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あしたば(明日葉)ってどんな野菜?
あしたばは、日本原産のセリ科の多年草です。生命力が強いことで知られており、葉を摘んでも翌日には葉が生えてくることからその名前が付いたとされています。あしたばの旬は、3月~5月ごろ。スーパーなどではあまり見かけない野菜ですが、旬の時期になると直売所などに並んでいることもあります。あしたばが自生しているエリアは、房総半島や三浦半島、八丈島周辺、紀伊半島などです。その栄養価の高さから「不老長寿の野菜」とも呼ばれ、江戸時代の書物『大和本草』にも登場するほど古い歴史を持っています。
あしたばに含まれる栄養とは
あしたばには、β‐カロテン、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、食物繊維などが豊富に含まれており、青汁にもよく使われています。あしたばの青汁は、ケールを使ったものよりも飲みやすく、ビタミンやミネラルがバランス良く含まれているのが特徴です。あしたばを切った時に出てくる黄色の汁には「カルコン」という成分が含まれています。カルコンはフィトケミカル(ポリフェノール類)の一種であり、美容や健康に役立つ成分として昨今注目を集めています。
※参考:明日葉について(あしたば本舗ホームページ)
https://www.ashitaba.co.jp/ashitaba/
独特の苦みが和らぐ!あしたばの下処理方法
あしたばには独特の風味がありますが、下ゆですることで苦みや香りが和らぎます。あしたばはそのまま置いておくと、鮮度がどんどん失われてしまいます。あしたばを入手したら、新鮮なうちに下処理をしておくことをおすすめします。あしたばの下処理方法(ゆで方)
〈材料〉作りやすい分量
・あしたば 一束
・塩 少々
作り方
- あしたばは、葉と茎の部分に切り分けておく。
- 鍋にたっぷりの湯を沸かし、1のあしたばを茎、葉の順に鍋に入れる。
- さっとゆでて、ザルにあげる。ボウルにあしたばを入れて水に浸し、5分程度おく。
- 5分ほど経ったら水気をしっかりと切る。適度な長さにカットし、保存容器に入れて冷蔵庫で保管する。
ポイント
- 根元の部分は、筋張っていて硬い場合もあります。よく確認して、取り除いておくようにしましょう。
- あしたばは火が通りやすいので、短時間で加熱するようにします。加熱し過ぎると、風味が損なわれてしまいます。
あしたばは生でも食べられる?
あしたばの緑はとても美しいので「生のまま(サラダなどで)食べたい」という方もいるかもしれません。ですが、あしたばはアクが強い野菜です。基本的には、下ゆでなどの処理によりアクを抜いてから食べることをおすすめします。あしたばのいろいろな食べ方|簡単おいしい養生ごはん
実は、私自身あしたばが大好きなんです。過去には、紀伊半島で暮らす友人からあしたばの苗を分けてもらい、愛知県の自宅の庭で5年間ほど育てて収穫していました。個人的にはあしたばの大きな魅力は、山菜と香味野菜の中間のような爽やかな風味にあると感じています。今回は、我が家で試作した経験をもとに、あしたばの簡単でおいしい食べ方を紹介します。あしたばの和え物
あしたばのおいしさをシンプルに味わいたい時には、和え物がおすすめです。写真は下ゆでしたあしたばを、マヨネーズといりぬか(またはすりごま)、少量のしょうゆで味付けしたもの。あしたばには山菜にも似た独特の苦みがありますが、マヨネーズと和えることで子どもにも食べやすくなります。大人用にはポン酢で和えるのも簡単でおすすめです。いりぬかは、米ぬかを香ばしく煎ったものです。いりぬかの作り方や食べ方については、こちらの記事をご覧ください。
あしたばの炒め物
普段の炒め物にあしたばを少量加えると、爽やかな香りの一品に仕上がります。写真は、新わかめと下ゆでしたあしたばをさっと炒めて、ポン酢で味付けをしたものです。わかめの代わりに、新玉ねぎや春キャベツなどほかの野菜を組み合わせてもおいしいです。あしたばの天ぷら
あしたばは、天ぷらにするのもよく合います。天ぷらにする場合は、下ゆでをしないで、あしたばの生の葉に衣を付けて揚げます。油で揚げることで、アクが抜けて香りが和らぎ、食べやすくなります。あしたばの天ぷらは、そばにもよく合います。あしたばのみそ汁
みそ汁にネギなどの香味野菜を添える感覚で、あしたばを使うのもおすすめです。仕上げに、下ゆでしたあしたばを加えてみましょう。食欲をそそる爽やかな香りの一品になります。写真は、新玉ねぎと油揚げにあしたばを加えた、春らしい香りのみそ汁です。あしたばの混ぜごはん
あしたばの混ぜごはんは緑色が美しく、お弁当などにもぴったりです。炊きたてのごはんに、下ゆでしたあしたばと自然塩やしそのふりかけ、梅干しをたたいたものなどをお好みで混ぜて味付けします。子どもにも食べやすい一品です。あしたば&納豆とろろ
納豆やとろろなどのネバネバ食材に、あしたばを組み合わせるのもよく合います。下ゆでしたあしたばがあれば、あとは皿に盛り付けるだけ!夏場はそばの上にのせてみてはいかがでしょうか。手軽に滋養のあるものを食べたい時にもぴったりです。あしたばジュース
忙しい時の朝ごはんなどにおすすめなのが、あしたばジュースです。作り方は、下ゆでしたあしたばとりんごジュース(できればストレート)やお好みの果物、レモン汁少々をミキサーに入れて攪拌(かくはん)します。果物の甘さが加わることであしたばの独特の風味が和らぎ、あしたばが食べやすく「大変身」します。長期保存したい!そんな時には、あしたば茶もおすすめ
「あしたばが大量にあって、料理に使い切れない!」という時には、長期間保存できるあしたば茶を作ってみてはいかがでしょうか。旬を過ぎて夏ごろになるとあしたばは筋張ってしまいますが、あしたば茶は固くなったあしたばの活用法としてもおすすめです。作り方は、根本から切ったあしたばを天日でカラカラになるまで乾燥するだけです。お好みで空煎りすれば、香ばしい風味が楽しめます。キッチンバサミなどで葉を適度な大きさに切って熱湯を注げば、おいしいあしたば茶のできあがりです。
栄養豊富なあしたばを、気軽においしく食べてみよう
古い歴史を持ち、栄養豊富で爽やかな風味が楽しめるあしたば。下処理としてゆでておけば、アクが抜けて香りもマイルドになり食べやすくなります。好きな時に手軽に食べることができるので、野菜不足の解消にも役立ちます。あしたばが手に入ったら、和え物やいためもの、天ぷらなどの簡単おいしい養生ごはんや、長期保存したい時にはあしたば茶を作ってみてはいかがでしょうか。また、あしたばは家庭菜園でも比較的育てやすいので、自分で栽培して味わってみるのもおすすめです。あしたばをおいしく食べて、健やかに過ごしたいですね。