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プランター野菜栽培家
安藤 康夫自宅のベランダと屋上のプランターでさまざまな野菜や果樹を栽培し、50品目達成。栽培の様子や採れたて野菜を使った料理などを、「Hanna-papaの菜園日記」にて発信しています。 現在は、プランターの限られた土の量で、どれだけ高品質な野菜が育てられるかを探求中! ■関連サイト:Facebook「Hanna-papaの菜園日記」、 2019年5月以前のブログ「Hanna-papaの菜園日記 2」 ■著書:『プランターで有機栽培1』(農文協)、『プランターで有機栽培2』(農文協)…続きを読む
一度植えると何年も収穫できる!プランターで育てるニラの特徴
ニラは大きく分けると葉の幅が広い大葉ニラと、葉の幅が細い花ニラがあります。日常的にスーパーなどでも売られていて、レバニラでもおなじみのニラは大葉ニラ。生命力が強く、初心者にも育てやすい野菜です。生長スピードが早く、1株植えておくだけでも次から次へと収穫できるのが、ニラのプランター栽培の魅力!冬には地面から上の葉は枯れますが、株はゆっくり生長し、寒さに当たることで甘味が増すため、春にはしっかりとしたおいしい葉が生えてきます。
プランターで育てるニラの栽培時期
・種まき:2~3月・植え付け:3~4月
・収穫:【翌年】6~12月
※年間平均気温が12〜15℃の温暖(中間)地基準
安藤康夫さん
種から育てる場合、収穫の本番は株が大きくなる2年目以降からです。
ニラの栽培適温
15~20℃夏場は半日陰か日陰にプランターを移動しよう
ニラのプランターを設置するのに適しているのは、日当たりと風通しの良い場所。エアコンの室外機のそばなど、人工的な風が当たる場所は避けておきましょう。日に当たり過ぎると葉が固くなってしまうため、夏場は半日陰に、猛暑は日陰に移動します。ニラのプランター栽培で押さえておきたいポイント
- ニラの種まきや植え付けは、2〜4月に。収穫の本番は翌年6〜12月
- 1株なら5号のプランターや植木鉢でも栽培が可能!1株でも株自体が育つとたくさん葉が採れる
- 12〜翌1月の冬の間に枯れた葉は、そのままにして株を育てる
- 2年目以降は株元を3cm残しながら収穫。葉が次から次へと生えてくる
- 追肥として油かすを、収穫後と2月の終わりに与える
特に押さえておきたいポイント2つ
Point1. ニラを収穫するときは株元を残す
茎の根元から株分かれし新芽が出るので、株元を3cmほど残して、葉をカットして収穫を繰り返します。冬になると地上部の葉は枯れますが、春になるとまた葉が生長しはじめ、数年にわたって収穫することができます。安藤康夫さん
暖かい時期なら、2週間ほどで再生します。
Point2. より多く収穫するためには、株分けをしよう
ニラを植えてから数年経つと、茎数が増えてプランターの中で根が詰まり、幅広で厚みのあるニラが収穫できなくなってしまいます。元気なニラをたくさん収穫できるよう、2〜3年目以降は株分けして新しい土に植え替えるのが、ニラのプランター栽培を長く楽しむためのポイントです。ニラ栽培に必要なプランター・土・肥料を準備しよう!
ニラをプランターで育てる際に必要なものは、基本のプランターと土、肥料のみです。ニラ栽培に適したプランターのサイズや深さ
省スペースでニラを育てるときにおすすめのプランター(ポット)
・A:直径15cm程度・B:高さ15cm程度
1株なら、直径15cmほどの5号サイズのプランターでもニラ栽培ができます。
ニラをたくさん育てたいときにおすすめのプランター
・A:幅65cm程度・B:奥行20cm程度
・C:深さ20cm程度
横長サイズの幅65×奥行20×深さ20cm程度のプランターなら、最大4株育てることが可能です。
ニラのプランター栽培に適した土
市販されている、元肥入りの野菜用培養土を使うのがおすすめです。ニラ栽培におすすめの培養土
ほかの野菜を育てた土を再利用する場合
ほかの野菜を育てた土は、土の中の栄養分が少なくなっているため、バランスの良い土になるよう肥料などを混ぜて土を再生させてから使う必要があります。65cmのワイドプランターの場合、油かす・カキ殻石灰・くん炭もみ殻を一握りずつ、土の量に対して10%ほどの堆肥を加えて混ぜましょう。土の再利用に必要な肥料についての関連記事はこちら
ニラのプランター栽培に必要な鉢底石
土を入れる前に、土の排水性や通気性を良くする鉢底石をプランターの底に敷いておきましょう。ニラのプランター栽培に適した肥料
追肥用の肥料には、油かすがおすすめです。ただし、与え過ぎると黒アブラムシを呼び寄せてしまうため、肥料の量には注意が必要です。ニラ栽培におすすめの肥料
【1年目は準備期間!】プランターでのニラの育て方
プランターでニラの種から栽培をスタートした場合、1年目は株を育てる準備期間です。収穫の本番は翌年以降で、その後2年程度は同じ株でニラの収穫を楽しむことができます。Step1. ニラの種まき・育苗・植え付け
ニラをプランターで育てる場合、プランターへ直接種をまく方法と、ポットで育苗してからプランターへ植え付ける方法の2つがあります。ニラの種をプランターに直接まいて育てる方法
- プランターの底から5cmほどの高さまで鉢底石を敷き、縁から5cmほど下まで土を入れます。
- 小さなプランターの場合は真ん中に、大きなプランターの場合は15~20cm間隔で、深さ1cmほどの穴をあけ、1つの穴に5~6粒の種をまきます。
- 種に光が届かないよう厚めに土をかぶせ、上から鎮圧します。
- プランターの底から水があふれるくらいたっぷりと水を与えましょう。
- 1つの穴から複数の芽が出ても、間引きは必要ありません。そのまま育てます。
ニラの種をポットにまいて育苗する方法
- 直径9cmほどのビニールポットに、育てたい株数+10粒くらいの種をばらまきします。
- 種に光が届かないよう厚めに土をかぶせ、上から鎮圧し、たっぷり水を与えます。その後は、土が乾いたら水やりをして発芽させましょう。
ニラの苗を植え付ける方法
- 苗の高さが5cmくらいまで生長したら、鉢底石と土を入れたプランターに植え付けます。ポットと同じくらいの大きさの穴をあけて、ニラの苗をポットから土ごと出して、そのまま植え付けましょう。大きなプランターの場合は、株間は15〜20cmにします。
Step2. 水やりのタイミングや頻度
土が乾いたタイミングで、プランターの下からあふれるくらいたっぷりと水を与えます。地上の葉が枯れたり、葉を刈り取った後もしっかり水やりは続けましょう。季節ごとの水やりの目安
・夏場の暑い時期:朝夕2回・冬の寒い時期:1週間に1度
Step3. 1年目の収穫と追肥
収穫適期は、背丈が20cmを超えたタイミング。株元を3cm残し、はさみで切って収穫します。ただし、1年目は株の勢いが弱いため、2~3本の葉しか採れないかもしれません。安藤康夫さん
2年目以降にたくさんのニラを収穫するため、1年目は葉の収穫はあまりせず、株を育てることを優先しましょう。
1年目の追肥は一度だけ
秋に一度収穫したら、そのタイミングで、追肥として株元に油かすをひとつまみ与えます。肥料の入った野菜用培養土で育てているなら、1年目の追肥はこの一度だけでOKです。Step4. 12~翌1月ごろ|枯れた葉はそのままに
地上に出ている葉は、12~翌1月ごろの寒い時期になると枯れます。葉を刈り取ってしまうと冬でも葉が生長しようとして、株が育ちません。枯れた葉は刈り取らず、そのままにしておきましょう。Step5. 2月終わり~3月初旬|枯葉を刈り取り、寒肥を与える
2月終わり~3月初旬になったら、枯葉を刈り取るタイミング。地上に出ている枯れた葉を、株元を5cm程度残して刈り取ります。そのあとに寒肥として、65cmのプランターの場合なら一握りくらいの油かすを、土の表面にまんべんなくまきます。安藤康夫さん
寒肥をするのは1度だけ。寒肥を与えることによって、新葉が生長し始めます。肥料の与え過ぎは、害虫を呼び寄せる原因になるので要注意!
【2年目以降のニラ栽培】収穫本番!プランターへの追肥や種採りも
葉がどんどん生えてくる!収穫後は追肥も忘れずに
収穫のタイミングは1年目と同じく、背丈が20cm程度になったら、株元を3cm残しはさみで切って収穫します。20cm以上育ってしまうと、ニラの葉は固くなります。その場合は、一度地上部の葉を刈り捨てて、新たに新葉を伸ばすようにすると、また柔らかく新鮮なニラの葉が生えてきますよ!収穫後には追肥として、株元にひとつまみの油かすを与えるのを忘れないようにしましょう。
5月ごろに伸びてくる花芽は、すぐに収穫!
伸びた花芽は収穫し、花ニラとして味わいましょう。花芽が伸びてくるのは5月ごろ。柔らかくて甘みがあり、いため物にして食べるのがおすすめです。ニラの種を採ることもOK
花芽を採らずに、花を咲かせてそのまま枯れるまで育てていると、ニラの種を採ることもできます。株を増やしたい場合は、その種を翌年まくのもいいですね!【ニラの種まきから2~3年以降のプランター栽培】株分けをして復活させよう!
ニラを育てて2~3年ほど経つと、葉が細くなったり、生長の勢いが衰えたりすることがあります。プランター内の根が詰まっていたり、土の栄養がなくなっていたりするのが原因です。株分けすることにより、また元気なニラを育てることができるので、ぜひチャレンジしてみてくださいね。株分けするのは2月下旬から3月上旬!
株分けをするのは2月下旬から3月初旬ごろの、ニラが休眠から目覚める前。株に栄養が蓄えられており、根を分割しても傷みにくい時期です。Step1. ニラの株を掘り起こす
ニラの枯葉を、株元から5cm程度残して刈り取ります。土に残った株元と根を、そっと掘り起こしましょう。細い根が絡まり合っていますが、根が多少切れてしまっても問題ありません。Step2. ニラの茎を分割する
根に付いた土を軽く落とし、茎を根元から分割して1株ずつに分けましょう。手で根株を割るようにすれば、簡単に分けることができます。Step3. 植え付ける
新たに鉢底石と土を入れたプランターを用意して、3~4本をまとめて15cmの株間で植え付けます。2月に株分けすれば、4月以降は本格的にニラを収穫することができます。株がしっかり育っているため、種から育てた1年目のように収穫をセーブする必要はありません。
安藤康夫さん
私の場合、株分けしながら9年育てています。株分けをして新しい野菜用培養土に植え替えると、また元気に生長してくれますよ!
ニラ栽培で起こりやすいトラブルと対策
ニラの葉が細いまま太くならない
栽培年月を重ねると、プランター内の根が詰まって葉が太くなりません。株分けして新しい土に植え替えれば、また太くおいしいニラが収穫できるようになります。葉が硬く筋っぽい
夏の暑い時期に日に当たり過ぎると、ニラの葉は硬くなってしまいます。プランターを移動させ、日当たりを調整しましょう。また、収穫適期を過ぎ、葉が30cmくらいまで伸びてしまうと、葉の生長がストップして硬くなります。硬くなってしまった葉は刈り捨てて、新しい葉を生長させましょう。アブラムシが付いた
肥料を与え過ぎると、アブラムシが付くことがあります。虫がついた葉は、刈り取って処分します。虫がつかないうちにこまめに収穫するようにして、肥料も少なめにするなど調整してみましょう。赤褐色の斑点が出ている
長く育てていると、鉄がサビたような色の小さな斑点が出る、さび病を発症することもあります。葉は刈り捨てて新しく再生させれば、また元気な葉が生えてきますよ。安藤康夫さん
定期的に収穫&刈り取っていれば、病気は起こりにくいでしょう。