目次
ここではプロの生産者のうち、とりわけ少量多品目でジャガイモを栽培し、消費者に販売する方に向けて、生産者が栽培しやすい品種や貯蔵性が高い品種、消費者に好まれる品種、少し変わったおすすめの品種とその特徴を一覧で紹介します。
ジャガイモには生食用・加工用・でん粉用品種がある
ジャガイモの栽培方法や病害虫防除についてはこちら。
家庭菜園におすすめのジャガイモの品種はこちら。
春植え用|手堅いジャガイモ品種
デジマ
デジマは、昭和40年代後半から栽培されるようになりました。皮色は薄いベージュで、肉色は淡黄色で目が浅く見た目がよい品種です。肉質は、やや粘質で食味もいいです。収量は春作、秋作ともに高く、でん粉価は暖地の品種の中ではやや高いことも特徴です。ただし、青枯病、疫病に弱く、そうか病にもやや弱いため、土壌が湿った状態だと二次生長や裂開が発生しやすい性質があります。ニシユタカ
普賢丸
普賢丸は、疫病、青枯病には弱いものの、そうか病にはデジマよりはやや強く、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性をもつことが特徴です。皮色が黄色、肉色は淡黄、目が浅く外観がよく、食味もよい品種です。収量に関しては、春作ではデジマ並みですが、収穫が遅れると塊茎基部から亀裂が入り、腐敗が発生するため、収穫時期をしっかり見極めましょう。ジャガイモの収穫と貯蔵方法のポイントはこちら。
ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持ち、消費者にも人気の品種
ジャガイモ自体に付くわけでないので、食べる分にはまったく問題ありませんが、生産者にとってはシストセンチュウによって収量が大幅に減少します。また、防除のための労力や金銭的なコストも大きくなります。
しかし、抵抗性品種を一作栽培すると、土壌中のジャガイモシストセンチュウの密度が平均で80〜90%減少します。そのため、センチュウ対策としても、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種の栽培は有益です。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種で、かつ消費者になじみがあり、調理がしやすい人気品種には、以下ようなものがあります。
キタアカリ
とうや
十勝こがね
はるか
はるかは、皮が白く、目の周りが赤い特徴的な見た目をもつ中生品種です。舌触りも滑らかで、食味もよく、ポテトサラダやコロッケに適しています。また、多収で、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性品種というだけではなく、青枯病にもやや強い特徴をもちます。さらに、塊茎の腐敗に対して抵抗性を有し、打撲に対しても強い性質があります。そのため、機械での収穫などにも適しています。休眠期間も比較的長いです。センチュウの防除についてはこちら。
カラフルなジャガイモ品種|人気ランキングの常連も!
ノーザンルビー
ノーザンルビーは、皮色、肉色ともに赤です。アントシアニンを1gあたり1.9mgほど含んでいます。男爵より多収で、一個重も大きく、適正なでん粉価(でん粉と糖を含んだ値)であることが多く、加工時の歩留まりもよい品種です。中早生で、草性も直立型なので、栽培管理も容易です。病害虫対策としても、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性、塊茎腐敗抵抗性を有しており、また、二次生長も比較的起こりにくいです。ただし、そうか病やYモザイク病に関しては抵抗性が弱いという特徴があります。シャドークイーン
インカのめざめ
インカのめざめも、「カラフルジャガイモ3種セット」などとして販売されることが多い品種です。外観もよく、食味も「ナッツフレーバー」と称され、通販サイトなどでも人気ランキングの上位にランクイン。カロテノイド系色素を含有し、2〜4℃で貯蔵すると甘みが出るため、おいしいというイメージが定着しています。しかし、栽培に関しては難しく、収量は男爵の7割程度しかありません。一個の重さ平均も、50g程度ととても小さいです。青枯病には強いですが、疫病やウイルス病に弱く、休眠期間も30日と短い特徴があり、収穫が遅れると土壌中で芽が出てしまうことさえあります。
海外育種系おしゃれ品種
マチルダ
スウェーデンで育成された品種です。北海道の芽室町を中心として栽培されています。皮色は黄、肉色は黄白で、目は浅く見た目がよい特徴を持ちます。疫病抵抗性、塊茎腐敗抵抗性、Yモザイク病抵抗性があり、化学農薬なしでも比較的栽培がしやすい品種です。ただし、そうか病には羅病し、シストセンチュウには感受性です。また、小粒で完熟させて供給することを狙った品種であるため、窒素の多量施用は避け、できるだけ大きめの全粒種イモを使用することが望ましいとされています。シェリー
フランスで育成された品種です。皮色は赤、肉色は淡黄です。平均の一個重は極小ですが、着生数が多く、小さいサイズの塊茎が多く収穫できるという特徴があります。特定のジャガイモシストセンチュウには抵抗性を有していますが、青枯れ病やウイルスにも弱く、打撲にも強くないため、栽培する上で気にとめておきましょう。食味に関しては、あまり煮崩れしないながらも、ほくほくとした食感も味わえます。煮込み料理にも適しています。まだまだある!個性的なジャガイモの品種
グラウンド ペチカ
タワラマゼラン
トヨシロ
大手菓子製造メーカーのポテトチップスなどの原料としても使用されている品種ですが、還元糖含有量が少なく、油加工に適しており、調理後や貯蔵後に黒変が少ないため、家庭でも生食用としても重宝されます。平均の一個重は中早生品種としては大きく、中早生品種としては多収です。粉状そうか病には強い傾向がありますが、乾腐病や黒あざ病には弱く、ジャガイモシストセンチュウ感受性品種であるため注意しましょう。マルチ栽培では、300g以上の大きい塊茎で、中心空洞が発生しやすい傾向にあります。めずらしい品種は、あらかじめ種イモの入手先などを確認しよう
メジャーではない品種の場合には、品種によっては種イモの採種農家が少なく、種イモが欲しい時期に欲しい量だけ手に入らないことも。あらかじめ種イモの入手先など確認しておきましょう。