これまでの「ハッピーファミリーファーマーズ日記」
山仕事のシーズン到来
秋が深まって冬が近づくと、活動の場が田畑から山へと移ります。夏は田畑が忙しいだけでなく、山にはヒルがたくさんいるので、山仕事はヒルが出なくなる冬にしかやりません。「儲かる農業」が目的だと、そんな暮らしはしていられないのかもしれませんが、我が家の目的は「農業を続けることで風景を守ること」なので、山の仕事もとても大切です。東京から移り住んできた父は、毎日のように竹林の整備に勤しみ、稲刈りや来シーズンに向けた片付けなどを終えた夫は、薪にするための木を切ったり、その薪を置くための棚を作ったりします。
薪ストーブは3回温かい
我が家では薪ストーブを使いますが、「薪は3回温かい」といわれているそうです。木を植えるときと切って薪にするときに体を動かして温まり、そして最後は火をつけて燃やして温まるときの3回です。そう言うと何だかかっこよく聞こえますが、要は手間がかかります。スイッチ1つで温かくなる灯油やガスや電気を使った暖房に比べると、とんでもなく大変なのですが、そんな手間がまた愛おしさの理由だったりもするわけです。薪の備蓄があれば非常時にも安心、ということで、薪ストーブは一石二鳥どころか三鳥も四鳥もあると思います。山は遊び道具の宝庫
今年の紅葉は見事でした。森のようちえんでは毎日のように、子どもたちがお散歩中に拾った色とりどりの葉っぱをお土産に持って帰ってきます。枝を使って秘密基地を作ったり、丸太を平均台がわりに使ったり。男の子は必ず棒を持ちたがるし、女の子は必ず木の実や葉っぱを拾いたがる。性差があることをしみじみ感じるのが森の中です。「木育」を体験!
そうそう、「木育」なるものも体験しました。地域おこし協力隊の方が指導してくださり、たくさんの木のおもちゃを使って、子どもたちは大喜びでした。木のぬくもりを感じるおもちゃ、最高ですよね♪木があるなら一度はやりたい小屋づくり
また、木といえば、やっぱりやりたいのが小屋づくり。今年はコロナの感染拡大でお客さんが減った分、隔離期間を設けたうえで長期間滞在する学生さんたちが次々とやってきたので、今後もそういう子たちの受け入れができるよう、3畳分の小屋を建てることにしました。こちらは、指導してくれる予定の友人が見本として建てているもの。女性でも1人で建てられるということなので、女子大生の1人が「ぜひ、やってみたい!」と名乗り出ています。年明けごろに完成するのかどうか。乞うご期待!
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大津 愛梨(おおつ えり)プロフィール
1974年ドイツ生まれ東京育ち。慶応大学環境情報学部卒業後、熊本出身の夫と結婚し、共にミュンヘン工科大学で修士号取得。2003年より夫の郷里である南阿蘇で農業後継者として就農し、有機肥料を使った無農薬・減農薬の米を栽培し、全国の一般家庭に産直販売している。
女性農家を中心としたNPO法人田舎のヒロインズ理事長を務めるほか、里山エナジー株式会社の代表取締役社長、一般社団法人GIAHSライフ阿蘇の理事長などを兼任。日経ウーマンの「ウーマン・オブ・ザ・イヤー」やオーライニッポン「ライフスタイル賞」のほか、2017年には国連の機関(FAO)から「模範農業者賞」を受賞した。農業、農村の価値や魅力について発信を続けている4児の母。
ブログ「o2farm’s blog」