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旬の野菜がおいしいのはもちろんですが、ふと、葉物野菜のシャキシャキ感が恋しくなることがありませんか?
そんなときのために育てておくと便利なのが、中華炒めなどでよく知られる「空心菜」です。暑さに強い熱帯性の野菜で、真夏もどんどん成長して、たくさん収穫できます。プランターや菜園で育てておくと、栄養の偏りやレパートリー不足の解消にも、一役買ってくれますよ!
家庭菜園歴40年!福田俊先生にお話をうかがいました
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著書
『市民農園1区画で年間50品目の野菜を育てる本』(学研プラス)
『フクダ流家庭菜園術』(誠文堂新光社)
『福田さんのラクラク大収穫!野菜づくり』(学研パブリッシング)
クウシンサイ(空芯菜)の育て方のポイント
- 寒さに弱いため、暖かくなってから栽培します
- 肥料が好きなので、堆肥と元肥をたっぷり入れます
- 脇芽を伸ばすため、ある程度育ったら主茎を収穫します
- 茂りすぎるため、伸びすぎないようにどんどん摘み取ります
- 挿木で簡単に増やすことができます
クウシンサイ(空芯菜)の栽培時期と栽培適温
栽培カレンダー
種まき:4〜5月植え付け:5月
収穫:6〜9月
種まきや収穫の時期は地域によって違いがありますが、目安として種まきは4~5月ごろ、収穫は6~9月ごろにかけて行われます。クウシンサイは非常によく茂るため、一度収穫を行ってから1週間程度で次の収穫を行うことができ、栽培期間中に何度も収穫することができます。
栽培適温
クウシンサイの発芽適温は25〜35℃、栽培適温は22〜30℃と、発芽適温、生育適温ともに高めです。クウシンサイ(空芯菜)の育て方
Step1. 土づくり
クウシンサイは暑さには強いものの寒さに弱いため、栽培にはできるだけ日当たりの良い場所を選びましょう。土づくりはほかの一般野菜と同じですので、クウシンサイの栽培用に特別な土を準備する必要はありません。畑1平方メートルあたり、堆肥を2~3kg、微生物の餌としてボカシを300g、カリ分供給と酸性中和のため草木灰を70g加えてください。必要な栽培スペース
土づくりの詳細はこちらをチェック!
Step2. 種まき〜育苗
空芯菜は育苗ポットである程度育ててから畑への植え付けを行います。土を入れた育苗ポット1つにつきクウシンサイの種を1粒、表面から1cmの深さに押し込むようにしてまきます。育苗の際には、ポットの水を切らさないこと、徒長させないことに気を付けましょう。クウシンサイ(空芯菜)の種は、中国名である「エンサイ」や「エンツァイ」の名称で種苗会社から販売されています。Step3. 植え付け(定植)
育苗ポットの底からクウシンサイの白い根が見えるようになったら植え付けのタイミングです。植え付けにあたって特に苗に手を加える必要はありませんので、ポットから取り出してそのまま畑に植え付けてください。植え付けした後、周囲の土が乾いていれば水やりをしましょう。Step4. 水やり
露地植え栽培の場合、基本的には降った雨で水が足りるため、特にこちらから水をやる必要はありません。真夏の炎天が続くような日にはたっぷり水をやります。他の多くの植物と同様、クウシンサイの場合も水やりは朝に行うことがポイントです。散水ノズルで楽に水やり!
Step5. 追肥
クウシンサイは非常に良く茂るため、収穫が始まると1週間程度の間隔で収穫を繰り返します。収穫のタイミングで、ボカシ液肥などを、水やりも兼ねて適宜追肥を行うようにしましょう。生育旺盛で肥料をよく消費するので、肥料が不足しないよう都度追肥を必要があります。福田流!ボカシ肥料の作り方
Step.6 摘心
クウシンサイの栽培において非常に大切なポイントとなるのが摘心です。摘心を行うことで脇芽の生長が促され、クウシンサイはどんどん横に葉を伸ばしていきます。クウシンサイは繰り返し収穫することができるのですが、これは摘心を行うためで、伸びた脇芽を収穫しています。クウシンサイの苗が30cmぐらいに伸びたら、主茎を下から3葉目で切りましょう。その後は脇芽がどんどん茂るようになります。Step7. 収穫
クウシンサイの場合、種をまいてから収穫が始まるまでの期間は、4月まきで2カ月、5月まきで1カ月半くらいです。クウシンサイの収穫は1回だけではありません。摘心を行うことで脇芽が旺盛に生長します。株ごと収穫してしまわないようにし、脇芽が茂るたびにこれを順次収穫していきます。収穫しても脇芽はどんどん伸びるため、繰り返し収穫することができます。放置しておくと生長しすぎてしまうので、伸びすぎないように注意しながら、収穫を繰り返しましょう。収穫から収穫までの期間は1週間ほどで、毎週収穫すれば9月までに十数回も収穫することができます。収穫後のクウシンサイ(空芯菜)から種をとる方法
クウシンサイは分類上アサガオの仲間で、秋になるとアサガオとよく似た形の白い花を咲かせます。放っておくと、花のついたあとにアサガオと同じように丸いふくらみができます。これはクウシンサイの種が入ったさやです。この段階では種はまだ成熟していないので、クウシンサイが枯れるのを待ちましょう。クウシンサイは原産地の熱帯アジアでは多年草ですが、日本では冬を越すことができずに枯れてしまいます。枯れて茶色くなったクウシンサイのさやの中には成熟した種が並んでいますので、さやを割って種をとりましょう。とれた種は翌年のクウシンサイ栽培に使うことができます。乾燥・低温環境にして、種まきの時期まで保管しておいてください。
クウシンサイ(空芯菜)の栽培で注意すべき病害虫
クウシンサイがかかりやすい主な病気
クウシンサイがかかる病気は特にありません。ただ、暖かい環境を好み、寒い場所は苦手、肥料もたっぷり必要な野菜ですのでその点に注意しておきましょう。有機質肥料について学ぼう!
クウシンサイの主な害虫
クウシンサイは害虫にも強い野菜ですが、「ヨトウムシ(ヨトウガの幼虫)」が発生することがありますので注意してください。ヨトウムシは、日中は土の中などに隠れて姿を見せませんが、夜になると出てきて茎や葉を食害します。ヨトウムシを発生させないように、防虫網トンネルを設置して畝をカバーし、産卵させないようにしましょう。ヨトウムシについてはこちらで詳しく解説!
クウシンサイ(空芯菜)栽培の失敗を防ぐQ&A
クウシンサイの自分で収穫した種は何年くらいもちますか
福田先生
種は保存環境で寿命が決まるので、1年でダメになってしまう場合もありますが、きちんとした保存環境では長期に渡ってもたせることができます。保管に適した環境は「乾燥・低温」下で、乾燥・低温が維持できていれば種は何年ももちます。ただ、発芽率は新しい種の方が高いので、その点に留意してください。
畑で一緒に育てるおすすめ野菜を知りたいです!
福田先生
クウシンサイは生育が旺盛で非常に良く茂るため、混植すると一緒に植えた野菜が負けてしまいます。ですので、クウシンサイは他の野菜と混植せず、独立栽培するのががおすすめです。
収穫後、調理して食べたら苦味とえぐみがありました。原因は?
福田先生
化成肥料が効きすぎた可能性が考えられます。肥料に含まれるチッ素は植物にとって必要不可欠な栄養素の1つです。チッ素は主に「硝酸イオン」のかたちで根から吸収されますが、硝酸イオンは人が苦味、えぐみを感じる成分の1つでもあります。クウシンサイが硝酸イオンを過剰に吸収したため、苦味とえぐみがあったのではないでしょうか。
収穫したクウシンサイ(空芯菜)の保存方法
クウシンサイは収穫期間の6~9月にかけては毎週のように収穫できるため、特別な保存をする必要はありません。冷蔵で保存したい場合は、クウシンサイの茎の下の方から根元の部分までを濡らしたキッチンペーパーなどで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に立てておきましょう。葉を濡らすとすぐに傷んでしまうので、葉の部分は濡らさないように気を付けてください。きちんと保存すれば1週間程度もつでしょう。
収穫期を終え、秋以降にも食べたいという場合は、収穫したクウシンサイを茹でて冷凍しておくと保存がききます。そのまま冷凍庫に入れるのではなく一度茹でることがポイントで、冷凍の場合は1か月程度保存ができるはずです。
クウシンサイは初心者にもおすすめの育てやすい野菜
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サカタのタネ エンツァイ