの栽培のコツ
生長がゆっくりな汐止晩生ネギは、春にとう立ちしやすく、そうなるとさらに生長が鈍くなり栄養も花に取られてしまいます。ネギ坊主が根本の脇から見えてきたら、切り落としましょう。切り落としたネギ坊主は、天ぷらにするとおいしいですよ!おすすめの汐止晩生ネギの種
4. 下仁田ネギ
丸々と太った短く白い部分と、幅広い濃緑の葉が特徴の下仁田ネギ。加熱すると独特の甘みが強くなり、やわらかい食感ととろみがしっかり味わえます。鍋料理などにおすすめ!下仁田ネギの栽培・収穫時期の目安
種まき | 収穫 |
4月/春まき 9月/秋まき | 翌1月/春まき 翌12月/秋まき |
下仁田ネギの栽培のコツ
ほかの長ネギとは違って、過度な土寄せを嫌う下仁田ネギ。暑さと寒さには強いですが多湿には弱いので、水はけと通気性が良い土で育てるのがベストです!おすすめの下仁田ネギの種
5. 九条太ネギ
一般的な九条ネギよりも、さらに白い部分が太く、葉も肉厚な九条太ネギ。白い部分から葉先までやわらかく、ネギ独特の香りが強いのが特徴です。気温の変化に強く生育旺盛で、育て方も簡単!九条太ネギの栽培・収穫時期の目安
植え付け | 収穫 |
3月下旬〜4月中旬 | 9〜10月 |
九条太ネギ栽培のコツ
干し苗を植え付けるときは、球根についた枯れた葉や根を取り除き、根から20cm程度の長さに切りそろえてから植え付けます。植え付け穴には、先にわらを入れてから苗を植え付けると、水はけが良くなります。おすすめの九条太ネギの苗
6. 伯州一本太葱
伯州一本太葱はとろみがとても強く、口当たりの良さが特徴のネギ。一本立ちの白い部分はやわらかく、収穫時期になると硬く締まり、緑の部分と白い部分の色がくっきりと分かれます。伯州一本太葱の栽培・収穫時期の目安
種まき | 収穫 |
4月/春まき 9月中旬〜10月中旬/秋まき | 翌3〜5月/春まき 翌5〜7月/秋まき |
伯州一本太葱の栽培のコツ
白い部分が太く長く生長する伯州一本太葱は、植え付けてから約3週間後から収穫1カ月前までの間に、土寄せを4〜5回に分けて行います。また植え付けるときは、植え付け穴の中にわらを敷いて通気性と排水性を良くしましょう。寒冷地でも育てやすい!おすすめのネギの種類
氷点下になる寒冷地で育つネギの品種もあります。ただし、ネギの発芽と生育適温度は20℃前後。極寒日が続くようであれば、わらを敷いたり、マルチングをしたりして保温するといいですよ。7. 加賀一本太ネギ
氷点下でも凍結して枯れることがない加賀一本太ネギは、病害虫の被害も少なく、栽培しやすい品種です。肉質がやわらかめで甘く、すき焼きなどの鍋料理にあいます。加賀一本太ネギの栽培・収穫時期の目安
種まき | 収穫 |
3月中旬〜4月中旬/春まき 8月下旬〜9月中旬/秋まき | 11月〜翌3月/春まき 翌6月下旬〜9月/秋まき |
加賀一本太ネギの栽培のコツ
加賀一本太ネギは、土中の温度が10℃以上にならないと発芽しません。春まきの場合、3月にまだ肌寒いようであれば早まきはできるだけ避け、暖かくなる4月以降に種まきしましょう。おすすめの加賀一本太ネギの種
8. 岩槻ネギ
埼玉県さいたま市岩槻区で栽培される岩槻(いわつき)ネギは、白い部分が短い葉ネギに分類される品種ですが、7〜8本ほどのとても太い葉ができるのが特徴的。身がやわらかく、油といためて食べると風味が豊かになりおいしいです。極寒期を避ければ、一年を通して栽培できます。岩槻ネギの栽培・収穫時期の目安
種まき | 収穫 |
3月中旬〜10月 | 5月中旬〜翌1月 |
岩槻ネギの栽培のコツ
岩槻ネギは、暑さと乾燥に弱い品種。5月以降の種まきの場合、収穫が真夏になるので、半日陰になる涼しい場所で栽培するのがコツです。おすすめの岩槻ネギの種
松崎さんおすすめ!栽培しやすいネギの種類別 栽培時期一覧
ネギの品種名 | ネギの種類 | 種まき | 収穫 |
ワケギ | 球根ネギ | 8月下旬〜9月 | 10〜11月、翌3〜4月 |
アサツキ | 球根ネギ | 8月下旬〜9月 | 10〜11月、翌3〜4月 |
汐止晩生ネギ | 長ネギ | 4〜5月中旬/春まき 9月中旬〜10月中旬/秋まき | 翌5月/春まき 翌々5月/秋まき |
下仁田ネギ | 長ネギ | 4月/春まき 9月/秋まき | 翌1月/春まき 翌12月/秋まき |
九条太ネギ | 葉ネギ | 3月下旬〜4月中旬 | 9〜10月 |
伯州一本太葱 | 長ネギ | 4月/春まき 9月中旬〜10月中旬/秋まき | 翌3〜5月/春まき 翌5〜7月/秋まき |
加賀一本太ネギ | 長ネギ | 3月中旬〜4月中旬/春まき 8月下旬〜9月中旬/秋まき | 11〜翌3月/春まき 翌6月下旬〜9月/秋まき |
岩槻ネギ | 葉ネギ | 3月中旬〜10月 | 5月中旬〜翌1月 |