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- Akiko Isono
編集者兼ライター。家庭菜園・ガーデニング専門誌の編集に8年間携わり、現在は雑誌やムック、WEBを中心に、植物、農業、環境、食などをテーマとした記事を執筆。好きな野菜はケールとにんじん。…続きを読む
スプラウトとは、植物の種を発芽させ、その新芽を収穫する野菜のこと。近年、その健康効果が大注目を浴びています!通常の野菜が、葉や果実など一部分だけを食べるのに対して、スプラウトは1つの植物体を丸ごと食べられるので、さまざまな栄養素を一度にとることができるのです。発芽したばかりの新芽には、成長後の野菜には含まれていない種類のビタミンや、抗酸化作用の高いファイトケミカルと呼ばれる物質が多く含まれています。
こんなにカラダにいいことづくめのスプラウト、じつは家庭でも手軽に育てられます。自分で育てれば、あまり売り場に並ばないめずらしいスプラウトも味わえますよ。さっそく挑戦してみませんか?
スプラウト栽培を成功させる5つの注意点
失敗しないためには、どんなことに気をつければよいのでしょうか?
栽培を始める前にポイントを確認しておきましょう。
- 栽培時期は春・秋・冬です
- スプラウト専用の種を使用しましょう
- 底の平な容器を使用しましょう
- 種まき後は室温20℃前後をキープ
- 発芽後は毎日水を交換するようにしましょう
ポイント① 栽培適期は春、秋、冬
スプラウトは基本的にいつでも育てられますが、真夏は毎日水換えをしても、雑菌が繁殖することがあります。特に気温の高い7〜9月は避けたほうが無難でしょう。冬は発芽や成長に少し時間がかかりますが、雑菌が繁殖しにくいので育てやすいシーズンです。ポイント② 種は「スプラウト専用」のものを準備しよう
野菜の種なら、どれでもスプラウトにできるというわけではありません。通常の種は、栽培中の病気予防のため、表面に殺菌剤がついていることがあります。スプラウトは発芽したばかりの新芽を食べるので、薬剤が口に入る心配があります。「スプラウト専用」と表記された種なら、未殺菌なので安心して使えます。オススメのスプラウト専用種子
スプラウト専用種子を販売している種苗会社さんの中でも、おすすめの販売店をご紹介します。ポイント③ 容器は底が平らなものがベスト
プラカップや瓶、タッパーウェアなど、深さが10cm程度あり、水がためられる容器なら何でも栽培できます。ただ、底に凹凸があると発芽のタイミングにばらついて、発芽が遅れた種はしっかり育つことができません。ポイント④ 種まき後は20℃前後をキープ
種が発芽する温度は植物によって異なりますが、今回紹介するスプラウトの種は、およそ20℃前後が適温。室内栽培でも窓辺などに置くと、冬の夜はぐんと気温が下がります。寒い時期に育てる場合は、発芽まで発泡スチロールの箱に入れるなど温度をキープすると、発芽が早まります。ポイント⑤ 発芽後は毎日水換え!
水をためておくスプラウト栽培は、雑菌をふやさないことが大事なポイント。忘れずに毎日水換えして、清潔に育てましょう。基本は1日1回、気温の高い時期は朝晩の2回行うのがベストです。スプラウトの育て方・栽培方法
では、種まきから収穫までの手順を解説しましょう!
① スプラウト用の種、栽培容器、底に敷くペーパータオルまたは薄めのキッチンスポンジ、水さしを用意します。
② ペーパータオルまたはスポンジを容器の底の大きさに合わせて切り、底に敷きます。ひたひたになるくらい水を注ぎます。
③ 種が重ならないように底面全体にまきます。このとき、できるだけ種に直接触らないほうがベスト。小皿などに移して、パラパラと全体に広げるようにまくのがおすすめです。
④ 段ボール箱などに入れ、光を当てないようにして発芽を待ちます。温度は18〜20℃をキープし、種が乾かないように、ときどき霧吹きなどでそっと水をかけます。
⑤ 発芽までは3〜5日かかります。小さな芽が出そろったら、芽が浸かる程度に水を注ぎ、容器をそっと傾けて水を捨てます。勢いよく捨てると、芽が流れてしまうので気をつけてくださいね。
⑥ 水換えが終わったら再び箱に入れ、遮光しながら育てます。毎日の水換えを続けましょう。
⑦ 栽培する時期にもよりますが、カイワレ大根やブロッコリーなら、約1週間で5〜6cmに育ちます。このくらいの大きさになったら、箱から取り出して日当たりの良い場所に移しましょう。
⑧ 丸一日日に当てると、黄色かった双葉がグリーンに変わっていきます。双葉がしっかり開いて色が変わったら、根本から切って収穫します。
お手軽!スプラウトの栽培キット・セット4選!おすすめの容器は?
毎日でも食べたいヘルシー食材のスプラウト。数日ずつずらして種をまき、ローテーション栽培するのもおすすめです。種がセットになった栽培キットや、専用の容器をそろえれば、もっとお手軽に育てられますよ!100均のアイテムでスプラウト栽培セットをそろえられる?
基本的に深さが10cm程度ある容器ならスプラウト栽培には十分なので、100均のタッパーとペーパータオルでも始められます。種もダイソーなどで売っているため、近所の100均のアイテムでも簡単に始められるというのもスプラウト栽培の魅力です。大定番!人気のスプラウト5選
店頭でもよく見かける定番スプラウト。自分で種から育てれば、ローコストで、毎日日替わりでいろいろな種類を楽しむことができますね。① カイワレ大根
大根の新芽で、サラダや薬味に使われる代表的なスプラウト。双葉がパカッと開いた姿が貝に似ていることから「貝割れ」と呼ばれます。ピリッとした辛みはイソチオシアネートという成分で、殺菌効果や消化を高める効果があります。
② ブロッコリースプラウト
高い解毒作用と抗酸化作用を持ち、がん予防にも効果があると言われる「スルフォラファン」という成分が大注目。ピロリ菌除去に効果的という研究発表もあるそうです。くせのない味で、いろいろな料理に合わせられるのも魅力的。
③ 豆苗
エンドウ豆の新芽で、青豆の香りとシャキシャキした食感が持ち味。スプラウトのなかでは食べごたえがあり、豆類に多いタンパク質、美肌効果の高いベータカロテンなどの栄養を多く含みます。再生力が強く、軸を数cm残して切り取ると、もう一度収穫が楽しめます。
④ アルファルファ
牧草として利用される、ムラサキウマゴヤシというマメ科植物の新芽。ほんのりした甘みとさわやかな香りが特徴で、サラダやサンドイッチなどに欠かせません。タンパク質、ビタミン、ミネラルなど体に必要な栄養をバランスよく含むスーパーフード!
⑤ そば
出典:SELON スプラウトポット L型ピンク色の軸が目を惹く、そばの新芽。色の成分であるポリフェノールは水溶性で、ゆでたりすると流れ出てしまうので、色を楽しむなら生のまま調理しましょう。抗酸化作用が高く、血管を丈夫にすると言われる「ルチン」も豊富です。
これは育ててみたい!おもしろスプラウト5選
お店ではあまり見かけませんが、こんな野菜や植物もスプラウトとして味わえます!いつもの料理にちょっとアクセントを加えたいときにも、おすすめですよ。① クレソン
ピリッとした辛みがあり、スプラウトでもクレソンらしい香りが楽しめます。サラダやパスタのトッピングや、肉料理との相性も◎!② 青じそ
さわやかな香りで、お刺身やマリネに添えたり、そばやうどんの薬味にしたりと、幅広く使えます。気温が低いと、発芽や成長がゆっくりになります。③ 紫キャベツ
赤紫色の軸が鮮やか。抗酸化作用の高いポリフェノールやビタミンCを多く含み、美肌効果大!スムージーに加えるのもよさそうですね。④ ひまわり
日本ではあまりなじみがありませんが、欧米では人気のスプラウト。鮮やかなグリーンの葉と太い軸もは、いかにも栄養がたっぷり含まれていそう。ビタミンC、ビタミンEが豊富です。⑤ ルッコラ
イタリア料理に欠かせないルッコラもスプラウトとして楽しめます。特長的な香りやピリ辛風味も、ちゃんと味わえますよ。ビタミン、ミネラルなど、栄養面も◎。広がるスプラウトの魅力
栄養や調理の使いやすさが注目されているだけでなく、最近はダイエットをめざす人にも人気だとか!?スプラウトの魅力はまだまだ広がっていきそうですね!