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スプラウトの栄養価とは?
スプラウトは、発芽したばかりの植物の新芽のこと。「天然のサプリメント」と呼ばれることがあり、実際に、植物の生長に必要とされるさまざまな成分が凝縮しています。たとえば、定番のスプラウト「かいわれ大根」を取り上げてみましょう。かいわれ大根と大根に含まれる100gあたりのビタミンCの量は、かいわれ大根が47mg、大根が11mgとされています(参考:文部科学省|日本食品成分表2020版八訂)。つまり、大根に比べてかいわれ大根は、約4倍ものビタミンCを含んでいます。これはビタミンCだけでなく、ほかの栄養素にも見られる現象(一部の栄養素を除く)です。つまり、生長した後の野菜と比較しても、新芽であるスプラウトは栄養を豊富に含んでいるといえるでしょう。
スプラウトの成分「スルフォラファン」その効果は?
スプラウトに含まれる成分として、昨今注目を集めているのが「スルフォラファン」。ブロッコリースプラウトに突出して多く含まれています。この成分は、第7の栄養素とも呼ばれる「フィトケミカル」の一種です。スルフォラファンには、酵素の生成を助ける働きがあり、体の解毒力や抗酸化力の向上に役立つと考えられています。ただ、現時点ではスルフォラファンを単独で摂取した場合では、十分な効果は認められていません。私たちは知らず知らずのうちに、有害物質や活性酸素を体内に取り込んでおり、日常的にダメージを受けています。スルフォラファンには、このダメージを軽減する働きがあるといわれています。
アメリカの研究者によって発見されたスルフォラファン
スルフォラファンを初めて発見したのは、アメリカの先端医学の研究者であるポール・タラレー博士です。ブロッコリーには微量しか含まれていないのに対して、発芽3日目のブロッコリースプラウトは高濃度のスルフォラファンを含有していることを発見。その研究結果の発表は、アメリカで大きな話題となり、一躍ブームとなりました。残念ながらポール・タラレー博士は2019年に亡くなっていますが、世界中でスルフォラファンに関する研究が進んでいます。こうした研究結果からも、スルフォラファンには、ピロリ菌に対する殺菌作用や悪酔いの緩和、整腸作用などさまざまな効果があることが解明されつつあります。
※参考:村上農園「スルフォラファンとは?」
スプラウトの食べ方|栄養をしっかり摂取するポイント
スプラウトは、できるだけ生で食べるのがおすすめです。スルフォラファンは通常、植物の細胞内では前駆物質という「スルフォラファンになる前の状態」で存在しており、粉砕されて酵素(ミロシナーゼ)と反応することによってスルフォラファンになります。しかし、スプラウトに含まれる酵素は熱に弱いという特徴があり、加熱調理をすると前駆物質からスルフォラファンができにくくなってしまいます。スプラウトはスムージーなどの飲み物の材料として使うと、粉砕することで細胞が壊れ、効率よくスルフォラファンなどの成分を摂取できます。スルフォラファンには揮発性があるため、作り置きはしないで食べる直前に作るようにしてください。また、鮮度が落ちやすいため、新鮮なものを選び、早めに食べ切るようにしましょう。
スプラウトの人気ランキング
一口にスプラウトといってもさまざまな種類があり、どんなものを選べばよいか、迷ってしまう人もいるかもしれません。そこで「スプラウト 種」のランキング結果を参考にしながら、人気のスプラウトを簡単にご紹介します。※参考: Yahoo!JAPANショッピング「『スプラウト 種』のランキング」
ブロッコリースプラウト
ブロッコリーの発芽から1週間程度経過した、ブロッコリースプラウト。ブロッコリースプラウトは家庭で手軽に栽培できます。栽培方法と食べ方については、こちらの記事をご覧ください。
マスタードスプラウト
マスタードスプラウトは、西洋からし菜(マスタード)の新芽であり、ピリリとした辛味があります。高血圧の予防が期待される「カリウム」を豊富に含んでいます。マスタードを使うような感覚で、ソーセージや卵料理、サンドイッチに添えたり、にんじんサラダなど甘味のある野菜料理に混ぜるのもおいしいです。レッドキャベツスプラウト
レッドキャベツスプラウトは、紫キャベツの新芽であり、美しい赤紫色が特徴です。ポリフェノールの一種である、紫色の天然色素「アントシアニン」が含まれています。料理に彩りを添えたい時にもぴったりです。辛味も苦味も少ないので子どもにも食べやすく、いろいろな料理に使うことができます。にんにくスプラウト
にんにくスプラウトは、発芽したばかりの新芽のあるにんにくです。免疫の活性化が期待される「アルギニン」のほか、鉄分も多く含んでいます。美と健康に意識の高い人の間で話題になっています。見た目はノビルや行者ニンニクなどにも似ていて、根も葉もすべて食べることができます。生食だけでなく、素揚げやアヒージョ、いため物にも向いています。そばスプラウト
そばスプラウトは、そばの新芽であり、茎が淡いピンク色をしています。そばと同様に、毛細血管を丈夫にする働きが期待される成分「ルチン」が含まれるほか、フィトケミカルを豊富に含有しています。クセが少ないので、いろいろな料理に利用できます。ひまわりスプラウト
ひまわりスプラウトは、ひまわりの新芽です。日本ではまだ珍しいですが、欧米諸国では人気のあるスプラウトの一つになっています。欧米では、サラダやスムージーによく使われます。茎が比較的太くてやや苦味があり、存在感がある味わいです。ひまわり油は抗酸化作用が期待される「ビタミンE」が豊富で、このひまわりスプラウトにも多く含まれています。ケールスプラウト
ケールスプラウトは、ケールの新芽です。ケールは青汁の材料としても使われており、スーパーフードとしても注目されている野菜のひとつです。ケールと同様にケールスプラウトにも、ビタミンやミネラルなどの栄養が豊富に含まれています。根もすべて食べられるので、下処理の手間が少ないのも魅力的ですね。参考:
村上農園「スプラウト栄養成分表」
一般社団法人ジャパンハイドロニックス「スプラウトにんにくとは」
株式会社プレーリードッグ「プレーリードッグファーム」
和食にもよく合う!スプラウトを使った、簡単おいしい養生ごはん
いつもの料理にトッピングして気軽に楽しめる、スプラウト。洋風の料理に使うレシピをよく見かけますが、スプラウトは和食にもよく合います。ここでは、みそ汁や和え物、煮物、いため物、豆腐料理、麺類、手巻き寿司への活用法をご紹介します。みそ汁
みそ汁の仕上げに、お好みのスプラウトを添えてみましょう。彩りと香りが加わって、いつものみそ汁が風味豊かな一品になります。スプラウトを添えてから時間が経つと、熱によってスプラウトがしんなりしてしまうので、食べる直前に使うようにしてくださいね。和え物
和え物の彩りとして、スプラウトを使うのもおすすめです。写真は、新玉ねぎの和え物に、刻んだ豆苗をトッピングしたもの。豆苗の香りと食感が良いアクセントになっています。煮物やいため物
スプラウトは、煮物やいため物の仕上げに使うのもよく合います。スパイスや香味野菜を添えるような感覚で、お好みのスプラウトを添えてみてはいかがでしょうか。写真は、たけのこの煮物に刻んだ豆苗を添えたもの。たけのこと豆苗はどちらも香り強くて滋味があふれる食材です。組み合わせることで、新たな味わいが楽しめます。厚揚げなど豆腐料理
豆腐料理にはネギや生姜(しょうが)などの薬味を添えることが多いですが、その代わりにスプラウトを使ってみましょう。写真は、香ばしく焼いた厚揚げに数種類のスプラウトをのせて、ポン酢をかけたものです。スプラウトを使えば、目先の変わった一品を手軽に作ることができます。麺類
お好みの麺類に、スプラウトをたっぷりとのせてみましょう。写真は、さっとゆでた冷や麦に、納豆と数種類のスプラウト、たたいた梅干しをのせた一品。手軽に作れて栄養も摂取できるので、暑い時期の昼ごはんにもぴったりです。温かい麺類の上にのせてもおいしいく、ベトナムの米麺「フォー」にトッピングするなど、エスニック料理にパクチーの代わりとして利用するのもおすすめです。手巻き寿司
かいわれ大根や青じそなどの香味野菜を具材にすることが多い、手巻き寿司。ここに、スプラウトをたっぷりと使うのもおいしいです。レッドキャベツスプラウトやそばスプラウトなど茎が赤いものを使うと、彩りが良く仕上がります。栄養豊富な野菜、スプラウトをおいしく食べよう
植物の新芽であるスプラウトには、スルフォラファンなどの栄養が豊富に含まれています。家庭でも手軽に育てることができ、料理にトッピングして簡単に食べられることから昨今注目を集めています。スーパーなどではブロッコリースプラウトをよく見かけますが、今回ご紹介したスプラウトの人気ランキングを参考にしながら、いろいろな種類を試してみてはいかがでしょうか。スプラウトは洋風料理だけでなく、みそ汁や和え物など普段の和食に添えるのもよく合います。栄養豊富なスプラウトをおいしく食べて、健やかに過ごしたいですね。